子供屋敷終わるつもりが、もう少しかかりそう(汗
時間の関係もあり、またしばらくコッチは止まります。
では~。
―食堂―
女子組が着替え終え、食堂に着くと料理はキチント準備されていた。
そして朝早く出て、ここでの朝食を食べるのを楽しみにしていた黒姫達が既に食べていた。
ただ、ウィルにとってショックな光景が目の前に起きていた。
「ほら、ウチヒサ。あ~ん」
「あ~ん、うん。美味しいよ、昴姉ちゃん」
「そ、そうか」
「そら、こっちも、あ~ん」
「あ~ん、んぐ、もぐ。美味しいよ、縷々姉ちゃん」
「……え……兎縷々夏? 昴?……」
ウチヒサの左を兎縷々夏に右を昴が座り食事の世話をしている。
その様子が命令等で嫌々なら納得できる。
しかし、二人は普通に接し、寧ろ楽しそうに見える。
ありえない、何故こんな事になっているの分からない。
「もぐ、ごっくん。あ、ウィル。おはよう~♪」
「……ぉは、よぅ……」
「ああ、おはよう。ウィル」
「!! あ、いや。違うんだぞ。これは!」
「うにゃ? 兎縷々夏に昴が、何故、どうしたでござる?」
(鈴夜様、実は……ゴニョゴニョ……)
ウィルを見かけ、優越感に浸りながら挨拶をするウチヒサ。
目の前の事実に動揺が隠せず、挨拶の返す声が小さい上にウィルの言葉が歯切れが悪い。
兎縷々夏はウィルの反応を予想してたようで、何時もどおりに挨拶を交わす。
いろいろ画策しているので、今起きてる事は予想とおりで喜ばしい。
一方、昴の動揺は激しく、さっきまでの行動が嘘みたいに取り乱す。
両手を振って、なんでもないと誤魔化そうとしてるのが目に見え、浮気現場を見られた女性に見える。
一連の流れを見ていた鈴夜は、二人が操られたりしてないのは見て理解できる。
ただ、ウィルに誓いを立てた筈の二人が、何故任務を終えても戻らず視察対象とまだ一緒に居るのかと疑問に思う。
困惑する鈴夜に、吹雪が昨晩戻らなかった事を説明し、黒姫より得た情報を伝える。
「うにゃ~……うん。ウィル、ほら朝食を食べるでござるよ。動揺したら、香華姫に感づかれるでござる」
「……う、ぅん……そうだよ、ね……」
「ウィル様。後で時間を設けますから」
「あ、また後でー」
二人の意図は読めないが、黒姫に聞いた話の限りでは裏切った様にも思える。
それにしては冷静な兎縷々夏は分からないが、焦りと戸惑う昴は明らかにウィルに知られて困っていた。
問いただすにも場が悪く、今は時間がないので後で聞くしかない。
ウィルの手を引いて席に連れていく。
元気がないウィルに吹雪も付き添い、大丈夫と励ます。
今は二人がどういうつもりなのかより、ウィルの方が大事。
この場を後に、どうやって元気つけようか考える。
一方、勝ち誇ったウチヒサは手を振って、食事を再開する。
その後、ウィルの右に香華が座り、その横でフォローすべく鈴夜が座る。
吹雪が左に座り香華と一緒に、向かいに座るウチヒサ達と勝負するように食べさせあった。
「はい、あ~ん。美味しい?」
「あんぐ、もぐ、うん♪ 香華姉、美味しいよ」
「ウィル様。あ~ん」
「あ~ん、んぐ、もぐ。美味しいよ♪ 吹雪さん」
香華と吹雪に食べさせてもらい、ウィルは機嫌よく食べていく。
さき程はアレほどショックを受けていたのに、今は何時も通りに振舞っているように見える。
吹雪の励ましと鈴夜のキツイ一言と推測により、なんとか気を取り持ったのだ。
多少、ギコチなさがあるが、聞かなければ事実はわからないとマイナス思考を止めて今を過ごす。
朝食を食べ終える頃には、呼び集められた子供屋敷卒業生が集まり終えた。
―大広間―
ウィルの軽い紹介を終えてた後、順番に卒業者が自己紹介と握手を交す。
とある女性との顔合せの際に、名前を言う以外の事を言う人が現れた。
「初めまして、神楽香織です。見違えましたね。凄く大人に見えますよ」
「え? えーっと、すみません。何処かでお会いしましたか? お姉さん程の美人。忘れる筈ないんですけど……」
香織は自己紹介と握手をしながら、まるでウィルと会った事あるような口振りで微笑む。
言われて戸惑う、目の前の黒髪美人に会った覚えが無い。
長い黒髪とリボンまではいいが、独特の袴と雰囲気。
何となく鈴夜達と雰囲気が似てる気がする。
ウィル言葉を聞き、横に控える香華が軽く闇にモードに入りかかる。
「あら、噂に聞く以上に、口が上手いですね。駄目ですよ?」
「いえ、そうじゃ……つ、ツギノヒト、お、お願いします」
香織は嬉しそうに軽くあしらい、目線をウィルから横に反らす。
真面目に思い出そうと話してる中、香織の目の力と視線追って横の人の気配に気付く。
香華の雰囲気が、闇に入りかかっている。
やはり、目の前で必要以上女生と仲良く話すと命が危険になる。
少しカタコトになりつつも、次の人と交代を申し出る。
(流石、危機感に鋭くなりましたね)
(にょほほ。いやいや、今回は目の前の香織殿のお陰でござるよ)
香華と反対側に座っていた、鈴夜と吹雪が内緒話をする。
そして、目の前の女性が同じクノイチであり、任務先で見かけたので、どこでウィルを見かけたかは簡単に予想がついた。
「初めまして。神代衛だ。休憩なしの連続乗りで、てばさきの後ろは大変だったろう」
「あ、はい。あの時は……本気で、死ぬかと思いましたよ……ん? あれ? 神代って、茶弥さんの息子さん?」
「ちがうわ。私の旦那様よ」
「李々花の旦那様でもありますわよ」
「はい?!」
衛の言葉に、直ぐに思い出されるゼスからの地獄の疾走劇。
手がしびれ、本気で落ちそうになり、最後には気分が悪くなり意識が混濁して苦しかった事を思い返す。
気持ちがめいる中、ふと、神代の苗字に気付き、茶弥の息子かと思い問いかけると直ぐ後ろから声が掛かる。
茶弥と同じ色の長髪の女性が夫と言い、紫色の髪をした女の子が同じく旦那と乗り出してきた。
二人の発言にウィルは何で!? と驚きが隠せない。
ソコに、両方の母親がやって来る。
「うふふ。鼓音と李々花は私の娘よ」
「そして、衛は私の息子よ」
「茶弥さんに境子さんの?」
「そして、私は3人を影から守る、愛人です」
「……はぁ?!」
二人の登場に、両方の母親の容認の元、二人を娶った衛の事を知る。
序に、先ほど交代した香織も舞い戻り、愛人宣言するのでウィルは何がなにやら困惑した。
そして、衛がウィル以上に子供屋敷でモテて、大抵手出ししてたことを知る。
勿論、ウィルや香華は驚き、今も関係がどうして続けれるのかと質問攻めにする事になる。
―奥の茶弥の部屋―
最後の自己紹介が神代一家だったので、そのまま主だった面子が「衛」を抜いた者達が部屋に集まる。
他の卒業した男女は黒姫と雪子の元で写真を取り、プロフィールを書いて本を作成している。
また、それが終わったものはそれぞれの仕事、また、女性達の何人かは衛の居る部屋へと向かった。
誰かを選ぶまでは自由に楽しむ事を心情に生きてきたウィル。
その根底の中に、女史助けもあるのが、楽しみが占めてる事は確実だ。
二人を娶ることができものかと、珍しく頭を悩ませる。
そして、ごく普通に好きな殿方が、他の女性に目を向けることが許せない香華。
朝倉という例があっても、やはりなかなか納得できないらしい。
「他に行くのは面白くないわよ。でも、最後には自分の元に戻ってくる。そう考えればね」
「兄様は私の旦那様。少しの間、貸すだけですの。他の人の何倍も大切にしてくれれば、問題ありませんわ」
茶弥と李々花は自身の気持ちと考えを語る。
ウィルは、凄い考えの相手を伴侶にしたんだなーと、衛に関心と尊敬の念を抱き。
香華は、話を聞いても納得できない。
なんでそんな考えができるのかと、自分には無理と中々納得できない様子。
その後は、衛るがどういう男で、どんな事をしてきたかと嬉しそうにノロケの昔話を始めた。
―別室の小部屋―
楽しい雑談の中、ウィルがトイレに向かった際に、境子にとある部屋へと連れ込まれる。
「え、えっと、何か用ですか?」
「ええ、姫様から聞いたのよ。過去に戻るらしいわね、ウィル君」
境子に連れ込まれ、昨晩の様子から軽く身の危険を感じた。
だが、真剣な顔した目を見て、何かと重要な事だと考える。
身構えを解いて、何だろうと聞く体勢を取ると秘密を言われ、体を振るわせ一歩下がり、流石に焦る。
「ッ?! どうして、いえ……何か、僕に頼み事ですか?」
「! ホント、賢いわね~。食べちゃいたいくらい。けど、それは……無理っぽいから、内容だけ伝え、渡すわ」
過去のことを言われて最初は思考が回らなかったが、境子の目を見て元就を思い出す。
この覚悟を決めて、真に切羽詰った何かを抱えているの目だ言う事に。
境子は話を進める前に目的を言われ一瞬驚くも、直ぐに気持ちを切り替える。
ホントに子供の格好した、おいしそうな子とも大人と思える。
そこに、ツイツイ自分の欲求を果たそうとするが、境子の見える視野にクナイや小刀が見え現れる。
それは、連れ込む事と頼み事は容認しても、手出しに関しては命が無いと忠告されたようなもの。
仕方ないとため息ついて、持ってた資料を取り出す。
昨晩、卒業生の手配をした後。
自分と茶弥の生い立ちと流れが、130年前も行われてた事実を黒姫より知らされる。
茶弥にはばれないよう始末をしたが、過去においても同じことが起きてるのなら、起きる前に食い止めるのが望ましい。
いや、必ず起こしてはいけないと思うのは当然で、あんな事が起きないほうが一番なのだ。
自分の知る情報と簡易的に話し、情報を纏めた資料を手渡した。
「……そう、ですか。だから……分かりました。必ず阻止して見せますよ」
「ええ……お願いね。このことは、黒姫様と香織しか知らないこと。断ち切れるとしたら、ウィル君だけが頼りなのよ……」
また一つ、過去においての頼まれごとをしたウィル。
出来るがどうかじゃない、元就の事や今回の事。
二つとも、必ず阻止しなければいけないと、志を新たに先を見る。
―模擬戦場―
次に予定されてたのは、ウチヒサとの模擬戦だった。
これは、黒姫の立てた予定でなく、ウチヒサと兎縷々夏の申し出によるもの。
正直、ウィルの勝てる見込みがない模擬戦。
ウチヒサが戦いたがるのは珍しく、更に兎縷々夏が言ってくる真意が見えない。
しかし、部屋に来て話を聞いてた衛や鼓音に香織まで、模擬戦を見てみたいと言い出す始末。
やむ終えなく、皆に知らせウィルのお披露目を実施するのだった。
「ウィル。君の力を見せてもらうよ」
「ウチヒサ。僕も、年が近い君の実力、知ってみたいよ……」
互いに見合う位置に立ち、無手の勝負を構えを取る。
幼い男女がいるので、模擬剣や模擬刀を使うのはよくないと使わない。
ウチヒサは無手の戦闘を得意とし、ウィルいは振りかと思われたが「バニラ」に一応教授受けてるので、それなりに戦えると言う。
女の子モンスターに教わるなどと、皆は驚き信じられなかったが、香華と鈴夜の証言で認めることとなる。
実際、構えて動きを見せてもらったが、なかなかのもの。
それなら大丈夫と、今回の模擬戦を結構する決め手となった。
「それじゃ、いいかい? 5本勝負の一本目……始め!!」
「やあぁぁ!!」
「はあぁぁ!!」
衛が主審の元、模擬戦の号令がかけられる。
気合と共に互いに接近し、様子見で拳の打ち合いが開始される。
手にはグローブを着けており、多少のダメージは軽減できる。
子供とは思えない、激しい殴り合いが繰り広げられる。
勝負の方法は、膝や尻もち付いたり倒れる一撃与えるか、投げによるダウン等、打撃と投げによる勝負を5回。
勝敗は気にするなといわれても、互いに引く訳も無く負ける訳には行かない。
昨日まで仲がよかった二人だが、今日はそんな関係ではない。
ライバル、恋敵、姉に良いところを見せる場。
互いに思うところは一緒である。
ウィルは昴と兎縷々夏を、ウチヒサは黒姫の気持ちが向いた事と香織と仲良く話してたのが気に入らない。
ウチヒサにとって、香織は姉を除いて初恋と初めての相手。
それを今日、あんな笑顔をウィルに向けるのを見て、良い気分がするわけがない。
「やあぁぁ! ふっ! セイッ!!」
「はあぁぁ! ぐっ! うわあぁ!?」
「「はいはーい♪ キャッチ完了」」
「それまで! ウチヒサ、1本」
殴り合いの最中、一瞬の隙を見てウィルを投げ飛ばす。
周りで見てる子供達へ落ちる前に、露似依と琉美依姉妹が空中で受け止める。
力が強い二人には適任と子供たちが怪我をしないよう安全装置として表舞台にいる。
逆に、ウチヒサの安全装置には昴と兎縷々夏が担当している。
何気に、ウチヒサを護衛する忍びより二人のが優秀だった為。
「それじゃ、二本目。始め!!」
「やあぁぁ!!」
「はあぁぁ!!」
最後を投げで決められた為か、ウィルは殴り合いより投げをするつもりで組み合う。
しかし、それはウチヒサにとって望む形で、挑発するのに丁度良い状態だった。
(ウィル、兎縷々夏姉と昴姉が変わった理由、知りたい?)
(ぐぅ! こんな時に、何言ってるんだよ)
ウチヒサの言葉に思いっきり動揺して、動きが乱れる。
何となく理解はしている、二人がどんな任務についたか聞かされたから。
昨夜の悪寒がソレだと、何となく理解はしてるが認めたくない。
聞きたくないと勝負を焦り、投げ飛ばそうとするが防がれる。
(あはは、何となく分かってるみたいだね。兎縷々夏姉は綺麗で、昴は可愛かったよ。それと、ウィルは二人とデキ
(ぐうぅっ!? ふ、ふがけろよ。そんなの嘘だ)
動揺するウィルを小声であざ笑い、二人の閨での事情を話す。
さらには、他人の知らない忍びである彼女たちの本番ができない事情まで知っていた。
まさにぐうの音もでないウィルは、体を硬直させて力を入れる。
「うわっ?! グフッ!」
「それまで! ウチヒサ、2本目」
「よし! あははは。事実だよ。分かってるだろう?」
ウチヒサの言葉に、意識が反れた隙を突かれ投げ飛ばされる。
今度は地に叩きつけられ、息が止まる。
勝利にガッツポーツをして、笑いながら昨晩のことを事実と宣言する。
倒れたまま這い蹲り土を握り締め、悔しそうに歯軋りする。
小声で話しているので、周りの歓声に二人しか会話の内容は分からない。
ただ、口読みが出来る者には別の話しだ。
(ん~、勝利の為に手段を選ばず。なかなか見事)
(お、おい。ホントに大丈夫なのか? 嫌われたり、軽蔑され続けるのは嫌だぞ)
(大丈夫、私を信じろ)
ウチヒサの策と行動に感心し、これは面白いと喜ぶ者。
隣に居る仲間に嵌められ、填められた者は妹分たちや仲間にこれ以上仲たがいする事をおそれる者。
一度腕を失った時のように、ウィルに嫌われる事を怖がり心配する。
コレも許容範囲だと、態度も行動も変化しないこの模擬戦の首謀者。
彼女は残り三本がどうなるか楽しみな様子。
「それでは、3本目始め!!」
「うがあぁぁ!!」
「はあぁぁ!」
ウィルは開始の合図と同時に気合と言うより、怒りの叫び声を上げる。
そのまま一直線に走り、動きが単調なまま突撃する。
卑怯な事はしたくないと、止めてた魔力による身体強化を行い、目の前の敵を打ちのめそうとする。
しかし、力と速力が増しウチヒサの身体能力を陵駕しても、柔術はそれを利用して制する技。
その後、全ての三本をウチヒサに取られる。
攻撃と簡単に避け受け流され、何度も殴られ投げ飛ばされ続けた。
―姫様方サイド―
「う~ん、ウィルらしくありません。何時もは受身で、防御からの様子見なのに。今日は攻めるというか、闇雲に突っ込んでるだけです」
「そうなんですか? 私は普段を知らないので、よく分からないけど。ウチヒサには私達が拳闘・護身術・柔術を教えましたから……仕方ないのでは?」
「まあ、ウチヒサ様は年上ですし。ウィルさんはちょっと、調子が悪いだけなのではなくて?」
「……そうなのかな? どうも、ちょっと違う気するけど……(あの時とは別人、とういか切れてるわね)」
香華はウィルらしくない戦い、なんでムキに熱くなって突っ込むのが理解できない。
今までそんな事はなかったのに、同い年に負けてムキになったのかと思う。
黒姫はそれまでを知らないので判断できずにいる。
熱くなってる理由は自分・香華・香織が無手の教授したことで、多才な所為と思っている。
やはり、男の子は負けることが嫌いで、熱くなってるのだろうと。
茶弥には、戦いやこういった事は分からない。
ただ、怒ってる気がするのと、調子が悪いだけとある意味検討違いな見解をしている。
境子も戦闘には詳しくない、ただ、何か違う事に切れて冷静さを失ってると予想的中させる。
姫や管理人の後ろで控える女性は、口読みで大よその検討を付ける。
(あらあら、ウチヒサもやりますね。私と同じクノイチをモノにするとは。色々と教えた甲斐があります)
勝負の内容に関心しながら、微笑ましく見つめる者。
ウィルの任務でクノイチが命を狙うほどではないにしろ、情報を奪われず、逆に手玉に取った事を喜ぶ。
(――けど、単純ではあるけれど……私たちの様な者に、あそこまで熱くなる……悪い気はしないでしょうね……)
自分達の身を安じてか、もしくは自分の道具を奪われたことに怒り、冷静さを失う姿に違う想いを思う。
自分達、忍びは使い、切り捨てる道具。
裏切られたなら始末するのが常識で、あのような事を考え行動するのは間違えだ。
そして、衛はどちらかというと冷静に行動する方だし、もし仮にウィルが香織の為にああ言う風になるのなら、どう思うか考える……。
一方、ウィル側の者たちは。
(にょほほ~♪ な~るほど~。兎縷々夏の言う事が理解でき、分かったでござるよ!)
(ああぁ~♪ ウィル様……くっ! 兎縷々夏! 侮りがたし!)
鈴夜と吹雪は勿論、各々は兎縷々夏よりどう言う事かはメモで伝えられていた。
その故、鈴夜もウィルの怒りが自身の為の行動と当てはめる。
今までずーっと監視して鈴夜にとって、ウィルの性格はほぼ理解できる。
吹雪も鈴夜の次に長く常に側に居たので、同じように嬉しさで顔にでる程に同感する。
その事から他の面子も、ウィルの怒りが自分達の身を安じて行ってると重ねる。
ありえないと言い出す者に鈴夜から太鼓判を押され、自身に当てはめ思いを馳せる。
そこまで想って居ないものも、忍びの主人しては失格でも、悪い気はしないと良好だったりする。
今回の出来事を起こした兎縷々夏に対し、吹雪の様に感謝するものがいた。
因みに、昴だけが今回の真実を知らされてなく、慌てふためき普段見せない姿を後に晒す事となる。
―模擬戦、終了後―
「う……んぐ……ぐぁ……」
「ふぅ~、みんな~、勝ったよ~♪」
「ウィル君大丈夫かい? 駄目っぽいな、部屋に運ぼう」
五回戦とも何度も殴られ派手に投げ飛ばされ、かなり虫の息なウィル。
魔力身体強化したのが、思いっきり裏目にでた。
ウチヒサは兎縷々夏と昴や、自分を応援してくれる面々に手を振って勝利を喜ぶ。
黒姫達の居る方に歩き向かい、姉たちに勝ったと自慢と褒めてもらおうと向かう。
衛は呻き声を上げるウィルを、部屋に運ぼうと起こそうと屈む。
すると、意外な人物が側に来て、回復魔法をかける。
「――ヒーリング2……ふふ、派手に負けましたね」
「香織が治療するのかい? 任せるよ」
何時の間にか膝枕をしながら、香織が治癒魔法を掛ける。
気配無く現れた事も気にせず、鼓音と李々花の元に向かおうとする。
「私も、お手伝いします」
「ん? 雪子もか。んじゃ、頼むね」
もう一人救急箱を持って現れた。
振り返り誰かと確認すると、そのまま妻達の元へ歩いていく。
その後ろ姿を少し寂しそうに見つめるが、直ぐに気を取り直して治療に取り掛かる。
「あら、あっちに行かなくて、いいの?」
「……いいんです。境子様に治療するように命じられました。
治癒魔法を掛けながら、薬や包帯を巻きく雪子に問いかける。
処置をする手は止めず、質問に答える。
何故か鈴夜と境子に治療を頼まれ、この場に来た雪子。
それに、衛が雪子をメイドとしてか見ておらず、今も二人の奥さんを優先した。
何人も手に掛けたことを知られたら、どんな目で見られるかが怖い。
その心境を、香織が読み取り回答を教える。
「気にしなくていいですよ。私の手が血で汚れてると知っても、報告する際に閨を共にしてくれます」
「え!? そ、そうなんですか?」
香織は雪子の一番恐れていた事を、簡単に取り解す。
流石に手が止まり顔を上げ、喜びに安堵と戸惑いが見え隠れする。
「ただ……閨では、わたくしを見ていただけます……ですが。普段は、只の部下でしか……ありませんけどね」
「っ! それで、香織さんはいいのですか?」
「構いませんよ? それが、忍び。そうやって仕え、側に居て生きるのが、私の使命ですから」
喜びと安堵に揺れる雪子に、今度は事実を突きつける。
愛人と宣言しているが、任務の報告を閨でするこじ付けであること伝える。
体を一瞬振るわせ、自分の望むものと現実の違いを思い知らされる。
思わず聞く、そんなので辛くないのかと。
けれど香織はそれが当然、それが忍びとしての自身の役目と揺らぎが一切無い。
それを見て聞いて痛感する、この
―数分後―
二人の治療の甲斐あり、ウィルは目を覚ます。
「う、う~ん……あれ? 雪子さん、包帯ありがとう。香織さん、コレって『ヒーリング』ですか?」
「いえ、どういたしまして(お礼を言われたの久しぶり。普通それが当たり前って思われるし)」
「ええ、『ヒーリング2』ですよ(本当に、しっかりしてますね。慌てず状況を理解している)」
ウチヒサにボコボコに負け、目を覚ますと顔の痛みがなく、投げられり痛めた両手に包帯がある事に気づく。
腰位置に居る雪子の死角に薬箱があり見えないのだが、直ぐに雪子が治療してくれたとお礼を言う。
仲間内では礼を言われても、位の高い者たちはそれが当然とした態度だった。
いいとこ育ちの客人であるウィルの言葉に、治療した自分と気づいた判断に関心とうれしいと思う。
膝枕をしながら背中の治療をしてるいるので、香織の顔がウィルの間近にある。
普通の男子なら慌てふためくものだが、目の前の子は聞きもせず、寝起きで見て状況を的確に見抜き聞いてくる。
最初の半死状態で、柴田の後ろに縛られた子と同じとは到底思えない。
「あ、起きます。んっと……お願いします」
「別に、かまいませんのに……では、ヒーリング2」
上半身を起こし、背中を香織に向けて治癒の続きをお願いする。
手の上に寝た状態で治療してもらうのは悪いと思うも、ちゃっかり続きをしてもらおうとするのはしっかりしている。
それほど手が痛いくも重いわけでもない。
けれど、起きたものは仕方ないと再度背中に手をかざし治療を再開した。
―姫たち一行側―
やり方はどうであれ、見事に全勝したウチヒサを皆で称えていた。
「がんばりましたね、ウチヒサ。ウィルに全勝するなんて」
「当然ともいえますが、おめでとう。ウチヒサ」
「ありがとう~♪ 香ねーちゃん、黒ねーちゃん」
二人の姉達に祝福されて、撫でられながら喜ぶウチヒサ。
周りで囲むは子供屋敷の女子達と城に使える侍女たちだ。
その後ろで、鈴夜たちはウィルの方を眺める。
「むう~……いいんですか?」
不満な唸り声上げ、不満げに隣の鈴夜に問いかける。
治癒魔法は無理でも、雪子が治療してる事は自分にはできると思ってるため。
「うにゃー、仕方ないでござるよ。兎縷々夏が黒姫にウチヒサを褒める理由を言ったら、代わりにウィルの世話をあの二人にって、言われたのでござるからして」
吹雪の不満に頬を指でかきながら、今の状況を再度説明する。
吹雪の気持ちは理解できる、鈴夜だって同じ思いだ。
過去においての理由があるからこそ、今この場に居るがそうでなければ譲っていない。
「どういうつもりかはわからん。だが、あの姫は同じ忍びとクノイチである二人を、ウィルとの関係を持たせたいようだな」
「でしょうね~。理由は私たちと同じ
まだ、すべての事情を知ってない兎縷々夏は、同じ気配を持つ二人の素性を読み取る。
自分がウィルの為にウチヒサを利用したように、今の状況を利用して関係を深める算段だと推測する。
あの夜、盗み聞きしていた林果は黒姫が過去に殺されるであろう二人を、ウィルに救ってもらうための関係つくりと知っている。
ゴロツキパンダ利用の時において、残酷に切り捨てる判断したことを思い返す。
香華や黒姫がウィルの元に行かないのは、そういうやり取りがあったため。
香華は黒姫にお願いされて鈴夜に誤魔化され、ウチヒサを褒めてかまっている。
護身術を教えた姉として、ウチヒサの技を褒める。
周りの者もウチヒサの身近なものばかりで囲んでいた。
(あははは。どうだい、ウィル。ねーちゃんたちに褒められて、羨ましいだ……! な、なんで?)
女性たちに褒められ、その事に照れながら、寝転がってるであろうウィルを優越感に浸り振り向く。
すると、この周りに居るべきはずの女性があちらに居るのを驚く。
(か、香織ねーちゃん。なんで、ソイツの治療してるんだよ!!)
目に映るのは、ウィルに膝枕をして顔に治癒魔法をかけている香織。
自己紹介の時に見せた笑顔が、再びウィルに向けられている。
ウップンと、かっこいいとこを見せたのに、どうしてそっちに居るのだと困惑する。
ウチヒサの最初の世話役護衛であり、初恋の相手。
柔術や閨など、女性を口説く方法を教授し、様々なことを教えてくれた女性。
いくら衛の愛人になったとしても、ウィルに優しくするのは納得できない。
それが、どうして自分に構わずウィルの治療をしているのだと、怒りを覚える。
「ウチヒサ? どうかしたの?」
「……え? あ、いや。な、なんでもないよ」
香華に声をかけられ、振り向き意識を切り替える。
動揺しつつ、なんとか応対して目の前の姉や女性たちに意識を戻す。
ただ、先ほどまで嬉しさと喜びで一杯だった思いが、たった一つの事で胸内にシコリを残す。
すべて上手くいってたはずなのに、どうして香織がアッチに居るのかと……。
≪人物≫
神代衛 (旧性・兼田衛)
LV 27/35
技能 刀戦闘LV1 格闘LV1 柔術LV1
母娘乱館の護そのままんま。
兼田境子の息子で母親同士が仲良く、同じように仲が良い姉弟妹の流れでそのまま婿養子で結婚。
島津生まれの男だけに、女性相手にやり手なのを抑える意味もあり神代に。
島津で黒姫の信頼も厚く、モロッコ天満橋で関所兼、子供館を経営している。
神代鼓音
LV 21/27
技能 剣戦闘LV1 柔術LV1 家事LV1
同じく、神代琴音そのままに。
非の打ち所のない衛の嫁。
誰からも、特に子供たちに好かれるやさしい女性で、夫の衛を弟のように溺愛している。
過去に行われた、ある行事によって、心と身体を蝕まれる。
再開される前に、境子に香織と衛等によって救われ現在に至る。
たまに関所にも行くが、基本子供館で子供たちに育成をしている。
剣の腕前もなかなかで、そこらの男に引けをとらない。
神代李々花
LV 1/7
技能 茶道LV1 華道LV1 掃除LV1 洗濯LV1
同じく、神代莉々子そのままに。
和装を好む純朴な嫁。
生まれつき体が弱かったが、衛の嫁になる前から元気になった。
兼田衛のことを「兄さま」と呼んで慕っていて、そのまま、手癖の悪さを知った上で姉と母に相談して今に至る。
年の割に性の知識に強く、今も続く回りの関係を容認しつつ、子供たちの育成にいそしむ。
神楽香織
LV 26/33
技能 格闘LV1 柔術LV2 神魔法LV1 忍者LV1 くのいちLV1 投擲LV1 茶道LV1
カオル・クインシー・神楽そのままに。
李々花とは別の気配を袴姿の和装に包む、衛の愛人兼3人の万能的な護衛。
冷静な判断で的確に物事を行う頭脳派で、黒姫や境子と衛に対し心酔に近い感情を持っている。
彼女と彼の命とあればどんなことでも従う。
ウチヒサにいろいろ教授したのは、兄たちに劣等感を抱いてるのを解消すべく黒姫が願ったため。
それに、境子が裏調べた結果必要といって指示していた。
今回、ウチヒサが兎縷々夏と昴を取り込んだ事を見て、自分の行った事が間違いでなかったと微笑んだ。
そして、最初に橋で出会ったウィルと、今との違いに思いふける。