インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活 作:しじる
あの試合から数時間経過した。
織斑一夏とシャルル・デュノアのコンビは的確に、負けることなく順調に決勝戦まで勝ち登ってきていた。
かく言う私たちも負けることは無い、運がいいのか悪いのか、途中の鈴とセシリアのコンビは一夏とシャルルのペアにあたり、現在試合中。
そして私たちは今、相変わらず控え室にいた。
「おい」
唐突だった。
最初の第一試合から作戦を言う時以外は黙り込んだままのラウラが、私に声をかけてきた。
正直意外に感じれた。
その声に従って、私は顔をそこへ向けた。
やはり少ししかめった顔、だけれども何故がその視線には迷いがあったように見えた。
気のせいかもしれないけど。
「何故、お前は楽しめるんだ…」
それは疑問であった。
ラウラが、私が試合を楽しんでいることへの。
「殺し合いじゃないから」
ただ、私はそう答えた。
事実そうであった。
私は殺して来た、あの日よりも前からずっと…
忘れもしない
テルミドール、ウィンディ、リリウム、そして…
「…そうか」
ただ、それだけ彼女は呟いた。
「お前は、『力』をどう思う」
次に彼女が呟いた。
力こそが全て、そう言っていた彼女が。
何が、試合を通して感じてくれたのだろうか?
「『力』は手段、『力』は全てにはなれない」
だからこそ、私はこう回答した。
「『力』は悪でもなければ善でもない……兵器も、ISも同じ…使い方次第で、みんなを笑顔に出来るもの」
「笑顔にだと?そもそも皆とは?」
ラウラの疑問が多い。
もしかして、本当に気付いてくれたのだろうか?
だが、そうだとしても私は回答する義務がある。
「みんなは、貴女が本当に大切だとおもう人、全員」
そうだ、私に出来なからったからこそこの答えをラウラに教える。
「貴女にとって、本当に大切な人は?」
今度は私が聞く番だ。
だから私はラウラに問うた。
言い淀む、力を求めた彼女に大切な人とは。
そう思いが絡まっているのかもしれない。
これが試合前のラウラならすぐに織斑千冬と答えたはずだ。
「大切な人…」
ラウラが今にも答える、そんな時であった。
『試合終了!!織斑一夏&シャルル・デュノアペア勝利です!!』
放送が響く、それに惹かれ私はモニターを見る。
どうやら2組の戦闘は接戦だったらしく、シールドエネルギーは空っぽ寸前であった。
特に、仕様上仕方が無いとはいえ一夏のシールドエネルギーは最早1桁スレスレであった。
「…次だね」
「ああ…」
また静かな静寂が控え室をつつむ。
決勝戦は、次である。
決勝戦、数分のインターバルを置いて、始まりを告げれるその時、私たちは既にアリーナの中にいた。
どうやら一夏のシールドエネルギー補充に少し手間がかかっているようで、だけれどももう時期に来るということであった。
本当ならラウラはこの待ち時間がもぞかしくて堪らなかっただろうに、何故がやけに大人しい。
いや、理由はわかっている。
十中八九私が原因だ。
あの質問と私の回答は、ラウラを納得させれただろうか?
そして今ラウラは質問の回答に苦戦しているのだろうか?
全てはまだわからない。
「…もうじき来るらしいね」
「ああ…」
観客席の声援を除く沈黙が続く。
やがて二人は来るだろう、その前に作戦は建ててあるし、やれる事はやった。
瞳を閉じて、作戦内容を再確認する。
シャルルを私が引き付けて、一夏をラウラが仕留める。
単純だけれど、向こうはこちらがチームワークを取れていないと知っている。
なら別れて各個撃破する方が互いの迷惑にもならないし、チームワークも関係ない。
よく元の世界でやっていたことだ。
そんな時であった、2人が出てきたアナウンスが響いたのは。
「きたね」
「…ああ」
2人が交わす言葉はそれだけだった。
決勝戦が、始まる…
〈さて、それじゃあ僕は、例の
一つ、暗い闇をかかえたまま。