インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活 作:しじる
あの通信が終わり、部屋に入って来たのは赤い髪の女性。
砂漠迷彩のシャツを着て、深緑のスラックスを履いていた。
何となく私はわかった、この人が先の通信の人。
サラ・ドレスだって。
「こんにちは〜学生の皆さん!」
飄々と掴みどころのなさそうな声で、彼女は笑う。
唖然とする面々、千冬さんだって目を見開いている。
そんな困惑する私たちを置いておき、サラ・ドレスは自己紹介を続ける。
「えー、サラ・ドレス。23歳独身、使用IS名【スカーレットホーク】、得意&大好きな武器は6万パイル…いや伝わんないか、パイルバンカー!」
そうやって意気揚々と笑うサラ・ドレス。
正直に言うこっちは困惑しかしてないけど…
それにしても、【
なんでだろう、妙な親近感がある…
「まて、お前学園に雇われたのか?」
最初に口に出したのは箒だった。
まあ誰もが聞きたいことだ。
もしそうだとしたら、学園は世界各国で紛争を起こしてる傭兵を、ある種黙認することになる。
国家から独立してるって建前は立てても、国家がなくなると困るのに。
学園長は何を考えてるんだろう。
「うんそうだよ!時給ってことで1000万円ポンッとくれた!ボーナスアリで!」
金額を聞いて頭がさらに痛くなる。
コーム換算すると1000コーム、あの世界だとやっすいけど…
この世界だと整備と弾代だけで済むから、かなり高給?
そもそもそんな金額をポンッと渡す学園はなに?
だいたいポンッてなに?
さらに困惑していく私たちをよそに、彼女は言葉を続ける。
「私の仕事はIS学園の防衛、期間はなし。いつ辞めてもいいってことだけど、今面白そうな仕事ないから、この楽な仕事を選ばせてもらったよ〜。あ、扱いは一応警備員だね」
時給1000万円の警備員がいてたまるか。
皆そんな顔になってた。
そんな中千冬さんが凍結した思考から復帰、学園長に連絡を取る。
「正気ですか!?」
連絡を取って数秒後、その言葉を聞いて皆察した。
本当に雇ったんだ…
「……守れるのだろうな?言っておくが学生と舐めてると…おい!」
千冬さんの話も聞かないで、サラ・ドレスは何故か一夏の側に行く。
一夏は若干警戒するも、何故か鼻の下が伸びてる…何があったの?
「……へぇ、いい目をしてるねぇ君」
そういったあと、彼女は今度は私の方に来た。
同じように、かがみ込んで私を見る…あ、服の隙間から谷間。
それでか…
「君は…【私と同じ】だね?」
ドキリと心臓が跳ね上がった気がした。
まさか、目だけで私が、昔傭兵だったと気付いたの?
その一言で、私は警戒心が一気に満ちる。
自分でもそれなりに怖い顔になったと思う。
「んぅ〜、その顔…もっといいねぇ…」
そう言い残し、彼女は元の場所に戻り、高らかに叫んだ。
「私のことはサラでいいよー!じゃ、よろしくおねがいしまーす!!」
「なんなんだアイツは、御姉様に…!」
ラウラが真っ赤になって怒りを漏らしてる。
あの邂逅から数分後の学園食堂。
私たちは現在学園に強制収容みたいな感じで、休みの学園にいる。
まあ元々私とラウラは学園住まいだけど…
「ラウラ……怒らなくても平気…」
私に何かイッチャモン付けたと思ってるのかな。
かなり苛立った声でやっぱり叫んでる。
私たちしか今食堂に居ないとはいえ、やっぱり食堂で叫ぶのはね。
「だってあいつ……【御姉様の顔】をあんな間近で!」
……ん?
「私だって、夏休みの時、あと時だけだったのに!!」
何を言ってるんだこの子…
「私だって、私だって!!」
うん、ラウラ落ち着いて?
私多分ノーマルだから、花咲かすつもりないから。
〇塚じゃないから。
というか〇塚だったら男優は多分ラウラになるよね?
あ、ダメだ暴走してる。
本人が目の前にいるのに。
「クラリッサァ!!」
『はい、隊長!』
……そっと席を外しておこう。
身の危険を感じてきた、私の感は当たるんだ。
「なるほど、そうすればいいのだな!」
『十中八九、大丈夫でしょう!』
通信越しに『頑張れ隊長ー!』と声が聞こえる。
もう嫌な予感しかしない。
「御姉様ぁ!!」
見向きもしないで全力で走り出す。
振り向かなくともわかる、ラウラも全力で走って…っ!?
なんでセラフを使ってるの!?
「御姉様を思うこの気持ち…まさしく」
【愛だァァァァァーーーーー!!!】
「何故そこで愛!?」
ちょっ、セラフは反則!
セラフはなんで止めないの!
『熱暴走、エラーエラーエラーエラー。システム、エラー』
うそぉ!?
た、助けてレイブン!
『いいんじゃないかな?百合も…全てを白く焼き尽くす百合の花も』
うわぁ!?
み、味方がいない!
「ラ、ラウラ?怖いよ?お、落ち着こう?倫理的にも私たち女の子同士なんだから!」
「そんな倫理、私の無理でこじ開ける!!」
開けちゃダメだよ!
じょ、冗談じゃ…
ゆ、夢なら覚め……
アーッ!?
ギリギリ、レイブンが言うこと聞いてくれて助かった。
捕まる前に蹴りをかまして逃げた。
当然気分は恐怖に塗れて、暫くラウラから逃げようと思った。
けれどその後、チョコレートを奢ってもらって機嫌を直した。
……ちょ、ちょろく無いよ…
チョコレートは偉大なんだ…
一夏は一夏で久々を修羅場を味わった…
まだ鈴と実質成立したことを話してないからだ。
世界が紛争に塗れてるのにこいつら呑気だ…
そう思った織斑千冬であった。