インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活 作:しじる
【レイブン】と【ホワイト・グリント】、そして【ナインボール・セラフ】。
対峙するのは【ラインの乙女】。
4つの機体が美しく、擬似コジマ粒子の弧を描く。
最初に動き出したのは乙女であった。
QBを連続で発生させ、まさに消えるように加速する。
アリサはそれを見て呟く。
「流石【324KBの死神】、シュミレーターと同じ動きを現実でもするか!」
『同じAIとしても尊敬するねぇ』
レイブンも同じように、アリサにしか伝わってなくとも呟く。
そのデタラメな移動は、一種の舞にも見え、見せるものを魅了する。
しかしそれは、その手に持つ銃の砲火が吹かなければの話だ。
「まともに狙って当たらないなら!」
一夏とラウラがミサイルを掃射するが、合わせるように乙女はフレアをまき散らす。
これだけ高速移動していれば、ミサイルは当たるかどうか疑問であるが。
撒かれたフレアに合わされて、ミサイルは全てあらぬ方角へすっ飛んでいく。
「ちぃ!」
「挟み撃ちだ、一夏とラウラは後ろへ!」
アリサの指示に従って、一夏とラウラは散開。
アリサ自身は正面から乙女に突っ込む。
暴力的な速度で移動する乙女に振り回されながらも、アリサは手に持つライフルで攻撃を行う。
しかし撃てば撃つほどに回避され、お返しとばかりにライフルが飛んでくる。
後に回った一夏は、たどたどしくはあるが、新たに手に入れた銃で乙女を狙おうとするが…
「くそ、ダメだ…目で追えない!」
ラウラはラウラで、パルスライフルとバルカンを掃射し、確かに乙女を狙う。
だか弾は一部当たってもPAに吸われて無力化される。
「人のことは言えないが、やはりデタラメな力だな!」
爆音と閃光が戦場を彩る。
乙女とレイブンの砲火が散り、そこにホワイト・グリントとセラフの援護が飛ぶ。
アリサがミサイルを打ち出し、ラウラがパルス、一夏がブレードを取り出す。
雪片二型、ホワイト・グリントになってもまだ彼の手にあった。
あれを打ち込めば、アリサはそれを考えるが厳しいと却下。
爆音が響き渡り、乙女は加速を続け、アリサへと突貫。
そのライフルをアリサへ突きつける。
「がっ!くっ!!」
発射される前に蹴り飛ばし、迎撃に月光を振るうがまた回避される。
しかしその隙を逃さないとばかりにラウラのブレードが差し迫る。
「避けても無駄だ、セラフ!!」
ラウラの声に合わせて、ブレードから光波が打ち出される。
そこまでは計算外か、ようやくまともな直撃を得る。
しかし体制を立て直し、反撃とばかりに乙女はAAを打ち出す。
赤の光があたりを照らして、3人を巻き込む。
「2人とも大丈夫!?」
「問題ない続戦する!」
「俺も大丈夫だ!」
2人の無事を確認し、アリサはほっと息をつく。
しかし休む暇はない、乙女は攻め立てるように3人へ攻撃を行う。
その苦しいさ中であった。
『パイロット適合完了。アリサ、そろそろ力を使おうか』
「…レイブン、力って?」
突如告げられたアリサは困惑する。
それを逃がさぬ乙女は、速度の乗った4連キックを打ち出す。
アリサ、これに反応できず、ガィィンと大きな破砕音がと共に海中へ叩き込まれた。
「アリサ!」
「御姉様!」
2人の声があたりに響く。
だが2人とも乙女から目は話さない。
すぐ様飛んでくる乙女のライフルを回避し、迎撃にあたる。
一方海中のアリサ、装甲ダメージはそれなりにあるが、本人へのダメージは意外となく、意識ははっきりとしていた。
「…っ。で、レイブン力って」
『ごめんね急に止めて、アリサ忘れてたから』
そういうと、レイブンは急に何らかのシステムを起動する。
『ジェネレーター出力再上昇、オペレーションパターン2』
「レ、レイブン?」
アリサの困惑を他所に、レイブンはシステムを進める。
『対ネクストモード起動、【
レイブンがシステムを完全に起動させると、一気に周辺の海水が蒸発。
水蒸気爆発となって、あたりに轟音を響かす。
それはある種の産声にも聞こえたかもしれない。
「やっぱり無事だったんですね、御姉様!」
ラウラの心配の声、しかしそれと一緒に一夏が告げる
「お、おいなんかシールドエネルギーが【零落白夜】を使ってる訳でもないのに、緩やかに下がってるんだが…」
一夏の言葉通り、2人のシールドエネルギーは緩やかに下がっていた。
しかしそれ以上に乙女はシールドエネルギーが激減し続けていた。
何が起きてるか、アリサ本人もさっぱり分からなかったが、レイブンがその疑問に答える。
『ワンオフアビリティ【灼滅】、周辺に超温を撒き散らし、味方反応がある機体にのみ冷却フィールドを付与する』
「なにそれ…」
簡潔にいえば、ISの絶対防御が発動するレベルの高温を撒き散らし続けているのだ。
そのため、味方反応がある一夏とラウラは冷却フィールドが展開され、ある程度緩和されているが、それのない乙女は大打撃を受けている。
「また
感心するラウラを他所に、乙女が猛スピードでアリサに向かう。
当たり前だがアリサを機能停止させなければ、自身が焼き殺されてしまうからだ。
機械らしくもない焦りが見えた。
それが決め手になった。
向こうから向かってくるなら如何様にもできる。
アリサはその場から引きながら撃ち始める。
それに合わすように一夏とラウラが乙女を囲う。
最期を告げるかのように、戦場に雨が降り出す。
「オービット!」
ラウラの声に合わせて、セラフの背後から複数のビットが現れる。
「雪片ぁ!!」
一夏の叫びで雪片二型が光を放つ。
オービットとラウラの波状攻撃により攻撃の機会を失い、高速でデタラメな回避を行っていた乙女も、アリサの【灼滅】によって徐々に融解していく。
そこへ一夏の【零落白夜】が突き刺さる。
輝く白の閃光が、無けなしのシールドエネルギーを蒸発させ、残った乙女本体は一気に燃え上がる。
鉄が一瞬で燃え上がる【灼滅】、それがいかに恐ろしいか叩きつけられるが、しかしこの力が【滅ぼす】為ではなく、【護る】ために使われると知っている2人は、燃え落ちていく乙女を見つつ、アリサを見やる。
そこには、今だアリサがいた。
全身装甲故に表情は伺えなくとも、その言葉は聞こえていた。
私は恐ろしい
そうだ私は恐ろしい
全てやっと理解出来たから
だから私は怖かったんだ
全て幻に消えると思ってたから
全てが欺瞞と思えてたかは
いつか来る終焉に私の魂が震える
雨降るこの夜に、自分自身へ反旗を翻そう
静寂の中に響く声は誰の声?
心の奥底覗いたならば
見えたはずさ、私は自分が恐ろしかったんだ
そうだ、全て夢物語と諦めていた
「皆聞こえてる?________________ありがとう」