艦これ-4分の1の鎮守府-   作:Poteto305

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フフフ……怖いか?

「なあ、電?」

 

ギッ、と提督が腰掛ける椅子が音を鳴らした。

変え時だろうか、いかにも提督と言うような、威厳のあるこの椅子は割と愛着があるのだが。

 

「はい、なんなのですか?司令官さん」

 

机にお茶を置きながら、電が首をかしげる。

 

「もうすぐ春。新たな出会いの季節なんだが」

「……でも、鎮守府にはあまり関係ないような…」

「新たな出会いの季節なんだ」

「は、はいなのです」

 

提督は立ち上がり、小さな椅子を机の横へ設置。

ついでに電の分のお茶を持ってきた。

 

「あ、ありがとう……なのです……」

 

とりあえず腰掛ける電。

 

「うちの鎮守府は人手不足にもほどがあるんだ。電」

「そうなのですか?でも、あまり出撃も無いのです……?」

「それがな、本部の方から近海への出撃要請が来てるんだ」

「えっ?ど、どうして……」

「深海棲艦の駆除が目的だけど……まぁ、うちには演習が優秀な奴らがいるからな」

 

あまり進んで出撃を行わないこの鎮守府には、まさに豚の真珠とも言える人材が多い。

例を挙げるのなら、北上や龍田、響。他にも結構いたりするのだが。

 

「そういう奴らが、ちゃんと実践で使えるか、見たいんだろうな」

「そんな理由……!」

「んーっで!!」

「!?」

 

ガターン!と提督が立ち上がる。

電が手に持つお茶が揺れる。

 

「電、お前出てみないか?」

「え、えぇっ!?で、でも!電は全然……!」

「第六駆逐隊、それにそうだな……北上……は嫌がるだろうから……」

「ま、待って、待ってくださいなのです!」

 

コトン、と電にとっては強く置いたつもりなのだろう、提督の注意を引くために音を立てて置かれたお茶から、湯気が昇る。

 

「なんだ。嫌か?」

「い、嫌とかじゃ、無いのですが……でも、その、電にうまく出来るか……」

「そっか。んじゃ聞き方変えるな?」

「……?」

 

「使えそうな奴らだけ、戦争してこい。使えない奴らは、黙ってろ。……嫌か?」

 

電の瞳が、開かれたまま、止まった。

電の脳裏には、知らない映像が映っていた。

響と共に、何かと戦っている映像だ。いや、違う。何かを守ろうとしていたんだ。

結果は、どうなった?

電の瞳が、一度閉じられ、開く。その瞳は、強く輝いていた。

 

「――――い」

「話は聞かせてもらったぁっ!!」

 

ドバァン!!と部屋の扉が勢いよく開かれた。

電の口がぽかんと開いたまま、提督も固まる。そこに立っていたのは、

 

「て、天龍……?」

 

龍田と同じく軽巡洋艦、天龍型のネームシップ。『天龍』だった。

 

「結構じゃねえか!使える奴らだけの戦争!俺は大歓迎だぜ!」

「い、いや……出撃は第六駆逐隊と……」

「俺と龍田!決定だな」

「えー…………しょうがねぇなぁ……あんまり無茶するなよ?」

「ま、俺は世界水準軽く超えてるからな。多少の無茶ならなんとかならぁ」

「ならないならない。頼むから……」

「はいはい。分かったよ」

 

空気についていけない電があたふたと二人を見る。

その姿に気づいた天龍が、一歩電に近づいた。

 

「よう。お前が例の博愛主義艦か」

「えっ?あ、あの……電……なのです…」

「敵も味方も、全部助けたいんだってな」

「……は、はい。でも、電はまだ、弱いので……その」

「いい、出来る出来ないはともかく置いといて、自分の心を貫く奴は好きだぜ。俺は」

「…………!」

 

はぁ、と提督はため息をつく。

面倒なやつに聞かれてしまったもんだ、と。

でもまあ、これはこれで良かったかもしれない。

 

「電」

「は、はい……」

「何をとはあえて言わない。だが、電なら『出来る』。俺はそう信じてる」

「…………っ」

「本部の鼻。あかしてやろう」

「……はい!なのです!」

「天龍様の出撃だぁ!うっしゃぁ!」

 

こういうめちゃくちゃなところがあるが、天龍もれっきとした真珠だ。

きっと駆逐艦達を守ってくれるだろう。

 

「んじゃ、出撃前に……」

 

なでり。なでり。

 

「はわっ……司令官さんっ……?」

 

電の頭をなでる。

ただただ、ゆっくり。手の温度が頭に伝わるように。

しばらくして。

 

「あ、あの……ありがとうなのです……」

 

キラリと、電の体から小さな輝きが見えた。

キラキラ状態といわれる。戦意高揚した艦娘が見せる集中状態らしい。

 

「おう。頑張ってな」

「はっはっは。駆逐艦は単純でいいよな。提督ぅ。俺は帰ってきたら新しい装備な」

「はいはい。考えとくよ」

「そうこなくちゃな!出撃だ!」

 

キラッと天龍の方からも輝きが見える。

全く、単純なのはどっちなのか。言おうと思って、やめた。

 

もうすぐ新たな、出会いの季節だ。

 

 

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