今日はここまで!!
翌日
「………(顔真っ赤)」
「………(顔真っ赤)」
顔を真っ赤にした2人が、温泉宿の前で立っていた
理由は、こうである
回想開始
「ん? 朝か………」
明久は、すずめの鳴き声で目覚めた
少しボーっとすると
(あれ? なんで、視界が暗いんだ? しかも、なんか柔らかい感触が……)
と、明久が身じろぎすると
「ん……」
と、少し色っぽい声が明久の頭上から聞こえてきた
(え!? まさか!!?)
明久は、なんとか頭の向きを変えて、上(自身にとって)を見た
すると
「ん……」
優子に、抱きしめられているではないか
(え!? なんで!? なんで優子さんに抱きしめられてるの!?)
と、明久が混乱していると
「お客さま~、そろそろ朝食の準備が………」
と、灯里が大声で言った
すると
「ん……? もう朝? ………っ!!??」
優子と明久の視線が交わると、優子の顔が一気に真っ赤になった
「えーっと、もしかして、お邪魔でした?」
灯里は顔だけを出すようにして、2人を見る
「「いいえ!! 大丈夫です!!」」
以上回想終了
と、言うわけである
因みに、朝食中は2人とも顔を真っ赤にして、お互いの顔を見ないようにしていた
それを灯里は、微笑みながら見ていた
そして、今に至るのである
「それじゃあ、ここからは別のウンディーネに引継ぎますね」
「え? 別のウンディーネさんですか?」
明久は、まだ顔を赤くしているが、優子よりはマシなので、灯里に向いた
「はい、今日は他のお客様の相手をしなければいけないので、ここからは別のウンディーネさんです」
灯里は、申し訳無さそうに言う
「それなら、仕方ないですね。それで、その人は誰ですか?」
「はい、私の友達の……」
灯里が名前を言おうとした、その時だった
「灯里ーーー!! 待たせたわねーー!」
と、こちらにゴンドラを漕ぎながら来る白地に赤の制服を着たウンディーネが来た
「あ、来ましたね。
と、灯里も大きく手を振った
藍華と呼ばれた人物も、気付いたのか、手を振る
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして
「お待たせしました。私は姫屋所属のウンディーネで、名前は藍華・S・グランチェスタです」
藍華は優雅にお辞儀しながら、自己紹介をしてくる
「私は、木下優子です」
「僕は、吉井明久と言います」
優子と明久は順番に名前を言いながら、握手をする
「失礼ですが、もしかして、
優子は藍華の名前を聞いて、恐る恐る聞く
「はい、そうです」
「わぁー! まさか、二つ名持ちのウンディーネに2人も会えるなんて!」
もちろん1人目は、隣に居る灯里である
そして、優子は灯里からサインを貰っている
そして、今、藍華からサインを貰っている
(ああいう笑顔が見られるなら、僕は守り続けるさ)
明久は笑顔でサインを貰っている優子を見て、そう決意する
明久が決意しながら見ていると
「藍華さんが案内してくれるそうだから、ゴンドラに乗りましょ!」
と、優子が手を振ってくる
「うーん、今行く!」
明久は優子に返事をしながら、走り寄る
「お荷物は送っておきますね!」
灯里は明久と優子の荷物を指差しながら、朗らかに言う
「「お願いします!」」
「灯里、間違えんじゃないわよ!」
藍華は口端を上げながら言う
「わかってるよ!」
灯里は、少し顔を赤くしながら反論する
こうして、
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「菊、菊、菊、ご覧のようにこの街では、数多くの菊の装飾を見つけることが出来ます。この花は、かつて、マルコ・ポーロが中国から持ち帰った花で、当時の地球のヴェネツィアで大流行しました。その名残は、ここ、ネオ・ヴェネツィアでも見受けられます」
藍華の説明を、明久と優子は熱心に聴いている
「本当ですね、あのドアノブもそうですし」
「この橋げたの装飾もそうですね」
「では、続きまして、………」
と、続きを言おうとしたのだろう
「あ? 明久? なんでここに居るんだ?」
「は?」
明久は呼ばれた方向を見たら、居たのは
「雄二に、霧島さん?」
通路を歩いていたのは、明久の悪友にして、友人の坂本雄二に恋人の霧島翔子だった
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「はー、学校の友人ですか」
明久たちはあれからゴンドラを降りて、近くの喫茶店に来ていた
「ああ、俺の名前は坂本雄二。で、こっちが」
「坂本「待て! だから、違っ…アバババババ!」霧島翔子です」
雄二は気付けば黒焦げになって、倒れていた
それを見ていた藍華さんは、苦笑いをしている
「おーい、雄二生きてる?」
「危ねぇ、あやうく、花畑の向こうの川を渡るかと思ったぜ……」
「それって、渡っちゃいけない川ですよね、絶対」
「代表、それどこから出したんですか?」
「……秘密」
因みに、グリップの所に<MADE IN ムッツリ商会>と書かれている
「ムッツリィィーーニーーーー!!!!」
雄二はその文字を読んで、頭を抱えて雄たけびを上げた
「康太、危険免許持ってるのかな?」
そういう問題ではない気がする
「それで、代表達はなんでここに?」
「俺は翔子に呼ばれて、こいつの家に行って、気がついたら、到着してた」
「それって……」
「誘拐なんじゃ……」
「…私は飲み物を渡しただけ、用意したのはお母さん…」
(((常識はずれは母親からの遺伝だったのか!?)))
3人の思考は、奇しくも一致した
「そういえば、霧島って、もしかして、霧島財閥の?」
「……そう、私の家」
(そういえば、霧島さんもけっこう要注意人物だよね。気をつけないと…)
明久は、SPとしての観点から思考する
「そんで、お前達はどうしてここに居るんだ?」
「私達は、くじ引きが当選したから来たのよ」
「どんだけ強運だよ」
「…私はお母さんに言われて」
「なんでも、娘に彼氏が出来たのが嬉しかったそうだ」
「一途だけど、手段が危険なような……」
飲み物に睡眠薬を入れて、見送る母親がいたら見てみたいものである
「んー、それじゃあ、人数が増えましたし、少し予定を変更しまして、地下に行きません?」
「「「「地下?」」」」
4人は驚いた表情で、藍華を見る
「はい、
藍華の指差した先には、大きな門が存在していた
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「そういえば、地重管理人がノームで、水先案内人がウンディーネ、だったら…」
「はい?」
「他の属性の妖精が居そうですね? 例えばシルフとか」
明久たちは、地下深くまで続く螺旋状の階段を下りていた
「お、鋭いですね。お客様」
「は? マジで居るのか?」
雄二は藍華の言葉に驚いている
「はい、空に浮かんでいる島、まぁ浮き島って言うんですけど、そこにこの火星の温度を管理している、
「風に乗ってって、パラグライダーとかですか?」
優子は?マークを頭上に浮かべながら聞く
「いえ、エアバイクです。アクアじゃ、一般的な乗り物なんですよ?」
「こっちでいう、原付みたいなものかな?」
「まあ、そうですね」
と、話しながら歩いていると
「おやおや、珍しくお客さんかいの?」
と、声が聞こえた
「あ、アパおじいさん、お久しぶりです! アル君は下ですか?」
藍華の目の前に居たのは、小柄で白いひげを蓄えた老人だった
「ふむ、あいつならば下で弾いておる、会っていってやれ。それと下までまだあるから、エレベーターを使いなさい」
と、指差された先には確かに、昔懐かしいタイプだが、エレベーターがあった
そこには、地下60階とまで書かれている
「どんだけ深いのさ」
明久の突っ込みは恐らく、全員の気持ちの代弁だろう
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今、エレベーターはゆっくりとした速度で、地下に向かっている
「そういえば、先ほど弾いてるって言ってましたけど、音楽ですか?」
「ん~、まぁ、ここの重力管理方法を見ればわかりますよ」
藍華は、イタズラっ子みたいな微笑を浮かべるだけであった
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
チーン♪
と、いう音が聞こえると、扉が開く
「ここ、本当に地下なんですか? 随分明るいですけど」
そこは、地下なのかと疑いたくなるような明るさだった
「それに、なんか不思議な音が聞こえる……」
優子は耳を澄ましながら、聞いている
なお、周囲からは、
キンコンカン♪
と、何かが金管を叩くような音が聞こえる
「ここが、
藍華の案内に、4人はついていく
案内された先には、巨大なパイプオルガンが存在していて、その前には小柄な男性が座っていた
「おーい、アルくーん!」
と、藍華が大声を出すと
「ん? この声は、藍華さんですか?」
パイプオルガンを弾いていた人物が振り返った
「えっと、紹介しますね。こちらは
「アルバート・ピットと申します」
と、お辞儀する
「吉井明久と言います」
「木下優子です」
「坂本雄二だ」
「…霧島翔子です」
全員、それぞれ自己紹介をすると
「しかし、珍しいですね、藍華さんがここに来るなんて」
アルはニコニコと微笑みながら、藍華に聞いた
「まぁ、地重管理人の仕事を見せるのもいいかなーと思ったのよ」
「なるほど、では」
と、アルは椅子に座ると、再びパイプオルガンを弾き始める
「あのー、仕事って?」
明久はアルがパイプオルガンを弾いてるのが不思議なのか、小声で藍華に聞く
「あれが、仕事です」
「へ? オルガンを弾くのが、ですか?」
4人の頭上に?マークが乱舞する
「実はあれ、オルガンじゃなくって、ここ、アクアの地下に張り巡らされたパイプの制御機械なんです。あの鍵盤一つ一つが制御弁を制御してるんです」
「そうなんですか……」
「で、そのパイプの中を通ってるのが、あれです」
と、藍華は壁際のガラス管を指差す
その中には、色とりどりの飴玉のようなものが大量にあった
「これは、なんだ?」
「それは重力石と言いまして、それ自体がとても重い質量を持ってるんです。そして、それを超高速でパイプを走らせることで、本来0.3Gくらいの重力を1Gに保ってるんです。先ほどから聞こえてくる音は、あの重力石が通ってる音なんですよ」
「……なるほど」
「なんていうか、まるで星の音色みたいですね」
と、明久が言うと
「そうね、不思議と落ち着く音ね」
「ま、今回は賛同してやるよ」
「……いい音…」
5人は、しばらく音を聴いているのだった
キンココンカンキーンコーンキキーン♪
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「いやはや、お粗末さまでした」
今、アルを含めた6人は大きな門の所まで来ていた
「いいのよ、アルくん。いきなり来たのはこっちだし」
周囲はすでに夕暮れ時となっており、そろそろホテルに向かいたい時間である
「そうだな、しかし、面白かったぜ」
「…勉強にもなった」
「こんな仕事もあるんだなーって、勉強になりました」
「面白かったです」
全員、それぞれ挨拶すると
「それじゃあ、僕はこれにて失礼しますね」
と、アルは地下に戻っていく
「送ってくれてありがとうねー!」
藍華は手を振って見送る
アルも微笑みながら、手を振った
「そんじゃあ、明久、俺達はここらで」
「ああ、うん。じゃあね」
「またね代表」
「…今度は学校で」
と、雄二と翔子と別れたのだった
「それじゃあ、お客様。ホテルにご案内しますね。こちらです」
「あ、はい。」
明久たちは藍華に誘導されて、ホテルに向かった
こうして、2日目は幕を閉じた
追記
「ああ、因みに言っておきますけど、アルくん今29歳ですよ?」
「ええ!?」
「若い!!??」
「私、初めて会った時、年下って思ってたんですよねー」
地重管理人は総じて、小柄&童顔が多いらしい