インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活   作:しじる

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かける暇さえあるならすぐかけるぞぉ!
まだまだ行けるぜ、メルツェェェェル!!


mission30 臨海学校の一時(後編)

あれから一夜明け、翌日。

私たちは現在浜辺でISのパック整備をしていた。

元々臨海学校はそれが目的なんだから、当たり前だけれども。

専用機持ち以外は今まで通りの練習をしてるけど、専用機は外付けパックを見ている。

例えばセシリアは高速戦闘を可能にするものだし、シャルロッテは純粋に武器の増加。

そしてラウラと私はと言うと…

 

「むぅ…どうすればいいのだこれは」

 

私はそもそもISであり、ACでもあるからパックは束さん無しだと出来ないので無しは当然。

しかし同じく束さん無しでは厳しい状態にラウラは陥ってた。

謎のACになってしまったシュバルツ・レーゲ。

あの戦闘の後、本国に回収されて色々調べたらしいけど、殆どがブラックボックス化していて見れず、しかもラウラ以外が触れないようになってたらしい。

幾らか専用機でも、メンテナンスように普通なら触られる。

しかし今回のそれは触ろうとすれば、意思を持ってるように拒絶。

私でも触ろうとすれば勝手に起動して、バルカンの銃口を向けられた。

そんなこんなで本国は解析を諦めざるをえなかった。

そして厄介払いとでも言うように、ラウラにこの変形したシュバルツ・レーゲを専用機にさせた。

その結果、ラウラはこのISに乗らざるをえなかったのだが…

 

「おお!?か、過敏に反応しすぎ…おおっつ、潰れる!?」

 

ご覧の通り、今までのISの常識を根底から覆すと言っても過言でないほど過敏なセンサーを持っており、しかも人が乗ることを想定してない動きをするため、乗ってるラウラがGで圧死しかけることもある。

ラウラが私と近い存在(厳密に言えば私は天然、ラウラは人工だが)だからそんなデタラメなGに耐えれるけど、普通の人間なら絶対防御ありきでも危険極まりない。

それに武装も大半がクセの凝り固まったようなものばかり。

特にオービットと腹部に搭載されてたアサルトキャノン。

そう、私に撃ち放とうとしていたあのキャノン砲。

コジマ粒子に指方性を持たせて圧縮発射する砲なんだけれど、それも発射時に搭乗者腹部に大きなダメージを与えるようで、殆ど使用禁止に近い扱いになってる。

オービットに至っては、停止結界を使ってたラウラさえ苦戦するようで、ここはセシリアに現在教えてもらってる(かなりしんどそうにしてたけど)

さらに私たちとの戦闘で使わなかった機能、変形。

こちらはどうやら変形時に間違いなく搭乗者が死ぬタイプらしく、欠陥としか言えなかったが。

もしこれがISでなければ、ACだったならば使っていただろう。

それにあとから分かったが、あの時のこの機体は全力ではなかったらしい。

ラウラ曰く「私という【足枷】が乗っていたから、私をすぐ圧死させないためにある程度ブーストを減らしていた」らしい。

流石に搭乗者が死ねばISは止まる。

それを防ぐためというが、もしそれを考慮しないであのACISが動いていたなら…

 

「考えたくない……」

 

実質四人がかりで挑んで辛勝だった。

結末なんて火を見るより明らかだ。

だけれど、逆を言えばだ。

努力すればラウラも超えるのは難しいが、あの動きを行うのは理論上できるということで…

 

「だぁぁ!!!!?」

 

…パック整備の必要が無いため生まれた暇時間、今必死に練習していた。

 

「ラウラ、大丈夫?」

 

「御姉様、大丈夫です……しかし、辛い…少し左に回避行動とすれば、吹っ飛ぶように左に行ってしまう。過敏だけならともかく、性能も良すぎる」

 

「……確かに」

 

ACとして考えても明らか異常なこの性能。

一体なんのためにこの機体はあるのだろうか。

謎に雁字搦めにされてる気分。

胸がモヤモヤとする。

そんな時、向こうの方が騒がしくなった。

確かあの辺は一夏と箒がいたはず。

 

「…ちょっと行ってくる」

 

「ああ、いってら…ぬぉが!?」

 

相変わらず苦戦するラウラを置いていくのは気が引けるが、好奇心に任せて、私はその場をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論からいえば、私は呆然とすることになった。

そこに付けば、不思議の国のアリス。

その絵本から飛び出したかのような服を着た、あの篠ノ之束が織斑千冬にヘッドロックを受けていたから。

…というか千冬さんも束さんも何してるの。

あ、束さんと目が合った。

 

「ああ!あーちゃん助けて、ちっひーが束さんの頭を潰そうとするぅ〜!」

 

「千…織斑先生、状況教えて…」

 

「あぁん酷い!」

 

嘆く束さんをスルーして、千冬さんに状況を説明してもらう。

千冬さんも困惑した表情で話してくれた。

なんでも箒の誕生日らしく、束さんが専用機をプレゼントしに来たらしい。

それでそのついでに色々ドタバタしてたと。

 

「へぇ…」

 

「あー!そうそう、あーちゃんにも用があるんだ!」

 

「え、私?」

 

まさかのシフトチェンジに、少し困惑する。

そんなことつゆ知らずと言った様子で、束ねさんが指を鳴らせば、人参型のロケットが降ってくる。

轟音とともに着陸した(というか墜落した)ロケットは、やがてゆっくりと開き、中を覗かせた。

 

「じゃーん!!あーちゃんの拡張パック、やっと出来たよ!!」

 

その中身を見て、私は懐かしさと同時に嫌な顔になっただろう。

中には、元の世界で色々お世話になった【アレ】かあった。

 

「束さん…これ」

 

それしか言えなかった。

当たり前だ、まさかこれを作るなんて。

【VOB】、ACを高速突入させるための外付けブースター。

しかしその正体はもはやACを弾頭にしたロケット。

高G耐性のある私でも、移動時何度か死にかけたり、途中で爆散したり、捨て駒のように使われた時にも装着してたりと、ろくな思い出のない品。

まともな思い出なんて、あのアームズフォートに突っ込んだ時くら…いやあれも大概かな。

 

「ごめんね…これはすぐ作れたけど、束さんでも武器とかはできなかったよ」

 

少し申し訳なさそうに謝る束さん。

いやいやVOBをすぐ作るって言うのも大概だと思うよ。

流石天災と言ったところかな、でも流石に話伝いで武器は厳しいみたい。

いや、話伝いでアレサやVOBも…やめよう、堂々巡りだ。

 

「あ、それから最近仲良い娘いるでしょ?その娘も連れてきて!」

 

その言葉に反応したのは千冬さんだ。

驚愕と言った表情で束さんを見る。

 

「ラウラのこと?」

 

一応確認を取るように束さんに聞く。

すると満面の笑みでうんと答えてくれた。

なんでまたラウラに興味を持ったのか疑問だけど、言われた通りにラウラを連れてくることにした。

ラウラには篠ノ之束さんが呼んでると伝えれば、疑問の顔になりつつ付いてきてくれた。

 

「それじゃあラウラウ、IS見せてー!」

 

「ら、ラウラウ?は、はい」

 

そう言ってラウラは例のISを起動する。

すると束さんは高速で何かをし始める。

速すぎて何をしてるのかさっぱり分からないけど、しばらくしてその正体がわかった。

 

「ふふふーん!実物さえあればねー!」

 

その言葉を最後に、束さんが何かするのをやめる。

するとラウラが驚いた表情になり、空へと舞い上がる。

 

「おお!!動く、ちゃんと私の感覚で動くぞ!?」

 

…驚いた、まさかあの短時間で、あの拒絶するISを調整したの。

 

「そこは天災束さんですからー、敵対反応を消すなんて容易いのだ!エッヘン!!」

 

バルンと自身の胸を揺らしながら答える。

 

「これで【私の方】もできそうだよ」

 

少し気になる発言をする束さん。

そう呟いた後、私の方を振り向いて、束さんは何かを言おうとする。

…なんだろう、凄い嫌な予感が……

 

「ねえあーちゃん、私と戦わない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初その言葉を聞いた時は、私の耳がおかしくなったのかと思った。

私以外の皆も、様々な反応ではあったけど、皆が驚愕していた。

 

「何…束さん」

 

開いた口が塞がらないとはこの事かな。

未だに満面の笑みを浮かべる束さん、正直今の状態だと不気味。

そんな束さんが口を開く。

 

「知りたいんだ、あーちゃんが【今】、どこまで戦えるか。【首輪】を外さずにどこまでやれるのか」

 

【首輪】、その単語に私は反応した。

もしかして束さん、私が【私】に戻ることを懸念してくれてるのか。

それを裏付けるかのように、束さんの表情は真剣そのもの。

初めて見た束さんの真面目な顔だった。

 

「わかった…でも束さんもISに乗るの?」

 

「もちろん!まあ…あーちゃんがよく知ってるのに乗るけど」

 

またも気になる言葉を残して、束さんは1歩下がる。

既に周りは大騒ぎに近い状態だ。

なんせあの篠ノ之束が【戦う】と口にしたんだから。

もちろん千冬さんも猛反対と言った様子で、今にも口に出そうとしてた。

 

「ごめん、千冬さん。反対しないで」

 

私は咄嗟に声が出た。

何を言ってるだと千冬さんの怒号に近い言葉が響く。

それでも私はそれにNOと答えた。

 

「必要な……事だから」

 

「……わかった」

 

それについに千冬さんが折れた。

一夏も心配そうに私を見てる。

だけれど、心配しないでと伝えた。

 

「束さん、いいよ…やろう?」

 

「よっしゃ!じゃあ早速やろうか!!」

 

そう言って、束さんは私の手を取って、浜辺へと走り出すのだった。

私と束さんの、奇妙な戦闘は、こうして始まろうとしていた…

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