前置きがあまりに長くなってしまったので前半と後半をわけました
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レオ・コーポレーション専属社員の宿舎である高層マンションの最上階ワンフロア。ここはレオ・コーポレーションの現社長たる赤馬零児が建設の際に団体が泊まれるよう有事の際にと設けられたフロアである。円柱状のマンションは中央部にエレベータが設けられており、最上階以下の階層はハニカム構造のようにエレベータを中心に各部屋が配置されており、1LDEと一人の社員が住むにしては十分過ぎる広さを誇っている。
一部屋だけでも十分快適な空間であることしかり、最上階のワンフロアは少なくとも20人は収容可能なスペースになっており、キッチン、リビング、作業スペース、挙げ句の果てには小規模なアクションデュエルのスペースまで用意されていた。
建設以来、未だに大所帯が泊まる予定は無かったため閑古鳥さえ啼くような人っ子1人、家具1つ置いていないだけの、ただの広大なフロアでしかなかった。
しかし今、この最上階ワンフロアは人外魔境の僻地と化している。
「ぐーてんもるげーん」
「おはーおっはおっはー」
「ン朝だァン!」
「じょうじぃ」
「おはようございます」
「ヒィ――――ハァ――――!!」
「んむぐるぃ むぐるなふぅ」
「1561851320531127133(オハヨウゴザイマス)」
AM05:00。
このフロアの住人が起床する時間である。
ベットで横たわっていた者、床に倒れていた者、宙を浮いていた者、消えていた者、溶けていた者等々一般人が見れば発狂してしまうような連中から比較的人間に近い生命体がのろのろと、しかし確実に一斉に動き始める。
皮肉にも。
まるで人間のように。
「ふぁあ~…あ、こらゼクスヤガン兄弟、起き抜けにバウンスさせるなよ」
「いあ!」
「いあ!」
「ノア、朝ご飯できてますよ」
「サンクスカーム姉さん、頼りになるゥ」
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ悪を倒せとオレを呼ぶ、おれは正義の戦士ジェムナイトルビー!」
「じょじょじょじょーじじじょう!」
「カメンライド…ディディディディシグマ!」
「シャバドゥビタッチヘンシ~ン、クリスタ参上!」
「見る人いないのに朝から暴れてないで支度しなよキミタチ」
当然である、なぜならば彼らは――
朝は起床から食事に始まり、出勤組は出かける用意をしつつ居残り組は各自割り当てられた作業分担と掃除等に分かれている。
ノアが持つホルダーは
ノアがこのスタンダードと称される次元に来てからというもの、明らかに個人で動くにしては規模が大きすぎるが故に、主に自分の負担を軽減させるという浅ましい下心からモンスター達の実体化を日常的に行っている。
「ウィンダ、朝食ご馳走様。食器よろしく」
「うん分かったけどさり気なく胸触ろうとするのヤメてよガトムズ爺さん」
「アナペレラさんでは満足しなかったのかしらねぇ、業深い方だわ」
「そう言わないでよエミリア姉…男の、気持ちを…」
「おや、ガチムチ属性に追いかけられる者同士気が合うなカムイ少年」
「「聞こえてるわよ?」」
「「…ァ―――ッ!?」」
「オジサン属性とショタが食われる運命なのはマジだったんだな…2人ともご愁傷様」
ノアはアナペレラとリーズに追いかけ回されている2人に手を合わせ、すぐ見えない振りをして普段着に着替え始めた。
スタンダード次元に来てから1週間、ノアによるオールナイトオーバーワークによる尽力により予定より早く給料が手に入ったこともあって、ノアはまず服を購入した。
というのも、スタンダード次元に来た当初からホルダーの連中を手伝わせることは決めていたので漸く予定の第一段階が終わったと言っていいだろう。
なんと言っても服。たかが服、されど服だ。
「ノア兄さん! 俺の服どれだっけ! 今日市街地のガキンチョ共に会いに行きたいんだけど!」
「XXセイバーって書いてある段ボールに確かフラムナイトのサイズの服入れたはず」
「サンキュ!」
「あ、こら
「チッ」
「カタやんお前は《ワーム》に近づいちゃダーメ、一方的にカード送りにするから。《ワーム》の仕事の手際やばいから。べとべとだけど」
「422141511251(仕方ナイナ)」
このように、カードから出てきた者達の服装はスタンダード次元の一般人から見れば奇抜ことこの上ない。粛々と行動するためにも極力目立つことは避け、一般人になりすまし社会に溶け込んで生活しなければならなかった。そのため、食料は《ナチュル》達による合意の上での協力を得て生活に貢献し、資金は服に割り当てられた。わざわざ全員分買うほどの金は無いので、定期的にメンバーチェンジを計りつつ交代交代で外出を許可している。
「それじゃいってくる。ガザス、ホーン、ギラファ、グレズ、早く着替えて行くよ」
「じょう」
「じょうじぃ」
「じょじょじょじょーじじ」
「じょうっ」
だからといって、いくら
「織舟!」
「あ、中島さんチッス」
「すっかり馴染んだな…というか、馴染みすぎだ」
レオ・コーポレーション社内の一角に設けられた作業スペースで、黒スーツをピチピチに着込んだ《インヴェルズ》達に囲まれながら作業に没頭していたノアは中島に手を振った。
異次元からの使者と言うことで警戒されていたノアもレオ・コーポレーションで働いていく内に徐々に馴染み、専用の研究室を与えられるまでの信頼を勝ち得た。というのも、毎回毎回ノアが連れてくる助っ人こと端末次元の住人達が、他の社員にあまり良い影響を与えないことが原因で別室を用意された。
社員のSAN値をガリガリ減らす《ワーム》。
触れたものを汚染させてしまう《ヴェルズ》。
やることが難しすぎて切り捨ててしまう《X-セイバー》。
近くにいる者に容赦なく悪夢と誘惑を叩き付ける《魔轟神》。
男女見境無く見つけてはナンパしに行ってしまう《ジェムナイト》
唯一人型が多い《氷結界》や《リチュア》の連中は一族こぞって
結果、過労死で名高いギラファ率いる《インヴェルズ》が一番マシということで仕事に就いている。意外とデスクワークが得意らしく、他の社員に恐る恐る教えて貰っては完全にその技能を吸収し、共有するものだから末恐ろしい。いつか手術とか自力でしてしまうかも知れない。
「それで、何の用で?」
「ああ、理事長がお呼びだ」
「理事長?」
「社長の母君、赤馬日美香様だ」
「ふむ…」
ノアはインヴェルズ達に軽く今後の作業の指示を出し、「じょうじ!」といい返事を貰うや否や中島と共に研究室を出た。
「ところでさっき何を造っていたんだ?」
「ボクのホルダーを改良したデュエルディスク。ホラ、今までそちらのを借りてたでしょ? 一度自宅に持ち込んで《ジェネクス》やら《AOJ》ら技術畑の連中に解析して貰ってね」
「別にそこまでする必要も無いのだが…」
「量産させたいからレオ・コーポレーション名義で各企業にパーツの発注してるの」
「給料さっ引くぞ」
「だが断る」
今ノアが持っているホルダーはスタンダード次元に来る前よりだいぶ変貌している。ホルダーの解析を社員に依頼した中島ですらその違いは明確に分かった。
バインダーの様な4×4合計16のカードが1ページに納められるのは見た目通りだが、ページの数が外見とまったく釣り合わない不可思議な構造になっている。解析すると1枚1枚に膨大なエネルギーがありホルダー自体が次元を歪めかねない力を有していると分かった。それはノアとの距離が増すごとに力が強まり、限界予測距離を超えると少なくとも舞網市一帯は吹っ飛ぶくらいのエネルギー量になるそうだ。故に、零児はその爆弾を制御出来るノアに託したまま。
ホルダーは以前より機械的な構造に変化しており、なぜか光の帯がメビウスリングの奇跡を絶えず描いている部分がある。スタンダード次元のデュエルディスクより少し大きめだ。
「ここが、理事長室だ」
「ん、ボク1人だけ?」
「ああ、そう指示を受けている。くれぐれも失礼の無いようにしろよ」
「ボクを誰だと思ってるんだい?」
実績はともかく、ノア自身は未だ中島には認められて無いようだった。
「失礼します」
「入っていいわ」
一応のマナーとしてドアをノックすると鐘でも打ったような声が響いてきた。了承を貰ったノアはお構いなしにドアを開けて理事長室に足を踏み入れる。内装は以前訪れたレオ・コーポレーションの社長たる零児の社長室とあまり変わらない。おそらく家族こぞって似たような趣味なのだろう。
一室のスクリーンに、なんとも形容しがたい特徴的な髪の持ち主の女性の姿が映し出されていた。彼女が、赤馬日美香である。
「はじめまして、零児さんがお世話になってます」
「いいえとんでもない、むしろ社長のもとで働けて光栄ですよ。いやしかしお綺麗ですね、二児を持つ母とは思えない」
「あら、お世辞が上手いことで」
画面越しに端末次元の連中が聞いたら卒倒してしまうようなお世辞がノアの口から垂れ流される。万が一目上の人に会った際の対応はこの次元に来てすぐマスターした。だが既に(少なくとも見た目だけは)同年代である零児の前ではもう敬語が話せないくらい砕けた口調が定着してしまっている。双方暫く沈黙していたが、それは日美香の笑い声で破られる。
「どうかしましたか?」
「いいえ、あまりに零児さんから聞いた印象と違ってたものだから…別に私の前で、そう構えなくても結構よ」
「……ま、一応零児の母親さんですから、失礼な真似は御免被りたいですね。いまやここで働かなければ生きていられませんので」
「貴方なら、1人でも生きられる技量をお持ちでしょうに」
「少なくとも、
やや大げさに肩を竦めた。思っていた以上に人間らしい態度に思わず日美香も笑みを浮かべる。
「さて、顔合わせも済んだところで…」
「………成る程、
「ッ…!?」
だが笑顔は唐突として驚愕に変わる。別に化けの皮を剥がすとか、そういうことではないのだが、明らかに双方が纏う空気は変貌していた。
「……どういうことかしら」
「いえね、私が…いや、ボクがこの次元に、この4つある次元の内の1つであるここに初めて来た、ということが理事長には余程朗報だったんでしょうね。これで
「……断るというの?」
「いいえ? 確かにボク個人は端末次元の責任者でもありませんが神様ーなんて大それた存在との繋がりを持っています。いざとなれば多少融通を利かせることとくらい不可能ではないでしょう」
「……そこまで好条件があるのに、できない理由があるのね?」
「察しが良くて助かります。例え異次元からの侵略から逃れたところで、ここスタンダード次元の連中が端末次元で生きられるかと問われれば、現状では不可能だと言いたいのです」
「……それほどまで、過酷な環境なのかしら」
「ええ、残念ながら。ただ1つ希望があるとすれば……アクションデュエルですね」
「アクションデュエルですって? 何故?」
「簡単に言えば、この次元の卓越した技術力によるソリッドヴィジョンで構成された実体を持つアクションデュエルは我が端末次元の環境と極めて類似しているからですね。アクションカードなんてものはありませんが、アレって要するに周囲のものを利用した戦法でしょう? そういう環境で生き抜くスキルとしては申し分ないですね。つまり」
「なるほど…つまり、アクションデュエルで高い成績を持つ者であれば、生き残れる生活環境であると」
「ハイ、端末次元にどれほどの人数を収容できる規模なのかは不明ですが、人間が生き抜く生活環境を整えるためにも、それまでの間は外敵から守る戦士の存在は必要不可欠でしょうし、守るべき人数によってその数は必然的に増えます。まぁ」
長々と話したが、結局はこれに尽きる、といった表情でノアは皮肉げに口元を歪めた。
「せいぜいボクと互角で渡り合える実力の持ち主が10人くらいいればなんとかなるんじゃないですか。ボクに勝てるようでしたら、端末次元への移住を許可できますよ。勿論責任までは負えませんが」
要は、デュエル脳である。
皮肉にも4つの次元の中で最も平和的であるスタンダード次元の質量を持ったソリッドヴィジョンによるアクションデュエルは端末次元で生き抜くには必要最低限のスキルを満たせるだけの要素があった。これはノアがスタンダード次元に来てから分かったことだが、おそらく端末次元はスタンダード次元で言うアクションデュエルによるモンスターや魔法罠による効果の現実化が可能な環境にある。ノアがスタンダード次元でさえカードの実体化が出来たのだ、逆も不可能ではないと推測する。
そしてスタンダード次元でのデュエルの強さはおそらく端末次元での生存率をそのまま示していることになる――つまり、ノアはデュエルに極めて強いことを憚ることなく公言してしまったわけだが、強ち間違いとは言えない。なぜならば激動の世界を生き抜いてきたノア本人が、スタンダード次元のアクションデュエルの環境が酷似していると直感したからだ。
この次元でのアクションデュエルの元祖が誰かは分からないが、少なくともアクションデュエルを大衆化させたとされる榊遊矢の父、榊遊勝は0だった筈の可能性を引き上げたと言えよう。
「そう…なら丁度いい生徒がいるわ。入って頂戴」
「失礼します」
「失礼す、します…」
理事長室に2人の生徒が入室した。
1人は女子。黒髪パッツンで浅黒い肌の持ち主。鋭角を持った玉石のような精錬された眼光を放っている。
1人は男子。いかにもガキ大将というようなやんちゃな風貌、手に持った竹刀が彼の性格を表している。
「我がLDSジュニアユースの生徒です。彼女は融合召喚コース所属の光津真澄さん、そして彼はシンクロ召喚コース所属の刀堂刃くんよ。2人ともジュニアユースでは最優秀生徒の1人として名を連ねているわ」
「…なるほど、力試しというわけですか……話全部は、流石に言ってないですよね?」
「ええ、まだ言うべき時ではありませんわ」
どうやら力試し云々は兎も角、スタンダード次元にそう遠くない日に訪れる危機についてはまだ明確な説明は為されていないようだった。ノアからすれば好都合である。碌に実力のない者が知り騒ぎ立てたところで余計な混乱を招くことが目に見えているからだ。
ノアはソファから立ち上がり、2人の生徒の前に立ちにこやかな笑みを浮かべた。
「はじめまして、LDSの新規カードデザイナー織舟ノアだ。織物の『織』に方舟の『舟』。ノアはカタカナでN、O、A、Hの綴りだよ。よろしく」
「俺は刀堂刃だ。聞いたぜ、北斗の奴にワンキル決め掛けたんだってな!」
「……フン」
刃少年、真澄少女の順に握手しようとするが、何故か真澄に限っては意味有りげな視線で一瞥するだけで自己紹介どころか握手さえしなかった。敵意、とはまた異なる視線だ。
「で、彼らとデュエルすればいいんですか?」
「ええ、この理事長室の隣は特設アクションデュエルコートが用意されてますのでそこで。もし2人のどちらかがノアさんに勝てたら…いいですね?」
「う~ん…どうしましょうかねぇ」
ここで「断る」といえば面倒な話は終わり作業に戻れる。だがノアは端末次元の観測者である以前に1人の人間である。
未だ他の次元がどんな状況であるかは不明だが、零児に聞いたところによると『融合次元』の魔の手が『エクシーズ次元』とやらを壊滅させたらしい。そして融合次元の次なるターゲットがこのスタンダード次元なのだそうだ。不老不死に近い肉体を持っているからこそ限りある生を生き抜く真っ当な人間の生き様を美しく思うし、いくら同族間の争いによる生存競争があるとはいえ一方的に搾取される形で1人の人間の生を奪われるのはノアとしては好ましいものではない。
だが。否、だからこそたった1人の人間であるノアはバイオレンスな端末次元に放り込んでいいものかと考えてしまうのだ。あれから連絡は無いが異変が始まれば記録はするし、下手すれば1度端末次元に戻らなければならない。最悪、そこで死ぬ可能性だってある。故にそう易々と首を縦に振る訳にはいかないのだ。
すると、ノアを吟味するように睨み付けていた真澄が目の前に立ち、ノアを見上げていた。そしてそれに気付いたノアの視線の先で、端正な唇が開く。
「……貴方、死んだ人間のような濁った眼をしてるわね」
「え!?」
「冗談よ」
「な、なぁんだ冗談かぁ…最近の子は強烈なパンチの効いた冗談言うからコワイな~」
「…瞬間移動(ボソ)」
「ハイハイちょっとこっち来ましょうかー」
画面の日美香と傍らの刃を置いてノアは真澄を捕まえ部屋の隅に移動した。すこし前屈みになり真澄と視線を合わせる。
「ナンノコトカナ?」
「惚けないで、北斗がいたデュエルアリーナの廊下で見たのよ。カードを使って消える貴方を」
「うっわぁ…」
「その様子からしてあまりばれることは好ましくないようね。さて、1つ条件よ? もし私たちとデュエルするならこのことは黙っててあげる。でも受けないなら……」
「理事長、いいですよデュエルします」
ノアに選択肢はなかった。
いや、《万力魔神バイサー・デス》《バイサー・ショック》《記憶破壊者》《記憶破壊王》の4連コンボを用いて記憶を抹消させれば済むだけの話である。だが公序良俗を考えた結果その選択肢は人として、女の子に対して男がやるべきことではないと脳内で警鐘を鳴らしていた。
これをすれば、人として男としてなにかが終わった気がする、と。
「ありがとうございます、ノアさん。センターコートの映像に切り替えますのでお先にどうぞ」
「おっ、アクションデュエルかぁ? へへっ俺は強いぜ?」
「そういえば北斗が新しいカード持ってたわね、アレもしかしなくても貴方が渡したんでしょ? 私も新しいカードが欲しいわ、デュエルで貴方に勝てたなら頂戴?」
「ハハハ~…イイデスヨ~」
悪戯っ子のような微笑みにノアは肩を竦めるしかなかった。だからアウトドア系少女は苦手なんだよ、と朝の光景を思い出し、ノアはデュエルコートへ向かった。
「あ、ハンデはいらないよ」
「「え?」」
デュエルコートについたノアは、特に定位置こそ決められてないが2人の正面に立ってホルダー型デュエルディスクを弄りながら言った。その言葉に2人は思わず眉を潜める。
「…本気? それとも余程の馬鹿なのかしら。仮にもLDSの専門コースでもトップの成績を持つ私たちよ?」
「むしろ2対1ってハンデをそっちにやらなきゃフェアな気がするんでね。キミタチがどんなデッキを使うかはまだ分からないけど、少なくともカードのボキャブラリに関してはこっちが上だ。何より、キミタチはボクという困難を乗り越えて貰わないといけない」
「はぁ? 何言って――」
「いいじゃねえか真澄。自信満々ってんならその鼻明かしてやろうぜ」
「刃…じゃあ、バトルロイヤルルールでいいわね? 1ターン目はお互いドロー無し、攻撃無し」
「Good! それでは始めようか。っと、その前に……」
ノアはホルダーの背表紙をポンと叩く。するとホルダーのページの隙間から3枚のカードが飛び出した。どちらも黒いカード、モンスターエクシーズである。
「へぇ…キミタチが使うのは《Xセイバー》と《ジェムナイト》か。なるほどなるほど確かに
「何!?」
「どうしてそのことを…!? また変な技術!?」
「さて、真澄クンのリクエストだ。なにも理事長の命令だけじゃやる気も出ないだろう? 本気を出して相手してくれるというのであれば、ご要望通りこの3枚を譲ってもいい」
それは、シンクロモンスターしか存在しないはずの《Xセイバー》モンスターと融合モンスターしか存在しないはずの《ジェムナイト》のモンスターエクシーズ。その3枚がノアの手に握られていた。詳しい効果テキストこそ見えないが、マイフェイバリットモンスターのカテゴリである《Xセイバー》《ジェムナイト》のモンスターとよく似た特徴のカードであることは、遠目から見た2人にもわかった。
「《Xセイバー》と《ジェムナイト》のモンスターエクシーズ!?」
「どうして…!? まさか、北斗の言ったことは本当だったの…!?」
故に驚きを禁じ得なかった。なぜならばその2つのカテゴリはシンクロと融合のみであり、エクシーズモンスターなんて聞いたことがなかったからだ。ふと、ノアとデュエルしたという北斗の言葉が脳裏を過ぎる。
(…北斗は、彼には私たちの知らないカードを持ってる…いや、創造していると言った! デザイナーとはいえこんな短期間に専用のカテゴリモンスターを…)
「さて、アクションデュエルフィールドが展開される前に、下準備をさせて貰うよ」
「なんだぁ? サイドデッキの差し替えか?」
「いいや? これからどのデッキでデュエルするか決めるのさ」
ノアはブックレット型のホルダーから手を離すと、拳を握った左手を振り下ろしホルダーに叩き付けた。
「
Duel Set's On !
Prease Select Your Deck !
「チョイスで」
Select Mood [ CHOICE ] !
ホルダーから合成音が響く。するとホルダーから放射線状に無数のカードが飛び出し、メビウスリングの螺旋を描いて浮かび上がった。
「なんだこりゃあ!? 手品か!?」
「質量を持ったソリッドヴィジョン…!?」
真澄の仮説は正しかったとしてもあり得なかった。なぜならば唯のソリッドヴィジョンであれば小さい機器でも再現可能だが、質量を持ったカードであるならば専用のアクションデュエル用の大規模な機材が必要不可欠だからだ。
では偽物か? 見たところ宙に舞うカード群はアクションカードと同様の質量を持ったカードだ。その内の1枚に触れると、逃げるように真澄の手を滑り落ちた。そのカードは《ダイガスタ・エメラル》。先程ノアが見せた《ジェムナイト》と類似したモンスターエクシーズの1枚だ。
「じゃあ、これと、これと、これで」
ノアは裏向きのカードを適当に選択する。すると螺旋を描いたカード群は巻き戻るようにホルダーに戻り、しかし数十枚の残されたカードは宙を浮いていた。
Select Deck Is 《 GUSTO WETLAND 》 !
Enjoy Your Duel !
40枚のカード群はノアが左腕に付けた横向きのホルダーに設けられた窪みに納められ自動的にシャッフルされる。そしてどういう機構か魔改造されたホルダーのあり得ない部分に別のカード15枚が収納された。おそらくエクストラデッキゾーンだろう。
「準備完了、さぁ始めよう……戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが!」
「ッ、モンスターとともに地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る!」
「見よ、これぞデュエルの最強進化形!」
「「「アクション~デュエル!」」」
投稿してみたら一万文字ギリ行ってなかった
ネタに関しては反省はしているが後悔はしていない
新OPEDセレナさん麗しいですね、惚れてしまいそうです