東方狂宴舞   作:ホッピングミキサー

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お待たせいたしました!
今回で5話目になります。今回はメイド長とのあれこれがあるので見所?が多いかと思われます
では、shoot04 狂宴 開宴 どうぞ!


shoot04 狂宴 開宴

体を覆う全ての包帯が取れたのは俺がこの館に拾われてから丸々一週間経った時だった。

 

「あー…痛ってぇ」

 

長期間寝たきりの生活の影響か軽く腕を曲げたり伸ばしたりすると硬直していた筋肉が突っ張り鋭い痛みが走る。凝り固まった関節を軋んだ音を鳴らしながら解していると目覚めた時と全く同じ様にノックの乾いた音が鳴った。どうやら面通しの時間がきたようだ。

 

「失礼致します…あら、どうやら体の方は全快したようですね。」

 

入ってきた十六夜さんは変わらぬ笑みを浮かべているが瞳の奥から覗く冷たい光は依然変わらずそこにあった。

 

「あぁお陰様でな…今日はここの主に合わせて貰えるんだっけか?」

 

「はい、お嬢様も長い間お待ちになっていたので貴方が来るのを楽しみにしていましたよ?」

 

そう言うと彼女は俺の着ていた服を置くとそれに着替えておくようにと俺にことずけその場から消えた。

 

「何度見ても不思議な力だな…まぁここではあんなことはざらにあるんだろうが…」

 

 

久々に袖を通した服は軽く石鹸の香りがした。洗濯のりが効いたパリッとした服を解し、シワひとつないパンツを履くと外に続くドアを開けた。外には待っていたのか十六夜さんがやはり完璧と言っても過言ではない佇まいで立っていたが俺を見据える二つの目に灯っていた光が一層冷たく強くなっていることが俺の心を乱した。

無言で先を行く彼女の背中を見ているとまるで感情というものを感じることが出来ず体感する時間が何倍にも引き延ばされているように感じ、大仰な木製の扉が目の前に現れる頃にはすっかり俺は疲弊しきっていた。

 

「この先でお嬢様がお待ちになっております。くれぐれも粗相の無いようにお願いします」

 

今迄の振る舞いを見て、ここまで完璧なメイドを従えているここの主に純粋な興味が湧いた。単純な権威だけでは彼女を従わせるのは不可能だからな。隣にいる彼女に軽く会釈し、重々しい扉をゆっくりと開いた。

 

 

重い扉の先にある大広間で俺が見たものは荘厳でも大きな玉座に座するには不釣り合いな幼い少女がいた。

 

「私がこの館の主、レミリア・スカーレットよ。この幻想郷に来て早々妖怪に襲われるなんて災難だったわね」

 

「あんたが俺を拾ってくれたんだってな。世話になった、何か礼をしたいところだが…」

 

「あら、お礼なら貴方しか出来ないことをして貰いましょうか」

 

今迄どうして気づかなかったのか…

背中から生えている特徴的な蝙蝠の羽、妖しく光る紅い瞳、空気が震えるほどの強大なプレッシャー…間違いないこいつは、

 

「後は任せたわよ…」

 

「ッツ‼︎」

 

俺には彼女の声は聞こえていなかった…いや、聞くだけの余裕が無かったという方が適切か。飛び退いた場所には4本のナイフが刺さっており、そのどれか一本でも当たっていれば致命傷モノである事は間違いないだろう。そしてこのナイフを投げたのは…

 

「今のを目視も無しによく躱しましたね」

 

「俺の背後で覚えのある殺気を感じたからな。狙っていることさえ分かれば避けるくらいは何てことはない…そうだろ?十六夜 咲夜さんよ」

 

俺が振り向きながら見据える先には相変わらずの笑みを浮かべながらも冷たい殺意を放つ彼女の手には先程俺に投げたであろう物と同じナイフが握られていた。

 

「何故俺を殺そうとする。何が目的だ」

 

「お嬢様の言葉が聞こえなかったのかしら?お礼は貴方しか出来ないこと…つまり貴方の血をお嬢様は欲しているのよ」

 

「成る程な、それで俺を殺して血を搾り取ろうと…残念だが俺もはいそうですかと殺されるほどお人好しでも慈善家でもないんでね」

 

「あら、じゃあどうするの?」

 

「さて、どうするかな…殺されないように全力で抵抗させてもらおうかな」

 

…とはいえ所持本数が分からないから投擲回数の予測はできそうにない…だったら投擲自体を止めさせればいい!接近戦に持ち込むために十六夜に向かって走り出す。

 

「真っ直ぐ突っ込んでくるなんて…狙ってくれと言ってるようなものよ!」

 

投擲モーションに入る彼女の全身から読み取れる全ての情報を取り込み、統合する。彼女の視線、構える手首の角度、腕の筋肉の硬直具合…これらの情報から投擲の軌道予測座標を導き出す。軌道が分かっていれば避けるのは容易い。

 

「せい!」

 

「甘ぇよ!」

 

「!?」

 

予想どうり、俺のスレスレの位置を4本のナイフが掠めていくのが見て取れた。俺は突っ込んでいった勢いをそのまま回し蹴りを彼女の鳩尾に打ち込む。

 

(こいつをまともに受けなくても暫くは動けないだろう…これで終わりだ!)

 

勝利を確信した俺は仮にも彼女が吸血鬼の従者であることを忘れ、愚かにも油断してしまった。そしてその油断は早くも俺に牙を剥くこととなる 。

 

ドゴォン

 

おかしい…確実に当てる自信があった。いや、当たるはずだったが当たる瞬間に彼女の体が空気のように消えたんだ。鳩尾に入れたはずの俺の足元には彼女の体は無く、ヒビ割れた床があるだけだ。そこには一切の手掛かりとなる物は無かった。

 

 

ズドッ

 

その場で動けなくなっていた俺の耳に聞きなれない音と共に肩甲骨の辺りに燃えるような痛みが広がり始めた。

 

「あれを避けるだけでなく、私に攻撃を仕掛けてきた事、そして貴方のスピードは素直に評価に値するわ。でも…まだまだ遅い」

 

「ぐっ…あぁ‼︎」

 

先程まで俺の前にいた彼女の声が今度は背後から聞こえてくる。全く…何がどうなっているのかさっぱりだよ。ただ間違いないのは目の前のこいつに一切の油断は出来ないってことだ。

 

「あなたの時間は私の物…ただの人間に勝ち目は、ない」

 

「ただの人間か…残念だな、俺はただの人間じゃない。俺は、殺人鬼だ‼︎」

 

背中に刺さるナイフを抜き取り構える。その際に溢れる血が赤い絨毯を更に紅くしていく。痛いはずなのに湧き上がる高揚感がそれを打ち消していく。この時に俺は既に壊れていたのだろう。それに気づくのはまだ先の話だが…

 

「さぁ、楽しい楽しい殺し合いだ‼︎」

 




如何だったでしょうか?やっぱり戦闘は難しいのでうまく書けたか不安です…次回は煉君の裏の顔が垣間見える瞬間ですのでお楽しみに!
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