僕の方の戦いは────終わりました。
これから入学に向けて、その分野の勉強をしていこうと思います。
自分で読んでても「…なんか変だなぁ」と思ってるので後で消しちゃうかもしれない。
「非常に興味深い光景だ…。原液をそのまま使っている督界君に対し、こうしてまだ息をしているのだから」
息をしている。とは言っているものの、神栄の状態は非常に危険だ。
無数の傷、顔を重点的に殴られたのか、目が開いておらず、腹を抑えているこの状況は、神栄が圧倒的不利である。
「……で、次ハ?」
「…ねぇよ。今もこうして…ハァ…ハァ…何かできるかを模索してるよ」
「そうカ……なら死ネ」
神栄のような錠剤タイプの薬なら、とっくに効果切れなのだが、督界の動きは一向に遅くならない。
原液の持続時間がいつまでか、それさえわかれば勝機がある。
「神栄く…!」
「黙れ、実験に手出しするな」
居ても立っても居られなくなった殺せんせーは神栄の方へ行こうとするが、シロがそれを邪魔する。
持っていた本物の拳銃の銃口を意識のない神崎に向ける。
「…私がマッハで移動すれば、それは無力化できますが?」
「わかってるさ。だがあんたはそれをできない。1つはそこの女がいること、もう1つはその気になれば今この瞬間神栄君を殺せること、もう1つは貴様のマッハに対応できる優秀なスナイパーがいることだ」
「だからと言って、生徒を見過ごすことはできない!」
「ならやってみろ、視界不良で督界ですら見るのが困難な男が、私の行動を見れるわけがない。────撃つぞ」
「…ッ!」
「…賢明な判断だな。次はないと思え」
◆◆◆◇◇
神栄の体力の限界はとっくに来ている。
だが、やられてしまった神崎の敵討ち、理解不能な男の計画を潰す。そのためならこの程度の怪我はなんてことない。
そう思っていたが、これは非常にマズい。
"督界の体力が尽きない"
(いくら改造されてるからとはいえ…さすがにデメリット無しは…)
「考エ事なんテらシくねェなぁ!!兄サん!!!」
ただでさえ何も見えないこの状況で、チョロチョロと移動する督界は、本当に戦闘慣れしているのだなと感心させられる。
「シロ…!」
「なんだね。自ら命を絶ちたいと思ったか?」
「…そうじゃあない。あんたがいう通り、あいつは俺の上位互換だよ。そこははっきり認めてやる」
「当然だな」
「だけど、俺とヤツには決定的な違いがあることをその目で確かめな」
「…………ほう」
シロは構えていた銃を懐に戻し、神栄たちの戦いを見る。
(フッ、何が決定的な違いだ。所詮中学生のゴミのような発想に過ぎん。いくら天才と呼ばれようが、この状況でも天才でいられるのはほんの一握り。絶望を知り尽くした人間でしかそれは可能ではない。
想定外だ。奴がここまで弱いとはな)
「おいニセモノ」
「……そノ呼び方で……呼ブナ!!」
強烈な一撃を腹に喰らい、神栄の体はくの字に曲がる。
「グッ……!だが…んなこたぁどうでもいい!俺に原液をよこせ!さすれば、本気の殺し合いをしてやるよ」
「待ちなさい神栄くん!それ以上は…!」
全てを理解した殺せんせーは、神栄の奇行を止める。
しかし、シロはそれを許さない。
「……2度目だぞ。次はないと思えと言ったハズだが?」
「だとしても私はそれだけは許さない!やめなさい神栄くん!!!」
「ありがとう殺せんせー。俺は負けないからさ…」
………嘘だ。私はその目を何度も見てきた。
彼は死ぬ気でいる。特攻をかける気だ。
「やめ……!!」
「俺はあいつを倒すよ。うん……倒すよ」
殺せんせーの隣にいた前原は、神栄の言ったある一言を思い出す。
『俺は死ぬときは道連れにするって決めてんだ。1人は寂しいからな。だから…お前も死ぬんだよ!!!』
「嘘だろ神栄……お前まさか……」
「大丈夫だ。必ず倒すから」
その大丈夫は、俺にとって大丈夫じゃあないんだよ神栄。
バカな俺でもわかるよ神栄。アイツを倒した後、お前はもうそこに居ないんだろ?
そんなのは嫌だ。それは俺だけじゃない。クラスのみんな、殺せんせーだってそうだ。何より…神崎さんがそんなことを許すわけないだろう!
そんな俺が言える一言は……、
「……やめてくれよ神栄…!お前のそんな姿、見たくねーよ…!!」
「安心しろよ。最善は尽くすからよ」
そう言った後、神栄は自分の足元にあった原液入りの注射器を自分の首元に刺す。
「これが最後だ……。ニセモノォォ!!!!」
◆◆◆◆◇
「ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!」
最後の狂気を始めた神栄は、督界と同じようなスピードの世界に入っていた。
「最ッッ高だなァ兄サん!!こレコそ本当の兄サんだよ!!」
大量に原液を投与されてきた督界と違い、神栄は会話する余裕がない。
それでも督界は一方的な会話を続ける。
「兄サんが死んダら…僕じャなくて俺ニしないとダメダナァ…!あはハ!!」
督界と同じ舞台に立った神栄だが、依然として督界優勢なのは変わらない。
(本当の狂気が始まったが…奴が持つ時間はせいぜい10分といったところか。どの道彼の負けは変わらないな。死までの時間が多少長くなっただけのこと。無様だな)
「兄サん!!僕も本気出スよ…?」
「……!?」
督界はポケットから薬を取り出し、躊躇いなく首に突き刺した。
効果時間が切れていない中での2度目の狂気状態。
1度目の狂気状態のまま2度目に移行した際、1度目の狂気状態がリセットされるか否かはわからない。が、狂気状態に新しい狂気状態が上乗せされ、超狂気状態になるのであれば、非常にまずいことになってしまう。
「……まさか、上乗せされるとかないよな…?などと思っていそうな顔をしているね。そのまさかさ。絶望するがいい」
「……」
「…無防備かヨ」
「ンなわけあるカ」
一瞬、督界が動きを止めたその隙に、神栄は即座に懐に潜り込み、重い一発を入れる。
「ガッ……ハァ!」
お返しと言わんばかりに神栄は督界の体をくの字に曲げさせると、すぐに督界は距離をとる。
「来いよ…!お前より上ってことを身体で証明してやらぁ!!!!」
「アァァアアアァァ!!!!」
なんの意味もなく突進してくる督界を見て、神栄は思う。
"なんで浅はかな奴なのだろう"と。
いくら冷静さが欠如しているとはいえ、自分の戦況を理解してるはずなのに、この無意味な特攻。
神栄の服には護身用の本物のナイフが仕込んである。これを死なない程度に刺し、戦意を喪失させれば全てが丸く収まる。
無意味な特攻を避け、すぐにナイフを取り出した後、軽く刺せばこちらの勝利は確実なものとなる。
そこが神栄と督界が違うところだ。
如何なる状況でも常に頭を冷静で保っていられる人であるか否か。ここが今回の勝負のキーとなる部分だった。
暴走に身を任せ、全てを壊しまくる脳筋のニセモノと違い、神栄は狂気状態でありながらも勝利への道を模索していた。
だが、それが神栄の弱点であり、勝負の分かれ目でもあった。
◆◆◆◆◆
全身全霊をかけたと言っても過言ではない特攻をする督界の左手の攻撃を避けた神栄は、素早くナイフを取り出し、督界の左肩めがけてナイフを振り下ろす。
(当たっ………………た?)
サクリ。と刺さる音が聞こえた。
督界の左肩には、ナイフが刺さっている。
そして、別箇所からもサクリ。という音が聞こえる。
「第2ノ刃ハ、アンタダケジャナイヨ」
神栄の心臓近くに、見事にナイフが刺さっている。
督界の右手からは強く握りしめられたナイフが見える。
「……終わりだな」
「あ……ああっ…」
目の色が戻り正気に戻った神栄は、督界に抱きつくようにずるずると倒れる。
「〜〜〜〜ッッッッ!!!」
殺せんせーの身体の色が徐々に黒くなっていく中、シロは高笑いをしていた。
「ッッハハハハハ!!!何が決定的な違いだ!違ったのはあいつじゃないか!まぁいい。これで見事なデータが取れた。次は奴を殺してみようか」
督界が殺せんせーのところへ歩み寄ろうとしたその時だった。
「………?」
左足が動かない。少しだけ動かしてみると、何か重みを感じる。
「…………」
神栄が握っていた。絶命したはずの兄さんが自分の足を握っていた。
「…ねよ」
「………」
「死ね死ね死ね死ね!!!死ねよ早く!僕の勝ちだ!死ね死ね死ね死ね死ね死ねよ!!!!」
狂気状態じゃない今、督界は初めて感情的になっている。
まるで、神栄の今の姿に恐怖しているかのように。
督界は神栄の頭を何十発も蹴るが、神栄の手は離れない。
「いくら手を離さなかろうが、奴は死んだ。神栄 碧は今を持って死んだ。そして代わりに督界 蒼が誕生した。これで全て終わった!!!」
「…………」
神栄その後、督界にどんな攻撃をされても手を離さなかった。
一応報告しておきます。大学、合格しました。
これからは(暇じゃないけど)そこそこ暇なのでペースも速くなれれば……いいなぁ。
次回で督界編終わりです。
次回から『督界 蒼と暗殺教室』ってタイトルに変えないとなぁ……ww
そうなるかならないかは次回までのお楽しみということで!!