ては、shoot05 狂宴 喧騒 お楽しみ下さい。
刺された右肩からは止め処なく血が流れ出し、燃える様な痛みを全身に送り出している。
だが、なんでかな…今のボクは…
「とっても気分が良いんだよ‼︎」
「⁉︎」
付いていた余計なものが無くなったかのように体が軽い。右肩の痛みすらも心地よい刺激
に変わり、まるで料理の味を引き出すために用いるスパイスの様にボクの高揚する感情を更に高め、洗練していく。
「本当に久方ぶりだなぁ…外に出るのは。今回の玩具は…壊し甲斐のありそうなメイドかぁ。『あいつ』もいい趣味してんじゃんか」
「貴方…一体誰?さっきまでの人物と同一人物には見えないのだけど」
ゴキゴキと首を鳴らすボクに今回の玩具が『何時もと違う台詞』を口にする。だからボクは何時も同じ返答を返してやる。
「僕が誰かって?ハハッ、君が知る必要は無いよ。それに知ったところでその情報に何の意味も持たないよ。何故なら…ボクが壊しちゃうんだからさ‼︎」
床を蹴り目の前にいる獲物に向かって一直線に突っ込む。踏み込んだ際に力を入れすぎたのか床が小さく窪んでしまったが気にせずに突っ込み、ナイフを構えるまでの数秒で懐に潜り込む。そして拳を腹部に打ち込む瞬間にやつが消えるのを目視することに成功した。
そして今の位置から推測出来る投擲予測線上
を飛んでくるナイフを右手のナイフで払い落とす。金属同士を打ち合わせる硬質な音が響き、その少し後に弾き落とされたナイフが床に刺さった。
「遅い…遅すぎるよ。こんなスピードでよくあんなでかい口を叩けたね?『貴方の時間は私のもの…』だったっけ?」
「……」
(あらら、黙っちゃったよ…まぁいいやここの主人は手を出す気は無いみたいだしゆっくり壊すことにしようっと)
黙り込んでしまった獲物を見据えて歩み寄ろうとした瞬間に聞き覚えのある音がすぐ近くで聞こえた。
ドッ、ドッ、ドッ、ズドッ
今迄とは比べ物にならないくらいの痛みが全身を襲う。背中に火がついたかのような熱さが少し遅れてやってきた時になってやっと目の前にいる相手が笑っていることに気がついた。
「確かに、先程までと比べて動きも格段に速くなったし死角からの私の攻撃を弾き落とすなんてことをしたのは貴方が初めてよ…でも貴方は私を甘く見過ぎた。冥土の土産に教えておいてあげる。私の能力は『時を操る程度の能力』その能力で時間を止め、攻撃を前もって設置しておいたのよ」
ナイフを右手で弄びながら笑う奴の顔が、声が全て遠くから聞こえてくる。腹立たしくて反撃を試みるも血が出過ぎて体の力が抜けその場に突っ伏してしまう。それでもボクは焦りの表情は浮かべることはない。何故なら…奴もボクを甘く見過ぎた!
「あら、今更命乞いかしら?」
手を伸ばすボクが命乞いをしているように見えたのか嘲りの目を向けてくるが、あと少しで壊れる物の表情など気にならない。
「相手を甘く見過ぎのはお互い様だよ。君もボクを甘く見過ぎた…」
「その状態で何ができるのかしら?動くこともできない貴方に」
(これ以上引っ張っても時間の無駄だね。じゃあ…バイバイメイドさん)
ボクが左手に力を込めた瞬間に予想外の、最低な出来事が起こった。『あいつ』の目が覚めたんだ。
『止めろっ‼︎』
(あぁもぉ!なんでこのタイミングで起きちゃうかなぁ。折角良いところだったのに〜)
『うるせぇ!とっととお前は引っ込みやがれ!』
(はいはい…じゃあ精々死なないでよ?君が死んだらこっちも困るんだからさぁ)
ほんと、バカだなぁ…あのままボクに任せておけば全て片付いていたのに。薄れる意識の中、ボクの心の中は最後まであいつに対する嘲りしか無かった。
「死ぬ前に何か言いたい事はあるかしら?一つまでなら聞いてあげるわ」
ぼやけていた意識が鮮明になってくると、耐え難い痛みが全身を襲い呼吸すら困難になった。出血の所為で飛びかかる意識をなんとか保ちながら俺は懸命に口を動かす。それを理解したのか十六夜は嘲りの表情のまま、突っ伏す俺の前に立ち、お決まりの台詞を言った。言うべき事は沢山あるが、もう俺には余り時間が残されてはいない。だから次に彼女に会った時必ず言おうと思っていた事を言うことにする。
「ここに連れてこられてからの食事…とても美味かったです。有難うございます」
「そう、じゃあ死になさい」
言いたい事は言えた…悔いは無い。俺みたいな奴が人、いや吸血鬼の役にたって死ぬんだからな。これでもう新しい犠牲者を出さずに済む…それに俺も悪夢から解放されるんだ。
振り下ろされるナイフを横目に俺の意識はゆっくりと沈んでいった。
はいはい、いかがだったでしょうか?いやぁ、戦闘パート難しいですね〜結構ぐだぐだになってそうで怖いです…
こんな豆腐メンタルなので皆さんの応援の声が私の力になります。
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