インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活 作:しじる
ラウラ暴走から数日。
あの傭兵、サラはのんびりと学園のシンボルタワーにて歌っていた。
相変わらず酷い音痴で、耳から光が逆流しそうな程であった。
「わ〜た〜しーサラドレス、戦場の〜紅一つ。ブーブンブブン、ブーブンブブン、ブーブンブブン、なんだかなぁ〜あ」
シンボルタワーで歌ってる為、彼女の声はよく響く。
耳が変になりそうだが、私は気にせず、レイブンと一緒にセラフとホワイト・グリントの調整をしていた。
一夏の方も、白式が何故かネクストとして目覚めた以上、ネクストの戦い方を教えなきゃいけない。
セラフは厳密には違うかもしれないけど、似たようなものだ。
それで私は2人に教えていた。
「一夏、QBを蒸しすぎ。偏差のいい的。ラウラは……うん、やっぱり機体制動よりオービットだね」
「くっ(あの時必死だったできたけど…いざ落ち着いてやろうとすると)キツい…」
「分かっているが…ダメだ、上手く動かない」
2人ともそれぞれ苦戦していた。
特にラウラのオービットは、私もそこまで詳しくないから教えられることが少ない。
セシリアがイギリスに招集されてる以上、オービットは私が教えなきゃいけない。
一応2人とも銀の福音の時には動けてたから、実戦で強いタイプなんだろうけど。
「あっ!?」
「おっと……一夏、そういう時は
私のデータを元に、レイブンが作り出したホログラム。
それにしょっちゅう後ろを取られては被弾判定を受ける一夏。
一応私が1番弱かった頃、アリーヤの頃のデータなんだけどなぁ…
あ、レーザーブレードをもろに受けた。
「そのへんで」
制止の声をレイブンに伝える。
ホログラムが消えて、息が上がった一夏が残る。
「お疲れ様…えっと、はい」
「ありがとなアリサ…」
疲労困憊で、解除と同時に渡されたぬるいポ〇リを一気に飲み干す。
やっぱり実践派だな一夏。
さてラウラの方もそろそろ休ませないと。
「ラウラも、そのへんで…」
それをきいて、ラウラもセラフを解除。
お互いの反省点を、第三者の私の声で判断する。
「やっぱり一夏は機体制動だね。銃の方はシャルに教えて貰ってたから、中々良かった。剣は……なんか、見違えるほどだね」
そう、一夏の剣の腕がやたらと上がっていた気がした。
というか、実際上がってた。
ブレオンだとまず間違いなく私のホログラムが瞬殺される。一体何が一夏にあったんだと思いたくなる。
本人もあんまり自覚ないみたいだけど。
「で、ラウラの方はオービット以外は満点。機体制動もだいぶマシ。やっぱりオービット、難しい?」
ラウラはやっぱりオービットが辛いとのこと。
AICとは話が違う、セラフが支持してある程度というレベルだ。
やっぱり私だけだとまるで進まない…
せめてオービットが使える人がいたら…
「やっほーなにか面白そうなことしてるね!」
そう叫びながらサラがやってくる。
日向ぼっこは飽きたのかな?
…ふと思考にある考えが湧く。
正直望み薄だけど。
「ねぇサラ…ビットって使える?」
「お、御姉様何を!?」
私の発言に驚くラウラ。
私も出来れば取りたくなかった手段。
というか普段なら私だけでもいいかなって思うけど、いま世界は紛争多発の真っ最中。
学園だけ免れるなんてことは無理に決まっていて、いつかやってくる。
それが明日か今日か。
それがわからない以上そんなのんびりしたことしてられない。
それにずっと昔にスミカも言ってた…
【教科書には綺麗事しか書いてない。机でお勉強より、知ってるやつに体を動かさせてもらえ】って。
そして私の問いかけにサラは…
「ん〜幾らくれる?」
出来るんだね、その答えなら。
でも彼女がいくら欲しいかわからない以上、先に聞いておこう。
「いくら欲しい?」
「そっだね〜、これくらい?」
そう言って指で表す。
5本だ、5万?あるいは…
「私は学生…そこ忘れないで?」
「アハハ!流石にそれはわかってるよ!500円だよ!」
……はい?
「馬鹿にできないよ500円。ハーゲン〇ッツ買えるし」
想像より安くて一瞬あっけに取られたけど、これはいい。
ラウラに視線を向ける。
「い、嫌です!御姉様がいいです!」
「餅は餅屋、ラウラ?」
ちょっとしゃがんでラウラより視線を下げる。
そして上目。
「ダメ?」
「……ヴッ」
即回避、血が空に舞う。
これ凄いな、束さんの知恵袋、馬鹿にできない。
あっさりラウラは折れてくれて、サラの元へ。
そこで私は目がおかしくなったんじゃないかと思った。
サラのIS武装はパイルバンカーとハンドガンのみだった。
え、ビット使ってるんじゃないの?
「こっちの方が威力あるし、当てるときもちいから!」
人の心を読んでるかのように回答してくれた。
使えるけど使わないのか…
そして驚くべき成果を見せてくれた。
「もっとイメージ、敵を倒すイメージだよ。ビットを自分の体の一部と考えるんだ。射出する弾は空を飛んでる自分を想像して」
「こ、こうか?おおう!?」
サラの教え方は、流石に使えるだけあってわかりやすいみたいで、ラウラは瞬く間に上手くなっていった。
意外だ、サラは私と同じで、ほぼ感覚でやってるタイプだと思ってた。
「たしかに感覚派だけど、それを揺るがないものにする知識は持ってるよ!所謂後付の感覚派かな?」
……ねぇ、私ってそんなに顔に出やすいかな?
さっきから考えが読まれてる気がする。
「いや、私が変なだけさ。昔から得意なんだ、相手の心理を読むの!」
なるほど…
たしかにほぼ近接武器のみで戦闘していれば、嫌でもそんなふうに才能が芽生えるかもしれない。
人間は適応していく生き物ってどっかで聞いたし。
そんなこんなで、一夏もけっきょくサラにおそわることになり、かなり動きが上達するのであった。
「一夏くん凄いねぇ!一回教えたらすぐ覚えちゃう、天才ってやつかな?気づいてないみたいだけど」
サラが一夏をべた褒めする。
…なんか悔しい、教えるのは得意じゃないけど、なんか悔しくなるな。
まあ、仕方ないか。
こればっかりは、慣れていけば私も上手く教えられる日が来ると思うし。
それから数分して、一夏とラウラ。
2人の体力がそろそろ限界にたどり着いた。
ヘトヘトという程じゃないけど、オーバーワークは体を壊すからね。
サラもそれは分かってたみたいで、私は報酬の500円を手渡す。
「まいど!」
ニカッと笑う琥珀の瞳。
同じ女なのに、すこしドキッとした。
不思議な人だ…この人。
でも、警戒は外さないけどね。
……これからも500円仕込んでおこうかな?
私一人より、2人の方がやりやすいや。
さすがにOBやQB、QTとかのネクストの知識は私だけど。
それ以外はISで傭兵やってただけあってすごいや。
「そんじゃいつもの所で………」
急にサラが口を閉じる。
何事かと私たちは怪しむが、その目を見て私は察した。
なにか来ると。
間違いなく敵対する何かが。
何故ならサラの目は____________
________________獲物を見つけた猛禽類の眼だった。
「きたきたきたきたぁ!!やっと仕事らしい仕事だぁ!!」
さぞ嬉しそうにISを展開させ、あっという間に宙に舞う。
その瞬間速度こそネクストに劣るが、加速力は目を見張るものであった。
「御姉様!」
「アリサ、俺達も!」
一夏とラウラが声を上げる。
気持ちはわからないでもないけど、私たちは防衛対象なんだよね。
行ったら逆に迷惑になるんじゃ?
そんなことを考えていたけど、通信が入る。
サラだ。
「あー、先行っとくけど来てもいいよ!一緒に殺る方が楽しいじゃん!」
……この人もしかしなくても戦闘狂かな?
そう思うくらいには、非常にウキウキした声色だった。