Sons of Skull-Rider   作:怪傑忍者猫

10 / 47
黒子のバスケ×マスカレイドスタイル×仮面ライダーSPIRITSと言う多重クロスオーバー。

今回より新章となります。
これから書きたかった話の突端に入ります。

なお、この話は黒子のバスケと仮面ライダーSPIRITSの登場人物に、マスカレイドスタイルと言う同人TRPGをベースにした独自設定を付加した二次三次創作となります。
その為、原作の登場人物と家族設定などに改変があります。
今回は特に、私家設定が前面に出てきます。
他にも作者設定のオリジナルキャラクターも何人か出てきますので、そう言うものがお嫌いな方はこのままbrowserbackをしてください。
キャラクター改変がお嫌いな方も同様に願います。


Second chapter メダルと勇気と
episode01  零れ落ちる君


 俺は、記憶にたくさん穴が開いているらしい。

 らしいと言うのは、俺には良く判らないからだ。

 医者の話では、記憶に穴がある事に違和感がないのも、それに不自由を感じないのも、異常の証拠らしいが良く判らない。

 覚えている事と言えば、身体の中に何か冷たいものが二つ入り込んだ事ぐらいだろうか。

 ああそう言えば、あれから妙に腹が空くようになって食事量が増えた事と、余程の事がない限りバスケ以外の事に興味が向かなくなったくらいだろうか。

 俺はそんなに困ってないけど、そう言うと周囲にいる連中は皆困った顔になる。

 ……そう言えば、こいつ等誰だったかな?

 そう言った後、兄貴分だと言う三歳上の小柄な兄ちゃんに正座させられ、三時間に渡って山積みのアルバムと共に『兄弟』の顔と名前を覚えさせられた。正直死ぬかと思った。

 

 

「息子の為に、申し訳ありません」

「馬鹿な事を言うんじゃない、火神君。

 今回はどう考えたって、大我君は被害者だ。しかも、完全に無関係だったにも拘らず、だよ。

 滝君が、取り敢えず《鴻上ファウンデーション》への警告をSPIRITS隊越しに出してはいるんだが、向こうものらくらした対応しか返してこなくてねえ」

 

 《ホークアイ・ホールディングス》会長であるアラン・ホークアイは、深々と頭を下げるアメリカL.A支社の営業部長にそう言ってコーヒーを勧めた。

 アメリカ支社総括である高橋俊からの急な連絡で、会長である彼がL.Aへ来た時には、事態は問題ばかり残して形ばかりの収束を見せていた。

 最初は現金輸送車狙いの強盗、と見られたその事件は、実はとある個人美術館から《鴻上ファウンデーション》が買い取った品を運ぶ為に用立てた警備保障のワゴン車を、その品を強奪するべく犯罪結社――《財団X》の武装部隊が襲ったのである。

 問題は、その事件が起こったのが、住宅街に点在するストリートバスケコートのすぐ傍で。

 そしてバスケ仲間を待っていた、火神大我の目の前で起こった事だった。

 武装集団を目の当たりにした時点で、大我がコートから逃げられなかった理由は唯一つ、そこのコートは全面金網張りで、唯一の出入り口の前で事件が起きていたからだ。

 咄嗟に出来た事は、武装集団に見つからないよう植え込みの陰に隠れて、携帯電話で警察を呼ぶ事ぐらいだった。しかし。

 そうしているうちに、警備員らしい人間と犯罪者が揉み合い奪い合った三〇センチ程の円盤が宙を舞い、コートの中に飛び込んだ。

 コンクリートの床の上で跳ねたそれは二つに割れると、内側に納められていた一〇枚のメダル――紫と薄紫、赤紫の三色があった――が飛び散り、そのうちの紫と薄紫の二枚が大我の胸に飛び込んだのだ。

 双方は奪い合うようにメダルを拾い、そして数が足りない事に気付いて探し回るうちに、植え込みの中で呆然と座り込む大我を見付けた。

 彼の中にメダルが入った事を悟った両陣営は、今度は大我を連れ去ろうと揉めている所に、彼の電話で駆け付けた警官に気付き逃げ出したのである。――正確には、その後ろから来た《ホークアイ・ホールディングス》の人間から、であったが。

 その時来ていたのは、営業部のベガとギリーラだった。二人は、大我の携帯電話が緊急通報を発した事から、近い事を理由に様子を見に来たのだ。勿論、最悪の場合はベガが格闘戦を行い、ギリーラは敵に毒鱗分を薄く撒いて周囲に助けを求める予定であった。

 声を掛けても反応の無い大我に、警官が無理やり引き立てようとしたところをベガが身分証明と色々説明している間に、ギリーラが会社の医療部に運ぶ手筈を整え。

 そして残されていた円盤状のケースから、事態が判った――《鴻上ファウンデーション》からその円盤と大我の引き渡し要求が来たから――高橋総括からの連絡で、まず相手側にふざけるなの一喝の後アラン・ホークアイは出張先からL.A支社へと駆け込んだのである。

 

「現状、精密検査で大我君の体内にメダル状の異物が存在している事、それが何かしら脳神経に負荷を掛けている為に記憶と感情の欠落を生じている事が判明していますが、これを物理的に摘出する事は不可能です。

 M.R.Iで位置を確認しても、自然に体内を移動してしまうのです。まるで、メダル状の物体が摘出される事を察知して逃げているみたいで。

 それも、心臓や脳、肝臓と言った切開した後、回復に時間の掛かる場所ばかり狙って動いていて」

 

 運び込まれた大我を診察した医師は、汗を拭いつつ険しい表情を浮かべる会社の最高権力者に説明した。

 

「ご苦労様。

 この得体の知れない物質については、《鴻上ファウンデーション》にきちんとした説明をして貰うとしよう。

 うちの社員の子供を、誘拐しようとまでした理由は絶対、このふざけた代物の所為に違いないのだから」

 

 部下を労わりつつも、アラン・ホークアイは迂闊な事をした《鴻上ファウンデーション》とその会長に対する怒りで、ぎりぎりと持っていた報告書を握り潰していた。

 それが、四年前、大我が小学六年生の冬に起きた事件であった。

 

 

 あれから兄弟分になった相手とも喧嘩になったり、バスケ以外には非常に意識散漫になったりを繰り返すうちに、火神大我は日本に戻る事になった。表向きは父親の仕事の都合だったが、実際は大我の治療の為である。

 尤も、情報を出し渋る《鴻上ファウンデーション》と、子供を実験動物扱いする気かと激怒する《ホークアイ・ホールディングス》の二年間に及ぶ折衝と言う名の睨み合いと情報の殴り合いの果てに、大我の生体データを定期的に提出する見返りとして、メダルとそれに関連する未確認生命体、『グリード』の情報を渡して貰う事になったのである。

 そうして日本で治療を始めたものの、状況としては可もなく不可もなくと言った状態で、中々進展しないが悪化もしないと言う日々であった。

 その間に、大我の周囲では色んな事が起きていたが、聞かされても何一つ彼の琴線に触れる事はなく、全て聞き流すに任せている状態であった。

 幼馴染みであり、兄弟同然だった滝海斗天馬兄弟の父が行方不明になった事も、海斗とやはり兄代わりだった一文字空がオーパーツによって未確認生命体3号こと『クウガ』になった事も、それが元で生死の境をさまよった事も、全て大我の意識の上を滑っていったのだ。

 当然ながら、大我のこの反応に怒り狂ったものは何人かいた。

 特に、付き合いの長い宮地兄弟に、滝家で暮らした時間が長い中村真也も、表情にこそ出さないが黛千尋も大我の反応に不快を示したし、女性陣も眉を顰めた。親族に引き取られて滝家から離れた、福井健介や高尾和成だって良い顔をしなかった。

 だが、その状況でも海斗は辛抱強く大我に声を掛け、まともに暮らせるよう気遣い続けた。

 そんなある日の事、言い出したのは香山閃と詩島剛の二人だった。

 

「大我の意識散漫を改善させるには、これしかないと思う」

「バスケットボールをさせてあげたら、大我兄ちゃんましになるんじゃない?

 バスケやってる間は、俺の事思い出せてたもの!」

 

 二人によると、近所のバスケコートで軽く閃と1on1を行ったところ、剛の名前が普通に出て来たし閃が兄貴分である事も普通に判っている様子だったと言うのである。

 しかし、現在大我が通っている中学校はバスケよりサッカーや野球の強豪校であり、やる気がないチームメイトに、学内でのバスケに見切りをつけた大我は早々に退部してしまっている。

 ついでに言うと中学バスケ自体が現在帝光中学の一人勝ちが続いていて、はっきり言ってしまえば競技をして楽しいとは言えないのが現状である。

 それを指摘したのは、帝光中でバスケ部に入ったものの誤解と部内の打算に振り回された挙句退部に追い込まれた灰崎祥吾と、その帝光中バスケ部に大会で当たり、完膚なきまでに叩き潰され部活仲間の大半がバスケを辞めた和成の二人だ。

 それに向かって、ならと代案を出したのは滝天馬である。

 

「じゃあ、高校でバスケやれば良いんじゃないかな?

 そんなに強い学校の選手なら、最近スカウトとか海外行ったりとかあるから、今よりましだと思うし、第一大我兄ちゃん高校受験だろ?」

「「「それもそうか」」」

 

 そんな訳で、大我を高校進学させる為に兄弟分総出で彼の勉強を見る事になったのは、まああまり大した事では無かった。

 むしろ、進学先の誠凜高校で上級生として大我に接する事になった日向順平の方が、彼の関心を持てない事に対する能力の低さに悲鳴を上げる事になったのだが。

 

 

 そんなこんなで、高校に進学して飛ぶように月日は流れ、暦は当の昔に新年を過ぎていた。

 あっと言う間に二月が来て、他所の学校では卒業式や大学受験で殺気立っているところもちらほらしているが、幸いと言うか創立二年の誠凜高校では、のんびりとした空気が流れていた。

 それを覆したのは、男子バスケ部監督を勤める相田リコが持ち込んだ知らせであった。

 

「はあ!?

 六校合同合宿だア!?」

「うん、それも一週間、他校(よそ)はベンチレギュラー主体だけど、うちは人数少ないから全員でどうぞって!

 しかも、参加出来る人は三年の人も来てくれるんですって!」

 

 はしゃぎ回る幼馴染みでもあるカントクに、日向順平は眩暈に似たものを感じて額を押さえる。

 無論、横で何かしら駄洒落を言おうとした中学からの腐れ縁に、「だぁほ」と突っ込みを入れながら、だ。

 洛山高校からの提案で、しかも参加校は優勝校の誠凜(うち)以外は全てキセキ獲得校となれば、穿った事を考えたくなる。

 誠凜のエースは現在、火神大我とその相棒である黒子テツヤとなっている。

 その黒子は、中学時代帝光中学の『幻の六人目』と呼ばれる存在だった。

 天才である『キセキの世代』の傍にいて、自身も挫折と絶望を見た黒子は、彼らを見返すべく進学しそこでキセキと肩を並べうる大我と出会った。

 『キセキの世代』と笑ってもう一度バスケをしたい。

 気持ちは判らないでもないが、黒子の思い込んだら一直線な発想が最近微妙に思えるようになった順平は、同時にキセキの世代と帝光中学への不信感を燻ぶらせるようになっていた。

 特に、灰崎祥吾への「バスケ部を追い出された才能のある不良」と言う評価に、それ故に半ば親戚と化した少年と結び付かず、正月に顛末を聞かされ驚いたのだが。

 とにかく、勝負以上に『キセキの世代』に拘る黒子と、彼に引きずられている気がしてならない大我の姿に不安を漠然と抱えていたところへ、洛山――と言う事は赤司征十郎だろう――からの合同合宿のお誘いに、順平は我知らず腹の辺りを押さえていた。

 

 

【RIDERBROTHERS】

 

順:誰かいるかー?

 

まゆゆ:勘弁してつかあさい、俺引退したじゃん! モウヤダ ('、з)っ⌒っ

 

ケンケン:いや、まあほぼ内定してるようなもんとは言え、どうだよ、これ! ( ゚皿゚)キーッ

 

ユーヤ:兄貴は大窪さんに付き合うから出るって言ってる。て言うか金持ち怖い。 (((( ;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

ショー:何すか、えらく荒れてませんか?

 

カズ君:あー、祥ちゃんとこには話し行ってないんだ。┐(´д`)┌ヤレヤレ

 

真也:ああ、六校合同合宿だからな、福田総合には話し行ってないだろうな。

 

ショー:ファッ!?(´゚Д゚`)!?

 

順:この様子だと、秀徳と陽泉は参加確定ですね? 真也、海常は?

 

真也:うちもだ。笠松先輩も、息抜きに参加するって言ってる。黄瀬の面倒見る最後の機会だしな。森山先輩は、女の子が少ないから行かないって言ってましたけど ( ̄ー ̄)フッ

 

カズ君:それ、息抜きになるんすか? (。-`ω´-)ンー…

 

ユーヤ:あれだろ、面倒見る=躾=プロレス技 (`・ー・´)ドヤ!

 

真也:ほぼ合ってます。

 

ショー:リョータァ ( ;`・~・) ぐぬぬ…

 

順:誠凜も参加です。カントクが張り切ってるんで、不参加って言う選択肢は最初からありません チーン…_(8o」∠)_

 

ケンケン:∑(゚д゚ノ)ノウワッア! 死ぬな、順!

 

まゆゆ:ここで、ちょっとお前らの耳に入れたい事がある。

 

カズ君:(゚Д゚)ノァィ?

 

まゆゆ:お前ら、この合宿赤司が企画したって思ってるだろう?

 

ケンケン:え、違うの (´・д・`)エー?

 

ユーヤ:こんなフザケタ計画、誰が立てたっての?

 

まゆゆ:DS企画って言う会社が、全面バックアップしてくれるんだと。

 

まゆゆ:赤司の親父さん関係らしいが、赤司自身は聞いた事が無い相手だそうだ。

 

ショー;セイジューローが知らない親父さん関係って事は、ここ一年くらいで関係持った相手かもしんねぇ。

 

カズ君:祥ちゃん?

 

ショー:あいつ、何だかんだで親父さんの仕事関係の人間の顔は、パーティとかでしっかり見てるって豪語してたし。

 

真也:何だかきな臭いなあ。確か、最近S.A.U.Lから何か情報来てませんでしたか?

 

ケンケン:え、そういや何か……。

 

ユーヤ:あ、今兄貴がメール見付けた。時空震警報?

 

ショー:ああ、年末から結構、都内で時空震らしい妙な電波だか振動だかが起きてるから、注意しろって奴だろ?

 

カズ君:時空震。

 

まゆゆ:時空震、か。

 

そら:弱音さんの話じゃ、親父の時のあの大規模なもんじゃなくて、まるっきりドアを開け閉めしてるみたいなものらしい。だからこそ、怖いんだがな。

 

順:空兄ぃ?

 

ケンケン:空!?

 

そら:よう、ピコピコなってるから見てた。学校関連なら何も言う事無かったんだが、話がそっちに行ったから口挟んだ。

 

ユーヤ:兄貴が、どう言う事だって言ってる。

 

そら:小規模で、しかも完全制御されて一定時間開いてるって事は、それを人為的に制御してるって事だ。

 

真也:そんな技術、スマブレには無かったと思います。

 

ケンケン:大規模儀式魔法なら出来なくもないけど、その為には相当量の人や生贄がいると思う。

 

ショー:い、いけにえ ファッ!?(´゚Д゚`)っ

 

ケンケン:人間は呪文詠唱、パソコンのOSの代わりだな。生贄は、パソコンを動かす電源の代わりだと思えば大体合ってる。

 

まゆゆ:その理屈で言えば、魔族の方もレジェンドルガ辺りならありそうだけど、奴ら関連は多分禁呪扱いで俺はどうしようもないな。

 

カズ君:財団Xは、もしかすると……。

 

順:クォークスやネクロオーバー、アストロスイッチに手を出している奴らだ、何持っててもおかしくは無いが。

 

ユーヤ:ああ、もう止め止め! 合宿の方に話を戻そうぜ!

 

そら:そうだな。時空震とかの方は暫く俺と海斗、閃で調べる事になってる。

 

ショー:兄ぃ、俺も手伝おうか?

 

真也:祥吾、確か最近東海地方でS.A.U.Lの出動増えてないか?

 

そら:そうだよ、この間もグロンギの封印地見付かったそうじゃないか。

 

順:(゚Д゚)エッ

 

カズ君:(。・Д・。)え!?

 

まゆゆ:(`・_・´)オコダヨ!!

 

ケンケン:(# ゚Д゚)ゴルァ!!

 

ユーヤ:軽トラで轢いてパイナップル投げる!by兄貴

 

真也:祥吾……。

 

ショー:いや、俺待機の方が多いからね! G-3X結構やるからね!

 

そら:ああ、東海地区のG-3Xって言うとあの刀剣兄弟か。

 

ショー:そうそう、正宗さんと兼定さん。

 

カズ君:え、仮面ライダーより弱いって定評のG-3が!? (´・ε・`)エー

 

ショー:G-3はな。今主力になってるG-3Xは、強度も火力もG-3よりずっと高いんだぞ?

 

ケンケン:あ、俺東北支部で聞いたことあるわ、東海の正宗さん元マル暴で、弟さん機動隊から警視総監に直接引き抜かれた剛の者だって。二人して警察内の武道大会総舐めにして、必ず兄弟で頂上決戦してたって。

 

まゆゆ:そしてその二人を相手にして、一本勝ちしたのが俺達の親父だがな!

 

ユーヤ:ファッ!?(´゚Д゚`)

 

順:何、だと!?

 

ケンケン:そうだった。親父マジ親父。

 

カズ君:キャ━━━━(#゚ロ゚#)━━━━ッ!!

 

ショー:流石父ちゃん! そこに痺れる!

 

真也:憧れるぅ! ヒャッホ─ヽ(゚∀゚)ノ⌒ノ(。A。)ヽ⌒ヽ(゚∀゚)ノ─ゥ♪

 

カイト:何やってんの、お前達。

 

 

 急な通達から五日後、誠凜高校バスケ部の面々は、新造と思しい貨客船に乗っていた。

 何でも、合宿は東京湾の外にあるとある島に新設された、複合宿泊施設で行われるのだと言う。

 例の《DS企画》と言う会社が作った施設で、今回プレオープンのこの施設を格安に使用させてくれる代わりに、最終日にアンケートを取らせて欲しいと言う話だった。

 しかし、気になった一部の者達は、それぞれのコネでその《DS企画》について調べてみたものの、つい最近出来た会社である事と、正体不明の資金源を持つ事しか判らなかった。にも拘らず、他の企業に異様な支持を受けているこの会社に、少年達は眉を顰めずにはいられなかった。

 尤も、それは極一握りで、他の少年達は、新造船とこれから向かう新設の宿泊施設に舞い上がっていた。

 

「はー、何処も彼処もぴかぴかだな」

「流石新造船だよねえ」

「先輩、先輩こっち! ゲームコーナーがあるっす!」

「うるせえ、黄瀬! 静かにしねえか!」

「真ちゃん、こっち! お汁粉売ってる!」

「ふむ、中々いけるのだよ」

 

 わいわい言っているバスケ仲間達を、何となく見ていた日向順平の横に、何時もの様に無言で立つ影がある。

 

「キャプテン」

「うお! 黒子か!」

「はい、黒子は僕です。火神君を見ませんでしたか?」

 

 言われて、順平は首を傾げた。

 

「食堂にいないのか?」

「食堂でカツ丼と親子丼と照り焼き豚丼を食べているところは見たんですが、その後黄瀬君達に話し掛けられているうちに姿が見えなくなって」

 

 淡々と言う後輩に、順平は頭を抑える。

 後輩の友人関係が内々に篭り気味なのはともかく、曲がりなりにも相棒を見失うのはどう言う事か、影が薄いのはお前のアイデンティティで、あの大柄を見失うのはおかしいとか、喉元まで出掛かったのを噛み殺すと、順平は周囲でやはり船の内部を見回っている仲間達に集合を掛けた。

 

 

「……あれ?」

 

 貨客船の車両エリアのどん詰まりで、火神大我は瞬(まばた)きをした。

 確か、先程まで自分は食堂で、値段の割りに大盛りだった丼三杯を食べていた筈なのだが。

 首を傾げながら、大我は目の前の大型トラックを見上げた。

 何の変哲も無い、おそらくは物資輸送用の冷凍車と言う奴だ。金属製のパネルで囲まれた荷台に、だが大我はいやに気が引かれた。

 その荷台の扉に、大我が手を伸ばしたその時だった。

 

「アー、火神、こんな所にいたのか!」

「……オロオロ((;д;`≡´;д;))オロオロ」

 

 そう声を掛けつつ、駆け寄ってきたのは上級生の水戸部小金井のコンビだった。

 あっと思う間も無く、二人は大我の手を取り、そのまま客室(キャビン)へ上がる階段へと引っ張った。

 

「ヽ(д`ヽ≡アタフタ≡ノ´д)ノ」

「だめだよ、火神。船が動いてる間は、バスを停めてる所にはは入っちゃ駄目なんだぞ!

 それに急にいなくなるから、皆探しているからな!」

「え、あ、すんません?」

 

 ぐいぐい引っ張られつつ、大我は駐車エリアから出る寸前に、もう一度だけトラックを振り返った。

 何となくだが、彼は貨客船のエンジン音に紛れて、何か聞こえたように思えたのだ。

 そう、まるで硬貨を何枚も落としている様な音と、それと一緒に微かに笑う声が。




仮面ライダー

 掲示板などでは、《伝説》と《新生》に別けられる。
 《伝説》は、バダン戦の際日本各地で戦った10人ライダーと彼らが姿を見せなくなった後世界各地で犯罪者を撲滅して行ったスカルライダーを指す。
 《新生》は、九朗ヶ岳発掘隊壊滅事件以降、現れたクウガやアギト、電王、HOPPERなどを指す。
 尚、バダン戦後特撮ドラマとして『仮面ライダーブラック』、『仮面ライダーブラックRX』、『真仮面ライダー』、『仮面ライダーZO』、『仮面ライダーJ』などが作られた為、バダン戦を知らない若い世代は、仮面ライダーを非現実と思い、『特撮と現実を混ぜてどうする』と笑う者もいる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。