インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活 作:しじる
迫る暴走したISの海。
砲火を撒き散らし、血の沼を作る。
前から迫るそれに、私はライフルを両手に携え引き金を引く。
量産型は誰でも使えるから量産型なのだ。
さらに言えば誰でも『強くなれる』から量産型だ。
下手な専用機よりも、量産型の方が強いことが多い。
戦場ではそれが摂理だし、【数の暴力】という言葉があるように、専用機1つより量産型10の方がずっと強い。
だからアームズフォートが生まれるわけだし。
つまり何が言いたいというと…
今の私の状況だ。
「守りながら……きっついなぁ!」
私の駆るレイブンという専用機に、ラファールや打鉄と言った量産型が50。
問答無用で、しかも何故か国家代表クラス並の動きで迫ってくる。
乗ってたのは軍人さんだから、確かに国家代表クラスと言えばそうだけど…
そのレベルじゃない。
それにこの戦い方、どこかで見覚えが…
って、考えてる場合でもない。
ラファールが何機かバズーカを構えてうち放つ。
合わせて打鉄がシールドバッシュを仕掛けてくる。
バズーカを避けないと…いやこれブラフか!
私の予感と同時。
案の定、バズーカは着弾前に爆散し、内部からベアリング弾が無数に飛んでくる。
散弾を仕込んでたか…なら目くらましがメイン。
シールドバッシュと思わせ、その後に他のISを仕込んでいた。
その手に持ってるのはハンマー。
絶対防御で殺しきれないほどの衝撃で、身体にダメージを負わす気か!
「見えたし、させないよ!」
一旦ライフルを粒子化して、月光を両手に出現率させる。
そのまま横に2本とも薙ぎ払い、リミッターを解除した月光に、真っ二つにされて落ちていく2機。
次は後ろか、後から4機の打鉄がやってくる。
それぞれが的確なフォーメーションで、私を取り囲んで撃ち込んでくる。
AAを発動させ、吹き飛ばす。
しかしそれでは仕留められない、それぞれすぐに大勢を立て直して砲撃してくる。
きついなぁ…下手に回避を行えばラウラが危ない。
「セラフ……なんでなんだ」
苦痛に歪むラウラの声が聞こえる。
それに応えるようにセラフが呟く。
『私は……人類を再生する…滅ぼす訳ではない』
『そもそも、人間に私たちは不要のはずだ。だが人間は常に滅ぼし合い、それが破滅に向かうとわかってながら止められない。ラウラは私たちは要らないと答えたが、決してそのようなことは無い。そして私たちは救世でならねばならない。救う存在と、そのような関係にはなれない。なってはならない。そもそも、人間に私たちは不要……』
「無限…ループしてる」
誰が見ても分かるだろう。
ラウラに管理人としてのセラフは要らない、友人としてなら必要と言われたのか?
それに合わせて目の前で起きてる自身そっくりACの大虐殺。
思考がバグを起こし、なにかの議題でループし続けてるのか。
人間と違う、人間ならループが続くと【もういいや】という妥協を選べられる。
疲れるからだ。
だけど疲れ知らずの機械なら、同じ議題を永遠にループさせれる。
それが原因で、ISとして機能しなくなったのか。
そして永遠にループし続けているということは、このままでは帰ってこれなくなる。
メビウスの環に囚われてしまう。
「いい加減にしろ、1人で抱えるな!悩みくらい私にぶちまけろ!付き合い短くとも【相棒】だろうが!!」
ラウラがついに切れた。
戦場全体に響き渡りそうな大きな声で、それでようやくセラフが止まった。
ありえないとでも言いたげな声色だった。
『相棒?仲間?』
「そうだ、お前は私の仲間だ。1人で抱えず、私に打ち明けてくれ…【私はお前の味方だ】」
その言葉で、セラフが大きく揺らいだ気がした。
悩みが晴れつつある、そんな感じだった。
「お前は【人類を救うためなら】私だって殺すと言うだろうな。お前は【人類を愛している】からな。それでもいい、どうせ御姉様がいなければ消えていた命。それが人類のためにというなら喜んでその【選択肢】をえらぶ。【1つの命を思う、それが愚かなものか】」
何故か、私はその言葉で、ラウラをスミカと重ねた…
「帰ってこいセラフ、私という【人類】を悲しませる【解答】はさせないぞ!!」
『能天使、私は、私たちが取るべき【解答】が、ようやくわかった気がする。私たちはやはり不要だ………戦いこそが、【戦いの中で生まれるココロこそが】人間の……否、全ての【もの】の可能性だ』
『システム再起動、第2次移行』
「セラフ!」
ラウラの言葉と共に、セラフの形状が変わっていく。
あまり派手な変形ではないが、前よりもより生き物のような形状へ。
まるで、並び立つ【天使】のように…
『私たちは、管理ではなく、並び立つべきだった…ラウラ』
「セラフ……御姉様、あとは任せてください」
そう言って、セラフが再起動し、私と共に並び立つ。
ワンサイズ大きくなってる。
私のレイブンより一回り、二回り…
『そうか、熾天使。お前はそれか……』
今度は何!?
セラフが変化すると同時に、背後から爆発音。
シャッターが吹き飛んだ。
そこには…あの【吊られた男】のISが!?
なんで、彼は一夏とサラに……
『おーいルーキー!お前以外は通してやるよー!早くしないと、IS学園やばいんじゃない?アハハハ!!』
それを聞いて、大半の人間が我先にと撤退していく。
企業に救われたと気づいた人間は何人いるだろうか…
何にしても、私はラウラに背を押され、離脱することにした。
あの男の言葉が本当なら、IS学園でなにかが起きてるのは間違いない。
急がないと…でも、なんで一夏だけ……
『残念ながら、織斑一夏。貴方は別です。貴方は、我々の証明のために、消えてもらいます。』
その言葉が、私の最後に聞いた言葉だった。
直後、逃げようとする人の波に飲まれて、私はそれから先は聞こえることなく流されて行った。
駆け足になりますが、あと数話で本編が終了します。
もうあとは書くだけです。
ここまで続けれたのは、ひとえにこの作品を見続けてくれた皆様のおかげです。
少し早いですが、ここで感謝の言葉を書きます。
本当に、3年も待ってくれて、ありがとうございました!
この作品は、後半かなり駆け足で送っておりますので、描写しきれてない部分もあり、リメイクをいつか書く予定ですので、その時に、またちゃんとしたものを送らせてもらいます。
それでは、残り数話。
最後までお楽しみください…