もう一度ここから ~ときめき青春高校野球部アナザーストーリー~   作:たまくろー

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第12話 不良達の決意

「501…! 502…!」

あの敗戦から1週間。

結局皆はグラウンドに顔を出すことはなかった。

学校にも来ていないみたいだ。

下手に刺激してもしょうがないし、あいつら自身が乗り越えなきゃいけない事なんだ。

 

「あ、やべ、学校行かねぇと」

朝早くから河川敷での素振りを済ませ、急いで学校へ向かう。

あの日から始めた俺の日課だ。

俺に足りないものは沢山ある。まずあの山口の真っすぐだけでも捉えられるようにならないとな…。

 

「お、春じゃねぇか」

既に1時限目が始まっているにもかかわらず校門前で短ランにお気に入りの赤いロンTを着た青葉に出会った。

「おう、調子はどうだ?」

あの後青葉からメールがあった。

骨に異常はなく全治2週間程で済んだそうだ。

本当に良かった。

 

「さっき病院行ってきたんだ。軽い練習の許可が出た」

俺と蛇島の確執のせいでこうなったのは事実。

青葉には深く頭を下げた。 しかし「気にすんな」の一言のみ。その表情は「帝王に借りは返そうぜ」と煮え滾っているように見えた。

 

「なぁ…あいつらの事なんだけどよ。まさか辞めたりしないよな」

下駄箱で踵を潰した上履きに履き替え共に階段を登る

 

「心配すんな、あいつらそんなタマじゃねぇよ」

そう言い残して互いの教室へ。

矢部くんは…今日も休みか。

今日は青葉がまだ本調子ではないので帝王対灰凶の準決勝を見に行く予定だ。

放課後俺たちはロードワークがてら走って球場へ。

「はぁはぁ…もう始まってんじゃねぇか」

「まさか道に迷うとはな…」

「ミヨちゃん地図持ってくるべきでしたー」

そんな会話をしながら球場へ入ると

「え…!?」

小山がポツリと呟いた。

青葉がどうした?と聞き返すと黙ってバックスクリーン、電光掲示板を指さす。

そこには驚きの数字が。

試合は7回表、帝王の攻撃。

スコアはなんと3-8。

帝王のビハインドだ。

「嘘だろ…?」

「あれー? 山口くんが投げてないよー?」

「友沢…? 前の試合で完封してるしまさか連投な訳…」

観客席に座るのも忘れ只々電光掲示板を見つめる。何度も。見間違いではなかった。

「おーい!春くん!!」

俺たちのすぐ近くには聖タチバナの桐谷翔、橘みずき、六道聖が観戦していた。

「おい! こりゃどういう事だ!」

いくら灰凶が最近勢いに乗ってるっつってもそんなもんで崩れる帝王じゃねぇ。

「いや、4回までは帝王が勝ってたんだ…。でも山口くん、急にストライクが入らなくなって、右肩抑えて降板しちゃったんだ」

まさか…あの山口が…。

「それで控え1年生の久遠(くおん)ヒカルが投げたんだが、打ち込まれてしまった」

「あの投手、シニアではかなり凄かったのに極度のあがり症なのよねー。練習と公式戦ではもう別人。まぁ友沢が投げてからは1点も入ってないわよ」

成程…。友沢が3番手ってことか

「てゆーか雅! メアド交換しよっ!」

「え!? なんで私の事…」

「イーじゃん細かいことはぁ。 あたし達野球をする女の子!友情は成立済みよ!」

「では私もお願いする。あまり返信は速くないが…。」

「…うんっ!」

小山…嬉しそうだな。女の子一人じゃ心細いだろうしこういう友達がいるってデカいしな。

「青葉くんは交換しないよねー?」

「ケータイ持ってきてねぇよ」

ミヨちゃん顔が怖ぇ!

「にしても帝王打線を3点に抑えてる。灰凶の投手は誰だ?」

青葉が問いかける。

「えーと、鳴沢怜斗(なるさわれいと)。 この人も途中からマウンドに上がったんだけどそこから帝王打線も沈黙…」

「鳴沢だと…」

 

 

 

 

 

「ケッ、なーにが帝王だよ。カス共の集まりだろうがよ」

マウンドで唾を吐き打席の蛇島に目をやる。

「おめーら前から気に入んなかったんだよなぁ。エリート面しやがってよ」

 

(なんだこの鳴沢という男は…こんな奴見た事がない…。しかしこの実力。あの猪狩守にも遜色ない程…。)

 

「オラいくぞ」

鳴沢はニヤリと頬を吊り上げ腕を頭上に、足を軽く上げ投じる。 オーバーでもサイドでもない、スリークウォーターだ。

投じたボールは右打者の蛇島の内角を抉るシュート。

蛇島は肩が開いてしまいバットが空を切る。

「ヒャハハ、んだよそりゃ!! オメーセンスねぇよ!!」

マウンド上でロージンバッグを手に取り高笑いする。

「さーて、次は何投げよっかなぁ。ど真ん中に投げてやろうか?」

 

(クソっ、どの球に狙いを絞れば…)

右打者の内ぶところを突くシュートから外角低めへ落ちるカーブ。

なんとかバットに当てるもボテボテのセカンドゴロ。

この男がマウンドに上がってからというもの、明らかに常勝、帝王打線が翻弄されている。

(何故これ程の男が今まで話題になってないんだ…!!)

蛇島はそう思った。彼だけじゃない。帝王ナインが、観客の誰もがそう思った。

しかし青葉だけがこの謎の男を知っていた。

「鳴沢怜斗。1年だ。 」

青葉が静かに口を開き始めた。

「でもなんでそんな凄いのに話題になってないのー?」

「あいつは血の気が多くてな。あんまり態度が良くねぇんだ。試合中に暴力事件起こしたりな」

「はぁ? 頭おかしいんじゃないのそいつ」

橘が試合を見ながら口ずさむ。

「あいつは気まぐれな奴だ。チームの勝ちなど考えていない。だが野球の腕は確かだ。」

兎に角素行が悪い彼は野球の実力に反して知名度は低い。 シニア時代からエースであったにも関わらず試合に姿を現さないことも多々あった。だがごく稀に球場に現れては圧倒的な実力を発揮する。

「あの体じゃ速い球投げれそうだね…」

「違う…。あいつの凄さはそこじゃねぇ」

小山の言葉を否定した青葉。

あんなでけぇ体して速球投手じゃねぇのか…?

 

 

 

鳴沢は友沢を歩かせツーアウト一塁となり四番大門を迎える。

「怜斗! 何をしている」

チームメイトのゴウが声をかける。

鳴沢は耳障りだという様に髪を弄る。

「バーカ、友沢より次の主砲抑えた方が盛り上がんだろ?」

それでも彼がエースでいる確固たる理由があった。

それは…。

「ストライーク! バッターアウト!」

「あっーと! 大門変化球を意識しすぎたか!?

鳴沢の変幻自在の投球術に手も足も出ません!一塁残塁!」

左打者には胸元を抉るスライダーと外角へ落とすシンカーでゴロを量産する。

恵まれた体格に幾重にも編み込んだ金色の髪の毛などの外見や荒い気性とは裏腹に彼の投球とは七色の変化球とそれを内外角高低にビシッと決める抜群の制球力。

自身の実力の過信やチームへの貢献より自分への利益を考えるプレースタイル。

問題は山積みだがこの試合で彼の評価は一転した。

 

試合は最終回、マウンドを降りた鳴沢から哀樹が帝王の猛追にあうもなんとか逃げ切り5-8で灰凶高校が決勝進出を決めた。

 

 

 

「帝王の奴ら悔しいだろうな…」

試合が終わり、俺達は翔達と別れ、鳴沢のピッチングを回顧しながら球場のそばを歩いていた。

まさかあの帝王が敗れるなんて…。少なくとも友沢がもっと早く投げてたら結果は変わってたかもしれないが…。

「? 青葉くんどうかしたの?」

「…お前ら先に帰ってくれ」

突然立ち止まりそう告げた青葉。

「どうした? まだ足が痛むのか?」

「そうじゃねぇけど、後から追いつくからよ」

「そうか…。わかった!」

俺達はロードワークがてら学校へ向かった。

 

 

 

「久しぶりだな。鳴沢」

1人球場に残った青葉の前には試合を終えたばかりの鳴沢が後ろポケットに手を入れて立っていた。

「なんだ青葉。俺を倒して灰凶占めに来たのか?」

「んなわけねぇだろ」

「冗談だっての! お固いねぇ」

「…お前がまさか試合に出てるとはな」

 

「なんか野球部2つあってよ? 試合で勝った方が予選出られるつー話で俺達負けたんだけどよ。まぁそのまま東野球部にスカウトされて今に至るって訳」

 

 

 

 

「クソがっ!!」

一ヶ月ほど前。

灰凶高校の野球グラウンド。

グラブを思いっきり地面に叩きつける鳴沢。

 

灰凶は野球部が東西に分離、対立している。戦力的には東が圧倒的だが。

大会前には定期戦と称される、甲子園大会予選の出場権を賭けた試合を行う。

「伶斗! まだ終わってない!」

女房役の黒木孝介(くろきこうすけ)がなんとか励まそうと声をかける。

しかし鳴沢には音としては届いているが言葉としては伝わってはいない。

勝負はもうついてた。

 

「俺達が予選に出んだ…。邪魔すんなコラァ!!!」

鳴沢は決して諦めていなかった。彼自身、中学時代同じ投手の青葉や友沢、猪狩ばかり注目されていることに悔しさを覚え、高校に入ってからは本気で練習に取り組んでいた。

「くっ!」

「よっしゃ! サード!」

少しの苛立ちから制球を乱していたものの七色の変化球で打者を幻惑する。決して調子は悪くなかった。

 

「あっ…」

「!」

しかし相次ぐ味方のエラーに稚拙な連携プレー。

打線の援護もなく完全に孤軍奮闘であった。

 

 

「…思い知ったか。 これで夏の予選出場権は我が東野球部が貰う」

奮闘虚しくキャプテン、ゴウ率いる東野球部四天王の前に成す術もなく敗れてしまった。

 

「ところで鳴沢。お前、我が野球部に来ないか?」

「ちょっと、お前何言ってんだ?」

ゴウの勧誘の言葉に素早く反応した孝介。

 

「なに、あくまでこれはオファーだ。承諾するも破棄するもお前次第だ、鳴沢」

 

「ハァ…テメェ、ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ…」

 

「もう嫌だろう? ゴロ一つ処理出来ない守備に1点の援護もくれない打線は」

 

「テメェ…。こいつらのこと悪く言う奴は俺がぶっ飛ばす!!」

ゴウの襟を掴む鳴沢。

 

「お前もわかっているだろう? こんなチームじゃ大会にすら出られん。お前の目指している猪狩守程の評価も、超えることも! 西にいては一生猪狩に追いつく事など出来んのだ!!」

 

「!」

鳴沢の核心をついた。彼は過去の傍若無人な行為を反省し、本気で甲子園を目指していた。猪狩守、青葉春人、友沢亮、同世代の投手に勝つために。その為必要なもの、過去の自分の過ちを受け入れてくれた仲間か、勝てる実力を持ったチームか、その二つを天秤に掛けていた。

 

「おい、伶斗、こんなやつの言うこと聞くんじゃねぇよ。 今日ミスしたやつだって反省してるし、こっから練習すりゃあ…」

優しく声をかける孝介を鳴沢はドンッと胸を押した。

 

「俺は東へ行く。ゴウ、そのオファー引き受けた」

(俺は…勝ちてぇ。 こいつらだって真面目にやってるのは解る。でも…)

 

「ほう、賢明な判断だ」

ゴウは頬をニヤリと釣り上げた。

「なんでだよ…。お前がいなきゃ…」

正直、伶斗が抜けたら絶望的だ。投打の要を失う事になる。西野球部が日の目を見る日は遠くなるに違いない。

孝介は鳴沢の腕をグイと掴み必死に説得しようとした。

 

「離せ!! こんな素人紛いなクソ共と球遊びすんのはうんざりなんだよ!!!」

(すまねぇ。。 俺は…。どうしても勝ちてぇんだ)

孝介を振り払いきつい捨て台詞と、絶望を西野球部に残しゴウとともにグラウンドを後にした。

 

 

 

 

「お前…東に移ったって。元にいた西野球部はどうしたんだよ」

 

「ああん? 知るかよあんな野球部。俺が投げてやったのにゴロ一つ捕りやしねぇんだからな。東に来て正解だ」

「兎に角青葉。テメェも勝ちてぇならあんなカス共なんてさっさと見切りつけて転校でもしな。」

 

「聞き捨てならないな、あいつらはお前が思っている程度の男じゃねぇ」

 

「ハッハッハ!!いいか青葉? お前みたいに仲間だのチームのためだの言ってる奴が俺は一番嫌

いなんだよ!!!」

「そんな仲良し野球なんかやってっから帝王打線も抑えられねぇんじゃねぇのか? 昔、俺に勝った時の球とはまるで違ぇよ!」

興奮気味に話す鳴沢に対して毅然として冷静な青葉。だが、その時拳を静かに、そして強く握り締めていた。

 

「ま、今度はてめぇには負けねぇからよ。せいぜい頑張りな。お前と俺、どっちが正しかったか思い知らせてやっからよ」

そう言って鳴沢は去っていった。

悔しいのだろう。アクシデントがあったものの帝王打線に捕まり大量失点。以前、中学時代は完全に抑えていた相手にも打ち込まれた。でも青葉はそれを自分が悪いと自覚している。自分が野球から離れていたからと。 その思いが彼の飛躍に繋がる筈だ。

 

~その頃~

 

「あー。くだらね。 なんであんなバカ見てぇに野球やってたんだろな?」

河原で腰をおろして夕日を眺めている。

 

「おい、左京、もうその話すんじゃねぇよ」

神宮寺たちだ。

 

「ま、どーせ俺達この程度だったって事だよな。 別に不良でも構わねぇしよ」

右京が口にした。返答はない。皆自分の無力さ、努力の儚さの奥に、一筋の悔しさを感じていた。

しかし、上手く口にできない。何をすべきかもわからない。またひょっこり部活に戻ったとしても、結局弱いものは淘汰される、この間の試合での経験が強く、負の方向に根付いていた。

 

「あれ? 鬼力くんはどうしたでやんすか?」

 

「あいつ部に戻るらしいDE」

 

「へ?それマジっすか?」

なんだかんだ言って皆一日中野球のことばっかり話していた。 生まれて初めての挫折。何が最善で何が禁忌なのかわからずにいた。

 

「クッ! なんで僕があんな不良投手に…!」

そこへ大きな荷物を持って何かを口づさみ、歩いてくるユニフォーム姿の男が。

 

「あれは…蛇島くんでやんす」

 

「おや? ときめき青春の皆さんじゃないですか? 今日は休みですか?」

矢部たちの存在に気づくとすかさず笑顔を見せる。

 

「アンタには関係ないでやんす!!」

 

「おやおや、嫌われてしまったものですねぇ。もっぱらどう思われようと構いませんが」

 

何気なくスマートフォンを弄っていた茶来があるものを目にする。

「ちょ、帝王今日負けたんじゃん! マジかよ!?」

 

「そうだったでやんすか、通りで元気がないでやんすね!」

矢部は嘲笑するように言った。

 

「…貴様らにはわからんだろう。強豪、常勝の中で、結果という物がどれ程重要か。 」

蛇島の表情が徐々に強ばってゆく。今日の敗戦が相当響いているのだろう。

 

「知るかよンなもん。 俺達にはカンケーねぇよ」

河原の草を引きながら神宮寺が言う。

 

「クックックッ、そうだろうな。あんなチームで甲子園だとほざいて仲良し野球をやっていれば結果という重圧など皆無だろうな」

「あ?」

「テメェ誰に向かって言ってんだコラ」

右京と左京が反応した。もともと短気ではあるがカチンと頭にきたのだろう。

 

「何一つ間違った事は言っていないだろう? 足だけは早い外野。 力だけはある捕手に当てるだけは上手い一塁手。守備難の三塁手、特に取り柄のない二遊間、それと女もいたなぁ。 そんなチームで甲子園だなんだと軽々と口にできるとは、甲子園も随分安価に見られたものだ。今も練習をせずうつつを抜かしているしな」

 

「ぐぬぬ、さっきから尽くバカにされてるでやんす…」

「聞き捨てならないっしょ!!」

「なんやワレ。痛い目あいたいんKA?」

立ち上がり蛇島を睨みつける。

蛇島は満更でも無さそうにニヤリと頬を釣り上げる。

 

「おい、ヘビ野郎」

そんな一発触発のムードの中、神宮寺が静かに立ち上がり一息吐いて…

 

「俺達ときせー野球部はテメェみてぇな陰湿野郎にはぜってぇ負けねぇ!! 覚悟しとけよコラ!!」

神宮寺の放った言葉に誰もが驚いた。蛇島も、そして皆も。

 

「ほう…。思ったよりも打たれ強いじゃないか。 楽しみにしているよ」

生意気な、そう思う反面、どこか片隅に期待を抱き蛇島は去って行った。

 

「おい、お前、何勝手なこと言ってんだよ!」

「お前もう野球はやらねぇって言ってただろうがよ!」

 

「悔しいから」

ただ、ただただ悔しいから。それだけだった。

なんの作為もない、あるとすれば野球部に入ってからの充実感が恋しくなった、

 

「それだけなの!?」

「でもそう簡単には行かないでやんすよ…」

「せやNA」

 

「だからやるんだろうよ!! 俺は名誉や称賛が欲しいんじゃねぇ!! ただもう一回あいつらと野球やりてぇんだよ!!!」

 

神宮寺の言葉に皆やれやれといったような表情と笑みを浮かべた。

 

「ったく! しゃーないなぁ。 光っちの我が儘、俺付き合っちゃう!!」

茶来が

「どうせ暇やしNA」

稲田が

「あーオイラの快適な放課後ライフが~」

矢部くんが

「どーせマニアショップ通いだろ?」

右京が

「間違いねぇな」

左京が、そしてここにはいない部員と、

 

 

 

全員の意志がひとつになった。

「笑われたって構わないでやんす!」

「モチ! これでモテれば一石二鳥!」

「ワイはまず守備をどーにかせんとアカンNA」

「俺達は出塁率だ!」

「おう! 何がなんでも塁に出るぜ!」

 

 

 

 

 

 

「ちょっと青葉くん遅いよ~。駅前のハムサンドでも買い食いしたんじゃ無いでしょうね~?」

日が落ちかけている頃グラウンドに戻った青葉。

ミヨちゃんはなかなか帰ってこない青葉を心配し過ぎてやばかったんだけどな。

 

「んなわけねぇだろ、つーかなんでハム好きなの知ってんだよ」

 

「えへへ~、春くんから聞いたの~」

やべっ、これ後で青葉に怒られる…。

 

「おい!」

なんだ? こんな時間に…。

 

「俺達も混ぜろや!」

「サボってた分、一日でぶっちぎってやんよ!」

「ま、右京くんと左京くんはともかくオイラはなくてはならない存在でやんす! 忙しいけど野球部に戻るでやんす!!」

 

「んだとこのメガネが!!」

「テメェ今から競争だ!! 」

「望むところでやんす!!」

 

矢部くん…。右京…。左京…。

 

「春。守備教えてくれYA」

 

稲田…。

 

「あ、鬼力くん! って、どうしたのその血豆!」

「コイツ、俺が帰り際に見つけたんだが、訛った感覚のまま戻りたくないからってバッティングセンター行ってやがったんだ」

珍しく青葉も笑みを見せた。鬼力は照れくさそうに血の滲んだグリップのバットを握っている。

 

「悪かったな春…。 キャプテンに負担をかけちまって。これからは死んでも野球、やり抜くからよ 」

 

神宮寺…。

 

 

 

 

挫折だったのか? そんなの気の持ちようかもしれない。失敗した、もうダメだ、上には上が。

そんな気概をなくしてみた不良達。

完全には消えてないだろう。

でも、完璧に前を向いて再び歩き出す事が出来た。

 

 

 

 

 

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