インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活 作:しじる
「あーっ!かんちゃん見事なバースト読み!かんちゃんが、画面端!小島コンボ、綺麗に決めて!かんちゃんが、まだ入れる!!」
宙に浮かされ、バスケットボールのようにバウンドさせられるアリーヤ川手。
ライフが恐ろしい勢いで削られていく。
隣にいる簪の微笑む顔が見える。
一体どうしてこうなってしまったのか…
そうあれは、確か数時間前のことだった。
銀の福音とラインの乙女戦から少しして、IS学園の夏休みが始まった。
夏休みと言っても、通常の学校よりは短い。
当然といえば当然だけれども、ISという現行兵器として使われてるものを学ぶ故に、学習内容は膨大。
そんなに長い休みはあげれないということだ。
そんな休みの中、私はラウラやのほほんさんと一緒に、簪の家に遊びに来ていた。
所謂お泊まり会というやつらしい。
私はともかく、本来ならドイツに帰るはずのラウラが何故泊まれるか。
それは単純、今だセラフがラウラ以外に触らせる気がないからだ。
一応帰国して、研究機関に調べてもらおうとしたらしいけどね。
そのせいで帰国してもやることが少なく、本業の【黒兎隊】の仕事も、平和な今では暇な日々。
おかげで日本にすぐ戻ってこれたというわけだね。
ちなみにお泊まり会と言っても、私とラウラの手荷物は少ない。
私たち、そういうのに疎いから…2人とも制服のままだ。
一応パジャマは千冬さんが2人のを選んでくれたから、それを持ってきてるけど。
「しかし…それにしても大っきいね……簪の家」
「うむ、古き良き日本の家と言った感じがするぞ!」
私とラウラがそう零せば、少し恥ずかしそうに簪は頭をかく。
「更識家は代々伝わる由緒正しい一族だからね、そうですとも〜!ねぇかんちゃん!」
のほほんさんが解説してくれる。
そう言えばのほほんさんはこの近くに住んでるんだっけ?
そんな話を前に聞いた覚えがある。
あれ住み込みって言ってたっけ?
…どっちでも良いかな、簪と仲がいいのはその為というのは変わらないし。
そんなどうでもいいことを考えていたら、早速ご家族さんらしき人が家から出てきた。
簪と同じ水色の髪、そして目を引く赤の瞳。
もちろん私の汚い赤ではなく、宝石のように煌めく赤だ。
「あ、簪ちゃん…」
「お父さんとお母さんは?」
「えっと…今は……」
「そう……」
それだけ言うと簪は先へ先へと消えていく。
…随分と険悪な関係に見えたな。
人は無関心になれることはあれど、あそこまで執着しているなら、何らかの関係はありそう。
そんな勝手な想像をしながらも、その人に一礼をして声を出す。
「簪の友人、アリサ・ヴァン・カーチスです」
「あら、簪ちゃんの友達が1年首席だななんて、なんか運命感じるわね」
…え?
なんで私がそうだと知ってるんだろう。
そんな疑問が頭に走るが、そういえばこの人見たことある気が…
「あ、生徒会長…」
「覚えててくれたんだ、それは嬉しいな」
そう言って、どこから取り出したのか扇子を広げた。
そこには【大歓喜】と書かれていた。
そうか、そう言えば生徒会長の名前は【更識楯無】って言ってたね。
「簪、会長さんの妹?」
「どうして教えてくれなかったのって顔してるわね?」
そう言って会長はまた扇子を開く。
【困惑多大】と書かれ…え?
さっき【大歓喜】って書かれてたはず…
「ふふふ、さあ、簪ちゃんと遊びに来たのでしょう?家へどうぞ」
困惑の中、私は簪の家もとい、生徒会長の家へ入ることになった。
それから部屋を案内され、その素晴らしさに圧倒されつつも、簪の部屋にたどり着いた。
それからだった…私対簪の格闘ゲーム戦が始まったのは…
GAME OVER!!
私のアリーヤ川手がリングに伏せる。
簪操るアクアビットマンの猛攻に倒れたのだ。
相性的にはアリーヤ川手は有利なんだけどなぁ…勝てない。
「強いね、簪…臨海学校の時もそうだったけど……全く勝てない」
そう、簪はすごく強い。
油断すればあっという間に1セット取られる。
この新しいアクアビットマンの格闘ゲーム【アクアビットマン・(´神`)の試練】。
色んな修正や、新キャラの実装で、ファン大歓喜の大ボリュームに仕上がってる。
その修正のおかげで、一強だった興こと【弱王】が本当に【弱王】になってしまった哀しみを背負ったけど。
それ以外はバランスよく強化や弱体化をさせてくれてる。
「つ、次は私だ!御姉様の敵だぁ!」
ラウラがコントローラを片手にテレビの前に座る。
新たなる挑戦者に、簪はふっと微笑む。
やっぱりゲームしてる時の簪、すごい生き生きしてるなぁ…
そんなこんなしてる間に、ラウラは初心者お勧めと呼ばれてる本作の新キャラことラスボス【(´神`)】を選択。
常時アーマーを持ち、全ての攻撃が超火力。
リーチも圧倒的で、並のプレイヤーは、その暴力的な火力に、ただ焼き尽くされるだけとされてるが、しっかりと弱点もある。
まずタンク故に当たり判定が大きく、1部の必殺や超必殺技がありえないくらい多段ヒットしてしまう事。
振りが大きいため、スカッたりガードされると全てが反確になってしまうこと。
そして唯一キャラクターの中で、ジャンプもダッシュやステップも使えないこと。
超必殺技が全て必殺技強化のものだということ。
ボスとして登場した時は、ちゃんとその弱点の1部は改善されているが、これはプレイアブル。
その弱点がある。
『正義のために!コジマフラッシュ!!』
『(´神`)全てを焼き尽くす』
【ここたま!!】
開始のゴングがなり、先制をとったのはラウラ。
必殺技の1つ、【総監督キャノン】が火を吹いて画面を埋め尽くす。
ジャストガードする簪、ジャストガードによって生まれた有利フレームのあいだに【小島剣(昇龍型)】を打ち込んで飛翔する。
「飛んだところで!」
合わせるように【総監督ブレード】が伸びる。
それもジャストガードして削りダメージすら与えずに、多段技【小島キャノン】を打ち込む。
って、【(´神`)】に多段は…
「うわああ!?」
ラウラの顔が一気に青くなる。
それもそうだね、ライフが3割も消し飛んだらそうなるね。
その後もラウラの攻撃は全てジャストガードされて、全ラウンドパーフェクト。
簪の圧勝であった。
「ぶいっ」
そこには自慢げにピースする簪と、頭を抱えて落ち込むラウラがいた。
「御姉様ぁぁ……」
あぁ、泣かないでラウラ。
泣かなくとも私は簪と戦うし、敵…取るつもりはないけど、取れたらとるから。
そうしてまた簪に振り返る。
簪はやる気満々見たい。
「……はぁ…簪、もう1回」
「いいよ、アリサ強いし楽しい」
そう言ってラウラからコントローラを貰い、アリーヤ川手をもう一度選択。
『正義のために!コジマフラッシュ!!』
『初戦敗退?何のことだ?』
【ここたま!!】
ゴングと共にアリーヤ川手とアクアビットマンが飛び出す。先手は簪の【小島剣(突撃)】、ガードはぎりぎり間に合って、カウンターに【マーヴ・突撃銃】を打ち込んでコンボへ繋ぐ。
アクアビットマン限定中央運送コンボ【乱入コンボ】だ。
『らんにゅ、らんにゅ、らんにゅ、らんにゅ、乱入させてもらう』
打ち上げ技の【乱入させてもらう】をダッシュキャンセルして壁端まで持ってくコンボ。
言わば無限コンボと言われるスレスレコンボでもあるが、壁端までいくと打ち上げすぎて受け身を取られてしまうため、無限ではない。
さっと受け身をとったアクアビットマンの【小島キャノン】が飛んでくる。
即座にガードするけど、やっぱり削りダメージ痛いなぁ。
そこから対地技の【小島ライフル(真下)】を打ちながら慣性ダッシュするのやめて、めくられちゃう…
「あぁ、御姉様!そこ!あ、危ない!そこそこだ!いけぇ!!」
「ごめんねラウラ…もうちょっと音量下げて?」
流石に耳元で大声はきつい…あっ。
しまった、【小島剣(昇龍)】をもろに食らっちゃった。
バーストして逃げないと…あっ、あっ…
「あーっ!かんちゃん見事なバースト読み!かんちゃんが、画面端!小島コンボ、綺麗に決めて!かんちゃんが、まだ入れる!!」
アリーヤ川手がボールのようにバウンドさせられ、隣に見える簪の微笑み。
これはセット取られたなぁ…
…というかのほほんさんいつの間に実況を……
「かんちゃんが、近づいて…かんちゃん決めたァ!!1セット目はかんちゃんがとったぁ!!」
んー強いなぁ…やっぱり。
頭を書きながら私は思う。
しかし、ラウラにあんなこと言った手前、せめて1セットは取らないとな。
【ここたま!!】
第2ラウンドのゴングがなって、次の先制は私がとった。
バックステップ回避してくるだろう簪を狩るかたちで、ダッシュしてから突撃技【オーバードブーチャス】、通称スタイリッシュ前蹴りを直撃させ、受け身狩りとして【乱入させてもらう】を置く。
見事に簪はこれに引っかかる。
そのまま壁端まで運送して、バースト読みしてバックステップ。
「おお、一気好転ならぬ一蹴好転!かんちゃんがあーちゃんに攻められてる!画面端、画面端!おぉっとバースト読まれた!」
読みは当たって、バースト空打ちで隙だらけのアクアビットマンに超必殺技【黒い疾風と呼ばれた理由】を当てる。
『見せてやろう、これが私が【黒い疾風】と…』
アクアビットマンを蹴り上げ、画面から消えるほどの高速移動を左右にしながら、アクアビットマンを切り刻んでいく。
そして最後に上空に現れ、その手に持ったヒートパイルを叩き込む。
『呼ばれた理由だ!!』
カウンターヒットによって、この攻撃を受けてバウンドしたアクアビットマンへ追撃するため、残ったゲージをキャンセルに使用。
硬直を消して、追撃。
バーストを吐いた簪にはなす術なし。
そのままアクアビットマン限定壁コンを決めてセットを奪った。
「あーちゃん綺麗に締めたァ!これでお互い1セットずつだ、勝負が分からなくなってきたよぉ!!」
「流石アリサ…次はもらう」
「今日こそ、今こそ勝つよ、簪」
そうして運命の3セット目
【ここたま!!】
ここからは相殺合戦だった。
お互いが1歩も引かず、だがお互いが狙った場所を同時に打つため、ある種の奇跡で相殺が起きまくっていた。
文字通り火花を散らす戦いとなっていた。
しかし物事には終わりがある。
先にミスしたのは簪だった。
ミスと言うよりも事故だけど。
簪のメガネに、運悪く虫が止まったのだ。
虫と言っても蚊だ、しかし格闘ゲームはコンマ数秒のラグが命取りになる。
簪は不幸にも自身の視界に入った虫に、一瞬注意が向いてしまった。
それが敗因だった。
「あぁ!アクアビットマンが読みそこねた!中段が刺さって、はい!はい!はい!!」
しゃがみガードしていたアクアビットマンに、スタイリッシュ前蹴りをかまして、しゃがみ喰らいから空中へ持っていく。
のほほんさんの声に合わせて、技が決まっていく。
アクアビットマンの体が徐々に宙に浮いて行って…
そしてバウンドし始めた。
すぐ様受け身を取られる前に超必殺技【黒い激流】を打ち込む。
その手に無数のヒートパイルを手にして、アクアビットマンを地面に叩きつける。
そして、全てのヒートパイルを同時に点火。
強烈な炸裂音と一緒に、アクアビットマンのライフが消し飛んだ。
「やってくれたぁ!!あーちゃん、ついにかんちゃんを倒したァ!!アクアビットマンシリーズIS学園無敗のかんちゃんを、ついに倒したァ!!」
「御姉様、御姉様ぁ…私は信じていましたぁ!!」
あの後もう1戦したけど、簪に流石に2連勝出来るほど甘くなかったよ。
すぐに対策されて負けた。
けれど、まあ1回でも簪に勝てたからいいかなって思う自分がいる。
…それからラウラ、もう流石に離れて……夏だから暑いの。
「やっぱり面白いよ、アリサと一緒だと」
簪が笑顔で私に伝え、そして手を伸ばした。
ああ、私もだよ。
そう伝えて私も手を伸ばした。
改めて、私たちはその友情を深められた。
夏はまだ始まったばかり。
人生初の夏休み、もっとこうして幸せに楽しめていけたらなぁ…
そんなこと、この時は考えていたんだ。
あの日、あんな事が起こる日まで…
神話の時代において、神とは【ガチタン】である(´神`)
アリーヤ川手を倒し、ヴォルカの野望に終止符を打った小島隆二。
しかし戦いは終わっていなかった…
巨大な戦車と動く要塞城を携えた(´神`)、そして(´鍋`)と呼ばれし巨大な敵が現れた!
彼らの目的は…すべてを燃やし尽くすこと。
戦え小島隆二!
世界の明日を緑に照らせ!
戦え僕らのアクアビットマン!
神さえ超える力を見せてくれ!!
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