インフィニット・ストラトス 首輪付き少女の学校生活 作:しじる
残された一夏、そして残った鈴とラウラ。
鈴は一夏が心配で、ラウラはこの【吊られた男】が何をしでかすか監視するためだ。
この【吊られた男】が現れた直後に、あの⑨のACは機能停止。
IS達も、見守るように浮遊していた。
『見てたよルーキー、ちょっと時間かかったけどね!』
「お前…」
一夏は警戒し、鈴も武装を構える。
ラウラに至っては、既にいつでも攻撃可能だ。
『本当は好きじゃないんだ、これからやろうとしてるマジな戦いはさ…俺のガラじゃないしね!』
『主任、活躍を期待します』
主任と呼ばれた男は、女の声でやる気を出す。
一夏は雪片を抜く。
『ま、やるんなら本気でやろうか、その方が楽しいだろ!ギャハハハハ!』
そう言いながら、主任が仕掛けてきた。
その手には大型のライフルとレーザー砲。
それぞれを乱射しながら迫る。
一夏、鈴、ラウラはそれを交わし、それぞれライフル、龍袍、バルカンを打ち込んでいく。
しかし、主任は周辺にある陸軍の残骸を盾にしながら巧みに交わしていく。
正しく歴戦の名将のような戦いである。
全ての攻撃が先読みされている。
ラウラがパルスライフルを撃つが、こっちはあまり効いていないのか、そのまま突っ込んでくる。
「ちぃ!」
『残念だねぇ〜あ、ぽーいと!』
粒子化、それから取り出したのはグレネード。
それを突撃と同時にばら撒き、ライフルで撃ち抜く。
爆発と同時に破片が炸裂、周辺の一夏達にダメージを与える。
特にノーマルISの鈴は、PAが無いためさらに大きな打撃を受ける。
「きゃぁ!このぉ!」
見えないはずの龍袍、しかしそれを次々と交わしていく主任。
それをカバーするように一夏が攻撃しても、また交わされては反撃をもらう。
ラウラも攻撃するが、大したダメージがない。
『あれれ、まさかびびちゃったぁ?』
「調子に……乗るな!」
一夏が突貫する。
しかしそれは無謀にも見えた。
カウンターするように、主任が銃を粒子化、切り替えでショットガンを取り出す。
炸裂した散弾が一気に襲う。
しかし一夏はそれを恐れず、何と飛んでくる散弾を切り払いして突っ込んでいく。
流石にこれは主任も面食らったのか、そのまま零落白夜の直撃をもらう。
大きく吹っ飛び、しかしそれで倒れることなく、主任はライフルを撃ちまくる。
『へぇ、なかなかやるじゃない。それなりにはさ!』
「くっ、浅い…うぁ!?」
カウンターに蹴りを受けて、一夏は大きく吹っ飛ぶ。
PAが削られ、本体へとシールドダメージが伝わる。
「一夏ぁ!今助けるからね!」
「嫁ぇ!」
鈴とラウラの援護が向かうが、それをものともせずに、逆に反撃を行い、ダメージを与えていく。
『そりゃ無理だ、申し訳ないけど』
声とともに砲撃と、希に残骸が飛んでくる。
それぞれが目潰しとダメージを与え、援護のはずが、逆に滅多打ちにされていた。
こんなに苦戦するのはセラフ以来だ。
一夏は心の中で思った。
「何故だ、なんでお前達は!」
疑問だった。
何故ここまでするのか、何故世界をめちゃくちゃにするのか。
一夏は心から叫んだ、
すると、かの男は答えた。
『……いいだろう、そろそろ教えてもいい頃だ』
それは、今までの道化じみた喋り方ではなかった。
攻撃の手は止めないが、主任は、男は語り出した…
【これは、お前達にとっては未来の話だ】
【神様は人間を救いたいと思っていた…だから、手を差し伸べた】
【だがその度に、人間の中から邪魔者が現れた】
【ある時は企業の尖兵、ある時は復讐鬼、ある時は
【神様の作る秩序を、ことごとく壊してしまう者】
【何もかも焼き尽くす、死を告げる鳥】
【そいつは、
【神様は困惑した、人間は…救われることを望んでいないのかって】
【でも神様は、人間を救いたいと思ってた】
【だから、まず邪魔者を見つけ出して、殺すことにした】
『そう、全ての始まりの……ここでな!』
主任の攻撃がさらに苛烈になる。
それに食らいついていく一夏。
銃弾を切り払い、ロケットを躱し、蹴りをカウンターする。
それでも主任に届かない。
後一歩が足りない。
それでもと足掻く。
「一か八か、これならどうだぁ!!」
一夏は一気に飛び出す。
それはラウラがパルスライフルを打った瞬間だった。
「嫁ぇ!?何をして!」
一夏の背面にパルスが直撃。
シールドが減少……しない。
急速な速度で一夏が主任へと吹っ飛ぶ。
それは瞬間加速、瞬間加速は外部からのエネルギーを取り込んでも加速することが出来た。
それを利用して、即興でやったのだ。
想定より吹っ飛んでいるが、それが主任の読みを外させた。
『なっ?!』
「ディアアアアアア!!」
今度こそ、零落白夜が、本当の意味で直撃した。
主任の体が、抉られる。
頭部が飛び、胸部に深く切り傷が生まれた。
血の代わりに黒い何かが飛び散り、主任は破壊したシャッターへと叩きつけられた。
間違いなく即死だろう。
「一夏……」
鈴が心配そうに近づく。
それは殺人をしてしまったかもしれない一夏の心を考えてだった。
しかし一夏、そしてラウラもそう出ないと考えていた。
まだ終わっていないと……
『やっぱりさ…やるもんじゃないね、ガラじゃないことはさ』
「っ!?」
「やっぱりか…」
一夏が呟くと同時に、明らか人間ならば死んでるはずの状態で、再起動する。
黒い何かを吹き上げながらも、主任は立ち上がる。
そして、シャッターの側にある柱を殴り潰す。
倒れてきた柱を掴み、持ち上げる。
大質量、鉄筋コンクリートの柱を。
『これだから面白いんだ、人間ってやつは…』
「まだやるんだろ、主任。こい!」
第2ラウンドが、始まった…