艦これ-4分の1の鎮守府-   作:Poteto305

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駆逐艦、響は前方への推進力を瞬時に右へ切り替え。

艦隊の列から外れつつ、味方を見る。

 

当たり前だが、最前の天龍はすでに射線外。龍田もそれに付いて離れている。

やはり気にするべきは、3人。

 

「えっ…………?」

 

暁の、ぽかんとした声が聞こえた。

足が止まっている。やはりとっさの反応が出来なかったか。

敵は止まらない。

浮上してきた黒い塊に口が付いたような深海棲艦『駆逐イ級』が大きく口を開く。

 

「っ暁!!回避だ!」

 

ガキョンッと駆逐イ級の口から砲塔が突き出てくる。

ややあって、砲撃。

 

「きゃあっ!?」

「暁!」

 

ドドンッと2発の砲弾が海を打った。水しぶきが大きく上がる。

よかった。外したみたいだ。

 

「……あ、危なかった……」

「呆けてんな!敵は止まっちゃないぞ!」

「!」

 

響と同じく散開していた雷が武器を構える。

慣れがあるかないかの差か、雷は躊躇うことなく引き金を引いた。

 

パパパパパッと放った弾の内何発かが駆逐イ級に命中した。

 

「あ、暁!大丈夫!?走れる!?」

「だっ……大丈夫…!」

 

暁の表情が強く、鋭くなる。『艦娘』としてのスイッチが入ったか。

少量の煙を上げつつ、駆逐イ級が大きく距離をとる。

 

「砲撃戦だ!テメェら!しっかり狙え!」

 

長距離に離れ、再度駆逐イ級が口を開いた。

 

「やれるさ」

 

停止、測距儀を用いて距離をつかむ。同時に仰角を設定。

風の流れは特になし、果ては地球の自転さえも『感覚』として狙いに含める。

ドンッ!と響の小柄な体を揺らして砲弾が発射された。

駆逐イ級が大きく揺れ、煙を上げる。

 

同じように暁、電、雷も砲撃を行う。

 

「ほぉ。響ってやつ、中々筋がいいじゃねぇか」

「演習もトップランクらしいもんね~。すごーい」

 

何発か打ち合った後、長距離では当てられないと踏んだのか、駆逐イ級が再び接近してくる。

 

「くっ……!」

「けど、動きながら動いている艦に当てるのは慣れてないのねぇ~」

「みたいだな。さて……響は大体予想通りだけど、他はどうだー?」

「きゃぁあああ!こ、来ないで、来ないでっ!!」

「暁!大丈夫だから!ちゃんと狙って!」

「あいつらは……まぁ、そんな感じか……」

 

暁は敵から目を背けてとにかく乱射。数が多いおかげで当たってはいるが。

雷は暁の横で敵を狙っている。だが、命中率はそこまで良くはない。

そして、

 

「………………っ……」

 

砲撃を切り抜けつつ暁と雷に近づく駆逐イ級。

電はそれに併走するように横についた。

 

「電!とどめだ!」

 

煙の量から敵の大破を読み取った響が叫ぶ。

 

(さて、どう出る?博愛主義)

 

ここだ。一番見たかったのはここなんだ。

味方のピンチ。倒さなければ味方が危ない。そして自分がその鍵となっているとき。

『どの行動』を、電は選択する?

 

「……………!」

「っ電!?早くするんだ!!」

 

唇をかみ締め。武器を下に下げて併走を続ける電。

 

「ちっ……そういう性格だったか……アイツは……」

 

味方を助けたい、でも敵を沈めたくない。『だから何も出来ない』。

それが答えなら、赤点もいいところだ。

舌打ちをして天龍は連装砲を手に取った。

 

……だが、本当にそうだろうか?

あの目はなんだった?あの静かな雰囲気は?

本当に何も出来ないのなら、気落ちしていればいいものを、見方によっては集中しているとも見えるあの雰囲気は?

 

彼女は、戦いに赴くとき、いったい何を考えていた?

 

「助けないの~?」

「……ギリギリまで待つ。龍田、準備しとけよ。『後ろの方』だからな」

「うん~。分かってるよぉ~」

「電っ!!」

 

響が叫びながら、電の性格から攻撃しないのであろうことを悟り、武器を向ける。

当てられるか?いや、違う、当てなければならないんだ。

 

『電は敵を守る。そして私が皆を守ればいいんだ』

 

言ったじゃないか、そう、自分が!

青い空、青い海。

 

かもめが、空を駆けた気がした。

 

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