端末次元からの来訪者   作:一ノ原曲利

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 訳:世界の合言葉はモリ





The Word for Would Is TSEROF

 あ、ありのまま今まで起こったことを話すぜ!

 ダッチ○イフ版ウィンダもどきの《ミドラーシュ》に会ったんだが神星樹から強引に力を抜き取ったのが原因で世界が滅ぶことになっちまった! 何を言ってるのかわからねーと思うがボクも何が起きたのかわからなかった……

 

「ちゃんと説明しろ」

 

 ごめんなさい新生ビュートくん。

 

 

 

 世紀末から脱してつかの間の平和を得て、今はコンタクトが取れる影霊衣(ネクロス)、霊獣使い、そして《セフィラ》化した連中と雁首並べて今回起こったことを整理している。そのまとめ役及び記録役がボクだ。前回の大戦でも同じことをやっていた。

 

「つまり……クリスタの亡骸《カンゴルゴーレム》を《エグリスタ》にランクアップさせたせいで神星樹に眠っていた《クリフォート》とやらが目覚めてしまった!

 某使徒みたいなナリした《クリフォート》って連中だがそのうちの一つの《アセンブラ》ってやつがカム着火インフェルノォォォオオオウしちまったせいで《クリフォート》に封じ込められていた《インフェルノイド》って奴らが解き放たれちまった! 言っておくが無手札(ハンドレス)コンボじゃないぞ!? 最初は間違えたがッ!

 その間マヌケにも影依(シャドール)の親玉こと巨人の《ネフィリム》が《アポクリフォート・キラー》に吸収されちまうんだが《トリシューラ》の力を纏った《シュリット》が交戦、神星樹周辺で暴れていた竜星の影依(シャドール)こと《ガイザー》と霊獣使いの一族《レラ》&《アペライオ》ペア、煉獄の《インフェルノイド》こと《ネヘモス》と《トレミス》の再来《セイクリッド・ダイヤ》も各地で交戦! 描くこっちの立場にもなってくれ同時に三ヶ所回るのは辛いんだよ!

 《インフェルノイド》の親玉らしき《ネヘモス》が倒れてあぁ一安心と思いきや氷付けの《シェキナーガ》に《リリス》が取り付き《トリシューラ》の力に目覚めちゃって《トリシューラ》氷河期再来ッ!! 我ッ大ッピンチッ!!

 そんな時に現れた我らの女神こと舞姫ちゃん! …じゃなかった、舞姫に憑依した《sophiaの影霊衣(ネクロス)》と00ガン○ムの母艦プトレ…スミマセン冗談です、えーっと《星守(テラ)騎士(ナイト)プトレマイオス》による初の共同作業で古より伝わる破邪の槍《ドラグニティの神槍》をぶん投げ《アノマリリス》を粉砕玉砕大喝采と……大まかに言えば、こんな感じかな。OK?」

『まぁ…概ね間違いない。差異は省略させて貰う』

 

 舞姫ちゃんの端正な唇が動く。だがその唇から吐き出された口調は彼女のものではない(無言の台パン)。宝石のはめ込まれた腕輪と頭部のオーブ、艶めかしい足を覆い隠すスカート中央の炎の模様や端の縞模様、Eカップはありそうな胸にマーメイドの様に付いた儀水鏡、首回りの六角形の首飾り、腰当のX字、稲妻の髪、頭部の緑羽と赤い角、腕の蔓植物の模様とコスプレもとい影霊衣(ネクロス)状態を解いていない見た目からして《神》を降ろしたままなのだ。つまり、

 

 故《神》再臨、である。

 

 《トリシューラ》の力を《シェキナーガ》に残したせいで世界を滅ぼしかけた発端である《シュリット》くんはいまボクの尻に敷かれて折檻を受けている。いや苦笑いしてるけど下手すればボクら死んでたからね? ショタ属性は食われてなさい。

 

『此度の記録、感謝します。それにしてもこの肉体の持ち主は素晴らしいですね、ここまで私を完全に降ろすとは…』

「舞姫ちゃんは影霊衣(ネクロス)の一族でも自慢の子ですから、ね~」

 

 この場に集められた全員の顔が、また始まった、って表情になってる。ちょっと、他の連中はともかく《アバンス》はそこまで呆れること無いだろ溜息付かないでくれよ、一応キミより年上なんだからね?

 

『しかしまさかこのような自体になろうとは…しかも、()()()()()()()()()()()

 

 その通りである。先ほど今居る霊獣使いの長老である《カムイ》の集会所に全員が集まる前、神星樹の周囲でまだ《インフェルノイド》の端末たる真空管が怪しげにうようよ漂っていた。なにも破壊したのは《アノマリリス》になった《リリス》であって、《インフェルノイド》のすべてを殲滅出来たわけではないのである。それでもつかの間の平和として対《インフェルノイド》連合が集まり情報交換を行っている。

 ボクは懐から一枚のカードを取り出す。《ツール》のカードである。

 

「奴ら《クリフォート》は言葉を解することも無ければ意志も示さなかった。だがこうしてカードのテキストとなり奴らが何を示していたか判明した」

 

 意味を理解するのに結構な時間を要したが、解読には成功した。そして、

 

「C:\sophia…これはあなたのことですね」

『うむ』

「ではC:\tierra…これに、心当たりは?」

『………』

「それがどうしたというのだ? 我が主」

 

 《励輝士 ヴェルズビュート》改め《セフィラ》の神託を受けた《覚星輝士(アステラナイト)-セフィラビュート》が隣で首を傾げた。ずいぶん豪華なナリになったな、先日の改名から数日と経たずまた呼び名を変えられたわけだがあまり気にした様子は無い。まぁ以前こちらの次元から観測された堕ちた魔王と気高き騎士になる可能性を持った変態戦士(ダイ・グレファー)の改名回数と比較すれば、まだ少ない方だろう。

 

「《神星樹》から始まり《クリフォート》《インフェルノイド》《セフィラ》は生命の樹に(なぞら)えられている。《エグリスタ》の関節にあったのを見ただろう? 複数の宝玉があったのを」

 

 白の王冠(ケテル)、灰の知恵(コクマー)、黒の理解(ビナー)、青の慈悲(ケセド)、赤の峻厳(ゲブラー)、黄の(ティフェレト)、緑の勝利(ネツァク)、橙の栄光(ホド)、紫の理解(イェソド)を経て虹の王国(マルクト)のセフィラへと至る。

 そして、

 

「これらはセフィラの神託を受けた君たちのことを指す」

 

 だが、セフィラには隠れた存在がある。それが、

 

知識(ダァト)。生命の樹の深淵の上に存在する《神》の真意…それが《sophia》、あなたでしょう」

『正解だ、やはりキミを連れてきて間違いは無かった』

 

 やめろよ照れる。

 

「続けますよ、今回生命のセフィラ(サイド)に立った君たちの敵は《クリフォート》そして《インフェルノイド》。彼らは生命の樹の最下位である虹の王国(マルクト)から伸びる裏の存在、邪悪の樹に擬えていた」

 

 白の無神論(バチカル)、灰の愚鈍(エーイーリー)、黒の拒絶(シェリダー)、青の無感動(アディシェス)、赤の残酷(アクゼリュス)、黄の醜悪(カイツール)、緑の色欲(ツァーカイブ)、橙の貪欲(ケムダー)、紫の不安定(アィーアツブス)、虹の物質主義(キムラヌート)

 生命の樹が天使だとすれば、邪悪の樹は悪魔を示していた。

 白のシャイターン、灰のベルゼブル、黒のルキフグス、青のアスタロス、赤のアシュメダイ、黄のベルフェゴル、緑のヴァエル、橙のアドラメレク、紫のリリス、虹のネヘモス。

 だが邪悪な樹には生命の樹における知識(ダァト)のような隠されたクリファは存在しない。つまり、

 

「《tierra》は今亡きあなたに代わり、人工的に生み出されたこの世界に破滅と創世をもたらす同等の存在なのではないですか? そしてそれはいつ目醒めるか分からない」

 

 テキストに記された『システムをレプリカモードで起動』がsophiaのレプリカであったならば、tierraが《クリフォート》によって人工的に生み出された存在であることが伺える。だが後半のテキスト『実行を許可しますか? <Y/N>...[Y]システムを自律モードで起動します。』から既にスイッチは押されている。あとは、いつ発動するかだ。

 

『…我が目となり耳である名も無き観察者よ、《クリフォート》そして《セフィラ》の出現の時に何か感じなかったか?』

「………?」

 

 いきなり何を質問してくるんだ?

 

「そういえば――どちらも《神星樹》の影響で唐突に出現、もしくは変異してましたね。まるで何かに導かれるように」

 

 それは複数のモンスターの合成による融合でも、チューナーを必要とするシンクロでも、星を重ね合わせたエクシーズでも無かった。

 

『その召喚方法はペンデュラム召喚と呼ばれております』

「ペンデュラム?」

『はい。そしてこの世界で新たな召喚方法が確立されたことにより、こことは別の次元でも異変が発生しました。同じく未知なる召喚方法ペンデュラムの出現です』

 

 この世界は他の世界と相互干渉関係にある。というのも先に卵を産んだのはどちらかわからないパラドックスで、向こうの次元で異変が起きたからこちらでも影響が出たのか、はたまたそれが逆であるかは不明なのである。だがはっきりしているのは異変は次元を通して連動するということ。

 

「つまり――《tierra》の出現あるいは《クリフォート》の起動は向こう側の次元が発端であると?」

『元を正せば影依(シャドール)の《ミドラーシュ》による独断専行が始まりですが…確証はありません。しかし、もしそうであるならば』

「《tierra》の解明…及び、それを食い止める手立てが見つかる可能性が高い」

『その通り』

 

 だんだん話が見えてきた。だがこの世界の観察者もとい写実者たる己が離れて良いのだろうか?

 

「ボクに――その次元を調査しろということですか」

『代弁者舞姫を通し《神》より勅令を下します。ペンデュラム召喚が生まれた次元へ赴き、ペンデュラムの実態を調査してくるのです』

「ちょっと待ってください、その次元へ行くにはどうすれば?」

『その点に関しては()()問題ありません』

 

 左手の《創造》の結晶と右手の《破壊》の結晶が一つに合わさる。規模こそ本来のものの数%にも満たないものであったが、交わることのない二つの力は目の前で空間を歪ませ、(ひず)みから巨大な穴をこじ開けた。丁度、人一人が通れるくらいの。拒否権は無いらしい。

 

「そもそもこの次元と別の次元軸の時間の流れはどうなんですか? まさか帰ってきた時には滅んでたなんてシャレになりませんよ」

『今の私ではこのように時間を()()()()()()可能ですが戻すことは出来ません』

「未来へ跳ばすことは出来ても、過去は跳ばせんのだな」

「…向こうの次元でのペンデュラム召喚発生ギリギリまで跳べ…そして戻るのは跳んだ直後ということですか…」

『はい。ですが万が一を考え』

 

 《神》の右手がボクの頭を、左手がビュートの頭をそれぞれ掴む。瞬間、電撃が迸った。

 

「ぎゃっ」

「ぐおぅ」

 

 ビビッと来た! 何かされたのは分かるが今のところ身体に不備や異常は見られない。

 

『もし間に合わなかった、またはこちらで何らかの現象が発生した場合、キミの視界と彼の視界をリンクさせるよう術式を組んだ』

「と、言うことは代筆者はいないということですか」

『我が目はキミ以外存在し得ない』

「責任重大ですね」

『それだけ期待しているということだ』

「身に余る期待ですね」

 

 その言葉には二重の意味を込める。

 ペンとノートは持って行ってもいいのか。それはこちらの出来事だけでなく向こう側の次元のことも描く必要性があるということ。

 

「やれやれ、観察者身分は辛いなぁ」

「我が主!」

「ノア――!」

 

 みんなの声が聞こえる。そっちはそっちで頑張れよ、と手を振り、穴に吸い込まれ、そして。

 

「ちょっくら、異次元行ってくる」

 

 目の前の光景は、漆黒に塗り変わって消えた。

 

 

 

 

 

 




 ※ノア≠乃亜

 モリ=死

 TSEROF→(ヴェルズ語フィルター)→FOREST(フォレスト=森=ナチュルの神星樹)
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