ランスの孫。ウィルの暴走戦記   作:神崎風水

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11話 JAPAN各国周り≪山本家二日目・前編≫

P121 6月15日

 

 

―ウィルの客寝室―

 

 

 

朝、雀の鳴き声で目を覚ますウィル。

 

 

「う、う~ん…朝か…ん?んン!?」

「す~…にゅ~…」

 

 

目を開けるが頭はスッキリせず、寝ぼけ気味だったのだが、何か何時もと違う朝。

布団の中に人の温もり、ふと横を向くと、寝息を立てて寝てる鈴夜が居た。

 

 

「……よし、起きよう」

「……酷いでござる、無視とは」

「おはよう、鈴夜さん。…で、なんで僕の布団の中に居るんですか?」

「おはようでござるよ~♪…昨日、トラウマがどうとか、言ってたでござろう?毎日こうすれば、治るかなーと、思ったでござるよ」

 

 

何事も無かったことにして上半身を起こすと、鈴夜から不満の声が上がる。

掛け布団を両手で握り、覗き見上げるような形で、ウィルの対鈴夜不能症を毎日潜り込み治すと言う。

忍びだけに寝ていても、何かあれば直ぐ起き身を守る術を身につけて居るので、ウィルを守れるとの事。

ついでに、天井忍びを追加したので大丈夫と決定事項の様に言ってきた。

 

 

「…ふにゃふにゃでござるな…この、ヘタレ!」

「ぐっ…知りませんよ。原因作ったのは、鈴夜さんじゃないですか」

 

 

モソモソと手を突っ込み確認するも、朝の聞官暴は大人しいのでヘタレ呼ばわりされてムッっとくるが、仕方ないと諦める。

ふと思い返すと、毎日とか言ってたのを思い出し。

 

 

「ちょっと待ってください。毎日って、もし香華姉にバレたら…僕が死にますよ!」

「大丈夫でござるよ♪時と場所を選ぶし。例え寝てても、シテても、姫に気づかれる前に対処するでござる」

 

 

香華から他の女性に手出したら死刑宣告を受け、昨日も一度は風呂場で殺気を飛ばされ冷や汗ものになった。

毎日添い寝等してれば、何時かバレて死かもしくは半殺しな目にあうと焦る。

鈴夜は焦るウィルを楽しそうに、笑顔で大丈夫と言ってきた。

普段ならからかわれ、自分をおもちゃにして楽しんでるだけだと思う所。

しかし、今回は目的が個人的な理由、昨晩の様子と鈴夜の気持ちになって考えた。

そして、十六夜との約束で次ぎに会った時、香華にする事を考えると…手を打って置かないとマズイと考える。

服を着替え身なりを整え、部屋を出る前に鈴夜の方を向く。

 

 

「昨日も言いましたが、信頼でき、頼りになる鈴夜さんは好きです。これからも僕の護衛とサポートお願いしますね…ちゅ♪」

「…にょほ!?ま、ま、任せて!だ、大丈夫よ!ござる」

 

 

鈴夜に自分の思いと気持ち、お願いをして、触れる口付けした。

褒め殺しと告白、お願いにウィルからの初接吻。

一瞬、鈴夜の時が止まり、驚きと喜びと戸惑いで、今まで見たこと無い焦った鈴夜が両手を上下にブンブン振る。

更に口調までかなりおかしく可愛かったのだが、あえて追求せず微笑み「お願いします」と言い部屋を出た。

部屋に取り残された鈴夜は激しい動悸を落ち着かせた後、ウィル後を追った。

 

 

 

 

 

 

―廊下―

 

 

 

朝食の間に向う最中、香華と合流をした。

 

 

「ウィルさん。おはようございます♪」

「おはようございます…香華姉さん」

 

 

何気ない朝の挨拶。

挨拶を交わした後、先を歩き出そうとする香華。

一歩足を出した後、ギギギと壊れた機械の様に頭をウィルの方に向けてきた。

 

 

「ウィルさん、今なんと?…ダレニキイタノデス?」

「香華姉さん。昨晩、二十一に聞いた…ん、です、よ」

 

 

姉と呼ばれ、一瞬嬉しそうな顔をするも誰が教えたのか、機械の様にカタコトで聞いてきた。

再度姉と呼び、二十一の名を出した瞬間、香華の雰囲気が一変した。

顔の目辺りに黒味がかかり、全身から今まで見た中で最高の恐怖を覚える、ドス黒いオーラが立ち上るのが見えた。

自分に向けられてるのではないのだが、その凄さに最後まで言葉にするのがやっとだった。

 

 

「フッ…フフフ…二十一…アノクソガキガ…ヒトノクロウヲムニ…フフフ…」

「こ、う(不味いってもんじゃない!!二十一が死ぬ!?十六夜姉、予想的中です!)」

 

 

有り得ない言葉使いとカタコト、その微笑が非情に怖い。

恐怖で名前を呼びきれず、心の中で十六夜の心配が的中した事を叫ぶ。

小柄な香華とは思えない重心力で、歩む度に床が凹み亀裂が入る。

少し離れたところで落ち着きを取り戻したウィルは、兼ねてから準備した言葉と行動予定を胸に思い起こし行動に移った。

 

 

「…フッフッフ…ン?ジャマヲスル「大好きだよ、香姉」ナニ…を?ウィルさん?」

「香華姉。確かに一人の女性と見るのは難しいよ?けど、事実を隠してちゃ駄目だよ。香姉そのままが好きなんだから…ね?ちゅ♪」

「ひゃっ!?…はぅ~…」

 

 

暴走状態の香華を背後から抱きしめられ、振りほどこうとするが耳元で「好きと」囁かれ、何時もの香華に戻る。

そのまま耳に息を吹きかけ説得をする。

正面に周りありのままが好きと微笑み、頬にキスする。

耳に息を吹きかけられ声を上げ、微笑まれキスされると顔赤くし大人しくなる。

再び正面から抱きしめ抱擁した後、「行こう、香華姉さん」と微笑み離れ、朝食に向って歩き出す。

 

 

「鈴夜…居ますね」

「にょ。なんでござる?」

 

 

ウィルが離れ見えなくなると、香華が天井に声をかけ、呼ばれた鈴夜が音も無く降り立つ。

 

 

「ウィルは何時も姉達に…あ、あんな風に接してるのですか?」

「あ~…リーザスのイリア女王には、あんな感じでござるよ」

 

 

鈴夜はイリスを例に上げ、香華の問いに答えた。

しかし、あれは特殊例で、静やマリーには抱きついたりするがあそこまでではない。

明らかに先程の香華を元に戻す為の行為であるが、あえてそれは言わず、事実を伝えた。

 

 

「ふふ…えへ…むへへ…二十一には、感謝しなくちゃ…えへへ」

「……姫…(うわ~姫がデレたでござる。流石、ウィルの5連コンボ)」

 

 

従姉弟と分かった事で荒れたが、以後はあのように接しられると思うと、香華はだらしない笑みをした。

鈴夜はウィルの行った、抱擁・囁き・耳息吹き・微笑み・キスを思い返す。

免疫ない状態であんな事されたら…デレた姫を納得する。

 

ふと、先程自分もにたような事されたのを思い出し胸打つのを感じる。

それと同時に、アレ?姫にする前に自分に下準備された?と思ったが、まあ、いっかと納得する。

 

そこで納得するか?と思うところだが、ウィルとの接吻は鈴夜にとっても初めてであった。

芽生えだした女心に、不意打ちであったファーストキスを思い返してとても嬉しく思う自分がいる事に気づく。

優秀なくのいち故に、接吻はした事が無く、というより必要ないのでした事がなかった。

必要ない、した事がなかった接吻を、くのいちだった為に感情が入った時の口付け。

それが、好きになりだした相手と出来たと思えたのが大きい。

それに、添い寝も毎日すると言ったのを嫌がりはしたが、最後には「好きにしてください」と認めたのである。

添い寝は勿論、好きにヤラせてもらうつもりで、次は何をしてくれるか?期待する。

 

つまり、自身にも良いこともあるので、その位問題ないと結論つけたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―朝食の間―

 

 

 

あの後、なにやら後ろで話す二人が追って来ないので先を歩く。

やり過ぎたと思いつつ、照れくさいのもあり、追って来るのを待たず香華をあの場に置いて先に会場に向っていた。

 

 

「あれ?何も無いし、誰も居ない?」

 

 

二人を置いて先に向い到着したウィルだが、朝食も人も居ない部屋に疑問を抱く。

鈴夜の視線も感じないので、どうしようかと思うと声をかけられた。

 

 

「居たにゃり!ウィル君にゃりね?」

「あ、どうも。おはようございます」

「はい、おはよう。朝食はここじゃないの、案内するね」

「ありがとうございます。お願いします。…えーと、お姉さん達のお名前は?」

 

 

緑髪のショートに黄色のカチューシャを付けた明るく元気な侍女。

すらっとした茶髪を腰まで伸ばし、青いカチューシャを付け、優しく大人しい雰囲気をした巨乳メガネっ子の侍女。

見覚えない二人、しかし知ってる気がする二人に名を尋ねた。

 

 

「来世は、蒼羽来世にゃりよ」

「私は、蒼羽萌子よ」

「(ああ、なるほど)初めまして、ウィル・プラインです」

 

 

名前を聞いて納得する。

昨日葉子と一緒に見た資料通りなので、知ってる気がした訳を理解した。

二人に案内され廊下を進む最中、ちょくちょく顔を見てくるので何かと思い聞く。

 

 

「えーと、僕の顔に何か付いてます?」

「何でも無いにゃりよ。可愛いと思っただけにゃり」

「私はカッコイイと思うけど。ただ…想像と…大分違ったけどね」

「そ、そうですか」

 

 

二人から返って来た内容は、可愛いとカッコイイの正と反に何やら色々想像していたらしかった。

今日会ったばかりの相手に、変に言う訳にはいかず、曖昧な返事でその場を済ませた。

 

 

 

 

 

 

 

―会場の部屋前―

 

 

 

 

部屋の前に着くと、二人は左右に分かれ、ウィルに戸を開けるように言う。

 

 

「さあ、ウィル君。開けて入るにゃりよ♪」

「はぁ?…パン!パン!(×多数)…え?」

「「「「「「「「「「ウィル!誕生日おめでとう!!」」」」」」」」」」

 

 

来世に言われて、開けて入ると多数のクラッカーが鳴り、ウィルに7色のテープが降り注ぐ。

その後、大勢に誕生日おめでとうと言われ、呆気に取られた。

JAPANに不釣合いな大陸のパーティー会場された大会場。

料理や侍女の格好はJAPAN風だが、会場と一部の料理とケーキが大陸仕様だった。

 

 

「…皆さん、ありがとうございます。思いっきり忘れてました。本当に…嬉しいです」

 

 

皆に注目される中、目に涙を浮かべ感謝とお礼を述べた。

CITYを出て、今まで色々な事が有り過ぎて、自身の誕生日すら忘れていた。

昨日、皆がナニを隠していたのか、今全て分かり、思いも寄らないサプライズに感激して動く事すら出来ず、棒立ちしていた。

香華と鈴夜が近くに来て、手を引き主役席につれて行く。

 

 

「さあ、ウィル。ケーキの火を消して」

「はい!ふーーー!!」

「「「「「「「「「「誕生日、おめでとう~!」」」」」」」」」」

 

ケーキにある12本のローソクの火を消すと、一斉に拍手喝采し歓声が沸き起こる。

十六夜が立ち上がり音頭取る。

 

 

「皆、ウィルの誕生日の為に、よく尽くしてくれた。今日は盛り上げ、楽しもうではないか!」

 

 

十六夜の言葉に会場は盛り上がり、料理や酒と飲み物が次々運ばれパティーが開始された。

ウィルも料理やケーキを食べる中、プレゼントを貰い手紙を受け取った。

そんな中、一つのプレゼントカードと手紙の文字に見覚えがあるモノを見つけた。

 

 

「アレ?コレはおバアちゃんの字?こっちは静姉とマリー姉のだ」

「流石よく分かりましたね。今日の事を連絡して、ウィルの好きなケーキとプレゼントを預かったのですよ」

「そうだ、この機会に手紙でも出したらどうだ?祖母殿と従姉妹達も連絡ないと心配していたぞ」

「そうなんだ、ありがとう。香華姉♪十六夜姉♪手紙書くよ」

 

 

見つけた手紙について、香華と十六夜が補足説明をする。

言われて、連絡を一切してない事を思い出し、今までの経由を伝えようと思い二人に微笑む。

微笑まれ顔を赤くする従姉妹の二人。

 

その後、手紙を読んでいると、ジーっと見つめられる視線。

その方を向くと、十六夜がジッと見つめていた。

何だろうと思って居たが、その訳がやっと判り十六夜に声をかけた。

 

 

「十六夜姉。今日は、本当にありがとうございます。その着物凄く似合ってますよ。とても綺麗です」

「う、うむ。そ、そうか?綺麗…あ、ありがとう…」

 

 

昨日の十六夜は武士のような格好に髪がSを描いたようにうねった髪形であった。

しかし今日は、薄黄色の生地に華柄模様に赤い羽織。

髪留めのもリボンで頭部でしばりさらりと真直ぐ下ろしていた。

風呂上りにも似たような格好で気にならなかったが、よく見ると全く違って美しくので褒める。

十六夜も前半は残念そうだったが、後半にはパーっと明るく嬉しそうに、最後には顔を赤め礼を言う。

 

そんな十六夜とウィルのやり取りを見ていた香華は、不満と疑問を漏らす。

 

 

「鈴夜…ウィルが十六夜に何かしてません?明らかに女してますよ?」

「いいえ。”ウィルは”十六夜殿に何もしてないでござるよ。それに、十六夜殿は女性でござろう?(まあ、乙女とも言うでござるが)」

 

 

香の言葉にウィルからは何もしてないと言う。

十六夜は元々女だと言い、香のいう恋する女と言う意味を誤魔化し、心内では恋する乙女と思う。

そんな中、香華は疑い不穏に思うだけで、鈴夜の変化に気づかない。

今まで鈴夜は「ウィル殿」と呼んで居たのに、今は呼び捨てし、明らかにウィルの援護をしてる事を…。

 

 

次にウィルの前に3人の男女がやってくる。

 

 

「よう、ウィル。誕生日おめでとう」

「12歳の誕生日おめでとう、ウィル君」

「あははは、お・め・でとう~。ウィーるクン♪」

「ありがとうございます。シードさん、葉月さん、セレーナさん…思いっきり酔ってますね…アレ?源流斎さんとビルナスさんは?」

「ああ、義父さんとビルナスは留守番だ。道場を完全に空けるわけには、行かないからな」

 

 

祝いに来たのは瑞原道場の3人。

前もって香華より知らされていて、今日の為にプレゼントや祝いに来てくれたのだ。

お世話になり、親しくなった人に祝いを言われるのはとても嬉しく、ますます香華と十六夜に感謝をするのだった。

 

話が弾む中、一人の侍女がウィルに近づき料理を運び食を進める。

 

 

「ウィル君、誕生日おめでとう。コレ私が作った肉じゃが食べてみて」

「あ、葉子さん。ありがとうございます。…あむ、もぐ、んぐ。美味しいです!」

「そう、あの人と一郎も、よく美味しいって食べてたの…。ありがとうね…私、前に進む事が、できそうよ」

「おめでとうございます。頑張って下さい」

 

 

葉子の持ってきた肉じゃがを、美味い美味いと食べ。

葉子は昨日には見られなかった最高の笑みを浮かべ、お礼と前に進めると言い去っていく。

昨晩自分も楽しんで頑張ったかいあったと思いつつ、薬のお陰で良い夢みれたんだなーと、葉子を見送った。

 

 

その様子を見てた面々は何かに気づく。

一人は久しぶりに見た、母の様に慕う女性の笑みを見て。

手料理をワザワザ持って来て、お礼を言うところに。

あのオヤジの薬は凄いと感心し、増えることが無いと安堵する者。

あぁ、流石私の弟子?良いお手並みしてるわね~と肴に酒を飲む師。

それぞれの思惑の中、問いただす事を止めれない二人がウィルに質問する。

 

 

「ウィル。葉子と何かあったのか?久しぶりに見た。あの笑みを」

「…ウィル。あの侍女さんに何をしたの?凄く嬉しそうだったけど…」

「あ、いや…。息子さんのように接しただけで…」

 

 

嬉しそうに、興味ありげに聞く十六夜。

母を思い出される雰囲気の女性の息子さんの様にどう接して、その道をどう手助けしたのかを疑問に持って聞く香華。

ウィルは冷や汗流しながら、誤魔化しながら事を伝えようとするが、内容が曖昧でかなり苦しい。

鈴夜に目で合図するも、ちょっと無理と目を逸らされた。

そんな様子に、裏事情をほぼ知ってる女性が援護をする。

ただ、その方法はウィルにとって新たな危機でもあり、肴にするき満々なのだが…。

 

 

「原からのプレゼントもあるわね~。あ~聞いたわよ~。私と出来なかったからって~…亜紀ちゃんとー、琥珀ちゃんを篭絡したんだってねー…あははは」

「んガ!?ちょ、ちょっとセレーナさん!!何言い出すんで…す、か…。…あ…あの、二人とも?」

「「ング、ング、ング…ぷっはぁーー…あん?なにか?」」

 

 

原家より届いたプレゼントを片手に、セレーナがウィルのしでかした、原家おいたの事件を話す

料理を噴出すのは耐えたが、思いっきり焦る。

そして、過ぎた事とは言え、そんな事を言ったら香華が黙ってないと、おそるおそるそーっと振り向く。

すると、ソコには酒の入ったとっくりを、らっぱ飲みする二人の姉がいた。

 

香華は理解できるが、何故十六夜まで同じ行動にでたか。

それは、昨晩二十一と竹林で模擬戦してる時、香華が十六夜に原家の事を細かく愚痴っていたのだ。

どこから調べたか、原家より誕生日祝いの品と手紙が添えられて送られてきたのだ。

その事を聞くと、嫉妬に燃え怒りだした香華が原家でウィルのしでかした事を語り愚痴る。

その愚痴に対し十六夜は特に感情的にならず、香華をなだめつつ、合槌をうって聞いてるだけだった。

それが、昨晩風呂場でちょっとした事が有った事で、無意識に芽生えた嫉妬と怒りの感情に、考える間もなく香華と同じ行動を取っていたのだ。

 

ウィルが去った後、浜木綿が多才を発揮し活動した事で誕生日の事を知ったのだが、それは別の話。

 

一気飲みして、顔を真赤にした二人の目が据わり、口調や言葉がとげとげしい。

何とか取り成そうとするも、酔っ払い状態の二人は聞く耳持たない。

 

 

「あー…鈴夜さん。二十一。二人は、お酒強い?」

「弱いでござる。甘酒一杯が…良いところでござるよ…」

「駄目。全く飲まないし、弱いよ…なんで二人ともこんな事を…」

 

 

ウィルの問いに二人が答える。

予想通りの応えに納得しつつ、二十一の鈍い発言はスルーした。

弱いのに、これ以上飲ませるのは不味いと止めに入ろうとすると、意外な第三者にジャマをされる。

 

 

「ちょっと!ウィル君!!何しでかしてるの!?」

「うげ、葉月さん。今は、それどころじゃ…」

「だまらっしゃい!「うげ」とは何!?だいたい、亜紀さんて原の姫様でしょう!人妻じゃない!?」

 

 

二人の元に止めに入ろうとすると、肩を掴まれ、肩をガクガク揺らしつつ、葉月の説教が長々と始まりだす。

その様子を見て、セレーナはケタケタ笑い、シードは放置。

鈴夜と二十一がそれぞれ止めようとするのだが、十六夜の初めて見る泣き上戸に弟はあたふたし。

怒り上戸に八つ当たりされて、どう止めようか手をこまねく忍び。

 

会場一同諸々は、そんな主役周辺の事は気にせず、酒を飲み笑い宴状態を楽しむのだった。

 

 

 

正座させられ、じっと説教を聴いてるウィルだが、流石の長さにシードに救援を求める。

しかし「自業自得だ、大人しく説教されてな」と言われ、事実だが、この状況にイラっときた。

そこで、前に聞いた言っては行けない爆弾を、誤まって投下した。

 

 

「過去に、僕がしでかした、過ちはよく分かりました。けど、過去の過ちって言うなら、シードさんが、脱童貞をセレーナさんとしたのは、どうなんですか?」

「え?……ええぇーー!?ど、どういう事!!シードォー!?」

「ぶぅーーー!?…ゴホッ、ゴホッ、何でソレを知ってる!?」

「あらら~…ソレ、言ちゃうんだー…キャハハ…んく、ンク…ふ~」

 

ウィルの爆弾にしばらくフリーズした後、叫び、シードに掴みかかる葉月。

料理を噴出し、器官につまりムセ、自爆するシード。

酔ったセレーナは特に気にした様子もなく、笑いながら、尚酒を飲み続ける。

 

もう、会場は収集のつかない、めちゃめちゃな騒ぎとなっていった…。

 

 

 

 

 

 

 

―誕生日会場の成れの果て―

 

 

 

 

飲み食い騒ぎ、誕生日のはずが大騒ぎ宴会と化した宴は、終了の時を迎えた。

酔いつぶれ、食いつぶれ、騒ぎ疲れ会場は静けさを取り戻していく。

 

あの後、シードに事実確認すると葉月は香華と十六夜の後を追った。

当然の様に酔いつぶれて寝る3人を衛生兵のいる部屋に運ぶ事となった。

葉月はシードが、十六夜をウィルが、香華を二十一が運ぶ事となる。

人選理由は、二十一では十六夜を運ぶ力と身長が足りず、もう一つ、好きな相手を運ばせて上げようとの配慮。

ウィルも身長が足りないが、魔力闘法で底上げし、お姫様だっこで運べるのでそうなった。

葉月と香華はおんぶし、部屋に連れて行く。

 

 

「…ん(ハレ?ふわふわする…ウィル?ああ、夢か…)」

 

 

一時目を覚ますが、心地よい浮遊感に夢と思い再び眠りに付く。

 

6人が部屋に向う最中、シードからウィルに提案と宣告を言い渡される。

 

 

「ウィル…連れて行った後、久しぶりに…死合い(しあい)しような」

「……辞退したいの…はぃ、わかり…ました」

「あの…僕も、一緒にお願いしても良いですが?」

「ああ、勿論、構わないよ」

 

 

シードの笑ってない笑み、と”死”合いの言葉に、逃げようとしたが、瞬時に睨まれ観念する。

二十一は二人の様子に気づく事無く、試合と聞いて自分も参加したいと申し出ると、シードは笑顔で了承する。

香華の香りと背中に当る幸福感と強者との試合を見れると喜び、幸せ絶好調の二十一。

一方ウィルは一時の苛立ちで、発言間違えたなと思いつつ、道場の時よりボロボロにされると落ち込み暗くなる。

けど、酔いつぶれていても幸せそうに寝る十六夜の寝顔を見てる間は、気が楽になるを感じた。

 

 

 

 

 

 




 [人物]



  蒼羽 来世

 
 LV  5/28

技能  射撃術LV0  


おなじみ大悪司の3人娘が3姉妹の次女。
鉢巻の変わりに黄色いカチューシャを付けた、後容姿そのまんま。


明るく活発的で、誰にでも同じように接する女性。
葉子を心配し色々とハッパを掛けて居たが、中々次の相手を選ばず焼くもきしていた。
そんなある日の夜に、姉の寝室に男が来たのでついに!と喜んだが様子が違うと残念がったが、相手に興味を抱く。







  蒼羽 萌子

 
 LV  5/27

技能  弓戦闘LV0  


おなじみ大悪司の3人娘が3姉妹の三女。
鉢巻の変わりに青色いカチューシャを付けた、後容姿そのまんまで巨乳。

優しく気遣いの良くできる女性で、胸も大きく男達に人気者。
姉に笑顔を取り戻した男の子を、一目みたいと十六夜に申し出て会場案内をした。





  ≪技能≫



 射撃術(オリ技)

射撃系、ボウガン、鉄砲等の命中率と威力を高める技能。
あくまでボウガン戦闘や鉄砲戦闘などの補助的技能。


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