あれから明久は、教室を飛び出すと階段を下りて下駄箱に行き靴を履き替えた。
「んー、スーツに着替える時間も無さそうだし、直接行くか」
そう言って明久は、桜の花びらが舞う坂を駆け下りる
そうして明久は、駅まで走り定期で改札を抜けて電車に乗った
「着くまで音楽でも聞くか・・・」
そう言ってポケットからIポッドを取り出して、イヤホンを耳に填めて音楽を聞いた
「~~~♪」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
目的の駅に着いて明久は、電車を降りた
「んー!」
明久は体を伸ばして、コリをほぐすと
「先に、なにか食べるか・・・・」
時間は11時半、流石にお腹がすいた明久は周囲を見回した
「お? 定食屋めっけ」
近くに定食屋を見つけた
すると、明久は迷いなくそこに入った
「いらっしゃーい!」
中に入ると、店員の元気な声が聞こえた
明久は、カウンターテーブルに座った
「なんにします?」
店員がメニューを確認してきた
明久はお品書きを開いて
「さばの味噌煮込み定食でお願いします」
「はいよー」
10数分後
「さばの味噌煮込み定食お待ち!」
明久の前に、湯気を上げながら定食が出された
「では、いただきます」
明久は手を合わせるとお辞儀して、割り箸を割って食べ始めた
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ごちそうさまでした、お勘定お願いします」
「700円ね」
明久は財布から1000円札を取り出して
「はい」
渡した
「300円のおつりねー、毎度ー」
明久は暖簾をくぐって店を出た
「さてと、そろそろ本部に・・・・うぉ! なんだ!? 今背筋に悪寒が!?」
明久が本部に向かい足を向けた瞬間、背筋に悪寒が走った
その頃、学園では
「Fクラスも粘るわね」
「うーん、バカに出来ないネ」
と、その時だった
<ピンポンパンポーン♪>
スピーカーから音が鳴った
「放送?」
「何だろうね」
<ご連絡いたします、船越先生、船越先生>
「船越先生って・・・」
「あの、船越先生?」
優子と愛子が顔を合わせていると
<吉井明久君が体育館裏で待っています>
「「は?」」
「・・・・?」
<生徒と教師の垣根を越えた、男と女の話があるそうです。繰り返します・・・>
「「「「「・・・・・・はぁ?」」」」」
Aクラスの生徒達は今、明久が居ないことを知っている
「なにこれ?」
「ってか、よりによってあの船越先生だよ・・・・」
船越先生
現在45歳独身の女性で、今まで仕事に集中しすぎていたため婚期を逃してしまった人物だ
最近では成績を楯に生徒にすら交際を迫る始末で、こういう冗談はあまりおススメできないのだ。
「マズいわね」
「うん、船越先生の性格(現在の)を考えると吉井君が危ない・・・・」
優子と愛子はお互い視線を合わせた
「「なんとか助けないと・・・・」」
2人が言うと
「「「「「俺(僕)(私)も手伝う!」」」」」
Aクラス生徒、全員の意見が一致した瞬間だった
明久は知らぬ間に生贄にされて、また知らぬ間に助けられた
場所は変わって
ここはアイギス日本支部東京本部前
「さてと」
明久は本部に向けて歩き出した
「すいません、関係者以外は・・・」
すると、入り口に立っていた警備員に止められた
明久は、胸ポケットからIDカードを取り出して
「確認をお願いします」
警備員に手渡した
「失礼します・・・・・・! 大変失礼いたしました!!」
警備員は明久からIDカードを受け取ると、それをカードリーダーに通した
すると、眼を見開き驚き敬礼した
「カードをお返しします! お通りください!!」
警備員はカードを明久に返すと、邪魔にならないように端に寄って促した
「ありがとうございます、お疲れ様です」
明久は警備員に対して、敬礼しながら入り口に入った
そして明久は迷い無くエレベーターに向かい、下へ向かうスイッチを押した
すると、エレベーターのドアが開く
明久は中に入ると、IDカードと鍵を取り出した
鍵を使って、スイッチカバーを開き鍵を回す
すると、階数の書かれたボタンの下の何も無いところがスライドしてそこにカードリーダーが出た
明久はカードリーダーにIDカードを通した
エレベーターは無音で下った
しばらくすると
ピンポーン
と、音がしてドアが開いた
明久は鍵を逆に回して外した、するとカードリーダーはまた隠れた
明久はエレベーターを降りた
目の前には、眼が書かれ翼の生えた楯が描かれたドアがあった
明久は、そのドアの脇にあったパネルに左手の手のひらを当てる
すると、パネルが光り
<シールド14と確認しました、お通りください>
と言う、機械音声が聞こえてドアが開いた
「失礼します! シールド14、吉井明久到着しました!」
明久は入って1歩前に出ると、敬礼しながら名乗った
すると、大きなモニターの前に座っていた男性
髪型はオールバック、無精ひげを生やしてサングラスをかけた男性、
この人物が明久の現在の養父で、通称課長だ
「来たか、明久。こっちに来い」
課長は手招きした
明久は応じて近くに寄った
「よく来たシールド14、いや吉井明久」
「はい」
「まずは、先日の護衛任務の件はご苦労だった。
課長は以前の依頼の成功をほめた
「ありがとうございます」
明久は内心うれしく思い、素直に返事した
すると、課長は表情を引き締めて
「それで、新しい任務だ」
課長はそう言いながら、机の引き出しからA4サイズの茶封筒を取り出して机の上に置いた
明久はそれを受け取り、封筒を開いて中から写真つきの紙を2枚取り出した
「な!?」
明久は2枚の紙を見て驚いた
「今度の護衛対象はその2人だ」
課長は冷静に告げた
「え?」
明久は驚いた表情で課長を見た
明久が驚いた理由は、紙に書かれていた人物達が原因だったからだ
紙には
木下優子
木下秀吉
の写真が貼られたプロフィールだった
「木下さんと秀吉が護衛対象!?」
明久は紙を机に叩きつけ、両手を机に乗せて聞いた
「なんだ、知り合いか?」
課長は明久の呼び方に気付いて聞いた
「木下優子のほうは僕のクラスメイトで、秀吉は親友です」
明久は書類を見ながら苦い表情で告げる、すると
「狙われた理由は一体?」
明久は冷静に聞いた
「うむ、それはなこの子達の父親の
「仕事ですか・・・」
「ああ、仕事の内容は輸送業なんだ。そこに着目した奴が銃の密輸を持ちかけたそうでな、それを断ったら脅迫状が届いたそうだ。子供の命は無いものと思えと」
「・・・・・(ギリッ)」
明久は両手が白くなるほど握り締めた
「で、私達の噂を聞いたらしくてな、依頼してきたというわけだ」
「なるほど」
「で、学園の生徒のお前の出番と言うわけだ」
「わかりました、ですが秀吉は難しいですよ?」
「どういうことだ?」
「秀吉とはクラスが違うんです」
「なに? 彼のクラスは?」
「秀吉はFクラスで、木下さんはAクラスなんです、それで僕はAクラスです」
それを聞いた課長は、顎に手を当てて
「あそこは確か、成績でクラス分けしてたな。彼はそんなに悪いのか?」
「はい、演劇に熱中するあまり勉強が疎かになったんです」
「ふむ、まあ丁度送ろうと考えていたからな」
課長は机に設置してあった電話の受話器を取って
「私だ、11と12を呼んでくれ」
課長は手短に言うと、受話器を戻した
「11と12ってもしかして・・・」
「ああ、お前の良く知ってる奴だ」
すると、ドアが開き2人の男女が入ってきた
「失礼します、シールド11。
「同じくシールド12、
入り口に居たのは
片方は小柄な体に中性的な顔立ちの少年、
人懐っこい顔に腰まで伸ばした緑色の髪が特徴的な女性が居た、名前は
「小燕に有里さん!」
「お久しぶりです、明兄!」
「やっほー、お久しぶり明久!」
2人は明久に挨拶すると、課長の机の前まで近づく
「では、吉井明久、君は木下優子の護衛を!」
「はい!」
「劉小燕と穂村有里は、学生としてFクラスに転入して、木下秀吉の護衛を!」
「「はい!」」
「では、健闘を祈るぞ!」
「「「はい、アイギスの名の下に!」」」
こうして、新たな任務が始まった