あれから明久達は模擬店に戻り、接客を続けた
模擬店の売り上げは上々で、一部の品は品薄状態にすらなっている
そして、明久達が忙しく回っていた時だった
《これより、試験召喚獣大会の決勝戦を行います! 選手の方及び、観客の皆様は第一会場までお越しください!》
という、放送が聞こえた
それを聞いた四人は、頷き
「それじゃあ、僕達は大会に行ってくるね」
と、手を挙げた
それを見た修史達は
「いよいよ決勝戦か……」
「頑張ってくださいね」
「応援してるわよ!」
と、明久達に激励を送った
全員の激励を背に、明久達は会場へと向かった
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
決勝戦会場
『さあ! いよいよ始まりました! 試験召喚獣大会決勝戦です! 実況は私、新聞部の新野すみれがお送りします!』
どうやら、決勝戦では実況がつくらしく喝采が響く会場から放送が聞こえてきた
『それでは、選手に入場してもらいましょう! 第一コーナー! 2年Fクラスの坂本雄二選手アンド土屋康太選手!』
まず、二人の名前が呼ばれて、二人は手を挙げながら入場した
『この二人はなんと、最低クラスのFクラスからの出場です。格上の相手に勝ち進んで来ました! どうやら、我々はFクラスの認識を改める必要がありそうですね!』
実況役は雄二達にとって、嬉しいことを言った
これだけでも、雄二達の目的は達成できたかもしれない
だが、この戦いにクラス設備も掛かっているので負けるわけにはいかなかった
『続いて、第二コーナー! 2年Aクラスの吉井明久選手アンド木下優子選手!』
名前を呼ばれて、二人は手を挙げながら入場した
『この二人はAクラスからの出場ですね。しかも、この二人は3年生を撃破して決勝戦まで来ています! 特に注目すべきは、吉井選手の操作技術の高さでしょう! 吉井選手は、ほぼ全ての相手を一撃で倒しています。これは、生半可な技術ではなし得ません!』
実況役は興奮気味に言うと、会場内はさらに盛り上がった
「ムッツリーニ、手ぇ出すなよ? 明久とサシで戦う」
雄二の言葉を聞いて、ムッツリーニは一瞬驚くが雄二の顔を見て
「……わかった」
と一歩下がった
それを見た明久も、視線を優子に向けて
「優子さん、今回は1対1で戦うから」
と言うと、優子は苦い表情をしてから
「……わかったわ」
ムッツリーニと同じように、一歩下がった
『おーっと!? どうやら、1対1で戦うようです! そして、今回の教科は……数学です!』
教科が告げられると、二人は同時に
「「試獣召喚《サモン》!」」
キーワードを唱えた
その直後、軽い爆発音と共に二人の召喚獣が現れた
が、明久は雄二の召喚獣を見て
「ねえ、雄二……武器は?」
と、雄二に問い掛けた
すると雄二は、眉をしかめて
「よく見ろよ、メリケンサック付けてるだろ」
と、召喚獣の手を見せた
そこには確かに、金属製の武器が付けられていた
それを見た明久は、思わず
「初めてみたよ、そんな武装……」
と、呆れた様子で呟いた
だが、明久は一回深呼吸すると気持ちを切り替えて
「だけど、手加減はしないからね」
と、告げた
それを聞いた雄二は、獰猛な笑みを浮かべて
「はっ! 上等だ!」
と威勢良く、言うと構えた
雄二が構えたのを見た明久も、両手の拳銃を構えた
二人が構えたのを見た審判役の西村は、片手を挙げて
「試合、開始!!」
ゴングを鳴らした
数学
2年Aクラス 吉井明久 297点
VS
2年Fクラス 坂本雄二 288点
試合開始と同時に二人は突撃、明久は銃剣を雄二はメリケンサックを繰り出した
二人の攻撃はそれぞれ、お互いの武器に当たり火花を散らした
二人の召喚獣は衝撃で離れるが、すぐに体勢を立て直して突撃
そこからは、ハイスピードで近接戦闘が続いた
明久が銃剣を突き出せば、雄二がメリケンサックで弾き
雄二が拳を繰り出せば、明久は拳銃の銃身で逸らした
二人の激しい攻防戦に、観客は息を呑んだ
二人の攻防戦はまさしく、息を吐く暇すらなく繰り広げられている
そして、数分間の攻防戦が続き、二人の召喚獣は一旦離れた
その瞬間
「「「「「オオオオォォォォ!!」」」」」
会場を揺らさんばかりに、歓声が上がった
『な、なんというハイレベル&ハイスピードな戦いなのでしょうか!? これこそまさしく、決勝戦にふさわしい戦いです!』
二人の戦いを見て、実況役は興奮していた
明久と雄二の二人は、そんな実況の声には耳を貸さずに
「雄二……いつの間にここまで操縦技術を……?」
「はっ! クラス代表が何時までも弱かったら、話になんねーだろ? だから、勉強も頑張ったし、鉄人に手伝ってもらって操縦技術を上げたんだよ」
雄二がそう答えると、明久は軽く驚いた様子で
「ずいぶん変わったね、雄二。霧島さんのためかな?」
と、雄二に問い掛けた
問い掛けられた雄二は、頬を掻きながら
「まあ、多少な……今まで辛い想いをさせたんだ……このくらいしないとな……」
と語ると、視線を明久に向けて
「そんじゃあ、第二ラウンド……いくぜ!!」
「OK、雄二!」
互いに頷くと、再び突撃した
先に仕掛けたのは、雄二だった
雄二は武器の軽量さを活かして、連撃を繰り出してきた
明久はそれを避けるか銃剣で弾き、反撃で蹴りを繰り出した
雄二はそれを後ろに飛んで避けた
そして、着地する瞬間を狙って、明久は銃を撃った
だが次の瞬間、鋭い金属音が響き、雄二の召喚獣は無傷だった
「うそぉ!?」
明久は雄二がやったことを直感でわかり、驚愕した
その理由は
『な、なんと!? 坂本選手、吉井選手の撃った弾丸を弾きました!』
そう、雄二は明久が撃った弾丸をメリケンサックで弾いたのだ
「明久の操作技術の高さは知ってんだよ! だから、銃を撃つ時は頭か心臓を狙う。だったら、そこにメリケンサックを置いておけば、弾けるってな!」
雄二の言葉に明久は驚いた
確かに、明久は銃を撃つ時は急所である頭か心臓を狙う
雄二はそれを逆手に取って、メリケンサックで弾いたのだ
だが、あまりにもギャンブル過ぎる
明久も人ゆえ、狙いは多少ズレる
だから、今回ズレていたら雄二はダメージを負っていたのだ
だが、雄二はそのギャンブルに勝った
そのことに明久は驚き、動きを止めてしまった
そして、そのスキを雄二は見逃さなかった
「行くぜぇ!」
「しまっ!?」
懐に入った雄二を見て、明久はバックステップで離れようとしたが間に合わずに雄二の拳が明久の腹部に直撃した
数学
Aクラス 吉井明久 245点
雄二の拳が腹部に直撃したことにより、明久の点数は大きく削れた
しかも、明久の召喚獣は観察処分者仕様
その結果、フィードバックが明久を襲った
「ガフッ!」
二百点超えとなると、発生するフィードバックもかなりのもので、明久は強制的に息を吐き出された
そして、そのスキを雄二は見逃さずに連撃を繰り出した
その連撃を明久はなんとか防ぐが、数発くらい
数学
Aクラス 吉井明久 157点
雄二との点数差が大きく開いた
だが、明久もやられるばかりではなく
Fクラス 坂本雄二 237点
気づけば、雄二の点数も減っていた
「やるじゃねーか、明久!」
「そういう雄二こそ!」
二人は互いを褒めると、再び戦闘を始めた
そこからは、終始明久優勢で戦いは進み
数学
Aクラス 吉井明久 57点
VS
Fクラス 坂本雄二 55点
あと一撃で勝負が決まろうとしていた
二人はかなり集中していたからか、荒く呼吸していて明久は痛みを堪えるように目を細めている
「次で……最後みたいだな……」
「そう……だね……」
二人はそこで、大きく深呼吸すると
「行くぜぇ!!」
「おおおぉぉ!!」
二人は同時に突撃
そして、召喚獣は交差
消えたのは
明久の召喚獣だった
数学
Aクラス 吉井明久 0点 LOSE
VS
Fクラス 坂本雄二 2点 WIN
それを西村は確認すると、右手を掲げて
「勝者、Fクラス坂本雄二!」
と、勝者を告げた
これにより、試験召喚獣大学は終了
Fクラスのコンビが優勝するという、ほとんどの人が予想外の結果に終わった