神栄 碧と暗殺教室   作:invisible

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本当に申し訳ないです。





第148話 交錯の時間

 

 

「さっきの戦いでわかったよ。今の私なら必ず殺れる。じゃあね殺せんせー、また後でね」

 

 

 

触手を枝に巻きつけ、跳躍したあとどこかへ消えていった。

 

 

「……ありえない。メンテナンスせずに触手なんて生やしてたら地獄の苦しみが続いていたはず…!」

 

 

イトナの顔からは、人よりも多く汗が流れている。よほど衝撃的なことだったのか、自分と照らし合わせているのか。

 

 

「あと、雪村あぐりの妹って、殺せんせーが来る前の担任の先生じゃねーか!」

 

 

「んなことはどうでもいい。殺せんせー、茅野は人殺しって言ってたが、一体過去に何があった?」

 

 

神栄は殺せんせーに問いつめる。

 

 

が、殺せんせーは喋らない。相変わらず顔は変わらないし、何かを考えているのだろうか、

 

 

 

「……わかりました。先生の過去の全てを話します。ですが、話すときはクラス全員が揃った時にでもいいですか……?」

 

 

全員が揃った時。つまり、殺せんせーは茅野が戻ってきて、暗殺が終わった後に話すということだ。

 

 

 

「……なるほど、ってちょっと待ってくれ。メールが来た」

 

 

「今殺せんせーは真面目なこと言ってんだがな…」

 

 

 

 

 

メールを見た後の神栄は、とても険しい顔をしていた。

 

 

 

「………あ?」

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「悪い、先に帰るわ」

 

「おい、どうした神栄?」

 

 

 

 

「どうしたもこうしたもあるか、帰るっつったから帰るんだよ」

 

「なら理由を……」

 

 

磯貝の説得に応じることなく、神栄はカバンを持ち、教室を去った。

 

 

 

しばらくし、ようやく立ち止まると神栄はため息を吐いた。

 

 

「まずったな……。

 

 

 

 

 

 

茜音が椚ヶ丘を去るのと、茅野のことが重なった……」

 

 

茜音が去るというのは叔父が経営してる仕事の影響だ。

 

どうやら海外進出をしようとしているらしく、しばらく日本に戻ることがなくなり、海外での生活を送ることに決めたと言っていた。

 

それ以上のことを聞こうと思わなかったし、聞く気もなかった。

 

 

碧の場合、叔父達とは完全に独立した人のため、海外へ引っ越しするという情報は今さっき知った。

 

 

これが、今自分が話せる全てである。

 

 

暗殺についての話を全く知らない叔父はおそらく近日中に去る日程を教えてくるが、敵か味方かわからないままでいる茜音が何をしてくるかわからない。本当に困った存在だ。

 

 

 

 

 

家までの距離が残り数10m程になると、神栄のケータイが震える。

 

 

『午後5時、空港に来るようにだってよ。byおじいちゃん』

 

 

現在午後3時半、確実に無理な時間ではないし、叔父の命令なら従わざるを得ない。それが本当に叔父が言っていたのかは謎だが。

 

 

 

 

 

 

 

「………!?」

 

 

ふと、殺気を感じた。

 

 

 

それは一瞬の出来事で、もし襲って来たらほとんどの確率で死んでいたであろう殺気だった。

 

だが、後ろを見ても誰もいない。

 

 

 

「………普通の殺気じゃねぇな…何か、本当に人を殺すような感じだ……」

 

 

 

 

そう言って空港へと急いだ。

 

 

 

 

結局……なんだったのだろう。

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

1時間半後、とある空港に着いた神栄は、荷物を預けている茜音を目撃した。

 

「……何で俺は呼ばれた?」

 

 

「…………茅野ちゃん、触手持ってたそうだね?それに対して何か無いの?」

 

「お前に言うことなんか無いんだが」

 

「…………これでも?」

 

 

 

茜音がケータイを見せてくると、そこには茅野からのメールが届いていた。

 

全員へ一気に送ったメールだった。

 

 

『今夜7時、椚ヶ丘公園奥のすすき野原まで』

 

 

今の時刻は午後5時半、これから空港近辺の通りは混み合う時間になる。

 

 

すなわち………

 

 

 

「ハメやがったな………!クソが」

 

 

「いやいや、碧君にはピンチをぶち壊すチカラがあるから、この程度のピンチは普通の事だよ?」

 

「だから何だよ!ふざけろ!!」

 

「……これが」

 

 

 

「あぁ!?」

 

 

茜音はすぅ、と息を吸い、今まで見たことのない笑顔でこちらを見る。

 

 

 

「最後の《姉として》のいじわるだよ碧君……最後の、いじわる」

 

「……!?」

 

 

この言葉が意味していることは、『二度と日本に戻っては来ない』ということなのだろうか。それにしても遠回しに言いやがる。

 

「あっそ……戻ってこないなら来なくてもいい。むしろ来るな。でも、戻って来た時、覚えてろよ……?」

 

「……そうだね、絶対覚えてるよ」

 

 

 

いつまでもそっけない会話、これが神栄姉弟の最後の会話だった。

 

 

別れの挨拶もなく、見送る気も無い。だが、それでいい。むしろそれがいい。

 

そう茜音は思い、搭乗口に足を運んだ。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

「タクシーなんかで行ったら3時間くらいかかる……電車だと間に合うか?」

 

 

 

残り1時間と25分。行きよりも短い時間で戻ることは現実的に不可能だ。

 

 

茜音が言っていた、ピンチをぶち壊すチカラ。それを自分は発揮できるのだろうか?

 

 

 

考えれば考えるほど不安になってくる。

 

 

 

 

 

「仕方ない、やれる最大限をするしかないな……」

 

 

神栄は車の通りが少ない道を選び、走り出した。

 

 

 

「建物の屋上に行ければ、楽なんだがなぁ……」

 

 

 

ボヤきながら神栄は【椚ヶ丘まで30km】と書いてある看板を発見した。

 

 

約1時間で30km、全く出来ない訳ではなくなったかもしれない。

 

 

「僅かな可能性だろうとそれに賭けろ。やりもしないのに諦めるのは三流以下のやることだ」

 

 

 

現在の叔父にあたる神栄 黒紀に言われた言葉だ。

 

思いもよらない状況になった神栄に、この言葉が脳裏に浮かんだ。

 

 

 

(僅かな可能性、賭けてやろうじゃねーの!)

 

 

逆境に陥った神栄に、笑みが浮かぶ。

 

 

それは殺る気のある、素晴らしい笑顔だった。

 





1ヶ月も投稿しなかったこと、本当にすいません。

またしばらく投稿出来ないかもしれませんが、気長に待っててください。

学年が上がって勉強が忙しくなって、更に行事が重なり……と、この他たくさんの事情(言い訳)がありまして、投稿が遅くなりました。

おそらく次回は茅野VS殺せんせーor……?になるかと思います。

では、おやすみなさい。
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