ARMORED CORE -果て無き戦いの中に生きる兵器-   作:アナトリアの傭兵

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第3話 テスト

メンテナンスを終えた私は、テストアリーナへと案内され、私の武器と弾薬を受け取り、アリーナの端で開始を待っていた。

 

腰部に接続されている翼の先端には、分裂ミサイル SALINE05が接続されている。他の兵器は、戦闘訓練開始前に支給される、との事だ。

 

私の視界の端には、レーダー、ECM濃度、火器残弾数、ダメージ情報、その他多数の情報が表示されている。

 

『聞こえるかい、グリント』

 

「問題無い、聞こえる」

 

通信から聞こえてきたのは、レイ。今回はレイから訓練の説明をして貰うことになっている。

 

『まずは機動テストからだ。ブースターのロックを解除するよ』

 

《Booster unlock confirmation》

 

『それじゃ、今からルート情報を送信するから、その通りに飛んでくれ』

 

「了解」

 

《Data reception. Show details for information》

 

私の視界に、新たな一本の線が現れる。線には一定の間隔で四角によって結んでいて、その上にメートル単位で距離が表示されている。

 

私は、僅かに腰を落とすと同時にブースターを起動。

 

脚部と腰部の通常ブースターユニットに青い光が灯ると共に、急速加速。僅か0.5秒後には500km/hを突破した。

 

テストアリーナのアスファルトを削りながら、私はルート上を走って行く。ただ真っ直ぐに進む訳も無く、幾つかの難所もあったけど、難なくクリア。

 

すると、線は上に逸れて空中を飛行するルートを示している。

 

ブースターの噴射方向を修正し、私の脚は地面を離れ、空中へと飛び立つ。

 

『ここからは君の真骨頂の一つ、空中機動だ。クイック・ブースト(Quick Boost)オーバード・ブースト(Overed Boost)のロックを解除するよ』

 

《Quick Boost and Overed Boost unlock confirmation》

 

『さあ、存分に飛んで(舞って)くれ』

 

その言葉と共に、私はOvered Boostを起動。Glint Wingの展開が始まり、約20個の超高出力ブースターがその姿を現し、エネルギー収束を開始。甲高い収束音が、噴射音を隠す。

 

そして、爆発。エネルギーの翼を形成し、一気に音速を突破。2460km/hで突き進む。

 

714m先に、線が右方向に一回、すぐに左方向に一回、直角に曲がるのを確認。到達は約0.957秒後。

 

到達まで、0.012秒前。その瞬間、Quick Boostを発動。

 

ジェネレーターから供給されるコジマ粒子(※1)をブースターにチャージ。そして、噴射方向を右方向へと修正と同時に、一気にプラズマ化して推力を獲得。830km/hの速度で右方向へと飛び、ルートを外れる事無く飛行。

 

ルートの難易度は急激に増してゆく。Overed Boostを停止し、超高速機動へと移行。Quick Boostを耐えず発動して、様々な角度へと曲がっていく。

 

 

それを繰り返す事、2分。機動訓練の終わりが見えた。

 

 

《About to reach 500m》

 

最後は、直線。下降しながら地面に着地するルート。

 

再びOvered Boostを発動し、音速突破。噴射方向を”前方”に修正して、急速下降を開始。

 

50m地点でOvered Boostを停止。同時にQuick Boostを前方方向に発動。瞬間的な急減速を行った後、地面に着地。残り5mは通常出力で進み、到達。

 

ブースターを停止し、次の通信を待つ。

 

『これで機動訓練は終了だ。次は戦闘訓練に移行…する前に、君の武器を送るよ』

 

前方2mの地面がせり上がり、中が開く。その中には武器と弾倉が入っている。

 

武器を手に取る前に、予備弾倉を脚部にある弾倉入れに収納。

 

そして、右手にライフル 051ANNR、左手にはアサルトライフル 063ANARを持つ。弾倉は既に装填済み。

 

051ANNR、063ANAR、SALINE05。これが私の通常兵装であり、私の為に作られた専用兵器。人間でも持てるサイズでありながら、圧倒的な火力を持つ。しかし重く、反動が大き過ぎて、人間では扱えない。だから私でしか扱えない兵器。

 

『それじゃ、ロックを解除するよ』

 

《Fire control system unlock confirmation》

 

《All Primal Armor waveform shaping equipment unlock confirmation》

 

《Assault Armor unlock confirmation》

 

『今からターゲットを出現させるから、君にはそれを全て破壊して欲しい。攻撃方法は問わないよ。ただし、アサルト・アーマーを必ず一回以上発動する事』

 

「了解」

 

『ああ、それとターゲットも攻撃するから、注意してね。勿論実弾だから。カウント開始』

 

 

──Start counting。

 

 

アリーナのアナウンスが入る。私はPrimal Armor(プライマル・アーマー)を展開する為、整波装置を起動。Generator(ジェネレーター)から供給されるコジマ粒子を整波装置に送り、展開準備を開始。

 

 

──3。

 

 

全兵器の安全装置を解除。残弾数を確認。

 

《051ANNR 30/150》

 

《063ANNR 50/300》

 

《Right SALINE05 36》

 

《Left SALINE05 36》

 

 

──2。

 

 

緑色の発光と共に、プライマル・アーマーが展開。私の周囲に不可視の膜が張られる。

 

 

──1。

 

 

引き金に指を掛け、レーダー出力を最大に上げる。

 

 

──Start。

 

 

その瞬間、私は空へと駆けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、アリーナ管制室。

 

「所長」

 

「どうだ、グリントは」

 

所長が入室し、手が空いている物は敬礼をする。所長はレイへと声を掛けた。

 

「良好です。現段階で、既に我々の想定以上のスペックを記録しています」

 

「何?」

 

レイの目は、アリーナのカメラ画面と計測器から離れていない。

 

「グリントは”彼女”を上回る、”AC”の素質を持っています。”彼女”と同等に、BFF社の新たな切り札になるでしょう」

 

その時、画面が緑色の光に染まる。同時に、計測器に新たな記録が表示される。

 

そして、管制室に警報が響き渡る。

 

「これは…何て事だ!?グリント!!!!」

 

「どうした!!」

 

「アリーナ中央にて、ホワイト・グリントのアサルト・アーマーによって、半径70mのコジマ爆発が発生!!高濃度のECM及びEMPが発生し、全ターゲット及びホワイト・グリントの反応消失!!」

 

「何だと!!?」

 

「計算上ではこんな規模のコジマ爆発は起こらない…まさか、機構に問題があった?それともコジマ粒子の過剰供給か?いや、過剰供給を確認すれば自動的に供給は強制停止する。ならジェネレーターの暴走──」

 

『────』

 

突然、管制室にノイズが走る。ノイズが荒く、何も聞こえなかったが、すぐに収まった。

 

 

『こちら、ホワイト・グリント。管制室、聞こえるか』

 

 

「「「「!?」」」」

 

「グリント!?無事か!!」

 

『問題無い。ただ、外部損傷は無いが、レーダーがEMPにやられた。誘導を頼む』

 

「あ、ああ。こっちから君が捕捉出来ていないから、とりあえずそこから離れてくれ」

 

『了解。オーバー』

 

グリントからの通信が切れ、管制室に静寂が訪れる。

 

「…レイ」

 

「はい」

 

「例の件を君に任せたい。どうやら、君以外には務まりそうにないらしい。ここを離れる事になるが、構わないか?」

 

「お任せ下さい」




(※1)コジマ粒子
国家解体戦争の7年前に発見された緑色の粒子。主に軍事転用に活躍しているが、広域かつ長期的な環境汚染を及ぼす欠点がある。
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