ランスの孫。ウィルの暴走戦記   作:神崎風水

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27話 JAPAN各国周り≪毛利家・前編≫

毛利家に向う最中、ウィルは謁見後に起こるだろう力比べについて、考える。

ただ、本人は真剣に悩んでいるのだが、左右の腕に香華と吹雪がしがみ付いている。

 

 

「う~ん……元就様って、どんな人です?」

「えーと、人というか、幽霊ですね」

「はい? 幽霊?」

「そうです。身長が6メートル位ありますよ」

「……はぁ!?」

 

 

ウィルの質問に、香華と吹雪が答える。

その度にウィルは頭をかしげ、更には驚き叫ぶ。

その後、鈴夜や昴と菱も話に加わり、毛利家の一家の説明をされる。

 

元就はランス時代の幽霊残りで、呪い付き効果で巨大化した。

呪いを解かれ、前の身長へ戻って直に寿命が尽き、死亡した。

そして、何故か幽霊として、巨大化状態で幽霊となり今も存在してる。

 

元就の子孫で長姉、毛利てる子。

茶髪のウェーブがかかったショートヘアに、顔つきが鋭い。

実質的に毛利家の指揮を執っている。

長姉ではあるが、次女より小柄である。

戦闘が大好きの、掃除を趣味なメイドさん。

 

元就の子孫で次女、毛利きく子。

ピンクのショートスレートヘアで、先端が跳ねていて、目つきが鋭い。

長身で毛利家の食事全て、生きる糧を担っている。

姉と同じく戦闘好きな、男勝りな性格のメイドさん。

 

そして、不死人毛利ちぬ。

黄緑色のロングヘアで明るく笑っているが、常に右目を閉じていたらしく、今は眼帯を付けている。

毛利家の生神&邪神で、定期的に脳みそを吸わないと生きていけないらしいのだが、未だに健在。

毛利家の部下モヒカン達が喜んで志願し、脳みそを捧げてる。

実質、元就の実の娘。

てる子ときく子は元就の娘の子孫であるが、父と娘の間柄になってるのが毛利家の不思議。

 

説明を聞き終えると。

 

 

「つまり、巨大親分・掃除メイド・料理メイド・不死人の戦闘狂一家ですか?」

「そうです。つまり、元就殿とまともに戦ったら……ウィルが、ぺっしゃんこになります」

「うんわ~……どうしよう」

 

 

説明を聞いて大体を把握。

巨体からの豪腕と力加減をせずに問答無用な正確。

良い試合すれば良いかとおもいきや、戦うと死亡確定。

流石に、歩く足が止まるウィル。

 

そこに、鈴夜が黒い玉を取り出した。

 

 

「ウィル。煙幕を使うと言うのは、どうでござるか?」

「煙幕?……ちょっと、試してみていいですか?」

「無論でござるよ。二人とも、ウィルから離れるでござる」

「「はい」」

 

 

出された煙幕玉を受け取り、香華と吹雪が離れた後、使い方を聞いて地面に投げつける。

 

 

「……ぼふっ……ゴホッ、ゴホッ」

「大丈夫でござるか?」

 

 

足元に叩きつけ、黒い煙幕に包まれる。

当然の様に、煙にむせるウィル。

注意されていても、使いなれてなければ当然だろう。

鈴夜に心配されるが、煙が晴れるともう一個ねだる。

 

 

「……あ、もう一個いい?」

「にょ? 構わないでござるよ」

 

 

今度は目の前の樹に向って投げ、外から見る煙の範囲を調べる。

先程、煙の中からむせてる所為もあるが、何も見えなかった。

外と中の両方側から煙幕の効果を調べ、顎に指当てて考える。

 

その後、ウィルが何度か煙幕を使い、鈴夜にも色々試してもらう。

上手く行くかわからないが、何とか戦う方法は決まった。

 

 

「よし、行こうか」

「あ……ウィル、待って」

 

 

謁見後の問題は、なんとか解消されたので毛利家に向かい歩き出す。

そんなウィルに、香華が待ったをかけ俯き袖を掴む。

その様子に「可愛いな~」と思いつつ、真剣な香華の言葉を待つ。

 

 

「何? 香華姉」

「先に、言って置かないと。てる子さんときく子さん。十六夜さんと私と同じだから……」

「へ?……ああ、じーちゃん。凄いな……」

 

 

一瞬、香華の言葉が理解できなかった。

しかし、直ぐに何を意味したか理解し、祖父の幅広さを実感する。

同時に、香華の行動と思いが理解できると。

 

 

「大丈夫だよ、香華姉。その二人に、手出ししようとしたら。僕が元就様に殺されるよ……んっ」

「そ、そうよね……あ、んっ」

 

 

姉好きなウィルに前もって伝えることで、気持ちの整理と急な変化を起こさない様釘を刺そう考えた。

置いてかないで・取られたくないと言う思い。

香華が本当に言いたい事を理解したウィルは、心配を取り払うかのよう抱きしめ、触れるキスをする。

 

 

「……心配してくれて、ありがとう。大好きだよ、香華姉」

「はぅ……わ、私もウィルが好きです」

「「「「ジィーー……オッホン!!」」」」

「「!?」」

 

 

香華の言いたい事や、心配は理解できる。

しかし、自分達を無視して二人だけの世界を作っているので、鈴夜達は額に# を浮かべ咳払いする。

思いっきり忘れてた事と、恥ずかしさで顔を赤くして離れる二人。

何時もは強くでる香華も、今回ばかりは小さくなる。

圧力に負け、ウィルの横を鈴夜と昴に譲ることとなった。

 

 

「姫の気持ちは知ってます。ですが、アレだけ見せ付けられては、私たちも女です。今回は交代で……よろしいですね?」

「うっ……はい、その通りです……」

((ほんと、昴は凄い))

(流石……昴)

(昴。セディアみたいだ)

 

菱は説明が苦手、鈴夜と吹雪なら、嫉妬で上手く言えないだろう。

しかし、昴は一般的視点から先程の雰囲気に抗議し、自分達の気持ちを悟らせず丸め込んだ。

何故昴はこう口が上手いのだろうと、関心する二人。

一方ウィルは昴の雰囲気に、子供達や静やマリーを叱る、セディアを思い浮かべた。

 

本来、ウィルもこの場で昴に問い詰められそうなもの。

しかし、ウィルの口が上手く、行動力あるのは今更なこと。

昴の頭の中では、この場で香華の思考を鈍らせ、ウィルについては夜オシオキすればいいと考えた。

のんびり故郷の姉のようなセディアを思い浮かべているが、きっちり4人に夜シゴカれる事となる。

 

 

 

 

 

―毛利家、謁見の間―

 

 

 

 

 

謁見の間に案内されて、前もって聞いてなければ驚く巨体な幽霊がいた。

普段の様に香華が挨拶をし出す。

 

 

「このたびは「まてぃ」……はい?」

「あーなんだ……挨拶はいい。そっちのピンクの異人、こちゃー来い」

「あ、はい……(うんわー、イキナリかい!)」

(((((ウィル! ガンバ!)))))

 

 

香華の言葉を遮り、ウィルを自分の側に呼ぶ霊頭領の元就。

すると、ちぬ・てる子・きく子の3人が元就から離れ、香華達の方へ歩いていく。

わかっていたが、まさか挨拶すらとばして始まるとは思わず、返事しながら心の中で叫ぶ。

緊張気味に前に出るウィルに、心の中でエール贈る香華達。

元就の側までたどり着くと。

 

 

「小僧は、あのランスの孫だな?いっちょ、力を見せてくれんかのぅ?」

「ええ、ウィル・プラインです。ランスじーちゃんの孫ですよ……うひょっ!?」

「ふん……情けない」

「あー……こりゃ、ダメか?」

「キャハハ。まだ、わからないよー?」

「おおぅ、避けたか」

 

 

元就の言葉に答えるウィル。

元就は「力を」と言った時点で、ゆらりと立ち上がる。

右手に斬馬刀持ち、腕をゆっくり上に掲げる。

自己紹介しながら、上がる手を斬馬刀見上げ、咄嗟居にその場から横っ飛びする。

振り下げた斬馬刀を無造作に床に突き立てると、避けたウィルの方に向き直る。

 

一方、ウィル様子にてる子・きく子・ちぬが順に感想を述べる。

その手には既に各々の武器を手に、ちぬは爪を伸ばして香華の動きを制している。

香華達は予想してた行動におとなしくして、ウィルの行く末を見守る。

 

 

「元就様。さっきの手加減してましたか? 今度は、本気で来て下さいよ」

「ほっ? がっははは!! いいだろう! 望みどおり、()ッテやるわい!」

 

 

体勢を立て直したウィルは、剣を構え元就を挑発する。

ウィルの言葉に大笑いし、斬馬刀を持つ手に力を入れ軽く軋む音と腕の血管が浮き上がる。

本気になったのを確認すると、素早く懐から黒い玉を取り出し、足元に投げつける。

 

 

「む! 煙幕か!…………そこじゃぁぁ!!」

「「決まった!」」

「あっれー?」

「「「「「……」」」」」

 

 

ウィルを覆う黒い煙幕。

目標を失うも、冷静に斬馬刀を構える。

煙から飛び出し、ピンクの髪をなびかせた人影を斬馬刀が捕らえ、床に押しつぶしめり込ませる。

てる子ときく子はヤッタと歓喜し、ちぬはなにやら期待はずれな様子。

しかし、香華達の表情は真剣そのもの。

 

畳を破壊し、埃が舞うソコを眺める一同を他所に、煙幕の中から新たに人影が飛び出した。

 

 

「あっけないのぅ……! ぬわにぃ!?」

「はぁぁぁ!」

 

 

元就の振り下ろした斬馬刀を蹴り、腕を駆け上がるウィル。

驚き腕を振り上げようとするも、床にめり込み斬馬刀が抜けない。

あいた左手で殴ろうとするのを見て、肘を越えた所で、持ってた剣を元就の目に向って投げつける。

 

「……やぁ!!」

「むぅ! 甘い!……む? 下か! ん? 上じゃ! お? 何処……行った?」

「……はあぁ!!」

「!? のごおおぉぉー!!」

 

 

顔や額に飛んできても気にならないが、流石に目に向って来た剣に反射的に腕で防ぐ。

その一瞬に肘の所に居たウィルを見失い、降りたかと顔を下・左・上と動かす。

ウィルが何処に行ったかと首をかしげる。

そして、気合と共に拳を元就の耳の中に叩き込む。

幽霊に神経があるのか不明だが、耳に突っ込まれた拳に痛みを感じたのか、手を耳に当ててドゴン、ゴロンとのた打ち回る。

 

振り落とされ、畳の上に飛ばされたウィル。

何とか立ち上がると。

 

 

「あの……幽霊に痛覚って、あるんですか?」

「のおおぉぉ!……おっ? 痛みは無いのぅ」

「「だぁぁ!」」

「アャハハ!おとたま、面白い~☆」

「「「「「……はぁ~~……」」」」」

 

 

ウィルの言葉にピタリと元就が止まり、痛くないとけろっとする。

そんな元就を見て、てる子ときく子がすっこけた。

ちぬは、そんな元就を見て大笑いし、楽しんでいた。

一方、香華達は安堵のため息をする。

 

 

「がっはははは! まさか、儂がまた、鼓膜を破られ。まけ、る、と、わ?……!?」

「キャハハ! ウィルたま、すごーい☆」

「まったくだ。忍びでもないのに、煙玉つかうたー思わなかったぜ」

「まさか、元就が負けるとは……やるな、ウィルとやら……しかし、最初の人影はなんだ?」

「い~や、ギリギリでしたよ……ああ、あれはピンクのカツラをつけた、カカシですよ」

 

 

力試しが終わると、香華達の束縛はなくなる。

元就が胡坐をかいて座り込み、膝を叩いて大笑いしながら負けを認めるが、後半様子がおかしかった。

一応・毛利3姉妹は、それぞれ、ウィルの拳闘を称える。

てる子の問いにカカシを初めとした、今までの流れを全て説明する。

 

 

城に来る前に、元就の性格や身体の事を聞きまとめた事。

煙幕の効果を調べ、変わり身に使われる姿木に服とカツラを付けた事。

挑発し床をぶち抜けさせ、目潰しと同時に魔力身体強化し、速度を上げ襟に掴り視線をやリ過ごした。

幽霊なのに皮膚が硬いなら、内膜に近い目・鼻・口内・鼓膜で狙い易い鼓膜にしたと。

 

今回の戦闘について、策を説明し終える。

 

 

「と、いうわけで。29LVなので、こうするしかなかったんですよ」

「なんと、元就や我よりも大分LVが低いな。うむ! 気に入った! 今度は我と殺るぞ(試合うぞ)

「37のあたしと8差かー。うっし! あたしとも殺ろうぜ(試合おうぜ)

「ウィル、大丈夫しょうか?」

「うーん……お二人に、手加減と3本勝負の説明。キチント試合形式にすれば、良いのではござらぬか?」

 

 

体格とレベル差を埋める作戦。

ソレを聞いててる子ときく子は、ウィルの両肩に手を置き、物騒なもの言いをしだす。

折角元就から命を繋げたのに、また窮地に陥りそうなウィルを心配する。

引っ張りだこ状態のウィル。

ワイワイと騒いでると、思考の渦から抜け出した元就の言葉によって解放された。

 

 

「おめぇーらー!! 大宴会の準備だああぁぁ!!!」

「「「おおぉー!!!」」」×(モヒカン連中)

「ぬっ! 仕方ない、明日だな」

「おっしゃー! 料理は任せろ!!」

「助かった……」

 

元就の叫びに、モヒカン達が歓声の雄たけびをあげる。

てる子ときく子も準備に取り掛かる。

情報通りなら、元就同様二人は加減を知らない。

そんな戦闘狂二人を相手をせずに済み、安堵した。

 

 

 

 

 

―大宴会後―

 

 

 

 

 

あの後、大量の料理や酒が運び込まれた。

ウィルや香華をはじめ、忍び全員を会場に呼ぶよう元就に言われた。

鈴夜の合図で、くのいち全員が宴会会場に集合した。

 

そして、元就は問答無用に全員に酒を飲ませた。

ただ、ウィルは小僧と言う事で、酒は飲まされなかった。

昼過ぎから始まり、常に料理と酒が運び込まれ、日が沈むまで大宴会は続いた。

 

 

「うぅ~……トイレっと」

((((……ん?……ウィル、何処へ?))))

 

 

皆が酔いつぶれる中、美味い料理にトロピカルジュースやうし乳を飲みすぎ、トイレに向かった。

 

実は宴会最後辺りに出た酒は睡眠薬が入っており、くのいち達は不信に思い寝たフリをしていた。

もし政治的利用ならば、香華が危ないと他の11人が警護し。

ウィルの警護に気を張っていた4人が、部屋を出るのを察知する。

 

ウィルは厠で用を済ませた後、宴会場に戻ろうとすると後ろから声を掛けられた。

 

 

「小僧、まて。ちょっと付き合え」

「え?……誰です?」

 

 

呼ばれて振り向くと、小さい老人が立っていた。

暗がりでよく顔が見えないが、こんな小さな老人は見た事がない。

誰だろうと考えてると「付いて来い」と言って城を出て行く。

後を追うと老人は森に入り、どんどん進んで行った。

 

 

一方、ウィルが城を出るを感知すると、4人も後を追う。

 

 

「コレは……言うしか、ござらんな……」

「は? 何をですか?」

 

 

森に入ると、鈴夜が急に言葉をもらし、吹雪が何の事かと聞く。

今まで皆に内緒にしていた、ウィルの秘密の一つを話す。

 

ウィルの視線感知。

気配を消そうと、見るだけで監視してる存在が分かる事。

逆に気配があろうと、ウィルを見なければ、目を瞑るとばれない事を。

 

 

「まさか、そんな事が可能とは」

「あ!……なるほど。だから風呂場で、私の存在に気が付かなかったのか」

「そうでござるよ。ウィルが何故、何処に行くのか分からない。ソレゆえ、鈴夜達の存在を知られるわけには、いかないでござるよ」

 

 

昴がウィルの感知能力の性能に驚き、菱は巫女機関の風呂場での出来事を思い出す。

気配を察知や消すことを覚えてないウィル。

故に、多少距離が有っても気配が簡単に察知できる。

距離を取り、後を追って、目視できそうな距離になったら目を瞑ると言う事を伝えた。

 

 

更に、ウィルと鈴夜達を追う者が……もう一人。

 

 

「あん? あいつ等……宴会ほかって、何処行くんだ?」

 

 

 





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