「ん…夢、だったろうな。あんな…ソレにしては、あまりにリアル感が…」
先程、見ていたというか感じてた内容を思い返す。
いやいや、そんな筈はない、ありえない。
私がウィルとそんな…っーー!?夢だ、そうアレは夢なのだ。
…忘れよう、それが一番…良いはず…。
「…っ!?…頭が、痛い…それに何処だ?この部屋は、私の部屋ではない?」
朝目が覚め思いふけった後、上半身を起こすと頭に痛みが走り、思わず私は手を額に当てて目を瞑る。
痛みが多少治まり、目を開けなおすと自分の寝室でない事に気づく。
周りを見ると、香華が少し苦しそうに寝ているな。
そして、私は理解し思い出す。
そう、昨日誕生日会の最中、香華に前もって聞いて居た筈の内容。
けれど、それをセレーナ殿に再び聞かされ「二人も”篭絡”した」聞いた時に苛立ちを感じた。
ウィルの誕生日に主役を叱るわけにもいかず、胸が締め付けられる思いをした。
横を見たら隣の香華が黒いオーラを一瞬出たが、直ぐに治まり酒とっくり手に取り一気に煽る。
それを見たら、私も聞いた事を忘れたいと考える間も無く、酒とっくりを手に一気飲みしていた。
「ああ、コレが二日酔いと、言うやつか…んぐ」
どうやってこの部屋に来たか覚えてない、おそらく侍女達に運ばれたのだろう。
二日酔いを自覚し、頭痛に苛まれる。
「ふぅ…咽喉が渇く、水を取りに行こう」
布団から抜け出そうとすると、部屋の前に誰かが来る気配を感じる。
「ん?誰か来たのか?」
「あ、十六夜姉さん起きたの?入っても良い?」
「そ、そそそ、その声はウィルか!!…っくー!?」
「大丈夫?!入るよ」
誰かが来たと思えば、なんとウィルが来た!?
急に動悸が激しくなり、ドモリながら大声を出してしまった。
その所為で、再び激しい頭痛に襲われ、手で額を押さえながら呻き声を出してしまった。
ウィルがそんな様子に気づき、お盆を2個持って入って来てしまった。
「駄目だよ、十六夜姉さん。二日酔いなんだから、大声出しちゃあ」
「っ!?ああ、そうですね。すまない。ありがとう」
「ん?なんか変だよ?大丈夫?はい、お水飲む?」
「ふ、二日酔いの所為。気にしないでいい…水、ありがとう、頂く」
二日酔いについて注意された。
しかし駄目だ、ウィルの顔を見ると夢を思いだしてしまう。
つい、言葉使いも変になってしまった。
動悸も激しい、顔も赤いのではないのか?咽喉も渇くし、水を飲んで落ち着こう。
「んく、こく。…ふぅ~…ふっ。ああ、美味い。心が落ち着く」
「お水が効いたみたいだ。うん、良かったね。十六夜姉さん」
水を飲み干したら、動悸が落ち着き咽喉の乾きも癒され、平静を取り戻す事ができた。
むぅ?今、引っかかるもの言いしなかったか?…気の所為?
私は後で知る事となる、ウィルの凄さと恐ろしさを同時に知る事にも…。
私が普段通りになると、ウィルはお盆から切り分けられた柿が乗った皿を手に持つ。
そして、を串で刺して此方に向けてきた。
「柿は二日酔いに良いらしいですよ?十六夜姉さん。はい、あーん、して」
「何を…!?や、や、いやいや。いい、いいから。自分で食べれるから」
「駄目ですか?看病にはコレと僕もバアちゃんにしてもらってから。昨日のお詫びの意味もあるんですけど…駄目?」
「そうか、シィル様に。侘び?…っ!ウィル…こういう時だけ、子供に戻らずとも…あ、あー…ん、んぐ」
何をするかと思えば「あーん」だと!恥ずかしい。
皿を奪おうとしたら後ろに隠され、ウィルの看病話をだされ、少し考えさせられた。
侘びとはなんの事だろう?分からぬ。
しかし…く!?普段、生意気なくせに何故、こういう瞳と表情するのだ…わ、私の負けだ。
男のくせに顔を傾け瞳をうるませ、子供の様に首をかしげその仕草と言葉は卑怯だぞ!
結局、全部食べ終えるまで「あーん」させられてしまった…。
まあ、美味しかったけど…悔しい。
「次は、しじみ汁だけど…」
「いい、味噌汁は自分で食べるから…だから、そう残念な顔するな」
「…ウィル、わ、私も…食べさせて…」
「あ、おはよう。香華姉さん」
「!?こ、香華。み、見てたのか!?」
空いた皿を置き、次に汁の入った御椀も手に落ち此方を向くウィル。
流石に、もう勘弁してほしい。
柿は口に入れれば自分のペースで食べれる、しかし汁ものはむせそう。
がっかりするウィルを見てると、横から香華に声をかけられ、心臓が止まるかと思った。
「うん、じゃあ、次は香華姉さんの看病だね。十六夜さん、ゴメンなさい」
「ああ、分かった」
「…ウィル…」
「んー、まず、口ゆすごっか」
ウィルはそう言いい御椀を私に手渡すと、香華の方を向き様子を見た。
香華の二日酔いは酷いようだ、あきらかに元気がない。
背中に手を廻し、ゆっくりと香華の上半身を抱き起こす。
水を飲ませ…んん?今、何処から風呂桶を出した?
水を吐き出しうがいが終わり、残りの水を飲み終えると再び寝かせる。
「…恥ずかしい…はぅ…」
「仕方ないよ、病気みたいなものだし。はい、あーん」
「あーん…ん、美味しい…」
好きな相手に抱き起こされ、口をゆすいで吐き出し、再度寝かされる…それは、恥ずかしいだろう。
そんな香華の頭を撫でるウィル、顔を赤くする香華…。
二日酔いの所為とはいえ、姉と弟なんだけど、逆に見えるのは気のせいか?
ゆっくりと食べる香華に、その様子をみながら優しいゆっくりとした手付きで頭を撫で続けるウィル。
先程私もしてもらった行為…けれど、その様子を眺めていると…なんだろう…胸が締め付けられる感じがする。
―香華サイド―
頭が痛い、重い、つらい…風邪を引いた時みたい。
昨日どうしたっけ?…ああ、そう、亜紀姫と琥珀さんの事を聞いて嫉妬した。
怒りでドス黒い感情がわき上がったけど、会場で暴れる訳にいから、お酒を飲んで忘れようとした。
アレ?ウィルと十六夜さんの声がする…何してるの?
「はい、次ぎ。あーん」
「あーん…ん、くんぐ」
重い瞼を開けて、首を傾けるとウィルが十六夜さんに「あーん」させて、何か食べさせてる。
私は嫉妬より、羨ましいと思った。
だって、十六夜さんが凄く嬉しそうなんだもの。
…それに、今の私の体は思うように動かないし、つらい。
皿が空になり、次に御椀も持ち出したときに何とか声を出す事ができた。
その後、恥ずかしかったけれど、口ゆすぎ済ませ水を飲ませてもらった。
体に染み渡る感じがして、少し楽になった気がした。
私が恥ずかしがると頭を撫でてくれた。
気持ちいいし、落ち着く…従弟でもいい、こんなに優しく看病してもらえるなら。
その後、しじみ汁も体を支えてもらい「ふーふー」して飲ませてもらった。
しじみの身はまだ食欲なくて、遠慮した。
少し元気になったら、どうしても聞きたい事をウィルに聞くことにしたの。
「ウィル。一昨日…十六夜さんと何があったの?」
「っ!?いや、香華。あ、あのな」
「二十一がね、十六夜姉さんと香華姉さんの事を教えてくれたのは知ってるね?従姉兄弟だから、一緒に風呂入ろうと言われて入ったんだよ」
「そう、それで…何があったの?」
何故だろう、普段なら怒り出すのに…。
今日は冷静でいられる、二十一…やっぱりオシオキ必要かな?
何か有ったのは当ってた、何が起きたのかどうしても知りたくて、私は聞いた。
ウィルは、3人で背中流しあっこして、3人で風呂に入っただけという。
ホントニソレダケ?それだけで、十六夜さんが普段見せたこと無い綺麗な着物来て来るの?
私が疑心暗鬼になるのが判る、だって確かに裸の付き合いって言うけど、それだけじゃ説明つかない。
さっきの顔もすっごく…幸せそうだった。
私の中で黒いモノが湧き上がる感じがする…ダメ、トマラナイ。
「ソレダケ?ソレダケナノニ…イザヨイサンガ…キレイナキモノキテ、ウィルニミセルノ?」
「ぐぅ!?うん、そうだね。十六夜姉さん綺麗だった。香華姉さんもそう思うでしょ?誤解してるよ?”僕は”何もしてない。原因は二十一さ」
「キレイ…!…ゴカイ?…ハタカズ?」
思考が冷える中。
イザヨイサンガキレイ…ワタシモ?ゴカイ?ハタカズ?ナニヲイッテルノ?
マタ、アタシの頭をナデテくれた…嬉しい。
ケド、ハタカズがナニシタトイウの?
その後、再びウィルが説明してくれてやっと自分を取り戻せた。
うん、二十一が全部いけないのよ!
お風呂で髪を下ろした十六夜さんを見て、ウィルは綺麗と褒めた。
普段、領主姿の十六夜さんは、確かにウィルの言うとおり凛々しくて、カッコイイ。
タオル一枚の姿、前に何度か一緒に入った事あるから分かる。
従弟でも、裸を見られて恥ずかしいけど、綺麗と言われれば嬉しい。
二十一はその気遣いがないから、自信なくしてたと教えてくれた。
そこにウィルの言葉を聞いて、着物を着てみる事にしたらしい。
それに、あの着物が仕上がった時に、十六夜さんは二十一に着せて見せたのに。
こともあろうか二十一が『うーん、何時もの方が良いよ姉上。見慣れてない所為か違和感を感じる』と、言ったと!!
分かるよ!十六夜さん!鈴夜が言ったみたいに”女”なんだから、例え従弟でも綺麗と言われれば嬉しいもの!
うん、胸のつかえが取れた…よ…。
「…あれ?…あん、しん、したから?…な、ん、だか、眠くなってきちゃった…」
「安心したからでしょ?寝ると良いよ。お休み…香華姉さん…ちゅ♪」
「二日酔いが酷いようだし、寝ると良い。おやすみ」
「はぅ~…それ、じゃあ、…おやすみなさ…い…すー…く~」
安堵から急に眠くなって寝ることにした。
ウィルにお休みの額口付けされて、気持ちよく…眠りに…す~。
―十六夜サイド―
闇状態から普段に戻った香華が眠いについた。
しかし、妙にタイミングよく眠ったのは、気の所為か?
「ふぅ~…なんとか収まった…」
「ああ、私も久しぶりに見た。二日酔いじゃなかったら、もっと凄かっただろう」
「普段の香華姉さんは、可愛くて好きなんだけど。あの闇状態は怖いからね」
「(可愛い、好き…)ああ、あの状態を納めるのは骨が折れる」
深い息を吐き、胸を撫で下ろすウィル。
今度は私の心の中に…闇が掛かってきた気がする。
しかし、さっきの闇状態は体調が悪い所為か威圧感は薄かったので、収まったと言う所か?
…まただ、さっきの「あーん」は私もした。
けど香華のを見た時には胸が締め付けられ「可愛い、好き」と言うウィルを見てまた締め付けられる。
コレが恋なのか?従弟を好きに?香華と一緒の相手を?
自分の気持ちが判らず、悩んでいたらウィルに声をかけられた。
「さて、香華姉さんは4時間は起きないから、十六夜姉さん部屋行こうか」
「ん?4時間?…何故、私の部屋に?…薬か何か飲ませたのか?」
「妖しい薬じゃないよ?ちょっと確認と話があるけど…ここじゃあね。歩ける?」
「…信じよう。歩ける多分、大丈夫…くっ!」
香華が4時間起きないと分かったのは【酒成分解四睡薬】という薬をしじみ汁に入れたからとか。
まったく、聞いたことない薬だな。
私に聞く事があるので移動?まあ、寝てる香華の横で騒ぐのはよくないし、部屋に行こう。
布団を出て歩こうとしたら、膝と脚に力が入らず体勢を崩してしまった。
頭痛は何故か無くなった、しかし、まだ体がついてこないようだ。
何とか立ち上がろうと喘いでいると、急に浮遊感と視線が上向く。
「くっ、のっ…ひゃっ!な、何をするウィル!」
「何って、抱っこだけど?」
「それは分かる。降ろしてくれ。ど、何処に行く気!」
「上手く立てないでしょ?十六夜姉さんの部屋に、決まってるじゃん。大丈夫、昨日と同じだから」
「ぬぁ!?侍女達に見られる!…昨日?アレは夢じゃなかったのか?」
お姫様抱っこされ、体を動かし暴れるも何処にそんな力があるのかモノともしない。
部屋を出て、どんどん連れて行かれる。
家臣や侍女達に見られては威厳というより、恥ずかしさで一杯になる。
そんな気持ちの中、昨日見た夢と思ったものが現実と知る。
ま、まままま、まさか!アレも現実!?
顔が熱くなり、恥ずかしさでボンッ!と思考が停止した。
「お?静かに…あ~…ま、丁度いっか」
―十六夜の部屋―
気づいた時には部屋に居た。
「あ、戻ってきた。お帰り、十六夜姉さん。もう、頭痛とか大丈夫だよね?」
「ん?そういえば、何ともない。どうして?」
「水に【精神安定剤】をいれて有って。軽い二日酔いに【ウ~コーン薬】ってのをシジミ汁に入れたからね」
「【精神安定剤】は分かるが【ウ~コーン薬】なんだそれは?そんなものを入れてたのか」
部屋に戻り意識も戻ると、頭痛が治まった事を確認してきた。
香華には【酒成分解四睡薬】を飲ませ、私には【精神安定剤】と【ウ~コーン薬】一体どこからそんな薬を…二つは聞いたこと無い物だ。
香華は治る代わりに4時間眠り。
私は30分間は力が入らな…い!?それでか!!さっき立ち上がれなかったのは!!
今になって知らされた、あのやり取りは私の可愛いぃ!?…反応が見たいからとは…やってくれる。
楽しんでるだろうウィル、そんなに私をからかって楽しいのか?…可愛いからいい?なんだって!
「本当に可愛いと思うんだよ。初見が余りに凛々しくて、カッコ良かったから」
「あぅ…う、あ。…んー、で。私の部屋で、話とはなんだ?」
「あ、誤魔化した。…ふぅ、話はね…」
普段言われないなれない事を言われ続け、どうしていいのか分からず、本題に乗り出すことにした。
聞かれたのは、ドキッとする内容だった。
風呂での事、1回目は鈴夜から聞いてたので辛いのを楽にしてやろうと思った事。
二回目時の気持ちの違いは、ウィルの反応が可愛くて、綺麗と言われ嬉しかった事。
ウィルが独自の判断で言った、二十一と着物事は読み通りと説明した。
香華に言った様に、綺麗と言って欲しい、女としてみて欲しいと。
看病された時は恥ずかしいけど、嬉しい気持ちと、香華の看病見た時は胸が締め付けられた事を言う。
「僕に恋してくれて、女性として見て欲しかったと。それに、嫉妬してくれたんだ」
「やはり、アレは恋というものなのか…」
「風呂の時は余裕無かったけど。昨日の着物着て視線を送る十六夜姉さんは、今と同じで凄く綺麗だしね」
「そ、そうか。ありがとう…けれど、まだ身なりを整えても居ないぞ?」
「身なりもだけど、雰囲気が柔らかいんだよ。それより…夢見なかった?」
「っ!?」
ホントに12歳とは思えない思考をしている、生意気に…。
着物を着てみて欲しいと言う、女としての私の気持ちに気づいた。
私の行動思考を読み取り、胸の内に気づかない私が判るように、看病して見せ付けたと?
どれだけ、計算だかいんだか。
寝起きの整えてない私に、そのままでも綺麗と内面までも褒めてくれた。
そして、夢のことを聞かれた時は焦り、戸惑い、淫らと思われたくないので言えなかった。
しかし、ウィルが予想の内容がほぼ当っていたので、観念して全て話した。
「夜伽は予想できたけど。まさか僕が結婚して、3人一緒に過ごすところまで見てたなんてね」
「っうーーー!?す、すまない。けれど、どうしてあんな夢を見たかわからないのだ…」
「あ、大丈夫。それは【幻想希浴薬】の所為だから」
「何?【幻想希浴薬】と、ぬぅ?どういう事?」
【幻想希浴薬】を昨日飲まされた私は、薬の効果により私の望む希望、願望欲を反映された夢を見せられたと?
つまり、私は香華を差し置いて、ウィルと夫婦になりたいと思ったのか!?
しかも、何度も…くっ、つぅーー!?
「…嬉しいよ、十六夜姉さん。けれど、僕はそんなに良い男じゃないよ?」
「…何を言う。12歳には見えない、思考と行動力。十分いい男に見えるぞ」
「【幻想希浴薬】でソコまで見てたなら、伝えておく必要あるね」
「ん?一体何を?」
私の告白に嬉しそうな顔をした後、苦笑しながら自分を否定するウィル。
伝えられた内容、始めは知ってるものだった。
CITYで33人の女性関係、亜紀姫と琥珀に浜木綿との関係。
ソコまでは良かったが、次の内容には驚いた。
亜紀と琥珀を庄司殿に託す事、その時のウィルは悲しそうな表情していた…本当はイヤだったのだと思う。
次に私が驚愕したのは、葉子の変化と笑顔を取り戻す為にウィルのした内容。
更に、来世と萌子にまで手を出した事。
鈴夜との進展と関係まで話され、私はどうしていいの分からなくなった。
「…ウィルは、私が嫌いなのか?何故こんな事を、私に…話すのだ!!」
「違うよ。好きだから。香華姉と違い大人だから。考え、明日出発する前に選んで欲しいんだ」
「選ぶ?一体何を?」
「僕は15歳になるまで、誰かを選ぶつもりは無い。それまで待つ事ができるか、諦めるかどちらかをね」
ウィルが言うには、私より年下で立派に領主をしている香華は、独占欲が強くまだ考えが幼いと言う。
私はそう思わない、香華は立派にやっている。
しかし、3Gという相談役や家臣に支えられ、鈴夜も居るとの事。
逆に内政に関して私は頼るものが居なく、精神面では二十一と葉子達のみという。
しかし、ホントに子供じゃない思考を持ち、酷い子供だ。
私に恋心と気づかせ、諦めるか、好きになっても3年も待ち、選ばれないかもしれない。
更に、その3年の間に、これからも候補が増えるかも、だ、と…?
「ごめんね。明日までに選んで。けど、なるべく”早い”方が色々と良いと思うよ?」
「………」
「…う~ん…ちょっと、ズルするね…。大好きだよ、十六夜…んっ」
「……な、ウィル…んっ!?」
明日までに選ぶ?…早い方が良い?何故だ?意味が分からない。
答えが出せず、押し黙って居たらウィルが私の顔を覗きこんできた。
私を大好きと言い、肩に手を手を置き、私を呼び捨てにし初の接吻をしてきた。
…しばらく重ねられた口付け、すっと口と口が離れ、私から離れるウィル。
「それじゃあ、ゆっくり考えてね」
「………」
呆然とし、口に指を当てて座り込んだままの私を残し、ウィルは部屋を出て行った。
―お香屋―
「元禄殿~居るでござるか?」
「おお、くのいちの鈴夜嬢ちゃん。材料と金持って来たのか?」
「…出だしから、全開でござるな…何時から知ってたので?」
「最初に力を使った時に、決まってるだろうよ。名前は別ルートだけどな」
全く、たいした御仁でござるな。
鈴夜の名もくのいちの事も知ってる上に、来た理由までどんぴしゃでござる。
「揉めても仕方ないでござるから。ほい、依頼でござるよ」
「お?前と違って、物腰柔らかいな…坊主と何かあったか?」
「にょ!な、何を言ってるで、ごじゃるか!」
「分かりやすいなーおい。…全く、たいした坊主だ。さて、どれどれ」
変に構えても、仕方ないでござる。
実際、元禄殿の薬は確かに色々助かってるでござからして、この位流さなければ。
そんな考えをしてたら、ウィルとの事を持ち出され、思わず焦ってしまったでござるよ。
JAPAN一のくのいち忍者とまで言われてた、鈴夜がこんなになったのは…ウィルの所為でござるよ?
荷物を開いて中を確認して、ウィルの手紙を読み、顔をしかめるてる?どうかしたのでござろうか?
「…ちっ…ハマと同じ事を言ってきやがったな。折角嬢ちゃん達の想いを、贈ったのによ…」
「にゃ?浜木綿殿でござるか?…同じ事?」
「ああ、ハマは昔から付き合いがあってな。名前はソコからだ。同じ媚薬を亜紀姫と琥珀に使えるようにだよ!ったく」
驚いたでござるよ。
意外な所から、誕生日の日時分かりプレゼントが贈られて来たのと、原家の情勢が分かったでござる。
亜紀姫の贅沢品をプルーペットに返品しようとしたら、難癖付けられ、買値の1割で引き取るとか言い出したそうでござる。
それを浜木綿殿が待ったをかけ、自身で売って来ると言い出したでござる。
女性上位で、豊かな佐渡に売りに行く際、元忍びので裏に詳しい元禄…元忍び!?初耳でござるよ!!
…まあ、ともかく、佐渡で金品を売ったそうでござる。
元値より低い物もあれば、手に入り難く2倍以上のモノもあり、結局買値の2倍で売れて原の財政が回復したらしいでござる。
その際に、ウィルの誕生日の噂を聞きつけ、亜紀姫と琥珀殿に教え、元禄殿に相談するように仕向けたとか。
で、あの【情報指定夢香】を作り、贈ったらしいでござる。
なんでも、亜紀姫と琥珀の想いを無下にしようとするウィルに、夫婦間を取り戻すため仕方ないとはいえ、考え直すように贈りつけたが浜木綿殿と同じ思考なのが気に入らないとか。
「確かに言い分は、分かるでござるが。ウィルはまだ12歳でござるよ?責任取れないでござるよ」
「やっ、人妻に手ぇ出す時点で、駄目だろうが。確かにそれが一番だがよ…。あの二人には…(言わねぇ方が、いいな)ちっ…準備するわ」
「二人?ん?意味深な…。されど、耳が痛いでござるな…けど、庄司殿にも問題あったし、上手く行けばOKでは?後、ウィルも苦しんで居るのでござるよ?」
「いいって、坊主の支援しないでも、一応分かってるつもりだ。さてと……スン、スン、ん?…おぉ?スンスン…あ~苦労してるな鈴夜嬢ちゃんも」
「んにゃ?何がでござるか?」
原家に居たばかりのウィルなら、なんとも思わず実行したでござろうが、今のウィルは大分女心を理解してる筈でござる。
芽生えた恋心に悩んでるでござるよ、亜紀姫と琥珀殿に関しては…。
んにょ?二人に何かあったのでござるか?…聞いても、話しそうにないでござるな…。
袋から髪と下着を取り出し、瞳がギラギラとした金色にして呪いつき状態になると匂いを嗅ぎ出したでござるな。
匂いを嗅いでる最中、何かに気づき鈴夜の顔見て「スンスン」下を向いて「スンスン」…苦労?ま、ま、ま、まさか、まさか…!?
「坊主に告白して、想いが叶っても【無限性射の術】でトラウマ作ってできず。夢で元気なのを搾り取り、コレならとしたら失敗…大変だな…」
「#$&’~#*@…にゃ、にゃんで!ソコまで正確に分かるのよ!!」
もう、この御仁、怖いでござるよ、よよよ。
今までの経由、全部当てたでござるよ!?
何でも、占い師と同じ要領で、手相は過去を示しされていてそれを読み取るもの。
過去を当てる事でその気にさせ、手相から生き様を見て、人柄を予想し先を言うのが手相占い。
匂いも然り、ウィルの匂いを前回嗅いで【無限性射の術】を使われた形跡を見つけたらしい。
で、下着に鈴夜の唾液が混ざっていて、ウィルが知ってたらお香の材料にする訳がないと判断したそうでござる。
確かに、鈴夜の情報が入ったら、オカシすぎるでござるから。
それで、昨晩【情報指定夢香】効果で、亜紀姫と琥珀殿の夢を見て元気なのを搾り取ったのが口内に残り、触れた口の匂いを嗅ぎ取り予想したそうで。
ううう、恥ずかしすぎるでござるよ…昔は、何とも思わなかったのに…。
「まあ、あれだ。頑張れ」
「ほっといて…ほしいでござる…」
「あー!鬱陶しいな!今から創るから。コレ持って浜のところに、お使い言って来い!」
「…なんでござるか。ん?これは媚薬?」
「そうだよ、二人から依頼あった品だ。先に渡して来い!んで、浜に愚痴でもしてこい。アイツなら多少相談にのってくれらー」
「…了解でござるよ…にん!」
今朝の嬉しい気持ちから、どん底に落とされた気分でござる。
あの後、浜木綿殿に薬を届け、愚痴ったら…ホントに色々、相談に乗ってくれて楽になったでござるよ。
ついでに、浜木綿殿の過去と庄司殿への想いも聞いて、驚いたでござるが…救われた。
今後の事や色々と話し込みすぎて、元禄殿に言われた時間を半刻ほど過ぎてお香屋に戻り「おう、良い顔になったじゃねえか。頑張れよ」と送り出されたでござる。
依頼の品と補充分の薬を持って、ウィルの元に急いで駆ける時には、何時もの鈴夜に戻ってたでござるな~…。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[人物]
プルーペット
LV10/LV15
技能 商人LV1
自称永遠の22歳で、3代目?
金銭感覚ない亜紀に、珍しい大陸モノの貴金属を高値で売りつけた、強欲商人。
今は面識ないウィルだが、商人LV2を取得後には交渉LV2など色々用いて【値切りと強奪の桃髪悪魔】とまで言われるほど、何度も邪魔をする。
柳 元禄
LV37/44
小刀戦闘LV2 毒薬LV2 薬品調合LV2 忍びLV2
感想により、ノリノリで強化された半チート親父。
元伊賀忍者で、犬塚の右腕で媚薬や毒のエキスパートで元の名を毒嚢という。
くのいちの毒薬、媚薬の一旦をになっていた。
ある任務で呪い付きになり、頭首の犬塚に死亡した事にしてもらい引退。
呪いの能力を使い、お香屋を始めたと同時に毒を一切作らず、逆に人を生かす媚薬の知識を使い治療薬等に力を入れる。
呪いの能力を使う最中は、副作用で味覚が無くなる。
普段も味覚が感じない事はないが、分かりにくいので、毒を扱わないないようにしたのもその理由。
ウィルの特殊性を気に入り、色々な薬を渡して、自身も楽しんでいる。
後に、鈴夜やくのいち達の体内毒を緩和させるお香薬を作り渡す。
≪薬≫
【精神安定剤】(オリ?)
精神状態を安定させる性質を持つ薬物。
十六夜に飲ませた【幻想希浴薬】で、情緒不安定になるだろうと水に混ぜた。
【ウ~コーン薬】(オリ)
軽い二日酔いを、完全に治す薬。
頭痛や吐き気など、軽い症状はコレ一本で治る。
ただし、体内の酒成分を分解する為に、30分間は体の自由が効かなくなる。
どこかで見たことあるのは、気のせいだ。
【酒成分解四睡薬】(オリ)
重度の二日酔いを完全に分解して治す薬。
ただし、完全分解の為に4時間の睡眠を強制的に寝むらせる。
【情報指定夢香】(オリ)
所持者の髪や血、体液などの情報を薬に混ぜることで、嗅いだ相手に自身の夢を見せる。
夢の内容は、部位と思いにより異なる。
コレも、夢を見ている最中に目覚めない、副作用がある。
鈴夜が目覚めたのは、毒薬耐性の所為である。
お香も香りと言う、ある種の薬なので途中で目が覚める事が出来た。
【強臭混合華香】(オリ)
所持者の特定の匂いを強い”匂い”でかき消し、その後に付けるお香で良い”香り”にするお香。
最初のお香は強い匂いで余り良い感じはしないが、成れると特に気にならなくなる。
最初に○型を使い、30分後に□型香を使い混ぜ「匂い」を「香り」かえ良い香りと変化するお香。
≪くのいち性技≫
【無限性射の術】(半オリ)
無限とあるが、使われた対象者の体力が続く限り、命尽きるまで出続け死亡させるある意味、安楽死術?
カチカチ洞窟の竜宮城ゲームで、乙姫の衣服を溶かすのに、ウィルが鈴夜に頼みクリアした。
しかし、止めてくれと頼むも、腹を押さえ大笑いして直ぐに止めなかった。
その所為で3日間寝込むはめになり、クノイチに対しトラウマとなる。
更に、寝込む最中にも香華とバニラが怒られ、葉月とクスシに説教されて散々な目にあった。