インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活 作:しじる
真っ暗な空、緑色した粉が降り注ぎ、辺り一帯砂漠で寒い。
そんな場所に俺はいた。
俺は、箒を庇って意識を失ったはずだ。
それなのに、どうしてこんなところにいるんだ?
「気がついたか?」
ふと、後から声が聞こえた。
振り返ってみれば、そこには一気の巨大なロボットがいた。
それはどこまでも白く、閃光のように美しい。
鳥のようなロボットだった。
だけれどもそれは何故かアリサの乗ってる機体に似てると思ったんだ。
「あんたは…一体」
ただ一つ鎮座するロボットに声をかける。
するとそのロボットの肩には一人の少女と、男性が座っていた。
彼がさっき声をかけたのか?
「私に名はない、既に消えた。代わりに呼ばれてる名はあるが…まあどうでもいいだろう」
そう言って男は、少女と一緒に俺の前に飛び降りる。
結構な高さがあったが、なんの苦もなく2人は着地する。男はそのあと、暫く俺を見つめたあと。
「力が欲しいか?」
そう聞いた。
俺はしばらく考えたけど、答えた。
「欲しい」
「なぜだ?」
男は答える。
そして神妙な顔で続けた。
「これは本来お前が手にする力より強大だ。【神話の時代において、神とは力である】。この【神】と呼ばれた力を手にすることは、お前の人生を大きく変えるだろう。悪い方向へと。それでもか?」
男の言葉に、俺は迷うことなく欲しいと答える。
その疑問を浮かべた顔に、俺は言った。
「力があれば、皆を守れるから。それで俺の人生が悪い方へ変わるっていうなら本望だ」
「…そうか」
そう言うと、男は消えた。
少女もあとを追うように消える。
しかし鎮座していたロボットは、その目を青く光らして立ち上がる。
その佇まいはどこか騎士のようで、天使のようであった。
白く、何もかも受け入れるような白。
『【アナトリアの傭兵】、かつて私が呼ばれた名だ』
ロボットは俺に目を向けながらそう答えた。
『問おう、力を欲する少年、名はなんだ』
「織斑…一夏!」
目が覚めればそこは旅館の天井が見えていた。
そうだ、俺は銀の福音に撃ち落とされて、それで意識を失ったんだ。
ゆっくりと体を起こす。
不思議と痛みはなかった、代わりに待機状態の白式の形が変わっていた。
それは白い羽のようで、ガントレットと言うよりブレスレットに近いものになっていた。
それを認識すると、突如ある名前が頭に浮かび上がる。
「ホワイト・グリント?」
それがコイツの名前と気づくのに、そう時間はかからなかった。
その時、旅館の外から大きなブースト音が響く。
それにつられて俺は外へ飛び出す。
そうして見てみれば遥か彼方、ラウラが飛んでいくのが見えた。
方角からして、銀の福音がいた場所。
「一夏!?お前起きて大丈夫なのか!」
箒の声だ、振り返れば箒だけじゃない。
セシリア、鈴、シャル。
それに千冬姉や束さんもいた。
「何が起きてるか教えてくれ、皆」
俺の質問に答えたのは束さんだった。
俺がに眠っているあいだに何があったのか、全て教えてくれた。
俺の怪我を、自分のせいと思い詰めたアリサが、銀の福音を倒しに、いや【殺し】にいったと。
それを止めるために、ラウラが飛び立っていったと。
「……皆、行かないか」
自然と声が出た。
俺の言葉に、皆が視線を向ける。
俺は言葉を続けた。
「多分、アリサは怖いんだと思う。自惚れに聞こえるかもしれないけど、俺はアリサの、ある種の支えだったんだ。それが壊れてしまいそうで、それが怖かったんだと思う。そんな怖い思いを、またするくらいならって…そう思って、元へ戻ろうとしてるんだと思う」
その話を聞いて、皆が顔を合わせる。
「頼む、俺一人だと、多分アリサは帰ってこない。俺一人だと、守りきれないものもある。だから、頼む!アリサを…助けてくれ!」
俺は頭を下げて、皆に頼む。
皆思い思いの表情をしていたが、最初に口を聞いたのは鈴だった。
「死んだら祟るからね」
そんな軽口を叩くが、その表情は明るかった。
続けてセシリアも。
「私も、彼女にはまだまだ教えて欲しいことがありますわ」
シャルも。
「僕も、アリサにまだ何も返せてない。アリサに恩返ししたい!」
そして、箒も。
「アイツはあまり好きじゃないが…だけれども、いなくなるのは嫌だ」
皆が皆、俺の言葉を聞いてくれた。
嬉しさで、俺はまた頭を下げた。
「皆、ありがとう!」
「…出撃許可はもう出したぞ馬鹿生徒どもめ」
口を閉じていた千冬姉は、俺たちの話が終わるのを見やって言葉を出す。
もしかして、黙ってたのはこのためか?
「お前達よりも馬鹿なアイツを…助けてこい」
それを聞いて、俺たちは一斉にISを展開。
みんな一緒に宇宙へ舞い上がった。
「って一夏、あんたのそれなんなのよ!」
あっ…
締まらないが、このあと目標地点到着までずっと皆にホワイト・グリントのことを聞かれ続けることになった…
白はさらに輝き、閃光となる
黒を白へと変える光へと