ランスの孫。ウィルの暴走戦記   作:神崎風水

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31話 JAPAN各国周り≪島津家・後編≫

 

―子供屋敷の寝室―

 

 

 

 

布団に寝かされたウィル。

まどろみの温もりと女性の香りに包まれる中、意識が覚醒に向う。

 

 

「んぅ……(ぁ、鈴夜の香り。後、誰だろう? 懐かしい気がする……匂い)」

「んにゃ? 起きるでござるか?」

「そうみたいですね」

 

 

ウィルの腕を左右から抱きしめたまま、話し合ってた二人。

意識が回復しそうな気配を感じ、顔を覗き込む。

目を覚まし、鈴夜を見てたが何時ものことなので気にならかった。

しかし、もう一人布団に潜り込んでた、その女性を見ると驚いた。

 

 

「鈴夜と、く、黒姫!? どうして僕の布団の中に!?」

「はい♪ 私が居たいからです♪」

「流石ウィル。一晩で黒姫をモノにするとは、流石でござるな~♪」

「ちがっ! 僕は何もしてないよ!!」

 

 

黒姫の顔を見て、慌てて布団の中抜け出し逃げだそうとする。

しかし、しっかりと二人が腕を抱きしめているので、逃れることはできない。

そんな慌てる姿を見て、満面の笑みで側にいることを望む黒姫。

追い討ちのように鈴夜が茶化す。

今の状況と身に覚えない事を言われ、全力否定する。

 

ひとしきりウィルは二人に弄り遊ばれ楽しまれた。

その後、落ち着きを取り戻し普段の精神状況に戻る。

からかわれてる事にやっと気づき冷静になる。

今の状況を見て、気絶するまでのことを思い出し、新たな恐怖と問題を思い出す。

 

 

「ちょ、ちょっと待って。こんな状況を他の人に。香華姉に見つかったら、どうすんだよ! 鈴夜!!」

「あ、それならご心配なく。私が部屋に【人払い】と【防音】結界張っておきましたから。誰も部屋に来ないし、入れません」

「そう言う事でござるよ。内緒話しや叫んでも、誰にも気づかれないでござる」

「あ、でも揺れと振動。匂いは誤魔化せませんから……おいたは、駄目ですよ?」

 

 

現状に嬉しいと思う気持ちと、香華に知られた時の恐怖に怯え鈴夜を怒鳴る。

そんなウィルに、心配御無用と部屋に施した結界を説明する。

二人の説明に安堵する。

ただ、今いる部屋が3階で、激しい運動や床の軋みは下に居る者に不信を抱かせる事。

ウィルが今の状況に興奮・悪乗りして襲い掛かった後。

匂いで知られると口に指を当てからかう黒姫。

考えても居なかったがおそらく考えるだろう事、それをどうしてこうも分かるのかと不思議に思った。

 

話が落ち着いたところで、今に至る経由を説明された。

 

 

 

 

  3時間前

―飯と茶屋内―

 

 

 

 

ウィルが机にうつ伏すと香華が半泣きし、看板娘の真琴が慌てる。

店内なので、流石に他の客も何事かと「ざわざわ」と、どよめきだす。

 

 

「ほら、起きるでござるよ! っと!……うにゃ?」

「起きない? まさか!!……ふぅ~大丈夫。脈はあります」

 

 

気絶してるウィルの背後に回り、背中に且! を入れて起こそうとする。

しかし、起きる気配がないので、過去の殺人団子の効果を思い出し焦る黒姫。

首筋に指を当てて脈を取り、本当に永眠してない事を確認する。

 

 

「出よう。騒ぎが大きくなる前に」

「「「了解です」」」

「おっかしーよなー……僕の時は、此処までじゃなかったのに……ウィルってもろい?」

 

 

兎縷々夏が香華の肩に手を置き落ち着かせ、この場を出ようと提案する。

一同が納得し、永常が支払いを真琴にして席を立つ。

鈴夜がウィルを背負い(ホネをひろい)一同が店を出る。

最後尾にウチヒサが続き、後頭部に両手組み当てて自分の時との相違をぼやく。 

 

中々目を覚まさないウィルの安否を心配し、視察を中断して最終目的の子供屋敷に向う事となる。

今までに、殺人団子を食べさせても、ここまで目が覚めない事に落ち込みを見せる。

ソレを見て、ちょうど良い機会だと黒姫が殺人団子の有り様を諭そうとする。

 

 

「香華姫。お分かりに成りましたか? 貴女の作る団子は【殺人兵器】だと」

「……兵器じゃ、ないもん……」

 

 

黒姫の言葉に、力なく団子が兵器じゃないと小さい声で答える。

そこで、初代織田皇帝、香姫を例えて説明する。

 

普通の料理やお菓子、おこしもの・草もち・大福等は普通に美味しく作れる。

しかし、団子となると殺人団子技能が発動し兵器となる。

香姫も今の香華と似たような感じだった。

ただ、皇帝になった時に殺人団子の技能レベルまでもLV2上がり、何人も殺害するに至ったと言う。

そして、LV2になると力加減というものが分かるようになり、拷問や尋問に使われたらしい。

更には、罪人の処罰の道具に使用したと言う。

 

 

「そ、そんな。初代がそんな事に、団子を使ってたなんて……」

「そうです。香姫は割り切ってました。今回、ウィルさんに美味しく食べて欲しいと想いを籠めて、何時も以上に一生懸命作りましたね?」

「はい……ウィルには、美味しいと言って欲しくて……」

「その想いと意気込みが、威力を高めたのです。ウチヒサが前、直ぐに目覚めたのは想いが軽いから。想いが強い程が強力な威力となり、ウィルさんが未だ目覚めないのです。危うく、ホントに殺害するところでした」

「「「「うあ~……恐ろしい」」」」

 

 

初代を例え話にしたことで、やっと香華の団子についての認識が変わっていく。

更にウィルを強く想って作ったからこそ、今の状況を作り出したと説明する。

さり気なく、4ヒサをなんとも想ってないと予想して言う黒姫。

ただ、一同は一歩間違えると、冗談ですまない事に恐怖を覚えた。

そんな時、意識ないままでもフォローを入れる者がいた。

 

 

「ぅ~ん……香姉……団子も……料理も美味しい……よぉ……ZZz……」

「っ! ウィル……ありがとう……」

「……あら、やりますね。ウィルさん」

「ホントに寝てるんでござるか?……ん!……ふむ、寝てるでござるな」

「「ちょっと!? いいのか! それ!!」」

「うんわ~……痛そう。でも、起きないんだ。逆に気絶? 何にしても気失ってるのに、やるなウィル」

 

 

ウィルの寝言に、香華の頬を涙が軽く流れる。

黒姫は気を失って寝てるのに、まるで起きてるようなタイミングで言う寝言を褒める。

ちょっと嫉妬したのか、鈴夜が起きてるだろうと手を離して ドス! ゴチン! と背負ってたウィルを落す。

尻を打ちつけ、後頭部を地面に打ち付けても目が覚める気配はない。

レイラと永常は、流石にそんな事をして良いのかと? 突っ込みを入れる。

ウチヒサは自分の後頭部に手を当て、体を縮ませ顔をしかめる。

そして、気を失うもフォローを入れるウィルに関心する。

その後、再度ウィルを背負い、子供屋敷に向った。

 

懐かしき子供屋敷に着くと、レイラはせがみ訓練を求める子供達の相手をしだす。

永常は香華と共に夕食の準備、そして同時に子供達に料理を教えている。

兎縷々夏とウチヒサは一緒に、幼い子供達と遊んでいるようだ。

 

この子供屋敷は、保護と同時に育成もしている。

子供達の犯罪防止と餓死を無くし、成長した時に職に付けるように自分達で自給自足をしている。

そうして成長した子供が、侍女や武士となり永常とレイラのようになる。

商人や養子を望む民の元へと、真琴のように働いている。

 

今までの経由と状況を説明されると。

 

 

「……お尻とたんこぶが出来て、頭痛いの……鈴夜の所為か……」

「にゃっ!? す、すまないでござよ! だからこうして添い寝を!」

「ほらほら。ウィルさんも、そんなに怒らない。私も一緒にいるのですから」

 

 

何故、尻と頭が痛むのか分かると目が据わり、後頭部を手で擦りながら鈴夜を睨む。

黒姫が説明の序に詳しく鈴夜の嫉妬所業を暴露され、慌てて胸を押し付け誤魔化そうとする。

鈴夜が薄着なのは何時ものことだが、黒姫は名前のような黒い上着物を脱ぎ、薄着になっている。

着物を着てると分かり難かったが、薄着なので大きな胸の感触が良く分かる。

その胸を鈴夜と一緒に腕に押し付けられるので、流石に照れる。

 

 

「うっ……分かりました」

「助かったでござる……「鈴夜」にゃっ! めんごでござるよ~」

「もう……そうそう。この子供屋敷は先日。12周年を迎えたんですよ?」

「はい? へー……そんなにも続いてるのですか」

 

 

なんとか収まるも、反省の色が薄い鈴夜をジト目する。

ネコ耳髪をピン! と立て、再度謝るが軽い口調なので真剣みが薄いのは何時もの事。

先程の堂々巡りになりそうなので、話題をずらし屋敷の創設について語りだす。

 

13年前。

城下を散歩してる時、永常とレイラや真琴を見つけ城に保護した。

その後も、頻繁に見覚えある子供を見つける。

保護や囲うにも、限界と問題があると思い屋敷を建てた。

その後、完成して子供屋敷が建つと、見覚えある女の子達が集まってきた。

中には男の子もいたが、そう女の子だけを保護するのも出来ない。

男子も同じように保護して、子供の育成と犯罪防止を掲げ、今も活躍してると説明する。

 

 

「へ~……凄いですね」

「そうでござる。織田・天志教・上杉・北条と他国も真似して、子供屋敷はあるでござるよ」

「はい♪ 罪滅ぼしと思い、建てたのですが。他領も担ってくれて、嬉しい限りです。創設はLP110年○月○日です」

 

 

ウィルが子供屋敷の有り方に関心し、他国の名を上げ鈴夜が補足する。

黒姫も建てた理由は過去の罪悪感からだが、それを良い事と他国が同意して援護してくれた事を嬉しく思っていた。

機嫌良く創設日を言うが、ウィルはその日付を聞いて驚く。

 

 

「……はぃ? マジデ? その日、僕の誕生日……いや、僕が生まれた日だ……」

「えっ!? ま、まさか!! そんな事って!」

「……偶然にしては、タイミングが良すぎるでござるな……」

 

 

ウィルの驚きながら言うの言葉に、黒姫が布団を跳ね除け起き上がり驚愕する。

鈴夜も起き上がり布団に座り、事の重要制を思考する。

ウィルも起き上がり、3人布団に座り囲み重苦しい空気が流れる。

そんな中、急な来訪者に新たな展開を迎える。

 

 

「……やあっ! やっと開いたよ。あ、黒姫様。永常おねーちゃんと香華おねーちゃんが、バンごはんができたって」

「え? あ、結界の持続時間が……はい、ありがとう。直ぐ行きます」

「お兄ちゃん。はやくいこうよー。わたしおなかすいたー」

「OK~!」

「……!!」

 

 

扉を開けて入る男の子が夕食の時間と呼びに来た。

人払い結界の所為で扉が開かないも、子供だけに意地になって開けようと大分苦労してたようだ。

入室されることに驚くも、結界の継続時間が過ぎたことを理解する。

お礼を言って、黒い着物を着ようと立てかけてある場所にむかう。

そんな男の子に妹らしき子が入ってくる。

二人が揃う姿を見た黒姫は、脳裏に閃く記憶がよみがえる。

持ってた着物を落とし、口に手を当てて驚いている。

 

 

「あの、黒姫さん。どうかしました?」

「思い出しました……女の子だけじゃありません。男の子もザビエルに殺された、兄妹や家族達です」

「にゃんと!? けど、犯すのは女性だけでござらぬか?」

「そうです。実は……」

 

 

着物を落し、黒姫の様子がおかしいと気づき問いかける。

鈴夜はザビエルの事を一瞬「両刃使い?!」とか思うも、口には出さす疑問を投げかける。

もっともな言い分に再度結界を素早く張ると、過去を語り出す。

 

ただ女性を犯し殺すだけではなく、その兄妹や姉弟などを目の前で犯したり、また男を切り刻み反応を楽しみ犯し殺してた事を思い出す。

それが、兄妹・姉弟・夫婦・恋人・家族と、少数ではあるがやっていた事実。

最初は、子供屋敷に来る少数の男の子は、集めるのだからしょうがないと思っていた。

しかし、先程の兄妹を見て、その悪趣味な趣向をしていたことを思い出す。

つまり、子供屋敷にはザビエルが犯した女性に関わる男女が集まって来た事になる。

まるで、過去に居た者が誰だったかと分かるように、集められたと思うほどに。

 

 

「偶然じゃなくて、必然? けど、何でこんな事が……」

「分かりません。創設したのは、私の罪滅ぼしと思っての事で……」

「けど実質は、過去の者が集められたのでござるな……。こうなると、他領の屋敷もありえるでざるよ」

 

 

意外な事実に3人は結論を出す。

すると黒姫は結界を解き、屋敷の責任者である二人を呼び出す。

呼ばれて来たのは、茶色の腰まで届く長髪にウェーブのかかり着物の上からでも分かる豊満な胸にした女性、神代茶弥。

黒髪のショートに負けず劣らぬ胸をした女性、兼田境子。

二人の後ろについてきたのが、朝倉月花に似た白い雪のような肌。

小柄で、胸元に届く銀髪のメイド服を着た女の子、雪子。

 

 

「茶弥、境子。今までに屋敷を卒業した子達を、明日朝か、昼までに集めて」

「はい? それは、一体どういう事でしょう?」

「分かりました。直ぐに各自連絡します。そして明日、同窓会を開きます」

 

 

黒姫のイキナリの命令に、戸惑いを見せる神代茶弥。

兼田境子は即座に一つの命に対し、行動に移す内容とツジツマ合わせの理由を上げて承る。

そして、次は自分の番だと雪子が二人の前に出る。

 

 

「雪子。この手紙を、侍女長の黒崎師昏さんに渡して」

「はい。今すぐに向います」

「え? もう暗いし、夕食なんじゃ」

「ウィル様、ありがとうございます。大丈夫です。私は腕に覚えがあります。そこらの男には、負けません」

 

 

手紙を受け取り、直ぐに部屋を出て行こうとする雪子。

メイド服の所為か、きく子を思いだして祖父心? が胸を燻る。

そして、外が暗くなっており、もう直ぐ夕食なので明日にしたらと提案する。

すると、振り返り笑顔で「大丈夫」と言い、ウィルが心配している内容を的確に答える。

 

ウィルは雪子の反応に驚いた。

初めて会うのにまるで自分を知ってるような口ぶりに、好感を持った瞳してる事に。

 

何故そう思えたか? ウィルがメイド服のきく子と重ねた様に、雪子は屋敷で育ち皆を守る女忍びもである。

香華やウィルの護衛に来たくのいち達と交流を持ち、ウィルがどういう女たらしかを萄果姉妹や露似依姉妹から聞いていた。

雪子はまだ、くのいちの修練は積んでないが彼女達の雰囲気と考えに驚く。

そして、仲良くなった4人から話を聞いて、呆れつつも彼女達へ接し方に好感を持っていた為である。

 

二人が連絡網を駆使し、卒業した者達に手紙を送るべく動き出す。

雪子は廊下を抜けると周りの気配を確認して、その場から姿を消して島津城へと向った。

 

 

 

 

  夕食後

-子供屋敷前-

 

 

 

 

夕食を楽しく終えた後。

屋敷に残る者達が、城に帰る4人を見送りに出る。

 

 

「それじゃ、永常とレイラをよろしくね」

「「はい、分かりました」」

「「ありがとうございます。黒姫様」」

「じゃ、楽しんできなよ」

 

 

黒姫の言葉に管理者でもある、茶弥と境子が手を前で組ながら答える。

永常とレイラは、懐かしい屋敷と後輩達と一晩過ごせる事に感謝する。

そして、雪子が師昏に手紙を渡したことでアキレスが黒姫の護衛に来ており、二人に楽しめと言葉を掛ける。

 

一方、城に向う残り二人、それは。

 

 

「それじゃ、兎縷々夏さん。黒姫さんやウチヒサくん達を、春香さん達によろしくね」

「はい。お任せ下さい」

「大丈夫だよ、香華ねーちゃん。兎縷々ねーちゃんと僕は仲いいから」

「(くそっ!! 何でこんな事に!)ウチヒサ。あんまり兎縷々夏さんを、困らせるなよー」

「(あれ? 結構、平気なのかな?)なーに言ってんだよ。僕がナニして、困らせるって言うのさ♪(うーん……ハズレ? んぅ? なーんだ。やっぱり♪)」

 

 

ウチヒサと手を繋ぎ横に並ぶ兎縷々夏。

城に着いて行く事になったので、黒姫と城に居るだろう3人を香華に頼まれる。

答える兎縷々夏の手を握り、ウチヒサが仲の良さ香華達にアピールしている。

ウィルはそんな二人を見て、心の中で葛藤をしていていた。

しかし、普段通りの気配と顔をして、ウチヒサをからかう様に兎縷々夏との仲を気にした素振りを見せない。

ウチヒサは、平然と昼間と同じウィルに疑問に思う。

見せ付けるだけでなく、あるニアンスを込めて喋りウィルを様子を伺い見る。

それでも尚、変化がないので「その程度の思いなのか? 気にもしないのか?」と思って居たが、暗がりで気づき難いがとある一点を見て納得した。

 

4ヒサは皆知っていた。

春香達4人が、ウィルの手出ししてる女性だと言う事に。

故に、香華の反応を見て守るべく宣言するウィルに対し、仕返し、代償だといわんばかりに奪うつもりなのだ。

残りの3人は城でアピールと略奪、寝取りに性を出していた。

しかし、ウチヒサは黒姫と香姫を好きな気持ちは変わらず、こっちに居る事を選んだ。

その結果、昼間一緒に居たことで、ウィルという男がどんなヤツなのか? 大体理解できていた。

そして、年齢が近い所為か、兄達の様な考えを持てず「友達になれたら良いなー」とか思っていた。

 

だからか、あからさまに兎縷々夏を狙って居ることを、仲良いのを見せてどういう反応するか見ていた。

そして、気配、表情、態度に全く変化を見せなかったが、ある一点。

左拳を血管が浮き出る程に、強く握りしめて居るのを見つける事ができた。

その、まったく他者に気取られない態度に関心したと同時に、自分の考えが当っていた事に確証を得たのだ。

 

それぞれ、一晩の別れを終えた後。

 

 

「それじゃあ、鈴夜さん。後は任せてください」

「にょほほほ♪ よろしコーで、ござるよ」

「ん? 鈴夜。なんのことですか?」

「んにゃ? 春香達4人の事(伽の現場)に、決まってるでござるよ~」

「…………」

 

 

黒姫と鈴夜のやり取りに、香華が疑問を持って問う。

春香達の事をたいしたことない様に答える鈴夜。

その言葉を聞いて、変化ないように見えウィルは押し黙っている。

しかし、内心では不安と憎悪でいっぱいだ。

春香達がナニをして、ナニをされてるのかと思うと。

また、兎縷々夏までも送り出さなければいけないのかと。

 

その後、ウィル達は男の子供達と風呂に入り、忘れないシコリを胸に秘めながら楽しい様に見えるひと時を過ごした。

ただ、やはり男の子の人数は少ないので、ある程度の風呂場の大きさだったりする。

一方、女性風呂は大きく香華や鈴夜、永常とレイラは女の子達と「ワイワイ、キャイキャイ」と楽しんでいたようだった。

 

 

 

 

-大広間の寝床-

 

 

 

 

寝る時間になると、男女別れて寝る事は当然だった。

本来、集団小部屋で寝てるのだが、女性陣は一箇所に集まっている。

しかし、何故かウィルは女の子や女性達に囲まれていた。

 

 

「あの~……何故、僕は此処に居るのでしょう?」

「あはははは。ゴメンネー、ウィルくん。この子達が、一緒に寝たいって言い出して」

「ええ。私としても香華が、余りに楽しくウィルの事を話すので。折角なので本人から話を聞きたいと思いまして」

「そんな、永常姉さま! 言っちゃ駄目ですよ!」

「(……やっぱり、姉妹なんだね……)へ~……香華姉さん。何を言ったの?」

 

 

寝る前の女子会。

それの題材に、ウィルが利用される事になった。

何故この場に居るかの疑問に、レイラが笑いながら答える。

食事時に見た、ウィルの綺麗な桃色の長い髪に容姿。

女の子に見えるけど、その雰囲気は屋敷にいる男の子のソレとは違う。

それを、風呂場でワイワイ話していて話が盛り上がったらしい。

 

一方、永常は料理をしながら香華との交流を深めた。

料理を通して会話が弾み、ウィルの事を色々と話したようだ。

ただ、何故か自然と二人は「姉と妹」のような感覚にとらわれる。

なんとなく、香華から「永常姉さま」と呼んで良いかと聞き、永常も快く是非にと答えた。

そんな二人のやり取りを見て、黒姫の話を更に事実みを深めたと思う。

香華をからかいながら、皆に聞かれることを一つ一つ丁寧に、全部答えて夜はふけて行く。

 

 

「茶弥、どう? ウィル君は。黒姫様から少し聞いて、親身になって接しろと言われたけど……」

「一言で言って。可愛い、大人な子供ですね」

「はい。やはり露似依さんが言ってたように、経験があるだけに落ち着いてます。それに、あれだけ女子、女史に囲まれても的確に受け答えし、照れによる幼き男子の情けなさがありません」

 

 

事務処理、卒業した者達に手紙を書き終えて、やっと寝室に来た境子。

聞かれた事を簡潔に、ウィルの立ち回りと雰囲気を、一言で言い表す。

雪子は自分が聞いていた裏話を、内緒と念押ししながら自分の考えを加えて、詳しく説明する。

 

 

「見てて分かるわ。ホントよねー……摘み食いしちゃ、駄目かしら?」

「ああ、それは黒姫様より『私より先に、手を出たししたら、だ・め・よ』と言われてます」

 

 

境子の性格を理解してるからと、裏事も知った雪子には黒姫より対応を前もって聞かされていた。

ある獲物をかる雰囲気を出す境子に、言われてた伝言を伝えて釘を刺す。

命令なら仕方ないと諦めるも、自分の好みにを逃すのを惜しむ。

 

 

「惜しいな~……可愛いのに♪」

「(境子さん、考え甘いですよ。話に聞く、ウィルさんの凄さを知ったら……)自重してください。境子さん」

「そうよ、駄目よ。あんな可愛い子、境子の毒牙に掛けるなんて!」

(うにゃ~、毒牙に掛けるのは、ウィルの方でござるよ……雪子殿、感謝でござる!)

 

 

ウィルや香華達より離れてるからこそ言える内容。

境子の言葉に雪子は内心突っ込みつつも、再度釘を刺す。

茶弥は真面目さゆえに、境子の手癖の悪さを知ってるだけに怒る。

子供屋敷の可愛い系男の子は、たいてい境子によって大人の階段を上っている。

離れた位置、ウィルの周りの会話を聞きつつも盗み聞きしていた鈴夜。

勘違いしてる二人に突っ込みしつつ、釘を刺してくれた雪子に感謝の念と視線を送る。

 

 

楽しいひと時は、あっという間に過ぎる。

流石に寝る時間、明日も各自の役割があるので就寝する事になった。

 

 

「あの……僕は、男部屋に戻るんじゃ?」

「いいのいいの。気にしない。大丈夫、隣は香華ちゃんと私だから」

「はーぅ~……」

「ええ、私は香華の隣なら問題ないです」

「いや、そういう問題では……」

 

 

ウィルはこんなに素晴らしい華園で、手出しできずに過ごすのは、生殺し! なので戻ろうとする。

しかし、レイラが手を掴み布団に引っ張り戻す。

旦那の居る自分なら、他の子に優劣つかないと言う事で隣をキープして、左右を香華とレイラで固めるから問題ないと言う。

純情な香華はスペースの関係で、大きな布団の中で密着して一緒に添い寝に成る事になるとは思わず、顔がトマトのように真赤になる。

永常も香華の隣なら良いと言うが、ウィルが言ってるのはそういうことではない。

自分の精神安静のために、男部屋に戻りたいのだ。

 

 

「じゃ、ウィル君は私の隣で「「「「駄目です」」」」ん、もう、ケチー」

 

 

困った顔している様子を可愛く思い、牙を向こうと近寄る。

境子の行動と言葉は、大勢の女性達によって防がれた。

ウィルの左に香華、右レイラ、上に雪子、下に茶弥が囲み、境子は茶弥と鈴夜が行動を制すべく左右で挟む。

ウィルにとって嬉しい状況だが、香華が横に居る事とこんなところで間違い起こすことは出来ずにいる。

それに、年下だけは手出ししないという考えなので、誰かに手出しして収まりつくわけが無い。

こんな多くの女性の香りの中で普通に寝れるのか? と、頭を悩ませつつ逃げるのは諦めて布団に潜る。

 

 

「(……蛇の生殺しだよ、嬉・悲しい、生き地獄だ……)おやすみなさい」

「「「「「おやすみなさい」」」」」」×部屋一杯の女性達

 

 

部屋の明かりを消し、一同は目を閉じて眠りについた……はず。

 

 

 

 

 時間は夕食後に遡る

-島津城-

 

 

 

 

黒姫達が城に着くと、紫色の髪を束ね上げメガネをかけ紫色の侍女服を着た、侍女長の黒崎師昏と侍女達が出迎える。

 

 

「「「黒姫様。ウチヒサさま。アキレスさま。兎縷々夏さま。お帰りなさいませ」」」

「たっだいまー」

「ああ、今帰った、頼む」

「え? えっと、あ、ありがとうございます」

「ええ、ありがとう……師昏」

「はい、完了しております。ただ、湯浴みの前に、お願いします」

「そう、分かったわ」

 

 

一同に出迎えられ、ウチヒサとアキレスは普段と同じように足を侍女に洗ってもらう。

兎縷々夏は様呼びされて、尚且つ玄関に座らされ足を洗ってもらうという、初体験に戸惑いを見せ言葉使いも変わる。

黒姫は足を洗ってもらいながら、振り向いて師昏を呼ぶ。

師昏は手紙によって全てを理解しており、事の成りようを簡潔に省いて説明する。

 

 

「それじゃあ、3人共後は各自、好きにしていいですよ」

「はいはーい。OKだよ、黒ねーちゃん」

「はい、失礼します」

「あの、私はどうすれば……」

 

 

黒姫の言葉に自分達の住む城なので、自由気ままに行動する二人。

しかし、兎縷々夏には、どうしていいのか分からない。

客であり、部屋も分からず自由行動をどうしてらいいのかと。

 

 

「僕が部屋に案内してあげるよ」

「そ、そうか? 頼むよ、ウチヒサ」

「…………部屋を案内したら、風呂場も教えてあげなさい。並んでるのだから」

「OK、OK~]

 

 

兎縷々夏の手を引いて歩き出す。

手を引かれながら、頼るしかないと連れて行かれる。

その二人の様子を眺めていた黒姫。

部屋の後に風呂を案内するように言うと、軽口で答え手を振って答えるウチヒサ。

 

それぞれに目的の部屋や場所に向かい分かれる。

 

 

 

 

-ヨジヒサの寝室-

 

 

 

 

室内のベットの上には、二人の男女が寄り添っていた。

 

 

「はぁ、はぁ……んっ(駄目、全てがウィル様より勝ってる。こ、このままじゃ、私は……)」

「ふぅ、ふぅ……ふー」

 

 

全身から汗を拭き出し、息を荒げた男女。

春香はヨジヒサに翻弄され、今にも心と体が離れる感覚に恐怖している。

 

 

「はぁ……! だ、駄目です」

「ん。まだ、ダメなのか? 何時になったら。いや、もう一回、行こうか」

「いや、もう、今夜はこれで、おしまいに……ん! あああっ」

 

 

口にキスされそうになり、慌てて何とかヨジヒサを押しのける。

キスを拒絶され、まだ抗うのかと一瞬渋るが、ならばもう一度と行動に移す。

春香は体に力が入らないも、抵抗しようと試みるが流されてしまう。

そんな時、部屋の扉が「コンコン」と、ノックされる。

 

 

「! だ、誰か来ましたよ……あぁー!」

「なに、構わんさ。ほっておけば去るだろう」

 

 

春香が体をビクっとさせて、来訪者を求める。

しかし、ヨジヒサは全く気にしなかった。

ところが、何度かのノックの後、ドゴオン! と轟音を立てて扉が吹き飛ぶ。

 

 

「!? 何ィ!! 誰だ!」

「ヨ~ジ~ヒ~サ~~!!!」

「く、く、黒姫!? どうして此処に! 子供屋敷に一晩泊まる筈じゃ!」

(た、助かった……)

 

 

扉を破壊したのは黒姫の放った式紙術。

破壊された扉を見て振り向くと、正に黒いオーラが見えるようで、黒姫が歩むと床が軋む音をたて向って来た。

慌てて驚くヨジヒサは、子供屋敷にいる筈なのにどうして!? と、焦り油汗を流す。

そんな中、春香は心が折れる前に助かったと安堵する。

 

 

「何をしてるんですかぁ!!!」

「ちょ、ま、ぐべらぼっ!!! ぐはっ!!」

(……香華姫に似てる?)

 

 

黒姫は問答無用に殴り飛ばず。

殴られ、壁にめり込むヨジヒサを見て、怒る姿になにか香華と黒姫を重ねる。

気絶してるヨジヒサをそのままに、春香を連れだし、控えて居た侍女に任せ風呂に送る。

次なる部屋へと『ドス黒姫』は向う。

後を追う侍女たちは「久しぶりに見るわねv」と、なにやら楽しんでる様子。

 

 

 

 

-ガスヒサの寝室-

 

 

 

 

室内のベットの上では、男が今も尚激しく運動していた。

 

 

「はっ、あっ! ちょ、待って、ほ、ほしいのさ」

「ん? 欲しい? もっとか?」

「ち、ちが、う。あああー!!(駄目、夏海、こ、このままじゃ、不味いのさー!!)」

 

 

体力のあるガスヒサに翻弄されて、夏海の意識と体は分離寸前。

いけないと思いつつも、体が言う事を聞いてくれなかった。

そこに、同じく、今度はノックもなしに扉が吹き飛ばされる。

 

 

「!? おい! どこのだ……おい、まさか……」

「ガ~ス~ヒ~サ~!!!」

「うおぉ!! やっぱりかー! ひでぶぅー!! ずはぁっ!!」

(……あり? 香華姫に、似てる……なのさ……)

 

 

扉を吹き飛ばされ怒鳴るが、デジャブを感じ冷や汗を流す。

名を叫びながら向って来る黒姫を目視すると、悪い予感が当った事を悟る。

問答無用に殴り飛ばされ、壁に激突めり込む。

殴られ、壁にめり込むヨジヒサを見て、ウィルにオシオキする香華と黒姫を重ねる。

気絶してるガスヒサをそのままに、夏海を連れだし、同じように侍女に風呂へ送らせ任せる。

先程より、黒姫を覆う黒いオーラが大きくなった気がする。

再び、次なる狩場に向う、真っ黒姫。

 

 

 

 

-ドジヒサの寝室-

 

 

 

 

室内のベットの上では、女に語りかける男。

 

 

「さあ、そろそろ、言って欲しいな」

「っ! 駄目、それだけは言えない……あ、ん、ああぁ!」

「じゃあ、言うまで続けるよ……」

 

 

ドジヒサの言葉に、何とか抵抗しようとするも翻弄される鳴香。

何を言わせたいのか不明だが、あがなう鳴香の理性を崩しにかかる。

そこに、本日三度目の爆音と共に扉が吹き飛ぶ。

 

 

「!? これは……嵌められた、かな?」

「ド~ジ~ヒ~サ~!!!」

「っ! 顔は勘弁してほ、あべし!! グフっ!」

 

 

吹き飛ぶ扉を見送り、この後何が起きて、自身がどうなるか瞬時に悟る。

向って来る黒姫に、抵抗せずにそのまま「顔以外によろしく」と言う前に、腹に拳を受けて「くの字」に折れ曲がり、殴り飛ばされ壁にめり込む。

黒姫に抱き起こされ、鳴香は安堵すると同時に思う。

 

 

「(ウィルをしばき飛ばす香華姫に、そっくりじゃない)助かったわ。黒姫様、ありがとう」

「いいえ、それよりも。大丈夫ですか?」

 

 

鈴夜から伝令により聞かされて、黒姫が助けに来るのは知っていた。

お礼を言いつつ、深い息をついて落ち着く。

そんな、鳴香を心配し状態を確かめ問いかける黒姫。

 

 

「正直、危なかったわー……もう少しで、ウィルより好きって……言わされる、ところだったわよ」

「こんのっ! この子は!……つまり、知ってたのですね」

 

 

鳴香は恋人の様にあつかわれ、昼間接し方と夜最初の時の心地よかった。

しかし、途中からドジヒサの接し方や様子と言葉が変わっていった。

何か、上から突き落とされるような感覚。

あまつさえ、快楽に翻弄されてドジヒサを好きと言わされそうになった。

鳴香の説明に、ドジヒサが理解した上で行為におよび、奪い取ろうとしていた事を知る。

 

そして、鳴香をつれて部屋を出た。

後は外から帰った汗と汚れを落すべく、二人は風呂場に向って行った。

 

 

 

 

-トシヒサの寝室-

 

 

 

 

室内のベットの上では、息を荒くした二人。

女性に男の子が抱きついていた。

 

 

「はあ、はぁ、兎縷々ねーちゃんは最高に、気持ちよかったよ」

「はぁ、ふぅ。ああ、私もだ……」

 

 

あの後、兎縷々夏を寝室に案内した後、自分の部屋と誘い連れてきた。

部屋に入るとそのまま始め、先程行為が終わり、感想と述べながら甘えるウチヒサ。

このままだと、3人の兄と同じ運命を辿るのだが、トシヒサは少し違っていた。

 

 

「ねえ、兎縷々ねーちゃん。僕とウィル、どっちが良かった?」

「……何を言ってるんだ?」

「とぼけても駄目だよ、僕は知ってるんだから。ああ、兄さん達も多分、知ってるよ」

 

 

トシヒサの問いに、少し間をおいて恍ける。

しかし、ウチヒサは兎縷々夏達のウィルの関係と目的を知っていると言う。

観念した兎縷々夏は問われた内容を、目的であったウィルとの差を説明する。

 

 

「言い難いのだが、ウィルに全て……ま、「うん、もういいよ」……いいのか?」

「うん。あーあ~……悔しいなー。黒ねーちゃん、香ねーちゃん、縷々ねーちゃんもウィルに取られちゃった」

「ん、悔しいか。けれど、私も姫達と同列なのか?」

「勿論♪ 3人とも大好きだよ。だから兄ちゃん達と違って、僕は、ねーちゃん達と一緒にいたのさ!」

 

 

兎縷々夏が語る前に途中で言葉を遮る。

そして、負けを悟ると軽い口調だが、仰向けに兎縷々夏の横に寝て天井を見上げる。

目に腕を当てて、本当に悔しそうに負けを認め、一筋の涙を流す。

ウチヒサのそんな姿を見ながら、何か間違った行動をしたのかと胸を締め付けられる思いがした。

同時に、黒姫と香華姫と同列に思われる事に嬉しく思う自分がいた。

ウチヒサは3人を同じように「大好き」といい、兄と別行動をして今日一緒に居た理由を語る。

 

黒姫になかなか振り向いてもらえなくても、大好きなのはしょうがない。

香華姫も勢力云々を抜きにして好きで、ウィルが先約してても大好きだから止まらない。

そして、4人で狙う侍女を分担して落す競争するの中、そんな事を気にはなれなかったこと。

ウィルと兎縷々夏と今日一日過ごし、二人が好きになり兎縷々夏を姉二人と同じように大好きになったと熱く語る。

更に、ウィルについて教えられた事実に驚く。

屋敷を離れる時の変化に気づかず、左手の心情隠しの事実を知って驚いたと同時に喜びもした。

 

そんなウチヒサを見て本心を聞いて、ウィルに似たものを感じる。

ウチヒサも軽口を叩いているが、その顔は悲しそうだった。

同時に、二人を好きに成るのも良いものだと心を決める。

 

 

「ふむ、それじゃあ、続きをするか」

「へ? だって僕はウィルより下手で。兎縷々ねーちゃんはウィルが好きなんでしょ?」

 

 

ウチヒサを抱きしめ、続きをせがむ。

振られたばかりなのに、何故そうなるのか疑問に思う。

抱きしめられ、手を腕に添えながら顔を見上げる。

 

 

「何、私がウィルとウチヒサ。二人を好きに成っても問題あるまい? それに、ウィルと本当の行為はしてないからな……ウチヒサのが優勢だぞ?」

「ほえ?……はあ!? それって、どう言う事!」

 

 

兎縷々夏は抱きしめながら心情を語り、ウィルとの不足部分を説明し、優勢な事を言う。

まさか、ウィルと同時に好きに成られるとは思わず、少しの間ほける。

語られる事実に驚きを隠せず、思わず声が大きくなる。

 

そして、ウィルのくのいちに対するトラウマ。

春夏秋冬での出来事を聞いて驚く。

 

 

「うわ~……ウィルって。ホント、僕以上の女たらしなんだ。よく我慢できるね」

「逆にできないからこそ、どうにかしたいと思えるものさ。さ、どうする? 諦めるか?」

「当然! ウィルには負けないよ!」

 

 

元気と活力を取り戻したウチヒサ。

第二ラウンドに突入した。

しかし、同時に扉が吹き飛び乱入者が現れる。

 

 

「と、扉が! 何事!?」

(ふむ、派手な登場だな……う~む、雰囲気と黒いオーラは、香華姫にそっくりだ)

「ウ~チ~ヒ~サ~!!!」

「ひ、ひぃ!? く、黒ねーちゃん!!」

 

 

本日4度目の扉破壊。

驚きつつも体を起こし、兎縷々夏を守る様に前に出る。

ウチヒサの意外な行動に嬉しいと思い、黒姫の雰囲気が香華そっくりと思っていた。

黒姫の呼びかけに、怯え震えるウチヒサ。

しかし、今にも突撃して来る気配を察知し、逃げずに射線を兎縷々夏から外すために移動する。

 

 

「この! 御馬鹿!!」

「うわーーー!!「ふっ!」……あれ?」

「!?……どういう、つもりですか?」

 

 

怒鳴りながら、突進して来る黒姫に怯えるウチヒサ。

やはり怖いので目を瞑り、頭に両手を当て屈む。

屈んだ所に、脳天拳骨落としが炸裂する瞬間、気合と共に兎縷々夏が手首を押さえ止める。

衝撃が来ないので目を開けると、黒姫の手首を掴んだ兎縷々夏を見る。

今の状況に、何故邪魔をするのかと問いかける。

 

本来レベルの関係で、黒姫の拳では4ヒサを殴り飛ばし壁にめり込む事はない。

オシオキ技能が発動して、絶対命中と気絶とめり込みが起きたのだ。

故に、第三者の介入でレベル差があれば、今の様に防ぐ事は可能だった。

 

 

「何、ウチヒサにオシオキの必要はない。私が求め、続きをするところだ。邪魔はしないで貰いたい」

「「……へ!?……」」

 

 

兎縷々夏の言葉を聞き驚く二人。

黒姫の乱入に最初騙されたと思ったウチヒサは、本当に求められとめてくれた事に驚き。

同じように強引にされてた筈で、聞いてた話が違うと黒姫も驚く。

因みに、騙されたと思いつつ守る行動にではのは、ウチヒサの子供ながらにして男子である証拠。

 

 

「いいんですね? 知りませんよ?」

「ああ、構わない」

「縷々ねーちゃん……」

「……はぁ~~~……分かりました。扉は結界で固定しておきます。内側から開けると外れて戻りません。外から”扉”を使って朝まで入れないので、好きにしてください」

 

 

兎縷々夏の言葉に、再度確認する。

ウチヒサは抱き寄せられ、了承する姿を見て嬉泣きする。

そんな行動取られては仕方ないと、ふか~いため息をする。

扉を手に持ち引きずり、部屋の外に向う。

結界の説明をして「朝まで好きにしてください」と黒姫は去っていった。

 

 

「ねぇ……ホントにいいのかい?」

「……私も聞きたいな……キサマ、本気で、ウィルを裏切るつもりか?」

「!? 誰! ひ、ひぃ!!」

「……聞いてたろ? 本気だが?」

 

 

確認するウチヒサに続き、音も気配もなくベットの横に立つ、くのいち装束を身にまとう女史が現れる。

声に驚き振り向き、顔を見た瞬間に殺気立つ女性に怯えてベットを転がり落ちる。

兎縷々夏は平然と、立って居た昴に答える。

 

 

「ウィルが同時に大勢を好きになり、私たちが一人とは不公平だろう。同時に好きになって問題あるか?」

「む、しかしだな。いいのか? 兎縷々夏は本当にそれで……」

「くどいぞ。もう決めた事だ」

「……ふぅ……どうなっても知らんぞ……っ! 何を!?」

「ほえ? 縷々ねーちゃん?」

 

 

兎縷々夏の言い分に、少し押されつつも再度確認する。

はっきりした、力ある瞳を向けられため息をつく。

振り返り、その場を去ろうとする昴の首筋に、チクリ と針が刺さる。

同時にその場に崩れ落ち、座り込む昴を見て何をしたのか首を傾げるウチヒサ。

 

身動き取れない昴をベットに寝かせる。

 

 

「おい。どういうつもりだ……どうする気だ」

「何、昴の疼いたソコを沈めてやろうと思ってな」

「なっ!? ほ、ほ、本気か! や、止めろ!」

「イィ!? まずいっしょ!」

 

 

脱力のツボを刺され、見上げて声しか出せない昴。

兎縷々夏の宣言に、驚き慌ててドもる。

ウチヒサも言われて見て気づくが、先程の殺気で身の危険を感じる。

しかし、平然としのび装束を脱がし終えると。

 

 

「ほら、ウチヒサ。大丈夫。私がちゃんと守ってやるから」

「……いいの? 縷々ねーちゃんは嫌じゃないの?」

「おい! 勝手に話進めるな! 止めろ!」

 

 

準備万端にして、昴を抑える兎縷々夏。

今まで自分がしてきたが、好きな相手が目の前で同時に他者をするなど、本当に良いのかと不安になるウチヒサ。

同時に、目の前で怖い形相で殺気立つ昴にも恐怖する。

しかし、兎縷々夏の一言で一気に事が進む。

 

 

「安心しろ。昴は……ショタだ。頑張れ……ただし、調子に乗って、口にキスするなよ? 死ぬぞ」

「っ!? ななな、何を言いだす。わ、私は、ちが、違うぞ!」

「キス?……OK~♪」

「や、やめろーーー!!」

 

 

兎縷々夏の言葉に、殺気が飛散して戸惑いを見せる昴。

その様子に、一気にテンション上がるウチヒサ。

キスは駄目と心に刻み、叫ぶ昴にそのまま、覆いかぶさる。

 

最初は抵抗していた昴。

しかし、先日に岸原 遙へ言った内容。

一度・一回・ひと時、今だけの体験。

続く事のない、甘い囁きに口では抵抗するも、心と体が崩れ落ちた。

 

 

 

 

-2時間後-

 

 

 

 

あの後、結局のところ昴に2回連続。

最初は口で抵抗するも、途中から観念しだした。

更には、ウチヒサをウィルと重ねて名を呼び、せがむ有様まで至った。

そして、二度目の兎縷々夏との行為が終わる。

 

 

「はぁ、はぁ、はァ……だ、だめ。僕限界」

「ふっ、はっ、ふぅ~……そうか。おめでとう、ウチヒサは4回。ウィルは3回。勝てたな」

「ん? はぁ、はぁ~……マジデ! やったー! 勝ったー!!」

「……もう、終わりなのか?……」

 

 

昴はうつ伏せでベットに倒れ。

その横で、兎縷々夏に覆いかぶさり限界を迎えるウチヒサ。

ウィルに勝てたことに喜び横に移動して仰向けになり、両手を上げ喜ぶ。

そんな様子に、昴の様子が少し残念そうにで様子がおかしい。

ゴソゴソと、脱がされた装束の道具袋からビンを取り出す。

 

 

「ウチヒサ。コレを飲んでくれないか?」

「うにゅ? 何コレ」

「コレは【元気爽快】といって……」

 

 

昴から手渡されビンを見て、問いかける。

そして説明された効果に、二人が目を見開く。

 

 

「へ~……昴は、まだ足りないの?」

「くっ……そうだ。腕を失って、そのテの任務は無くなった。久しぶりなんだ。頼む」

「ふっ……遙の事を言えないな」

「う、うるさい。ほっといてくれ」

「O~K O~K♪ まっかせて、任せて!」

 

 

ウチヒサの問いに、心情と理由を語る昴。

側に居たからこそおおよその見当がついており、ここまで上手くいくとは思わずも突っ込みを入れる。

軽く顔に赤味を帯び、そっぽ向いて不貞腐れる。

そんな二人を見ていたウチヒサは、大いに喜びビンの中身を飲み干し、頑張った。

 

 

 

 

-同時刻-

 

 

 

 

皆が寝静まる中、ガバッ! と起き上がる影が一つ。

 

 

「!? ぐ! (何だ! この不安と敗北感は……まさか!)」

「んぅ~? ウィル君どうしたの?」

「いえ……覚えてないけど、嫌な夢見てた見たいで……」

「そっか……よし!」

「ちょ!」

 

 

掛け布団を押しのけ起き上がるウィル。

「小さい」言われた時の気の落ちよう、えもいえない不安と消失感に苛まれる。

ウィルが起き上がるのに気づいて起きた、レイラに夢の話と誤魔化す。

すると、気合一発胸元に抱き寄せ布団に戻す。

もがくウィルの頭を撫でて。

 

 

「大丈夫よ、お休み」

「(いや、気持ちいいんだけどね……朝が怖いけど、逃げれなそう)はい、ありがとう。レイラさん」

「ん~~♪」

 

 

逃げようにも、しっかり頭をロックされて逃げれない。

まだ胸騒ぎは収まらないが、今現状ではどうしようもない。

優しい声で言われても胸に引っかかる心、体の心地良さに押され負け観念してお礼を言う。

レイラは喜び、いっそう強く抱きしめる為に、半窒息でそのまま眠りに着く事に成る。

朝、どうなったかは……まあ、何時もの惨劇だろう。

 

 

 




 ≪人物≫



   神代茶弥


   LV 2/7

技能 料理LV1 家事LV1
  
母娘乱館の神代紗夜そのまんま。


子供屋敷の管理を任されてる二人のウチの一人。
屋敷の子供達全てを、我が子のように愛している、包容力にあふれる聖母のような巨乳美人。
皆の寂しさを無くす事に尽くす、全ての子供の母親のような女性。
もちろん、旦那は居ませんよ?



   兼田境子


   LV 6/11


技能 財務LV1 交渉LV1 運営LV1


母娘乱館の兼田響子そのまんま。


子供屋敷を管理を任されてるもう一人の女性。
屋敷の子供達全てを、我が子のように愛している、知的な美人母のような女性。
茶弥と違い、財政的な管理運営を任されており、頭の回転が速い。
一つの事に対し、幾つかの答えを導き出す。
ただ、可愛い男の子を摘み食いする癖があり、大体の男の子を大人の階段に導いてる。




   雪子


  LV 34/39

技能 短剣戦闘LV1 脚闘LV1 柔術LV1 投擲LV1 忍者LV1 メイドLV1 医療LV1


母娘乱館の雪野そのまんま。

子供屋敷の防衛、子供達の訓練を主に行ってる女の子。
屋敷の子供全てを家族のように思い、表と裏でも日々頑張っている。
一歩違えば、鈴夜たちと並ぶ高い戦闘力を持つ、くのいちにもなっただろう。
何気に、子供の前では良く喋り笑顔が絶えない明るい女の子。
裏の他人とは、最低限のコミュニケーションしかとらない。



 
   黒崎師昏


  LV 13/19 

技能 小刀戦闘LV0 侍女LV1 事務LV1 策謀LV1


ダブセンの黒崎時雨そのまんま。

知的な冷静沈着な侍女長。
侍女達には仕事では厳しく、私生活時間外では優しい女性。
茶弥には劣るが境子より大きな胸をしている。
意識を切り替える時、メガネを指で掛けなおす癖がある。
何気に、戦力も多少持った侍女長。
序に、侍女達に人気で好かれている……かなり。



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