インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活   作:しじる

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戦闘シーン推奨BGM 『Panther』


mission9 首輪付き、始動

簪との特撮鑑賞会から暫く経ち、遂に来た日曜日。

私は万全の状態かつ、相手は専用機を使うらしいので、ようやくアレサを動かせるのでワクワクしている。

で、対する一夏だけど…

 

「なあ箒、結局俺剣道しかしてないんだけど…勝算あるか?」

 

「…わからん」

 

「ほ、箒!?」

 

専用機も来てない上に、箒は何を考えていたのか、ISに関しての訓練ではなく、剣道を教えていたらしい。

なぜそんな無意味なことを…

ISは基本空中での戦闘が行われる。

そんな空中での戦闘が基本であるのに、地面に足を付けて初めて役に立つ剣道など、意味など全くない。

むしろ前の世界で月光を使ってたから言えるが、銃弾飛び交う戦闘で、剣道での攻撃など当たるわけがない。

私のいた世界では、接近武器の威力はそれこそ一撃で敵を仕留められるが、それは相手も解りきったこと。

私の偏見かも知れないが、接近武器などは入り乱れた戦場ならばともかく、一対一の試合ならば、余程地獄のような特訓をしたような人でなければ引き撃ちで余裕だ。

そう、私のいた世界で伝説と呼ばれたブレード使い『鴉殺し』のような…ね。

まあ、一夏が送られるらしいISがどのような物かは解らないが、まさか接近武器のみなどと言うふざけた機体ではないだろう。

 

後にそのふざけた機体であったと私は知るのだが、今は知るよしもない…

 

「さて、織斑の機体を待っていたら時間がない。カーチス、お前が先にやれ。オルコットは既にアリーナにいるぞ」

 

「ん…了解です、織斑先生」

 

千冬さんに言われて、私はアリーナに向かった。

普通はISを展開した後、カタパルトに乗って出るらしいけど、私のアレサは少し特殊。

直接アリーナで展開しないと、少し面倒になる。

だから私はアリーナに出て、その土を踏みしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、ISも展開せずにアリーナに来るとは…赦しでも乞いに来たのですか?」

 

「ううん、理由は私のIS見ればわかるよ」

 

そう言うと、私はアレサを展開させた。

展開と同時に、私の体は装甲で覆われる。

 

「なるほど、全身装甲(フルスキン)ですか。確かにそうしないと、別人がやったかもと思いますわね」

 

「そう言うこと」

 

「しかし、随分と尖った形のISですわね…おまけに大きいですわ」

 

セシリアがそう言うのも無理はない。

このアレサは、企業『レイレナード』が作ったと噂されるほどにアリーヤ系と同じほど鋭角的だ。

おまけに従来のISの二倍の大きさがある。

焼け焦げた様に黒い機体色に、赤く輝くバイザー。

右手に5連装ガトリング砲、左手に大型ビームライフル。

そして肩部にある、かつての私のエンブレム。

AとLを繋ぐように結ばれたチョッカーのエンブレム。

私が首輪付きと言われた理由。

これがISと知らない人間が見たらこう言うだろう。

 

悪魔…と

 

「しかし、まあそんな機体に乗ったところで、この私セシリア・オルコットには敵いませんわ!」

 

しかしセシリアはそんな私の機体を見ても尚、高圧的であった。

どうせ男と一緒にいる女の乗っているISなど、恐れるに足りないとでも思っているのだろう。

その傲慢と偏見は、戦場では命取りとなる。

 

「まあ私は優しいですから、特別に今土下座すれば、赦してあげない事もないですわよ」

 

「あの時、話している最中に割り込んだことは謝るよ、でも試合とそれは別、全力でやろう?」

 

「ほう、学年主席とはいえ、代表候補生でもないのに随分と余裕ですね…まあ良いでしょう、たとえ織斑先生と互角だったとは言っても、どうせ偶々そのとき貴女の運が良かっただけ!わたしが終わりにしてあげますわ、その嘘じみた伝説を!」

 

その一言が終わると同時に、試合開始のブザーが鳴り響く。

 

「さあ踊りなさい!私とブルーティアーズが奏でるワルツで!!」

 

セシリアがその手に持っていた砲を撃つ。

その打ち出された蒼い弾丸(レーザー)は私を撃ち抜こうと迫る。

 

だが遅い。

 

私に当てるには遅すぎる。

右側にQB、飛ぶように回避し彼女に私は、私なりの戦いの合図を告げた。

 

「私はワルツよりも、ラブソングの方が好きかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合が始まる数分前、アリーナ管制室では織斑千冬と山田真耶が会話をしていた。

内容は、セシリアとアリサのどちらが勝つかだ。

 

「まあ、十中八九カーチスが勝つだろうがな…山田君もそう思うだろう?」

 

「はい、まあ…オルコットさんには悪いですけど、オルコットさんでは彼女相手は無理でしょう」

 

「…カーチスが圧勝するだろうし、終わるまで暇だ。やることないから賭けでもしないか?何分持つと思う」

 

遂にはセシリアが何分持つかの賭けまでし始めた。

 

「賭けませんよ!?そんな授業中に!」

 

「ふっ、冗談だ…で、君は何分持つと思う」

 

「心臓に悪いですよその冗談…」

 

そんな事を言いながらも、彼女は考えた。

織斑も、彼女もアリサと戦い、そしてその脅威の戦闘センスを知っている。

高速切替、瞬間加速、さらには連続瞬間加速。

これら全てを使える人間など、100年に一人の逸材と言っても過言ではない。

その事を計算し、彼女は答えた。

 

「30分…持てば良い方ですかね…」

 

「君は甘いな、山田君」

 

しかし織斑はこの答えを否定した。

山田は驚いた表情を浮かべたが、彼女が続けて言った言葉に、さらに驚くこととなった。

 

「最低でも10分、最速で3分もかかるまい」

 

イギリス代表候補生が3分で落とされる。

アリサの実力を知らない人間が聞けば、何を馬鹿な事をと思うだろう。

しかし山田は否定しなかった。

知っているから否定しなかったのだ。

 

「さて、そろそろ始まるぞ」

 

そして、二人はこれから始まる一方的な戦いを知りながらも、教師としてこの試合を見守るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合開始と同時に撃ち込まれたセシリアのレーザーは、虚しくも外れ地面にクレーターを作るだけにとどまった。

初撃を避けられた事に驚きつつも、反撃させまいと、セシリアは続けて砲撃を行う。

しかし、アリサには当たらない。

セシリア的には、完璧な偏差射撃のつもりなのだろうが、それではアリサには掠りもしない。

だがセシリアの腕が悪いわけではない。

アリサの機体の性能と、彼女がドミナントであった事、つまり彼女の不幸が重なっただけだ。

 

「ええい、なんで当たりませんの!?」

 

セシリアのレーザーは全く当たらない。

一方のアリサは攻撃を行わない、いや攻撃の機会をうかがっていた。

彼女の機体、アレサの武装は全てかなり癖の強いものばかりだ。

タイミングをしくじれば即撃破されるほどに。

故に攻撃のチャンスを探していた。

その時、アリサにそのチャンスが訪れた。

 

「くっ、こうなれば…ブルーティアーズ!!」

 

セシリアが、自身の機体最大の武器を抜いた。

機体と同じブルーティアーズの名を持つBT兵器だ。

 

「(オールレンジ攻撃で仕留めるつもりか…でもそれが出来るのは、本体が動けていれば(・・・・・・)の話)それに意味なんてない…」

 

ブルーティアーズの展開と同時にアリサは仕掛けに向かった。

なんと瞬間加速を使い、一気にセシリア向けて特攻したのだ。

 

「なっ!?ブルーティアーズ!」

 

セシリアがあわててブルーティアーズによる攻撃を行う、しかしやはり当たらない。

死角を取っての射撃を行っているのに関わらずだ。

しかしその死角からの攻撃が、アリサがブルーティアーズの攻撃を避ける手助けをしていると言うことに、彼女は気付かなかった。

 

「なぜ!?」

 

自身の切り札とも言えるブルーティアーズですら当たらない。

それは彼女にとって絶望にも近い恐怖を感じたであろう。

なぜ死角からの攻撃を、アリサが避けれるか…それは死角からだから避けれるのだ。

アリサは実際の戦場で嫌と言うほど不意打ちや、裏切り、騙して悪いがを受けていた。

その経験が、彼女に戦いでの勘と、観察眼を育てさせた。

彼女には見えているのだ、セシリアがどのタイミングで攻撃を仕掛けるかが、セシリアがどの角度で攻撃してくるか。

死角からの攻撃でなければ、ここまで避けられはしなかっただろう。

普通は死角でなければ当てれない訳ではあるが…

セシリアが当たらない事に困惑している間に、アリサはセシリアとの距離を、遠距離から中距離辺りまでつめた。

アリサの得意な距離だ。

すかざず彼女の5連装ガトリング砲が火ならぬ業火を吹いた。

ガルルルルッ!と、独特の轟音と共に5つの砲身全てから、まるで暴風の様に弾丸がバラまかられる。

 

「うわっ!?」

 

逃げ場などはない。

ガトリングの弾は点ではなく、面になるようにアリサがバラ撒いているからだ。

左右に逃げればあっという間に蜂の巣もビックリな程に穴まみれにされるだろう。

上下どちらかにしか逃げ場はない。

だがどちらに飛んでも、アリサのレーザーライフルが待ち構えている。

しかし他に選択しなどない。

セシリアは上へ逃げる選択をした。

すかさず、3発の光弾がセシリア目掛けて飛んで行く。

 

「アイムシンカー、トウ~トウ~トウ~」

 

彼女の歌と共に光弾がセシリアにぶち当たる。

一発は頭に、一発は喉に、一発は心臓に。

全て急所に見事に当たり絶対防御が発動、彼女のシールドエネルギーを大幅に削った。

 

「っつう!?この…っ!」

 

喋り終わる前にまたガトリング砲による掃射が始まる。

当たるまいとセシリアは回避を行うが、回避先からまたもや光弾が飛んでくる。

 

「同じ手は…!?」

 

光弾が当たる前に、ブーストを逆噴射し急停止。

しかしその急停止による回避がアリサの狙いだった。

アレサの肩部が赤白く輝き、そしてそれは吐き出された。

それの弾速はかなり遅かったが、急停止による反動で動けないセシリアには回避不可能の一手だった。

二発の大きな赤い光弾がセシリアに直撃し、世界が赤く染め上げられた。

セシリアが吹き飛ぶと同時にアリサがガトリング砲を投げ捨て、ブレードを展開しつつセシリアに突っ込んだ。

 

「(かかった!)ブルーティアーズ!!」

 

セシリアの一声と同時に、彼女の腰部のスカートが稼動し、そこからミサイルが姿を表した。

 

「残念ながら、ブルーティアーズは6機ありましてよ!!」

 

ブルーティアーズからミサイルが放たれる。

普通のISならば直撃であっただろう。

残念ながらアレサにはミサイルは通用しない。

ボッボッボッボッという音と共に、柿色の光の玉が数発打ち出された。

 

「フレアですって!?」

 

「そう言うこと、これで終わりだよ」

 

アリサが最後を告げる。

アリサがセシリアにブレードを当てれる距離まで後数メートル。

 

「っ!?インターセプター!」

 

危険を感じ、セシリアはブレードを展開するが…

 

ドヒャア!!

 

「えっ!? 」

 

そんな音と共にアリサが消えた。

 

「おしまい」

 

そんな声が彼女の背後から聞こえると同時に、衝撃が彼女を襲った。

その衝撃が決め手となり、セシリアのシールドエネルギーは0となった。

 

 

 

セシリア・オルコット、シールドエネルギー残量0。

よって、アリサ・ヴァン・カーチスの勝利!

 

 

戦いが終わったアリーナに、そのアナウンスはひどく響いた。

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