インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活 作:しじる
街が爆撃される数分前。
ステルス航行を続ける武装ヘリに吊るされた30機のIS。
その全てにパイロットが乗っていたが、殆どがどういう訳か【男】であった。
ISは本来女性しか乗れないものである。
それであるのに、いるのは1人を除き皆男であった。
『ただの傭兵…そういう風には、もう生きられん時代になったと思ってたのだが…』
『【財団】とか言ったか?アイツらには感謝しないとな』
『何にしても、これで散々泣かされたISを扱えるのはありがたいな』
ISに乗っているのは、どうやら皆傭兵のようである。
それに1人除き、皆財団からISを貰ってるようだ。
それもそうだ、ISの登場によって、各世界の紛争は無くなった。
それはISの圧倒的戦闘力に適うものがなかったからだ。
数を揃えれば話は別だが、そんな金を使う戦争はまずない。
起こるのは小規模なテロ程度。
かつての傭兵なら、雇われるという形で参加したが、ISが出張ってくるのが分かって参加する者はいない。
フリーランスの傭兵は、そういうこともあってか衰退していってたのだ。
しかし、ここに集まった者達は皆、かつてフリーランスで活躍していた、大なり小なり名のある傭兵だった。
しかしその中でも一際目を引く者がいた。
それは唯一の女性。
唯一ISを持参した存在。
それは音程が酷い状態で、歌を歌っていた。
「わ〜た〜し〜サラ・ドレス。せんじょ〜の、べに一つ。わ〜た〜し〜サラ・ドレス。い〜つ〜も〜、べに一つ」
彼女の名前だろうか、サラ・ドレスと口ずさみ、ISのサラウンド機能を使って、大音量でなにかの音楽を聞いていた。
無論プライベートチャンネルでだが。
『随分と元気の良い嬢ちゃんの声じゃないか。これが【串刺し恋乙女】と噂の傭兵とは……思えんなぁ』
傭兵の1人が呟く。
それに合わせてほかの傭兵たちも皆彼女を見る。
彼女の装備いるISは全身装甲故に、その容姿は見えないが、彼女の手に持つ武装に目が向く。
それは所謂パイルバンカーだ。
両手ともパイルバンカーなのだ。
二つの杭を打ち出すタイプなのだろうか、それには杭が2つ装填されていた。
また目を引く逆関節の脚部は、ISではあまり見られない特殊なものであり、それもよく目を引いた。
そんなとき、財団からメッセージが全員に届く。
『やあ、こんばんわ諸君。そろそろ時間だよ』
そう言って、財団は任務内容を再度傭兵達に伝える。
『依頼はごく単純、目に付いたものは全て破壊しろ。人も、物も全部だ。この作戦は、今後世界を君たちの過ごしやすいものに変えるために必要なんだ。傭兵が、殺しに抵抗を持ってるとは思わないけどね。また、当然だけど日本のIS部隊の介入もあるし、IS学園から何らかの干渉があるかもしれない。報酬は出来高性、つまりここにいる30の友人達は同時にライバルでもあるわけだ。こんなところかな、僕らも僕らの部隊で参加するからそのつもりで。さあ、一緒にめちゃくちゃにしようじゃないか!』
その言葉が終ればステルスが解除される。
傭兵たちは全員目の前の事象に集中する。
ミサイルが放たれ、街が火で包まれる。
『こりゃひでぇ』
『仕事だから別にいいがな…』
『俺たちまで焼かないでくれよ〜』
一般的な感性を持つ者もいれば仕事と割り切る者、冗談を言う者もいる。
そんな中サラ・ドレスとは言うと…
いまだ歌っていた。
『サラ・ドレス始まるぞ。いつまで君は歌ってるんだい』
「アハハ!ごめんねえ財団〜、ちょっと久々に興奮しててね。歌でも歌いたい気分だったんだ!」
不気味なほど元気に返答する彼女を差し置いて、ミサイルは猛然と街を破壊していく。
「ちょっと〜私たちの取り分残るの?」
『残るよ、あれじゃ全部は無理だ』
真面目に答える財団と比べ、彼女は相変わらず飄々と答える。
その応答はすぐに切れる。
ミサイルが放たれ、それに合わせるように次々と傭兵たちが戦場という野に放たれていく。
「あそっか〜、あ、次私だ!よ〜し、久々に楽しんじゃうよ!!強いヤツ、出てくるといいなぁ…」
そう言い残し、彼女は武装ヘリから投下された。
『さて、候補者2名……どっちが残るか。何にしても手はず通り、N』
『了解、修理完了。投下後、織斑一夏を【抹殺】する』