―鍛錬場―
30分後、鍛錬場にはシードとウィルと二十一の他に、鈴夜は当然として酒からお茶に変えたセレーナと、何故か来世と萌子がそこにいた。
「あの…なんで来世さんと萌子さんが此処に?」
「んにゅ?なんか、楽しそうだったからにゃりよ?」
「ウィルさんが、なんか思いつめてたような。今にも死にそうだったから…大丈夫かな?と思って…」
来世は野生の勘か、面白そうだから嗅ぎつけ。
萌子は気遣いから、ウィルの様子を心配して来たとの事。
二人の対象的な言葉に、鈴夜とセレーナが驚きを隠せずに居る。
実際、今から行われるのを楽しみな鈴夜にセレーナ。
真面目に取り込むもうとする二十一。
ウィルからしてみれば、正に死刑執行を受ける身。
この二人は対象な感性をもち、正確に今から起る事を予測したのだ。
「さて、ウィル。覚悟はいいか?…まったく、自分の負い目を誤魔化す為に、俺の事暴露するとは…許せん」
「いえ、覚悟したくないです。シードさんが助けてくれないからですよ。負い目って…シードさんだって、沢山あるじゃないですか」
「…何?まだ、何か知ってると言うのか?一体、どれだけ聞いたんだ…」
「え?例えば…」
開戦前のやり取りは。アル意味、互いの八つ当たり。
何を言ってるのか、二十一と来世と萌子は意味不明だが、分かる二人は含み笑いをしている。
シードの言葉にムッときて余計な一言を言う。
その言葉に反応してまた聞いた事で、新たな爆弾を掘り起こし投げつける。
「一番酷いのが、クレリアちゃん6歳にスマタした後。我慢できなくて、後ろならいいだろうとヤッタとか。次は貞操守る雫さんを規則と言って言い聞かせ、後ろ奪って、自殺されそうになったのを止めて説得したとか、次は…」
ウィルの「クレリア」と言うと同時に、鈴夜が首に一撃を見舞い、一瞬で二十一の意識を刈取る。
そして、来世と萌子はシードに非難声を上げる。
それから、くじら・フルスミーナ・ダイアナ・ケチャップ・チロル・アシカ…etc。
次々と女性の名が上がり、笑い出す鈴夜・セレーナと来世と対象に軽蔑の目で見る萌子。
クレリアは驚愕の表情で聞いてたが、雫の後は下を俯いてたシード。
プチンと何かが切れる音がすると、ウィルが言い終える前に途中で遮る。
「もういい、止めろ…。ああ…こんな所に、消さなきゃ成らんヤツがいたとは…
「は?…ひぃっ!?…ちょ、字が違うし、言葉が危険な方向で増えてますよ!!…ちょ、待って!!そ、ソノ剣は模擬剣じゃ…ナ…ナイデスヨーー!!」
何やら吹っ切れた感をだし、頭を左右に傾け振り語りだす。
持っていた模擬剣を放り投げ捨て、変わりに手中に現れた【瑞原の剣】を持ち構える。
普段なら気づきそうなウィル。
何故、シードが切れるまで言い続けたのか、それは感性に寄る所である。
年下には手だしない、ロリコンじゃないと断言する。
しかし、メリモの杖で大人になったクレリアを前にすれば確実に奪う。
雫に対しても、処女を奪い自害するのを食い止め、一日しっかりやり続け、臥路の前に連れて行くだろう。
つまり、酷い行為と思っていても、自分もするだろう…いや、確実にヤル。
CITYで半ば強引な事もしてきて居るので、シードの女性関係を言っても男なら当然と、気にならなかったのだ。
故に、鈴夜とセレーナと来世の3人の反応を楽しみ、シードがブチ切れるまで告発し続けたのだ。
因みに「もういい、止めろ」の辺りで鈴夜は二十一の背後に周り、両肩に手を置き「ニン!」と掛け声かけ意識を呼び起こしてある。
ウィルはカタコト叫びと同時に反転、一目散に撤退するが、一瞬にして回り込まれる。
逃走を諦め、模擬剣を収納と同時にロングソードを手に持つ。
「ほーら、シード。ウィル君。来世ちゃんと萌子ちゃんが”見て”るんだから、しっかりヤリなさい…始め!!」
セレーナの言葉に、シードの眉がピクッと動き、ウィルの両肩をビクッとする。
セレーナ合図の言葉を引き金に、
「ふん!むん!んっ!!ぬぅー!!せい!」
「っ!?うひゃ!ぬを!どわっ!じ、ぐぅ!?うひょっ!」
先程まで殺気が凄かったのに飛散するも、迫る斬撃に背筋にゾクッと恐怖を感じるウィル。
そして、首を切り落とすような横一閃を、膝を曲げてしゃがみかわす。
真上から切り落とす斬撃を、右に転がりかわす。
斜め上から切りかかるのを、後ろに飛び下がりかわす。
なんとか立ち上がると、同時に左肩から右腰まで斬られるの所を、左に避けながら両手で持つロングソードを合わせ受けるが、剣圧の重さに耐えながら何とか右に受け流す。
腹を切られそうに成るのを、腰を引いてクの字になり避けた。
シードの斬撃を大げさに一つ一つ大きな動作で避ける上に、掛け声が情けないウィル。
そんな様子を茶化す外野3人。
「にゃはは、面白いにゃり!盆踊りとタコ踊りを混ぜたようにゃり!」
「あはは、シード~ガンバレー。しっかり狙わないと!当ってないわよ~」
「ウィルも頑張るでござるよ!避け方が…足りないでござるぞー!」
一方、萌子は両手で目を塞ぎ、その隙間からおっかな、びっくりと見ている。
「ひゃっ…わー、危ない!」
一方、二十一はジッと真剣に打ち合う二人を見つめ続けていた。
「凄い……鈴夜さん。ウィルって、何時も道場であんな戦闘してたんですね…僕が勝てない訳だよ…」
「にょほ?アレ凄いでござるか?あんな無様に避けてなかったでござるよ?もっと最小限の動きだったでござるよ」
「違います。ウィルが大きく避けるのは、そうしないと斬られたりダメージを受けるから。シードさんの剣にもの凄い闘気が込められてます」
「へ~…二十一君は分かるんだ。もしかして、見えてる?」
二人の攻防といういか、一方的な攻めを見て、自身の力の無さを実感する。
二十一の問いに、道場の時にやってた模擬戦を思い出し、今の御ふざけの様な動きはしてないと言う鈴夜。
二十一はウィルの大げさな避けのる理由を当て、セレーナは真面目な表情になり関心する。
二十一は、状況を死合を見ながら語り出す。
ウィルの動きは、一瞬だけ魔力闘法を使い避けてる速さである事。
剣を受ける時、ウィル魔力をロングソードに纏わせ、剣を受けてる。
その為、二人の剣の間に違う力のぶつかりで、隙間が出来てる事を指摘する。
そして、その動きの早さを追えないので、目に闘気を集中し動体視力を高めていた。
そのお陰で、シードは身体強化はしない事と剣に纏われている、もの凄い闘気が見えていることを説明した。
二十一の説明に関心する二人。
あのおふざけの様な殺死合いを、そこまで見れてることを。
そんな中、一つだけある疑問も漏らす。
「けど…なんでウィルは…あんな変な掛け声をしてるんだろ?」
「ん?あー、アレね。来世ちゃんと萌子ちゃんが見てるからよ。少しでも心配させない、恐ろしさを気づかせない為にね」
「そうでござるよ。セレーナ殿が最初に言ったでござろう?故に、シード殿から殺気が消え。ウィルは動きを情けなくあんな声出してるでござるよ」
「そ、そうだったんですか…。けど、アレ当ったら即死しますよ…」
そう、なんでウィルが情けない回避をしてるか。
ソレは二人の一般人が怖がらないため。
セレーナの一言でシードが殺気が消えて安堵したが、剣に込められた闘気の恐怖を感じ必死に避ける。
一般人の二人が怖がらないように、死ぬ可能性すらある戦闘を誤魔化す様に避けて居た。
しかし、けっこう必死なので、必然と情けない掛け声は二人のためだけでなく、必然なのかもしれない。
そんな外野の思惑は他所に、ウィルに無理な魔力闘法にも限界が来てバランスを崩し、一撃を右腕にもらってしまう。
「フン!、手加減攻撃Ⅰ」
「どひゃー、と、ぎゃっ!?」
「はっ!手加減攻撃Ⅰ」
「っー、むひょ!ウギャ!?」
確実に入る一撃に、シードは【手加減攻撃Ⅰ】を使い斬り付ける。
本来、闘気の込められた斬撃を腕に受けたなら、その一撃は必殺技に匹敵し、腕は簡単に飛ぶ筈だった。
しかし、【手加減攻撃Ⅰ】の効果で痛みと、ダメージは少なくそのまま続く。
痛みに耐えつつ、一撃目は避けるも、追撃には身体強化出来ない状態では回避しきれず、またも左脇に攻撃を決められた。
「きゃ?!ウィル君。大丈、きゃぁ!」
「お~、当りだしたにゃりねー」
「何処まで、続くでござるかねー」
「シードさん。…す、凄い」
「いやいや、二十一君も、シードの巧みを分かるのは凄いわよ」
ウィルが斬られるのを見て、悲鳴をあげ目をつぶり「大丈夫」と声を掛けようとするも、また斬られるのを見て悲鳴を上げる萌子。
斬られるのを、何処まで続けれるか楽しむ来世と鈴夜。
確実に当る時だけ【手加減攻撃Ⅰ】を使い分けるシードの凄さに尊敬し、その難しさを理解して目で追ってる二十一を褒めるセレーナ。
そんな、一方的な斬られ合いが30分続き、とうとう終わりの時が来る。
「ゼェ、ゼェ。…くはぁー、ふぅ、ふぅー」
「どうした、ウィル。もう限界そうだな…。次で、終わりだ…いくぞ!」
魔力切れに、全身切り傷だらけの服に血が滲み、息切れしてボロボロ状態。
最後の一撃を回避する事が出来そうになく、
なんとかロングソードをで受け止めようとする。
「無駄だ…真・手加減攻撃!!」
「づっ!?うぎゃぁぁぁ!?」
魔力を纏わせないロングソ-ドは、棒を切るようにスッパリ切れる。
最初と同じ左肩から胸、右腰までを斬られ後ろに倒れる。
勝負がつき、瑞原の剣を収納するのを見た萌子が慌てて駆け寄った。
「ウィル君!!大丈夫!今「触るな!」ひっ!…何故ですか?」
「今、下手に触れたりしたら、ホントに死ぬ。…ハイ・ヒーリング!」
ウィルに触れようとするの止めたのは、変に動かしたりすると死ぬ可能性があった為。
萌子を止めると、手加減攻撃によりHP1のウィルにハイ・ヒーリングをかけるシード。
光と共に多少回復はするも、意識が戻らないウィルを抱き抱え、医務室に運ぼうとする。
「姉さん!ウィル君を運ぶの手伝って!」
「判ったにゃり!」
「…待て。運ぶより、こっちのが方が早い。レベル神カグヤ、現れ出でよ!」
「こんにちわ、シード様。レベルアップの儀式ですね「いや、違う」は?えーと、では、ご用件は?」
「ああ、ソコに寝てるヤツを治して欲しい」
来世も慌てて駆け寄り、ウィルの両脚を持ち運ぼうとする。
そんな二人に待ったをかけ、シードはレベル神アガサ・カグヤを呼び出す。
呼び出され、レベルアップの儀式をしようとするのを止め、ウィルの治療を申し出る。
そのやり取りを見てる最中、二十一が鼻血を出しながら倒れ気絶した。
「ぶぅーーー!?」
「およ?二十一殿には、まだ早かったでござるか」
「純情でいいわねー。シードとウィル君とは大違い♪」
空中に浮くカグヤは全裸で現れたのだ。
シードのレベルは98なので、大きな髪飾りと中に浮く玉はあるものの、着物を羽織もしてなかった。
そんなカグヤの姿を見て、二十一は気絶し来世と萌子は唖然としていた。
「判りました、彼を治せばいいのですね…アレ?…ウィル!?なんでこんな所に!」
「ん?カグヤはウィルを知ってるのか?」
「え?…あ、いえ、しりま…えーと、そう。クミコに聞いたんですよ」
「…妖しいでござるな」
「ええ、思いっきり焦ってるわね」
「そ、そんな事はないですよ。治しますね…はっ!」
寝てる男の子を見て治そうと近づくと、会った事のないウィルの名を叫び驚く。
そんなカグヤにシードが問うと、慌てふためき、クミコから聞いたと言う。
そんな様子を怪しむ二人に、焦りつつもウィルの治療を開始、完治させる。
「凄い…あんな大怪我が、あっという間に…」
「格好は凄いにゃりが、流石神様だからかな?」
「…ん…ん?アレ?傷が…あ、貴女様が治してくれたのですね?ありがとうございます。僕はウィル・プラインと言います」
「ご丁寧にどうも。私は、レベル神アガサ・カグヤです」
初めて見るレベル神と、その治癒力に驚く二人。
傷が治った事で目を覚ますウィル。
空中に浮く全裸の女性を見て、即座にクミコと同じレベル神と気づき、御礼を言い名乗る。
カグヤも名乗った後、気になった事を質問をする。
「ウィル…様は、あちらの青年と違い、普通にしてますね。そんなに、私には魅力ないですか?」
「いいえ。カグヤ様は綺麗で御美しいです。ただ、僕には多少の経験「嘘つきでござる」…ありますから。それにレベル神様なので仕方ないし、目を逸らしたりするのは失礼かと思いまして」
セレーナに膝枕されて気絶して二十一を指差しカグヤは問う。
ソレに答える途中、鈴夜の突っ込みが有ったものの、自分の考えを伝える。
その答えを聞き、嬉しそうな顔をするとウィルを胸元に抱き寄せ抱きしめる。
「…か、かわいい!なんて素直で良い子!…なんで、(こんな良い子が…あんな捻くれものに…)」
「むぎゅ!?…か、カグヤ様!?」
「へー、初めて見る光景だ」
「はわわわ…」
「お~いいにゃりねー」
「役得~(けど、変よね?)」
「…ん~…離れるでござるよ!」
なにやらウィル言葉がとても嬉しいらしく、思いっきり抱きしめ続けながら「良い子」と褒める。
カグヤの反応に嬉しいも戸惑うウィルに、有り得ない光景を眺めるシード。
どうしていいのか判らない萌子に、男の子思考で嬉しいだろうと予想する来世。
セレーナも嬉しいだろうと歓声を上げるが、先程から行動がおかしいのを疑問に思う。
そして、しばらく見てた鈴夜が二人を引き離し、レベル神らしかぬ行動を疑う。
「カグヤ様はウィルと初めて会ったのござるか?全然そんな風に見えないでござるよ?…まるで…前から知ってるみたいな」
「初めてお会いしましたよ。クミコから聞いてただけで、実際会うのは今日が初めてです。それじゃあ、用件済んだみたいなので失礼します!」
「逃げたな」
「逃げたにゃりね」
「誤魔化して、逃走したわね」
鈴夜の問いに答えながら、用が済んだと神界に帰還するのを見て、3人は明らかに逃げた事を口々に言う。
「別に、いいじゃないですか?天使にだって言えない事はありますよ」
「それはそうだがな?あんなカグヤは見た事がないぞ」
「まあ、どーしても聞きたい時は、また呼び出せば良いんだしね」
「そうですよ、むりゅにきき…すじゅひょひゃん、いひゃいひぇす。はにゃひいひぇふだゃひゅい」
「ん~♪…言ってる意味がわからないでござるよ。良い思いして鼻を伸ばしたオシオキでござるよ」
カグヤに対して、ウィルの援護になんとか納得する面々。
援護する最中、ウィルの両頬が抓られる。
放してと言うも、聞く耳を持ってもらえず頬を弄り抓られ続けた。
ソノ様子はオシオキというより、感触と反応を楽しんでいた。
「あらら、全然進まなかった鈴夜まで、こんな短期間に。ウィル…恐ろしい子」
「ん?そうか?前と変わらず、からかってるように見えるが?」
「まあ、シードはそのままでいいわよ」
鈴夜の変化に鋭く気づくセレーナに、道場の時と変わらないと言うシード。
和む雰囲気を満喫?してると、忘れられてた二十一が目を覚ます。
場の雰囲気に気づかず、気を失ってた事で記憶が飛んだらしく、自身の願望を唐突に申し出た。
「はっ!?ここは。アレ?……そうだ、試合!ウィル昨日の再戦しよう」
「ん?あーいいよ。さっきのうっぷん、二十一で発散させてもらうよ」
「あーおいおい、まてまて。ウィル着替えて来い」
「え?おおぅ。すみません、着替えてきます」
二十一の提案に、ストレス発散させてもらうと勝気満々のウィル。
斬られたロングソードの代わりに、模擬剣を取り出し構える二人にシードが待ったをかける。
竹林の戦闘と同じ状態に近いので、服がボロボロなのを特に気にもせず始めようとしてた。
仕切りなおすのに服がボロボロでは動きにくい、それにさっきから萌子が両手で目を隠している…無論、指の隙間は開いているが。
ウィルが着替えに行ってる間、一同は和菓子とお茶を食い飲みしながらほのぼのしていた。
「あの…また、さっきみたいな危険な事するんですか?」
「いや、さっきとは違って、今度は安全だと思うが。鈴夜、どうなんだ?」
「にょ?大丈夫でござるよ。模擬剣だし先程のように、血は出ないでござる」
「うーん、萌子ちゃんが心配してるし、一本勝負にすればいいんじゃない?」
「ええ、僕はそれで構いませんよ」
先程の
しかし、途中からウィルの避け方に余裕がなくなり、情けない掛け声だけでは誤魔化しきれなくなっていた。
しまいには、全身ズタズタ、服はボロボロの血だらけ。
今度は正式な試合なのだが、どうしても先程の光景が焼きついてしまい、萌子はウィルと二十一を心配してるのだ。
ウィルが戻って来ると、先程決まったルールを説明する。
模擬剣で、一本勝負制の3本勝負となる。
しかし、それだけでは足りない、不利だと必殺技を有りにした。
「いいのかい?必殺技有りで」
「勿論さ、アレの対処は簡単だしね」
「その言葉…忘れるなよ」
「当然。シードさんとで…かなり…感覚が研ぎ澄まされたからね…」
互いに開始線に並び、模擬刀と模擬剣を構える。
必殺技有りを、不服に思いトゲトゲしい語り合いをする。
二十一を舐めてはいない、昨日レベルも上がり、闘気法の初歩を教えた。
加えてこっちは怪我と体力は回復したが、カグヤは魔力の回復までしてくれてないのでが身体強化できない。
レベル差も、闘気法を使うだろうから自分に不利な事ばかり。
なら、何故そんな事をするか。
それは、楽しいからだ。
先程シードにボロボロにされたが、死すら感じる攻撃を何度も身に受けながら次はどう来る、どう動くと考えると、わくわくしてる自分がいた。
故に未だ高ぶった感覚のまま、試したい。
シードとは違い、力の差が近い二十一とどこまで、どんな戦いができるかを。
「両者、もういいな?…それでは…始め!」
「はぁぁ!!せい!」
「うぉぉ!!んぐ!」
合図と同時に気合を入れた両者、ぶつかる刀と剣の鍔迫り合い。
やはり自力で勝っていても、闘気で強化された分押し負ける。
押し込まれ、体勢を崩す前に後退する。
逃がすまいと、二十一が右肩の上から振り下ろす斬撃を放つ。
「くっ!っと。ちっ!」
「うっ、はっ、逃がすか!はぁぁぁ!」
「っ!くっ、ふっ!ぐっ!」
振り下ろした一撃を防がれると、今度は気合と共に真上、横なぎ払い、下段から切上げ、そのまま斜めに斬り下ろす斬撃の連斬する。
昨夜の時と速度と重さが違う。
先程のように大きく避けるなら可能だろうが、紙一重回避の余裕はなく、剣で防ぐのでやっとの状態だった。
そんな、二十一の連撃は止まることを知らず、かなりの時間続きついには剣を持つ手が痺れ剣が弾かれる。
そして、間髪入れず、刀先を首元に突きつけられる。
「っ!ぐ!づぐぅ!」
「やっ!はっ!せい!…一本だね」
「…くっ、そうだよ…」
「それまで!」
時間にして十数分、一本目が二十一の勝利で決まる。
互いに呼吸を整えるべく、3分の休憩を入れた。
休憩に入ると、先程の虐め?試合と違い、息をつく間もなく終わった空気の中、5人の観客が感想を話し出す。
「凄かった…。さっきの面白いと痛そうのとは違って」
「姉さん、素に戻ってるよ?二人ともかっこよかったよ。それにあんな激しい二十一君、初めて見た」
「いや~…昨日とは、えらい違いでござるな。二十一が、あんな強引な攻めするのも驚きでござるよ」
「そうなの?前を知らないから判らないけど、私には勝負を焦ってた様に見えたわよ?」
「ああ、俺もそう見えた。原因も次で分かるさ。ウィルの顔がそういってる」
思い思いの感想を話し合う、見学者一同。
おふざけ感が飛んだ来世に、打ち合う二人がカッコイイ、普段十六夜との稽古と違うのを初めて見たと驚く萌子。
レベルアップと闘気法で強化された速度と力強さに、二十一の太刀筋ではあったが、刀の切り返しの速さと連続斬りの強引さに驚く鈴夜。
逆に二十一を知らず、ウィルを良く知ってる二人は、二十一の焦りを読み取っていた。
何を焦って居たのかは、次の試合が始まると明らかになる。
「それじゃ、二本目…始め!」
「はぁぁ!!せい!」
「……やっ!」
「!?ちぃ!…やっぱり、もう見切るかよ!」
「まあな~…でも、凄いよ二十一。昨日教えた基礎を、もうモノにしてるんだから」
シードの開始の合図と同時に、気合をいれ斬りかかる二十一。
対してウィルは剣を構え、冷静に右に避け、右返し横一閃斬りをお見舞いするも、何とか防がれる。
刀を構えたまま、一人愚痴る。
剣を左肩に担ぎ、警戒はしつつも、昨日教えたばかりの闘気法を使い自分を押してたのを褒める。
二十一が焦ってた理由、それはウィルの目の良さと動きや癖とタイミングの見切り力である。
昨日の昼間、最初は今日の一本目と同じように剣で防いでいたのだが、途中から避けられ、剣で軽く受け流されていた。
夜の時もそうだった、自分の嫌なところを攻めてくる癖に、追い討ちをされなかった。
仕返ししようとする時、良い感じに誘導されて斬らされてたのを昨晩、布団の中で思い返し考えていた。
故に、自力と強化の補正される前に、一本取っておきたかったのである。
「さあ、どうする?工夫しないと…当らないよ?」
「分かってるよ…やぁぁ!せい!はぁ!」
「ふっ、…っと。お、緩急と有り無しか、やるな~ほっと。せい!」
「ぬかせやい。やぁ!それを読んでるくせに…やぁ!」
先程の息をつく間の無い攻防と違い、今度は互いに喋る余裕がある。
斬る・弾く、突く・避ける、なぎ払い・受ける、切り下ろす・受け流すといった感じに攻撃が全て防がれる。
先の戦いは常に強化しっぱなしで攻めていたが、時に無しで、時に強化して攻撃といった感じに攻める。
しかし、強化には避け、通常には受けたり受け流される。
初動で大よその予測をし、強化する溜めを読み、握力低下を防ぎ、通常には受け返し斬りをする。
2本目の攻防を見てた女性陣は、目を放さないが口を動かす余裕が見られた。
「なんか、二人とも楽しそうにゃりね~♪」
「そうね。喋ってるというか、罵り合ってる?けど、刀と剣の…演舞みたいに見る」
「おお~昨日の昼間。いや、それ以上でござる。けど、楽しんでるでござるな~…ウィルが」
「そうね、道場の時の…指導するシードの真似してるわね。頃合みて決める気ね…アレは」
そんな会話をする中打ち合いは続き、終わりを迎える。
「くっ…はぁ、はぁ…やぁ!」
「せい!あ~、なれない事して体力消耗が早いか…よっと。んじゃ、そろそろかな?」
「くそ、余裕かよ。はぁ、はぁ。やぁ!っ!ぐぁ!」
「勿論。昨日の昼間もこんな感じだったろ?…ふっ、くっ!?うりゃぁ!!」
「それまで!」
使い慣れない闘気法を使用した事で、何時も必要以上に体力を消費し、息切れを起こし簡単に避けられ、いなされる。
切りかかってきた二十一の指を剣で打ち、そのままツボミを打ち上げ刀を弾き飛ばす。
痛みで怯んだ所に、トドメと言わんばかりに気合を入れて脇腹に模擬剣を叩き込む。
打たれた脇腹を押さえ、うずくまる二十一。
「…おい、ウィル。思いっきり決めたら、駄目だろうが」
「……あ…すみません…。や、どうせなんで。ストレス発散をですね。…クミコさん来て下さい」
「こんにちわ、ウィルさん。えーと…治療ですね。二十一さんの。…あまり、やり過ぎはどうかと思いますよ?」
うずくまる程の一撃を入れた事で、3本目が出来ないと怒るシード。
それに対し、しばらく呆然としてたウィル。
一瞬しまったとした表情から謝り、今度はストレス発散だと言い、クミコを呼び出す。
現れたクミコは先程のカグヤと違い、レベルアップの儀式をしようとせず、呼び出された状況、二十一の様子を見て治療と判断した。
本来の呼び出し方を間違えているのだが、当人達には日常なのだろう、二十一の状況を見てウィルをたしなめる。
腰に手を当て、人差し指を立てて、ウィルに軽い説教みたいなことをするクミコ。
一方、先程のカグヤと違うレベル神を見て叫ぶ二人。
「!?…す、凄いにゃり!萌子が負けてるニャリよ!!」
「もう!何が負けてるって言うんですか!!」
来世の叫びに、自身の胸を両手で隠して体を捻り、顔を赤くし恥ずかしげに叫ぶ萌子。
自身も自覚している胸が、クミコに劣る事がわかり少し悔しそうにするが羨ましい事だ。
因みに、萌子・鈴夜・セレーナ・来世の順である。
仮に、香華がこの場にいたのならば、確実に来世の頭に拳骨が飛んできたであろう。
「来世殿。姫が居ると時、胸の話題は禁句でござるよ?」
「えー…あ、ちっちゃいからにゃりか?」
「もういい…忠告はしたでござるよ…」
鈴夜の注意に不満げにした後、何かに気づき気にもせず爆弾発言する。
性格からか、さして気にもしない事を見て呆れる。
今度は、ウィルをたしなめる様子を見て萌子が反応する。
「あのー…さっきのカグヤ様もですけど。レベル神って、あんなに親しくていいんですか?」
「カグヤ様がシードに親しいのは、それだけの事をシードがしてきたからだけど。ウィル君に対しての反応は違うわよ?」
「クミコ様も似たようなものでござるよ。ウィルが大変だったのを身近でみてきたから、あんなにも親しい姉の様に接してるのでござるよ」
「えーっと。お二人が特殊で、普通は違うって事ですか?」
「そうよ」「そうでござる」
萌子の問いにセレーナと鈴夜が弁解する。
ウィルにシードの事を話し、ウィルの国周りでの事も瑞原家には話してある。
しかし、何も知らない他人に話すような内容でないので、はぐらかして説明する二人。
二十一とウィルの治療を終え、ついでにこの場全員のレベルアップの儀式をして還ろうとするクミコを呼び止める。
「あ、待ってください」
「え?まだ、御用がありますか?」
「はい、僕の事を何方か。同じ天使様にお話しましたか?」
「え?えーと。マッハ様とじょにぃ様。アンデルミィル様とウィリス様とラセリア様とミカン様…ああ、確かカグヤ様にもお話ししましたが。それが何か?」
「いえ、ちょっと聞きたかっただけなので。ありがとうございます」
「いえいえ♪それでは、また~」
ウィルの問いに、次々上がるレベル神の名前。
どれも聞いた事の無い名前だったが、最後にカグヤの名が上がったので、一応先程の事が本当だと分かる。
クミコが還ると3人の方を振り向き。
「ほら、カグヤ様は、嘘を言ってないじゃないですか」
「まあ、そうだな」
「そうだけどねー。あの反応…聞いただけってには、見えなかったわよ」
「そうでござるよ。見知った感じだったし。それにクミコ様が思い出したように、何かついでみたいで最後に名前がでたでござるよ」
「もういいじゃないですか。嘘は言ってないんだし。誤魔化したい事だってありますよ」
「へ~…よく分かった口ぶりね。自分がよく”嘘”は言わないけど、”誤魔化すの”が多いから?」
「何を、おっしゃる、セレーナさま」
「…図星でござるな…」
折角呼んだのだからと、カグヤの援護をすべくクミコから名を聞き出した。
しかし3人はイマイチ納得せず、疑いを晴らさない。
結局、ウィルの自爆発言により誤魔化す事に成功した。
会った事の無いカグヤだが、やはりあの格好で抱きしめられたのが嬉しかった。
なので、隠そうとしてるのだから、そのまま分からないようにして上げようと思った次第。
話が纏まったところで、シードが前々から気になってた事をウィルに聞いてくる。
「なあ、ウィル。カグヤがああで、なんでさっきのクミコは、そのままなんだ?」
「はい?…ああ、レベルアップの脱衣システムですか?昼間はそのままで良いと伝えてあるからですよ」
「ちっ…なんだ、それで迷宮の時に、そのままだったのか」
「シ~ドク~ン。葉月に言うわよ?」
「くっ!?ま、待てセレーナ!それだけは!」
シードの問いに、服を着てる理由を伝える。
舌打ちして残念がるシードに、セレーナが告げ口すると言い焦る。
そんな二人を楽しそうに見てると、今度は矛先がこっちに向いた。
「ウィル。さっき”昼間”は、って言ったわよね?夜…見てるでしょ?」
「す、鋭い…。ええ、僕が初の担当らしいので。成れるまで多数の人に見られないようにと」
「…それって、つまり。夜には裸で出てくるって事なの?」
「うっわー、ウィルは助平にゃり。独占欲強いにゃりねー」
「いや~僕も男なんで。あと、胸だけですよ?服は着てます」
セレーナの追求に、頬に汗を流す。
なんとか取り持とうとするが、見事に萌子と来世には軽蔑視される。
カグヤが全裸だったので、目線が冷たかった。
多少たじろぎもするが、特に気にした様子もなく、胸出しだけと説明する。
中々信用されなかったが、二十一が昨晩の事を伝えて何とか収まった。
ひと段落すると、二十一が先程の模擬戦での不満の声を上げる。
「ウィル。さっきのは卑怯だ。指を狙った上に、脇腹に当てるなんて」
「やー、ごめんごめん。つい、ストレス発散を「それはさっき聞いた」だから、ごめん」
自分は寸止めならぬ、目の前に刀突きつけで一本にした。
なのに、ウィルは指を狙った上に、追撃を当てたと文句を言う。
そんなやり取りを見ていた女性陣も話合う。
「指とかは分からなかったけど、当てるのは酷いにゃりよー」
「うん…ウィル君も顔に似合わず、酷かったよ…」
「まあ、仕方ないでござるよ。さっきのは癖みたいなものでござるから」
「癖?道場の時はあんな事…。ポン…そういえば、格下相手してなかったのと関係あるの?」
「そうでござるよ。リーザスでは、ああしなければ…」
リーザスでの後半、1対3や、一対多数の拷問を受けてる時の事だ。
実戦式模擬戦闘と称し甚振られ続けた故に、ヤレる時には戦闘不能に動きを止めなければ自分の身が危険だった。
回避能力と同時に、いかに相手の武器や力を奪い、戦闘不能にするかの技術も必然と覚えたらしい。
リーザス後半での扱いの酷さを、詳しく説明する事で二人は何となく納得する。
しかし、先程の様子を良く見ていた者には疑問が残っていた。
「ふーん…でも、さっきは何かに怖がってるというか。切羽詰まった感、みたいのがあったわよ?」
「よく見てる…流石でござるな。(確かに癖とは言ったでござる。しかし、先程のは確かに、ウィルらしくなかったでござるよ)」
「(あ、やっぱり?何時から変なの?)」
「(うーん、ぶっちゃけると。セレーナ殿に、手ほどき受けてる辺りから…変?)」
「(え”私?…あ~…そういえば…)」
何やらコソコソと、小声で話し出す二人。
鈴夜の思い出したような指摘に、苦い顔して道場の時を思い起こす。
道場のいた時、軽い乗りで聞いたウィルの女性関係。
関係というより、自分が楽しい、気持ちいから一方的にヤルと言う、どっかの男と同じ思考と言葉に唖然とした。
そこから説教、女性に対する接し方と思いやりを教え込んだ。
そして、前戯を教え出したのだが…最初は熱心に聞いた通りに覚えていった。
しかし、途中からセレーナと鈴夜が思いもしない手法を立案しだした。
その数が豊富で、考えると言うより、思い出すように次々あみ出した。
ただ、その時の顔が子供らしくなかった事を思い出す。
鈴夜は原家で亜紀と琥珀にした時の手腕と、あの表情を思い出す。
CITY時とは明らかに違う事を。
一方、ウィルは二十一の怒りを納めるのを、どうしたものかと悩んでいた。
先程刀を弾く為に指を狙ったが、その後の一撃は本意ではない。
あの時『殺らなければ、お前が死ぬぞ』そんな事を言われた気がして、思わず追撃しまった…とは言えず。
「正直、一本目に負けたのが悔しかったんだよ…ごめん」
「最初から、そう言ってくれればいいのに。で、他には?」
「なんで、そう分かるかな…。クミコさん呼ぶ理由付けもあるよ」
「へ?なんで?」
二十一が望む答えを導き出し答える。
気が済む答えをもらい、納得すると他にどんな理由で追撃したのか聞いてきた。
まだ会って二日なのに、自分がよく行う、一つの事に対し2.3の考えがあるのを読む二十一に苦笑する。
何故、クミコを呼ぶのに怪我する必要あるのか?不思議に思い首を傾げる。
後付け理由である、クミコを呼んだ理由はこうだ。
カグヤに治療してもらって気づいたのだが、怪我と体力は全快したが、魔力までは満たされなかった。
しかし、クミコの治療は完全回復で、魔力も闘気も回復させてくれるとのこと。
最後の3本目は、お互いに万全で戦う為だと言う。
更に、最初に必殺技ありというのに使って来なかったので、本気にさせたい思いもあると。
「言われて見れば…確かに、気が満ちてる」
「そういう事。んじゃま…始める?」
「準備よさそうだな。…最終戦…始め!!」
手を閉じたり広げたりしながら、気の満ちてるのを感じる二十一。
その様子を見ながら剣を構える。
二人の準備が整ったのを確認すると、3本目の開始の合図をする。
開始の合図と同時に、二十一が仕掛けた。
「いきなり!二十一アターック!!」
「甘い!はっ!」
飛び上がる二十一に対し、下がるどころか身体強化し、一気に間合いをつめる。
更に追い越し背後に回り、振り向き切り上げようとするウィル。
まさか間合いを詰めて、背後に回られるとは思わなかった二十一。
止まらない技をそのまま利用し、空中で頭を振り下げ前転する様な状態で、真直ぐ振り下ろす刀を後方地面に叩きつける。
「もらっ「せるか!」っ!?」
切り替えしの必殺技、その地面に叩き付けた事により発生する気爆風を避けるべく、後ろに飛び下がるウィル。
強引に切り替えした事により、負けは回避したものの自爆する二十一。
そのまま前に転がりなんとか、体勢を立て直して振り向く。
「飛び上がるのが欠点…て、言いたかったんだけど。無茶するなー」
「そっちこそ。この威力知ってるのに…普通、突っ込んで来る?」
必殺技で出来た凹みを挟み、互いに構えなおす。
身構え飛び下がった事で、たいしてダメージの無いウィル。
二十一も体勢を崩して自爆してたが、全身に闘気を纏っているのでダメージは少ない。
互いの状態を確認しつつ、軽口を叩く。
「さて、時間もないし、ちゃちゃとやりますか」
「時間?何の?」
何の時間かはいいとして。
二十一は何の事か分からない。
しかし次なる手を打つべく、正眼の構えから刀を左横に倒し下げる。
「何かする気だね。させるか!」
「…遅い。疾風点破斬!!」
「っ!?はぁっ!!」
距離を詰めるウィルに、切り上げた斬撃が飛翔してくる。
迫る斬撃を、慌てて右に飛び避ける転がる。
「風の剣?いや、似たようのもだが…早いな」
「ちょっと待てぃ!二十一!そんなのありか!」
「ん~?必殺技ありでしょ?コレも僕の必殺技だよ…疾風点破斬!」
「飛び道具と同じヤン!でぇぃ!」
瑞原風の剣と似た効果を持った技と見たが、速度が疾風点破斬のが早いと見た。
一方ウィルは、兎も角慌てた様子で、文句を言うが二十一は聞く耳持たず左上から刀を振り下ろし、再度斬撃を放つ。
真剣なやり取りから、シードの時と同じ、大げさな避けで回避する。
「あはは、疾風点破斬!ウィル。どうしたの?疾風点破斬!かかって来なよ、疾風点破斬!」
「この野郎!うひょー!?卑怯だぞ!二十一!どわ!?行けるか!避けるわ!ちょんわー!」
初撃は綺麗に避けたが、次撃は必死に大げさに、情けない声を上げて避けるウィル。
二十一は自分の必殺技に対し、必死に避けるウィルに優越間を覚え、連発する。
一方観戦してた4人は、今の光景にデジャブを感じていた。
「なんか、シードさんと似たような感じで避けてるね?」
「そうにゃりね~。うん、楽しい!がんばれ~二十一!ウィル!」
「駆け引きは、ウィルの勝ちね」
「そうでござるな。やはり場数があるのと、頭の回転が速いでござるよ」
足を止め、固定砲台の様に必殺技を連発する二十一。
それを、走り逃げ回るウィル。
近接で避けるのとは違い、遠距離避けだがその動作が面白いと思い、応援する二人。
ウィルの行動に何を目的としてるか読み、狙いと2撃目から実行してる事に関心する二人。
―5分後―
「はぁ、はぁ…ぐ、し、まった…はぁ、はぁ…」
「ふぅ~やっとか。調子に乗り過ぎたね、二十一」
「…それまでだな…勝者、ウィル!」
疾風点破斬を何十発も打ち続けた結果、気切れと体力切れを起こした二十一。
息を切らせた所を、ウィルに剣を突きつけられ、あっけない幕閉じをする。
「はぁ、はぁ…ふぅ~…はっ…僕の体力切れを、何時から狙ったの?」
「2撃の時からだよ。初撃と避け方とかけ声が違ったろ?僕には、遠距離に対処する手が無いからね」
「くっそ、そうか。余りにウィルが情けなく避けて、文句言ってくるから。アレで…調子に乗せられたのか」
「うん、初撃は本当に焦ったよ、早いし背筋に寒気来た。けど、あの必殺技、普段から使かってないだろ?溜めが長かったよ」
「そりゃそうだよ、二十一アタックも疾風点破斬も模擬戦闘に使ったら十六夜姉さんが…あっ」
「うん、今日の事は内緒にしておくよ」
普段から使う事の無い必殺技を連発すると、どうなるか分かってなかった二十。
ウィルの反応に調子に乗ったことを反省する。
そして、疾風点破斬を見せられた時に「背筋に寒気」と言うほどに、食らえば唯ではすまない攻撃をした事を、今更ながら気づく。
十六夜に見られたのならば、拳骨何発分だろうと冷や汗を流す。
さっきの模擬戦は十六夜や他の人に内緒と居た者に通達して、それぞれ鍛錬場を後にする。
―ウィルの寝室―
二十一との模擬戦を終えた後、二人で風呂に入り背中の洗い合いをした。
その後、十六夜と香華と葉月が不在の夕食を終えて、部屋に戻って来たウィル。
誕生日プレゼントを整理し、手紙を読んで返事を書いていた時に来訪者が2人やってきた。
「ウィル君、萌子だけど。今、いいかな?姉さんも居るけど」
「萌子さんと来世さん?ちょっと待って下さい、今散らかってるので……いいですよー」
「おじゃまするにゃりよー♪」
「お邪魔します」
「ありょ?何もないにゃりね」
「ほんと綺麗というより、何もない。何してたの?」
「プレゼントの整頓して、手紙呼んで。返事書いてました…それで、ご用件は?」
入室すると部屋を見回す二人、机と布団以外荷物もなにも無い部屋を見て聞き、ウィルが応える。
実際、来世と萌子の来訪に、内心ちょっと焦る。
二人が来る理由など、葉子の事しか思いつかない。
朝はセレーナが援護してくれて有耶無耶になったが、当事者の姉妹は誤魔化せないだろう。
どういい訳しようか悩んで居た。
「まず、お礼を言いに来たの。姉さんに、笑顔を取り戻してくれて、ありがとう」
「それで、姉さんが「私は新しい人生を見つけるから、彼方達も良い人探してね」と言われたにゃりよ」
「いえ、たいした事はしてませんよ。葉子さん、そんな事まで言ってたんですか…あ、お茶用意します」
事実追求ではなく、お礼。
葉子に、「今まで、色々迷惑と心配掛けて、ごめんなさい」とウィルの伝えた情報を元に過去を振り返り、二人に色々と話したらしかった。
そして、何年ぶりかの姉妹団らんが出来た話の内容を、嬉しそうに色々とウィルに伝える二人。
二人の話を聞きながら(ふう、ヤレヤレ、思い過ごしか)と安心して、お茶を飲む中に二人がとんでもない事を言い出した。
「そうですか。良かったですね…ん、く」
「ええ、それで…「「ウィル君に達を抱いて欲しいの…」欲しいにゃり」
「ん、へーそうですか…ん、ゴクゴク…ぐ!?ぶぅーー!?ゲホ、ゲホっ、な、何を言ってるんですか!?」
「だって、昨日姉さんにしてたでしょ?知ってるんだから」
「そうそう。けど、まさか姉さんに、息子にあんな愛を持ってるとは思わなかったけど」
「な、何故…(馬鹿な!視線は感じなかった、もしかしてこの3姉妹には効かないの?)何で僕なんですか?他の良い人居るんじゃ…」
二人のトンでも発言にお茶を、横に噴出すウィル。
目の前に吹かないのは流石といえる。
二人は、ウィルの昨晩した内容を詳しく言うので、全てを知ってると納得できた。
しかし、得意の視線感知が働かない事に、焦りと戸惑いを覚えつつ、香華との約束と鈴夜の殺気を恐れて話をずらそうとする。
「うん、確かに居たにはいたけどね。今日、ウィル君がどんな子か見てて、いいなーと思ったのよ」
「最初は姉さんを騙した?相手を見定めるつもりだったけど。昼間の模擬戦とか見てたらいいかなーと思ったにゃりよ」
「いや、「いいかなー」って僕子供ですよ?12歳ですよ?責任とれないし、明日には去りますよ?それに鈴夜さんが怖いので、ご遠慮したいのですけど…」
「あ、それは大丈夫にゃり!縛るつもりないから。それにもう相談して、許可得たよ!」
「はあ!?…そういや、さっきから鈴夜さんの視線が…」
「あ、あ、後ね?ウィル君は上手で、その、アレがまだ小さいから。は、初めてには、ちょ、丁度良いって…鈴夜さんが」
「ぐはっ?!……orz……鈴夜さん…酷い…」
今朝は姉を騙くらかした相手に、興味と見定めの為に近づいたらしい。
その後も宴会と模擬戦や二十一と違い、カグヤに対する態度や落ち着きに引かれたらしい。
姉も内容は言わなかったにしろ、昔の笑顔を取り戻し、久しぶりに本当に話が出来た事に喜びを感じた事。
一応それぽい人は居たが、そんなに好きな相手でもないし、姉を夢中にさせた相手だから一緒にと思うとか。
その事を鈴夜に相談したら、痛い思いする初めてより、気持ちいい方がいいと鈴夜のお墨付きと許可を得たなど。
そして、萌子が顔を赤くしながら、たどたどしく聞いたウィルの事を話し出した。
色々言われる中、ウィルの現段階での傷をえぐる『小さい』発言にうな垂れ落ち込む。
((鈴夜さんの言った通り。かわいい!))
うな垂れるウィルを見て、可愛いと思う二人。
何が可愛いのか?それは、普段落ち着きがあり、大人びていた為。
二人に詰め寄られても今さっきまで冷静に対応して、ちょっと生意気だった。
『小さい』と言われた事で、その雰囲気がいっぺんして落ち込むのだが、その情けなさが歳相応に見える。
弱みを見せた事で子供らしくなり、母性本能をくすぐるらしい。
「よしよし…か、かわいいにゃりね」
「うん、かわいい…よいしょ。ねえ、駄目?」
「わぷ……ふわ~……。はい、分かりました。けど…どうなっても知りませんよ?」
「「うん!」」
ozn 状態のウィルの頭を撫で「可愛い」言う来世。
萌子がウィルを豊満な胸に頭を抱き寄せ、お願いした。
顔を埋められ、柔らかい感触と香りに思わず…脱力する。
許可は出た、本人達が望んでる。
んじゃ、3姉妹にお世話になりますか、と、気持ちを切り替える事にした。
「それで、どちらからいきます?」
「うーん、萌子からお願いにゃり」
「え?私から?じゃ、じゃあ…」
「あ、待ってください。メガネはそのままで。最初から最後までよく見て、感じてください」
「あ、うん。けど、恥ずかしいね」
「ええ、でも僕にとっても、萌子さんにとっても大事な事ですから…それじゃ…」
―1時間後―
「はぅ…も、もう…だ、め…はふぅ…」
「す、凄いよぅ…萌子がアンナになるなんて…」
「ふ~…それじゃ、次ぎ来世さんね」
「あぅ…御手柔らかに、お願い…ね?」
ウィルにされて、意識を失う萌子の表情は幸せそうであった。
萌子の乱れように、信じられないものを見た顔になる来世。
ウィルに詰め寄られると、しり込みしながらも、お願いする。
微笑みながら「来世さん次第ですよ」と押し倒した。
―更に1時間後―
「んっ…あっ…もっ…だめっ…来世…来世…~~っ…んんんっーーー!?」
「姉さん…大丈夫?」
「…え、ええ…頭の中が、真っ白になちゃった…凄かったよ…」
「はぁ…はぁ…ちょっと、張り切りすぎたかな?…まだ、いけます?」
「来世はちょっと休憩する…萌子にお願い」
「えっと、まだちょっと…ジンジンするのだけど…」
「ん~…んじゃ、折角なんで。僕の知ってることを教えますよ」
放心状態の来世を、心配する萌子。
第3ラウンドに入ろうとするも、成れないと言う萌子。
それならと、色々な事を折角なので、次の相手と上手くいくようにと、教えだした。
―3時間後―
「んわ~……鈴夜さんの言った意味。身をもって…知ったにゃりね…」
「うん。最初の言葉、取り消したい…よね?」
「どの言葉か、聞くのは止めときます。お二人は、お風呂とか大丈夫です?」
「大丈夫にゃりよ。十六夜様ダウンしてるから、空いてるにゃり…一緒に入る?」
「もしもが怖いので、男湯の方に行きます。歩けますか?」
「まだ、入ってる感じするけど…大丈夫。優しく気遣ってくれたから」
ナニを如何したかは謎にして、鈴夜の言葉が事実と知った二人。
そして、どの言葉を取り消したいのも謎にしておこうとする、鈴夜が怖いので。
女風呂に誘われたが、万が一にと断わった。
身なりを整え、3人は風呂に向い廊下を歩きだした。
ウィルの言葉に下腹をさする二人、仲良く雑談しながら浴場に向った。
実は混浴を断ったのは、殺気はないものの、視線が凄く痛かったのだったりする。
こうして、風呂に入り終えてウィルが部屋に戻った時、ちょうど子の刻の鐘が鳴り響いた…。
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≪人物≫
瑞原 シード
LV 98/333
技能 剣戦闘LV2 刀戦闘LV1 短剣戦闘LV1 盾防御LV1 二刀流LV1 シーフLV1 魔法LV1 神魔法LV1
技 手加減攻撃Ⅰ・Ⅱ 新・手加減攻撃 瑞原・風の剣 烈の剣 天の剣 火炎絶対防御 コンピューター操作
まず、最初に書く気は無かった。
けど、感想もらったり、ネタに出したら…コウナッタ。
ぶちゃけ、どこかに居るだろう現時代の勇者ミリオ・パタネッタより高性能。
他者にもらった技能ばかりだけど、確実に人類最強。
才能限界がバケモノ的なのは【天使食い】になった事で伸びた、という事で。
ウィルが落とした核地雷のストレス発散は完了した。
しかし、葉月を如何しようか頭を悩ませ中。
瑞原 葉月
LV 44/55
技能 剣戦闘LV1 盾防御LV1 家事LV1
誕生日を祝いに来て、過去にヤッタ?夫の浮気で暴走酔い潰れ中。
酔い覚ましに薬を飲んで寝て、昔の夢を見てる最中。
セレーナ
LV 33/50
技能 剣戦闘LV1 鞭戦闘LV1 炊事LV1
ウィルを昔のシードの様に、弟感覚で楽しんでいる。
鈴夜と交流が深く、裏事情も知っており、自分が楽しめる方法で葉子について援護をした。
因みに、来世と萌子が鈴夜の元に来て相談してる時、一緒にいたりする。
アガサ・カグヤ
シードの担当レベル神。
シードがレベル98なので、毎回全裸で召喚される。
最初は多少顔を赤めてたらしいが、流石に成れたらしい。
ウィルになにやら特別な感情あるようだが、それは謎。
まあ、分かる人にはもう分かってると思われ。
≪技≫
手加減攻撃Ⅰ
旧式な手加攻撃。
どんな強力な攻撃もダメージが1~5内に収まる技。
一撃が必殺技と同じ威力の斬撃を、痛めつける為に今回使用。
本来、ある程度ダメージを与えた後、女の子モンスターを捕獲するためにチマチマダメージ与える。
真・手加減攻撃
新型の手加減攻撃。
どんな攻撃も総力の0.8率ダメージを与え、必ずHP1残る。
疾風点破斬
二十一が十六夜の疾風点破を元に、弓で出来ないなら剣でとあみ出した遠距離必殺技。
疾風点破の特性の速力を活かし、風の剣より早い斬撃を飛ばす。
威力は1.3倍とそれなりに高い。
因みに二十一アタックは威力2倍と爆発効果がある。