あれから、明久優子ペアは二回戦と三回戦を余裕で勝利
雄二と康太ペアの方は、二回戦は対戦相手の体調不良による不戦勝
三回戦は、対戦相手の根本恭二を脅迫して勝利(?)して突破
そうして、四人が教室に帰ったら
「なにがあったの、これ?」
数人の男達が、山積みになっていた
優子が聞くと、有里が近づいてきて
「この男達、翔子ちゃんや瑞希ちゃん達を誘拐しようとしたのよ」
「誘拐!?」
有里の言葉が予想外だった優子は、驚いた
「そ。まあ、修史と設子さんのおかげで未然に終わったけどね」
そう言った矢先、西村が現れ、山積みとなっていた男達を担ぎ上げてどこかに去った
「なるほど、俺達が勝ち続けてるのと店の売り上げがいいから、実力行使できたか……」
予見していたのか、雄二は顎に手を当てながら呟いた
「雄二は予想出来てたの?」
明久が問い掛けると、雄二は頷いて
「ああ、恐らくだが、ババアが深く関係している」
雄二はそう言うと、困惑していたAF両生徒達に顔を向けて
「多分だが、今後もこういう妨害が増えると思う! 全員、切り抜けていくぞ!」
激を飛ばした
教室にいた生徒達は各々、手を上げたり、声を上げたりして返答した
そして、四回戦の時間になって
第二試合会場
「これより、四回戦を始めます!」
今回の雄二達の相手は……
「今回は勝たせてもらういます!」
「数学なら、ウチは負けないんだから!」
姫路アンド島田ペアだった
「今回の教科は古典です! 召喚してください!」
先生の言葉を聞いて、島田は目を見開いて
「こ、古典ですって!? トーナメント表には数学って!?」
と狼狽していた
すると、雄二は腕組みしたまま笑いだし
「すまんなぁ……お前たちに渡したトーナメント表…あれな、俺の手作りなんだ」
雄二はそう宣言しながら、自身を親指で指し示した
それを聞いた島田は、怒りで顔を赤くしながら
「だ、騙したのね!?」
「は、騙されるほうが悪いんだよ! それに、これも立派な戦略だ!」
雄二がドヤ顔で宣言していると
「そろそろ、召喚してください」
先生の少し苛立った声が聞こえてきて、四人は同時にキーワードを唱えた
古典
2年Fクラス 姫路瑞希 356点
&
2年Fクラス 島田美波 6点
表示された島田の点数を見て、雄二とムッツリーニは笑いだし
「ハッハッハ! 見ろよ、ムッツリーニ! 島田の点数がまるでゴミのようだ!」
「……一桁など、恐るるに足らず!」
その時、雄二とムッツリーニの点数も表示されはじめた
2年Fクラス 代表 坂本雄二 278点
2年Fクラス 土屋康太 9点
表示された点数を見て、雄二はコメカミに指を当てて
「……ムッツリーニ」
非難がましい視線を向けた
すると、ムッツリーニは正座して
「……正直すまん」
雄二に対して、土下座していた
「試合、開始!」
そのタイミングでゴングが鳴った
すると、雄二は舌打ちして
「仕方ねぇ! ムッツリーニ、姫路を押さえろ! そうすれば、俺が一撃で終わらせてやる!」
「……了解」
ムッツリーニは元々高いスピードを活かして、島田を避けて、姫路の大剣も避けて、組み付いた
「瑞希!?」
その行動に驚いたのか、島田が固まっていると
「余所見とは、余裕だなぁ、島田?」
気づけば、島田の背後に雄二がいて
「ふん!」
右ストレートが炸裂
それにより
2年Fクラス 島田美波 0点
島田は一撃で戦死した
「……早くしてくれ! 長くは保たない!」
「おうよ!」
ムッツリーニの悲鳴じみた要請に、雄二は答えると一気に駆け出した
ムッツリーニと姫路の点数差は歴然で、フルパワーで振り払われたら保たない
「そのまま保たせろよ!」
雄二の要請にムッツリーニは頷いて
「……俺は避けろよ!?」
と言うが、雄二は笑って
「そんなことしたら、威力が落ちんだろうが!」
ムッツリーニ諸共、連撃を叩きこんだ
その結果
2年Fクラス 姫路瑞希 0点
2年Fクラス 土屋康太 0点
となり、雄二一人だけが生き残り
「えー……勝者は、策略を巡らせた、坂本雄二くんです」
勝者を宣言していた先生も、半ば呆れていた
明久と優子ペアの対戦相手は、Dクラス代表の平賀と玉野ペアだったが、明久が二人の攻撃を捌いて、その隙に優子が二人を刺し貫いて終わった
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして、時は経ち一般開放が終わった後
教室には、雄二、明久、ムッツリーニ、翔子、愛子、優子、秀吉、修史、設子、小燕、有里が揃っていた
島田は誘拐されかけた妹の葉月ちゃんが怖がったために、帰宅
姫路は父親と話があるらしく、同じく帰宅
「ねぇ、坂本くん。いつまで居ればいいのかしら?」
早く帰りたい優子は、言外に雄二に講義した
「まあ、もう少し待て。もうすぐ来るはずだ」
「誰が来るのじゃ?」
秀吉に問いかけられると、雄二は鼻息を荒くして
「今回の騒動の元凶のババアだ」
と断言した
すると、そのタイミングでドアが開き
「やれやれ、わざわざ来てやったって言うのに、口の悪いガキだねぇ」
学園長の藤堂カヲルが現れた
学園長は教室内を一瞥すると
「この人数の多さはなんだい?」
と、雄二に問いかけた
雄二が誘拐未遂を簡単に説明すると、学園長は首を左右に振って
「まさか実力行使にくるなんてねぇ……」
そう呟いた後、誘拐されかけた翔子達の方に向いて
「お前たち……すまなかったね……」
と、頭を下げた
それを見た雄二は、目を見開いて
「バ、ババアが謝っただと!?」
本気で驚いていた
すると、隣に居た明久が
「雄二、うるさい」
肘打ちを雄二の腹部に叩き込んだ
雄二が悶絶してるのを無視して、明久は視線を学園長に向けて
「今回の騒動の理由……話してもらえますね?」
明久が聞くと、学園長は溜め息を吐いて
「私の無能を晒すようで嫌なんだがねぇ……そうも言ってられないね」
そこで学園長は召喚獣大会の優勝商品の腕輪に欠陥があることを告げた
白金の腕輪はある程度ならば耐えられるらしいが、もう一個の黒金の腕輪のほうはBクラス程度の総合点数で暴走を起こすらしく、優勝する確立の高い低得点者が必要だと言うことだった
それを聞き終わった明久は、視線を有里に向けて
「有里さん。今回の首謀者は?」
「教頭で間違いないわね。あの男達の携帯に、教頭の電話番号が残ってたわ」
有里の言葉を聞いて、学園長は額に手を当てて
「やはりそうだったかい……近隣の私立に出入りしてる、なんて話は聞いてたが……最早、間違いないさね」
それを聞いた明久は一瞬、悩んだそぶりを見せたが
「それじゃあ、これ以降なにも無ければ大丈夫ってことですね?」
と、学園長に問いかけた
「ああ、そのはずさね」
学園長は即答した
それを聞いて、立ち直った雄二は
「そんじゃあ、聞きたいことは聞いたし。帰るか」
とかばんを担いで、翔子と共に教室を出た
それに続いて全員、教室を出た
夜
町外れの廃工場
「ホラ、コレガオ前ノ欲シガッテタ物ダ」
変声機を使っているらしく機械音声で喋りながら、血の涙を彷彿する仮面を着けている人物は、箱を教頭に差し出していた
「おお……これが……」
教頭は歓喜に震えながら、その箱を受け取っていた
「イイノカ? 望ムナラバ、戦力ヲ提供シテヤルガ?」
仮面の人物が聞くと、教頭は首を振って
「いいや、必要ない。どうせ、あっちに協力してるのはクズ共だけだ」
教頭はそう言いながら、廃工場から去った
それを見送った仮面の人物は、肩をすくめて、その場を去った