インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活 作:しじる
私とラウラの前に立つ一夏とシャルル。
場は静寂が包み、観客の喝采以外は何も聞こえない。
「待たせたな」
一夏がそれを破る。
真っ直ぐにその瞳は私たちに向けられていて、その意思を確認できる。
ラウラもまたそれに釣られ返答をする。
「随分待たされたぞ、それであっさり終わってくれるなよ」
三日月のような笑みを浮かべながらラウラは答えた。
その答えを予測していたか、一夏もまたしかとその答えを請け負った。
「もちろんさ、行くぜラウラ」
そして私とシャルルは何も言わない。
いや、私は元々口数が少ないのがあるけれど、そのせいでシャルルが何を話せばいいか分からないと言ったふうに困惑しているが正確なのかな?
だが、そうだったとしても時間はやって来る。
この場に立つ私を含む4人の戦闘態勢が整ったのを確認する否や、試合開始のブザーは辺り一体へと響き渡るのであった。
先手をとったのは私だった。
OBを使う必要なんてなかった、瞬間加速で一気に近づき、シャルルへと突貫する。
スピードによって重量と慣性によって威力の増した蹴りが迫るが、シャルルこれをあっさり躱す。
まあ、躱してくれないとある意味困ったけれど、少なくとも完全に避けられるのは少し驚いた。
この様子だと、どうやら私スピードに目を鳴らすため何らかの訓練でもしてたみたいだね。
でも、それならそれでスピードを上げるだけさ。
蹴りを躱して、私へと銃を向けたシャルル。
それが弾丸を吐き出す前に、今度はOBを使用して一気に迫る。
ドヒャア!そんな独特な音とともにほんの一瞬だけアレサは音速となり、風の壁をぶち抜く。
「っ!?来たぁっあが!!」
ガァァァァンン!!アリーナに響き渡る凄まじい鉄塊がぶち当たる音。
私の足は確かにシャルルの腹のど真ん中を掠めるようにぶち当たり、彼女をアリーナのシールドバリアまで吹き飛ばし貼り付けにした。
しかし、やはり高機動攻撃の対策をねっていたのか、喰らいはしているがど真ん中を直撃させれなかった。
コンマ何秒下での判断、なるほどこれは少し面白くなってきたね。
まあ、どちらにせよこの時点で私とラウラの作戦は成功。
シャルルは吹っ飛び私と、一夏は雪片でラウラのプラズマハンドブレードと現在鍔迫り合い。
完全に分断することに成功した。
間髪入れずに私はシャルルへとまたもや近づき、今度は5連装ガトリング砲で叩き潰しに向かう。
ガトリング砲は強力な射撃武器である。
だが、この様に鈍器として使えぱ凄まじい破壊力を持つくらい重い。
殴られた際には先程の蹴りよりもシールドエネルギーの消耗は激しいだろう。
おそらくそれを知ってか、風を切り唸りを上げるガトリング胞での殴打を、シャルルはギリギリ。
ほんの髪の毛1本の差を躱してみせた。
「…やるね」
「まあね!(まあね!じゃないよぉ!?ガトリングで殴りに来るなんて、見た目と違いすぎて怖すぎるよこの子!?)」
何か心の声のような物が聞こえた気がしたが、気にしないでおこう。
とりあえず分断にさえ成功してしまえばあとは各個撃破という手はずにしていたため、ここからは本当にラウラも私も自由に戦えるというわけだ。
「シャルル…
瞬間、えっ?というシャルルの声が聞こえた気がしたがもう遅かった。
螺旋を描きながら、青いレーザがシャルルの脳天にぶち当たった。
シールドエネルギーが摩耗する音とともに、悲鳴すら挙げれずシャルルが大きく仰け反る。
この隙だらけとなった状態を私は逃さない。
そこへ被さるように飛翔し、5連装ガトリング砲を向けた。
打出された弾丸の暴風がシャルルへと一気に迫る。
体勢を大きく崩しているシャルルに、これを躱す手立ては無い。
弾丸は確かにシャルルへと着弾し、シールドエネルギーを喰らい潰していく。
このまま削り取れる、とんな状況でのことだった。
普通例え空中でも体勢を崩せば、起きあがろうとするのが自然だ。
攻撃を受けてダメージを負わされまくっているならば尚更だ。
だけどシャルルは逆に、逆に、逆にそのまま倒れた。
攻撃によって受けた衝撃に身を任せ、バック転するかのように回り、ガトリング砲を蹴り上げ弾道を大きくそらした。
これによりシャルルはかなりの痛手を負いながらも距離を取ることに成功し、さらに体勢を立て直す時間を作ることに成功した。
「へぇ…お見事」
「そりゃどうも…」
こちらから見て取れるほど冷や汗をかいているシャルル。
まあ確かにあんな目にあったら私だって冷や汗をかくよ。
目の前でガトリング砲を撃ちまくられるなんて。
でもそろそろシャルルにはリタイアしてもらわないと、必要ないとは思うけどラウラの援護に行かないと。
そんなことを考えていた時だった。
あの異変が起こったのは…
「があああああぁ!?」
突然ラウラの叫び声が上がった。
私も、シャルルも驚いて悲鳴の方角を見る。
するとそこには、ISが泥の様に溶け、変質していく様があり、それに囚われたラウラが見えた。
「が、あぁ…私の、中に…入って…く、るなぁ…ア"ア"ア"ア"ア"!?」
「ラウラ!!」
やがて泥はラウラを覆い尽くし、そして形を変えていく…
その姿は…
「A…AC!?いや、これは…」
そう、ACだった。
しかし、私の知ってるACでは無い。
そう断言できる姿だった。
それは生物的で鋭角なフォルムをしており、関節部からは金のパーツが見え隠れし、背中にはアレサと並ぶほどの大きなグレーのブースターを二つも付け、肩には二つの大きな何かの装置のようなものが付いていた…
だがそれより目を引くのは、何よりも目を引くのは…
私は本能で察した、このACは危険だと。
全力で挑まなければ殺られると。
まるで熾天使の様な、絶対的な力を持つだろう姿をしたACは、やがてラウラの声で喋り出した…
『修正プログラム、最終レベル』
「ラ、ラウラ?」
困惑した一夏が声をかける。
『全システム、チェック終了』
「ボ、ボーデヴィッヒさん?」
シャルルも心配の声を出す。
『戦闘モード、起動』
だけど、私は二人とは違った。
そこまで聞いたらもう既に体が動いていた。
『ターゲット確認、排除開始』
「一夏逃げてぇぇぇ!!」
その私の叫びが、