インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活   作:しじる

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mission45 串刺し恋乙女

戦火はいまだ広がり続け、破壊が止まらない。

崩壊していく街、そこへ駆けつける自衛隊。

その中でもIS部隊は、先行を切って辿り着いた。

 

「各員、訓練通りにやれば行ける。余計なことはしないこと!いいね!」

 

隊長と思われし者が伝えれば、1人除いて皆答える。

それもそのはず、その1人は女尊男卑の思想を持ったものであった。

そうではない隊長に従うのが面白くないのだろう。

しかし仕事と考え付いているようだ。

そんな奴らを地上から偵察()ながら、私はニヤリと笑う。

私の足元には大量の死体と瓦礫があった。

全て私がやったものだ。

報酬はこの時点で結構ウハウハだろう。

それでも私は満足なんてしていなかった。

片方のパイルバンカーを3点バーストのハンドガンに切り替え、ブースト音で気づかれぬように壁を蹴り、駆け上がる。

登りあがった場所には、私と同じことでも考えていたのか、先客がいた。

そいつは顔なじみだった。

 

『あれ?あんたたしか…』

 

『おお、久しいな【串刺し恋乙女】。イランでの援助以来か!』

 

そう、たしかイラン出身で、私がイランで起こった小規模テロの傭兵だった男。

へぇ、ここに参加していたんだ。

 

『あの時の恩はまだ返せてないのでな、お前が手伝ってくれたおかげでイランでは女尊男卑を行う馬鹿はいなくなったんだ』

 

『仕事しただけだけどなぁ…』

 

『いやいや、これが終わったら1杯奢らせてくれ!その為にこんな怪しい仕事を、こんな訳の分からんISを貰ってまで受けたんだ』

 

そう男は言った。

私は報酬貰ってそれでおしまいだと思ったのに、まだ恩を感じてたんだ。

変なやつ。

 

『で、私と同じことでも考えていたのかい?』

 

『あぁ、日本のIS部隊…恨みはないがな』

 

お互い合図なんかしなくても、同時にリコンを射出していた。

索敵範囲が拡大されて、周囲に残ってる傭兵達に伝達される。

 

『私はいつも通り真正面からね〜、お零れあーげちゃう!』

 

『OK乙女、それは美味しくいただくとするか!』

 

お互い頷き、私は空へ、彼は街へとそれぞれ飛び出す。

飛び出した私に、IS部隊は散開、私を囲うように展開する。

まあ当然だね、そんなことさせないけど。

 

「そこのIS、止まりなさい!止まらないと発砲…」

 

隊長の言葉を最後まで言わせない。

3点バーストが火を噴く。

流石に当たることなく回避、陣形を整えて私へ発砲し始める。

 

『アハハ!コテコテの教科書みたいな戦い方〜!わっかりやす!!』

 

挑発も兼ねて、あえてバカにした口調で煽る。

これならハンドガン要らないや。

両手ともパイルバンカーに持ち替え、一気に瞬間加速を行う。

狙うは1番実力のありそうな隊長。

 

『そらいくよ〜!』

 

「ちっ、未来でも見えてるのか!?各員引け、引きながら撃て!」

 

隊長の合図に合わせて皆引きながら発砲を続ける。

でもそれじゃダメ、私はパイルバンカーしか使わないわけじゃないんだよ!

肩に搭載したヒートロケットがガォゥと咆哮を轟かせば、全員当たらないように回避をとる。

それが、私にとっては十分な隙。

一瞬の隙、それをついて一気に接近。

どうしても教科書通りになるね、あのまま散開すれば、各個撃破の可能性があっても、1人は生き残れたのにね。

 

『そーら、プレゼント!!』

 

「なっ!」

 

隊長の懐に入った、首根っこを掴み、腹に私の自慢のこいつを突き刺す。

それだけでシールドエネルギーが減るが、これで終わらない。

炸薬が起動し、尖端に爆薬が塗られた柱2本が射出。

1発でシールドエネルギーを全損させる。

そう、私の愛用、私の相棒。

6万パイルだ。

 

「ぐぇ…」

 

普通のISの規格よりも大型で、間違ってもスポーツ用での使用は禁止されてる代物。

理論上、1発でシールドエネルギーを6万消し飛ばすと言われてるから6万パイルと呼ばれてるけど。

軍用ISでも6万なんて数字ありえない。

現にラファールを装備してたこの隊長さん、殺しきれなかった衝撃で白目向いてるし。

ほいぽーい、地上から100メートル。

これでまず1人は殺った。

 

「隊長!?お前!!」

 

激昂した隊員の何名かがすっ飛んでくる。

残ったヤツは隊長への信頼がなかったのかな、それとも恐怖か、街へ逃走を始める。

流石に背を向けて逃げるとヤバいと思ったのか、そこまで頭が回るなら戦えよ腰抜け。

そんなことを考えながら、しっかり向かってきた…3人!

3人を相手してあげる。

 

『アハハ!さあ遊ぼうか!!』

 

自分でも狂気ありと思うの笑い声を上げて、迫る3人を迎え撃つ。

ヒートロケットを撃ちつつ、パイルバンカーの次弾装填。

左右にブーストしながら近づいていく。

やっぱり隊長程じゃないね、もっとわかりやすい動き。

本当に国を守ることを任させてるのかい?

 

『それふたーつ!!』

 

「ひっ!あがっ!?」

 

苦し紛れのブレードを回避して、がら空きの後頭部に撃ち込む。

あれ掠っただけだったかな、1発で沈まない。

それじゃこれどう?

体制を回復される前に、吹っ飛びそうな隊員さんの土手っ腹を蹴り上げる。

パイルバンカーを食らって生まれた衝撃は、私の蹴りと合わさって、ギリギリ残っていたシールドエネルギーを削り取る。

そのまま放置、生身の体は重力に引かれて落下。

残り2人。

 

『纏めてかかってこいよ〜、つまんなぁい』

 

パイルバンカー先端の炸薬どうしを擦り合わせて、軽い爆発を起こす。

炸薬いらずと言えるくらいこいつら弱いわ…

期待した私が馬鹿だったかな?

まあ楽しいからいいや、アハハハハハハハ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

串刺し恋乙女に【恋心(ハート)】を串刺しにされた奴らが落ちてくるのを見て、俺は戦慄する。

相変わらずあいつはでたらめに強いなぁ。

確かにあの自衛隊の動き、教科書通りといえばそれまでだが、決して弱いわけじゃない。

下手なやつなら瞬殺されても仕方ない。

多分俺ならその瞬殺される側だろう。

財団からISに乗せてもらえるようになったのはつい最近。

素人とプロ、負けて当然。

たがあいつはプロだ、なんてったってあいつイランのテロの時には既にISに乗ってたしなぁ…

強奪機って言ってたっけ?

どうやって盗んだんだよ…

 

『おっと、お零れが来たか!』

 

そうして乙女を恐れてやってきた2機のIS。

恐怖を持ったやつと、イキった奴か。

恐怖を持ったやつは、後でどうにでもできるか。

イキったやつを先にやるか。

 

『おい女ぁ、戦場に迷い込んだか素人が』

 

どっちかと言うと俺の方が素人だが、挑発にはいい具合だろ。

キレてたら女は俺がISに乗ってることに一瞬驚くが…

 

「うっさい穢らわしい男風情が、ISに乗るんじゃない!!」

 

うわぉ、見事なまでの女尊男卑。

自衛隊がそれでいいのかよ…

いやIS部隊だけか、現に他の自衛隊の奴らは救護活動を行ってるみたいだな。

リコンから情報が伝わってくる。

 

「くそ男が、ぶっ殺してやる!!」

 

キレた女が殺意丸出しで、ショットガンを手に突っ込んでくる。

おいおい、近距離武器より先に遠距離だろ。

乙女じゃあるまいし、そんな簡単に近寄れるかよ。

俺は得意のバトルライフルを取り出し、引きながら撃ちまくる。

腐っても自衛隊、やっぱよく避けるわ。

俺も乙女じゃない、真正面からやったら負ける。

ある程度引いたらビルの影に隠れる。

女は何も考えずに俺に付いてくる。

 

「逃げるな、殺してやる!!」

 

『殺されんのはてめぇだバカめ』

 

飛び出した女は俺のトラップに引っかかる。

俺があらかじめ壊れやすくしていたビル、それを倒壊させた。

倒れてくるビル、俺しか見えてない女は、自身に影が差し掛かってから気づき、そして潰された。

絶対防御にも防げないものはある。

それは大質量に押しつぶされることだ。

流石に40階建てビルに潰されれば即死であったろう。

確認の必要もなかった。

 

「あと一つ…ボーナス貰おうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふむ、やはりサラ・ドレスが1番候補だね。次いであのイラン生まれか?』

 

『何にしても、自衛隊のISは予想通り全滅だ。Nが殺られたのは想定外だが、大方予定通り』

 

『よし、全傭兵に伝える。撤収だ』

 

『M1、殿は任せた』

 

武装ヘリのうち1機を除き、全ての武装ヘリがステルスをしつつ撤退する。

残った武装ヘリも、積んでいたISを投下後消えた。

そのISは、先のIS達とは違い、フレーム部分が蒼であった。

 

『はぁ、それじゃあ始めましょう…』

 

日が暮れ、夜になり始めた頃であった。

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