思いっ切り予定が変わった。
日向君、戦国武将好きだったけ→鎧武好きかも
↓
「俺に変身させろ、ダアホ」
そしてこの展開である。
何とか八月が終わる前に上げられました。本編第十話です。
黒子のバスケ×マスカレイドスタイル×仮面ライダーSPIRITSと言う多重クロスオーバー。
また書きたい場面に行き着けませんでした。
次回他の学校の状況を描写した後、かなあ……。
なお、この話は黒子のバスケと仮面ライダーSPIRITSの登場人物に、マスカレイドスタイルと言う同人TRPGをベースにした独自設定を付加した二次三次創作となります。
その為、原作の登場人物と家族設定などに改変があります。
今回は特に、私家設定が前面に出てきます。
他にも作者設定のオリジナルキャラクターも何人か出てきますので、そう言うものがお嫌いな方はこのままbrowserbackをしてください。
キャラクター改変がお嫌いな方も同様に願います。
尚、この作品はmixi、Pixivにも投稿しています。
朝日と共に、事態は急変した。
出勤して来た、《ホークアイ・ホールディングス》会長であるアラン・ホークアイの前に、突然ばらばらっと二〇人程の黒覆面に全身黒タイツの人間が駆け寄り、そしてその後ろから二体の異形がのっそりと歩いて来た。
悲鳴を上げる、一般従業員を避難させるよう秘書に伝えると、会長はゆっくりと闖入者の前に立った。その後ろに、迎えに来ていた夏川浩之と年若く見える女性秘書を待機させて、である。
「どちら様かな?
今日は、こんな朝早くからのアポは受けていないのだがね?」
「ふん、我等に会いに来るのが筋であろう貴様が何時までも来ないからな、来てやったまでの事」
そう言ってぎちぎちと牙を鳴らしたのは、蜘蛛型の怪人である。
その横で、同じくふんぞり返るのは蝙蝠型の怪人である。
そのどちらも、アラン・ホークアイは知っている。
蜘蛛男に蝙蝠男、ショッカーの極初期の怪人であり、どちらも改造されたての《仮面ライダー》本郷猛に倒された存在である。
若干の改装は受けているようだが、アランの目にはどちらも大して変わった様には見えなかった。
「私が? 君達に?
はて、何処の何方(どなた)か判らない、しかも何処にいるのか判らない相手に会いに来いと言われてもねえ?」
アランの言葉に、蜘蛛男の方はいらっと来た様子だが、蝙蝠男の方が冷静に言葉を続ける。
「戯言はもういい。
貴様もショッカーの人間ならば、こちらに協力するのが筋と言うものではないか?」
「ショッカー?
ああ、そんな組織もあったねえ。
でもこの世界では、三五年も前に潰れて無くなった組織だよ。
私達は《ホークアイ・ホールディングス》、こう見えても北米に本社を置くサイバネティクスとバイオケミカルの世界企業でね」
そう言った会長は、うっすらと苦笑を浮かべた。
それは、出処を間違えた道化を見るように。
「残念だけれど、『世界征服』なんて古臭いお題目に付き合うほど、私達は暇じゃないんだよ?」
「ええい、黙って聞いていれば!
大人しく付いて来い、貴様もショッカーの改造人間なら、我等大ショッカーに忠誠を誓え!」
蜘蛛男がそう叫び、アラン・ホークアイに向かって糸を吐き出した。
ちょっとやそっとの刃物では切れない筈の粘糸は、自信満々に吐いた蜘蛛男の目の前で風を切って飛んで来た何かに斬り飛ばされた。
あっと思ったは一瞬で、黒尽くめの男達――戦闘員を跳ね飛ばし、二台のバイクがアラン・ホークアイを庇うように停まった。
一人は、赤いアーマーに金色の角の《仮面ライダークウガ》、もう一人は、黒いアーマーに同じく金色の角の《仮面ライダーアギト》。
《ホークアイ・ホールディングス》の社屋ビルから、息を呑んで事態を伺っていただろう社員達の歓声が上がる。
その声を聞きつつ、蝙蝠男は戸惑ったように呻いた。
「ぐ、グロンギ?
いや、お前達が報告にあったこの世界の仮面ライダーか!?」
「……マジか、過去の亡霊じゃないよなあ」
「少なくとも、こんな朝日が燦々と射しているところに現れる亡霊は嫌だな。
夏川さん、『お嬢』、会長をお願いします!」
敵の途惑いを聞き流し、ボソッと呟いたクウガに答えつつ、アギトは後ろで待機していた会長秘書達に声を掛ける。
「判った!」
「二人とも、負けたら基礎練増やしてやるんだから!」
「ライダー、頼むよ」
部下二人に庇われつつ、後方へと下がる会長を追い縋ろうとした戦闘員達が、数人纏めて薙ぎ倒される。
それを見て、ぎちぎち牙を鳴らして蜘蛛男が飛び出す。
「この、高々人間モドキが、我等改造人間に勝てると思うか!!」
「それはそのまま返してやるぜ、大昔に仮面ライダーに倒されて劣化再生繰り返したやられ役が!」
受けて立ったのはクウガの方だ。
アギトの方は、相棒の暴言に額を押さえつつ、しかし格闘戦用に腕の皮膜を小さくした蝙蝠男から目を離さない。
「ふん、『仮面ライダー』一号以降のライダーがいないこの世界で、ぽっと出て来たお前達が、我等大ショッカーに勝てると思うのか?」
「勝つさ。
俺達は、《伝説》の十人ライダーがBADAN大首領と戦い続けている間、彼らの帰る場所を護る為に戦い続けた『Skull-Rider(スカルライダー)』の後継者なんだからな」
聞き慣れないライダーの名に、一瞬虚を衝かれた蝙蝠男の顔面にアギトの拳が減り込んだ。
同じ頃、勝義島のホテルの中でも異変は起こっていた。
夕べ、お握りと豚汁が入っていた容器に朝食を詰めて持って来た206号室の面々は、ベッドルームに隠れていた兄弟分が険しい表情で大振りの携帯――スタッグフォンを睨み付けるのを見た。
「祥吾?」
「あ、皆、ちょっと確認してくれるか?
今、『TOKIO』に掛けたら店にもしげさんにも繋がらなくて」
灰崎祥吾の言葉に、高尾和成、中村真也、宮地裕也、福井健介の四人も自身の携帯やスマフォを取り出し、アンテナが立っていない事を確かめ眉を顰めた。
「これは……」
「これ、他の連中まだ気付いてないか」
「みたいだな、外だまだ騒いでる様子が無いから」
真也が呻(うめ)く横で、裕也と健介が廊下側を伺う。
和成は、思い出したようにこう祥吾に聞いた。
「祥ちゃん、携帯が入らない時用に、山さんから通信機渡されてない?
ほら、大昔のトランシーバーみたいな奴」
「あ、そうか、ショッカフォンなら!」
そう言いつつ、祥吾が取り出したのは500mlペットボトルくらいの大きさがある、古びた携帯電話状のもの――昔の携帯無線機を取り出した。
電源を入れ、プッシュボタンではなくねじ式のチューナーを回して電波を捕らえようとした祥吾は、だが急にクリアに入って来た音声に手を止めた。
『先遣隊よりセロ少佐へ、マミー・ゼネラルは我らへの恭順を拒否、現在クウガ、アギトと交戦中です』
『セロより先遣隊、仮面ライダーもどきを撃破し、傲慢なるマミー・ゼネラルを捕らえよ。
こちらは予定通り、これより選出試験を実行する』
ここまで聞いた時点で、パチっと真也が電源を落とした。
驚く面々に、真也は向こうにこちらが聞いていたのを悟らせない為だと言った。
「こちらが聴いたと言う事は、こちらの音声が向こうに聞こえる可能性もあるだろう?」
「あ!」
皆が顔を見合わせた、その時だった。
何の前触れもなく、世界が上下に揺れた。
最低でも三〇センチは跳ね上げられ、落ちた気がする。
「わぁ!」
「うわっ!?」
「ひぃっ!?」
「ぎゃっ」
「おおっと!」
思わず座り込んだ和成と真也、座っていたベッドから転げ落ちた祥吾に押されて祐也も倒れ込み、一人健介だけが揺れを凌いで多々良を踏んだ。
当然のように、扉越しにも判るほどの悲鳴がそこここで上がっており、そして少年達の不安を煽るように館内放送が掛かった。
『只今、地震が発生しました。
館内の宿泊者は、身の回りの物を持って、落ち着いて体育館へ移動して下さい』
それを聞いて、五人はそれぞれの顔を見合わせた。
「どう思う?」
「あの通信聞いた後だと、何とも言えないが取り敢えず学校の連中と合流した方が良いと思う」
裕也の言葉に、健介が眉を顰めつつそう言う。
それに向かって、これは思いっ切り引き攣った顔で和成が問う。
「でも、隣りの皆には、さっきのどう伝えるんですか?」
「ばーか、その為のプラモンスター達であり、フードロイドにカンドロイド、メモリガジェットだろうが!
祥吾、俺達は体育館へ行く、お前は飯食ったらコアボイルダーで一旦向こうに戻れ!
上手く行くなら、海斗達に知らせて、あいつらと一緒に救援に来てくれ!」
「判った!」
「あ、祥吾、ショッカフォン貸してくれ、多分携帯が使えないから、これで連絡取らせてくれ!」
「判った、裕也兄ぃ」
投げ渡されたペットボトル大の機器を、掴んで自分のスポーツバッグに押し込むと、宮地裕也は他の三人と共に廊下へと飛び出した。
四人が体育館に辿り着くと、彼らを追うように三階にいた面々が駆け込んで来た。
部活仲間の無事を確認しようと、四人はチームで固まっている場所へと分かれた。
幸いと言うか、チームメイトは全員居たものの、誠凜の女生徒監督以外の監督達の姿が見えなかった。
大人の不在と、突然の地震とに不安が募る中、集合が掛かって一〇分が過ぎて、『キセキの世代』を初めとする落ち着きのない面子がざわめき始めた、ちょうどその時だった。
ばんっと、叩き付けるようにして扉を開き、中に入って来たのは監督達の誰でもなく、蟷螂の化け物だった。
最初、何が入って来たのか、そこに居た過半数は判らなかった。
だが、桜井良と福田寛が悲鳴を上げ、そして今吉翔一と福井健介、岡村建一、宮地清志とがほぼ同時に叫んだ。曰く、
「外に逃げろ!」
と。
真っ先に、後方の扉に取り付き開け放ったのは中村真也と日向順平の二人で、同時に外を見た高尾和成が、喉を潰さんばかりに叫んだ。
「ホテルに向かっちゃ駄目だ、扉の方に変な奴らが居る!」
その声に弾かれるように、高校生達はそれぞれ学校毎に固まり、裏山へと走り出した。
それが、入って来た蟷螂の怪人の思惑通りだったとは、露とも知らず。
「こちらセロ少佐。被検体共がフィールドに散った。
これより、《戦極ドライバー》の適性検査と運用実験を開始する。
くれぐれも即死させるんじゃないぞ? 奴らの中から、《仮面ライダー》共への牽制と捨石を見出さねばならんのだからな」
戦闘員の差し出した通信機でそう指示を飛ばすと、蟷螂怪人は姿を三〇代くらいの男性に変えた。
宮地清志が、そして秀徳の一年生コンビが男を見れば、或いはあっと言ったかもしれない。
WC中のあの日、女怪人と同行していた男が、服装は違うがそこに居たのだから。
秀徳高校の六人は、海岸線をなぞるように走っていた。
大回りになるが、港に向かおうと決めたのは宮地兄で、大坪泰介と木村信介も賛成したからだ。
その事に、緑間真太郎はやや眉を顰めたが、黙ってついて走った。
だが、その行く手を遮るように、黒い全身つなぎに白く骸骨を染め抜いた格好の人間がばらばらっと一〇人ほど現れた。
警告を出そうとした緑間の目の前で、速度を上げた宮路兄弟が見るからに不審者の集団へ飛び掛った。
あっと思った緑間が、二人を引き戻そうとしたが、それを大坪と木村が引き止め、三人を庇うように高尾和成が前に立った。
「な、宮地さん、裕也先輩!?」
「馬鹿、緑間、前に出るな!」
「宮地達に任せておけ!」
「何を!?」
先輩達の発言に目を剥いた緑間だったが、次の瞬間、怪鳥音の二重奏に動きが止まった。
大昔のカンフー映画の主人公よろしく、鋭い気合と共に飛び込んだ二人は、流れるような動きで三人づつ纏めて蹴り飛ばした。
「アチョーーー!」
「セイ! ハァ!」
怒涛の勢いで戦闘員を薙ぎ倒す二人に、眼鏡をカチャカチャ上げ下げしながら状況を見守るしかない緑間に、状況に関わらず和成は吹き出していた。
「高尾」
「痛いって、大丈夫、宮地さん達二人とも星心大輪拳って言う拳法の使い手なんだよ」
「実は、宮地達はこう言う荒事に慣れているんだ。
俺達が二年の時に、ああ言う奴らが秀徳で事件を起こしてな」
「当時の三年生と、宮地とで解決に持ち込んだんだ」
思いもよらない言葉に、目を見開き振り返る一年エースに、大坪は苦笑と共にこう告げた。
「無事に帰る事が出来たら、話してやろう。
《ゾディアーツ》と名乗った怪人と戦った俺達の先輩と、宮地の雄姿についてな」
きょとんとしている『相棒』の様子に、状況にも拘らず笑ってしまった和成の手元に、黒塗りのカブトムシ型ガジェットが飛び込んで来たのはその瞬間だった。
誠凜高校は、十二人いる事から動きが鈍くなった事は否めなかった。
だが、後ろから迫る戦闘員の動きに、日向順平は苦く口を引き絞った。
向こうが、何処かへ追い込もうしている事に気付いたからだ。
「日向君、これって」
「奴ら、俺達をこっちへ追い込みたいみたいだな。
でも、こんな所に何が」
そう相田リコと共に話しつつ走っていた順平は、その目の前に広がる、見慣れない樹木に足を止めた。
主将が止まった事で、行き過ぎかけた面子も慌てて戻った。
彼らの目の前で枝を広げるのは、彼らの誰も見た事が無い、異様な空気を纏った一本の樹木だった。
「これは一体……」
「これ、見た事が無い」
「何か、林檎みたいな気もするけど……」
「葉っぱは似てるけど、でも、あんな赤黒い実が生るかなあって、水戸部が言ってる」
「うん? 何だろう、これ」
皆が木を見上げる中、『鷲の目(イーグル・アイ)』で広範囲を見ていた伊月俊が、その気の根元から奇妙なものを拾い上げた。
縦長い文庫本みたいなそれには、何かを差し込むような色々が付いている上に、刀のような動く突起がくっ付いている。
「伊月、どうした?」
「いや、これを見付けたんだ。
は、大きな木の下で大きく従う、ktkr!」
「何も来てねえよ、ダアホ!
……って、これは」
土田聡史が、木の根元に蹲った伊月に声を掛ける。
それに向かって駄洒落を返した長い付き合いの副部長に、突っ込みと張り手を入れた順平は、相手の手に掴まれたものに一瞬眉を顰めていた。
これに良く似たものを、順平は何度も見て来たからだ。
例えば、
一年下の灰崎祥吾が使用している、ロストドライバー。
同級生である中村真也が使っている、555ギアとコアシステム。
三年生である黛千尋のキバットベルト、福井健介のビーストドライバー、宮地清志の簡易アストロドライバー。
そして、『兄』である香山閃のターミナルバックル、一文字空のアークル、滝海斗のオルタリング。
「あら、何かあったの、伊月君、順平」
「何だかこれって」
リコが近付き、河原浩一が首を捻る横で、あっと声を上げたのは福田だった。
「まるで仮面ライダーのベルトみたいだ。
でも、何だかこれだけじゃあ駄目なような気がする」
「何やってんだ、にげんじゃねえのか?」
「あの、これなんでしょう」
途中で、力尽き掛けた黒子テツヤを背負っていた火神大我が、人だかりを作る仲間達の元に近付いた。
大我の背から降りて、プレートのようなものを覗き込む黒子は、困ったように首を傾げる先輩方を見回し、その中で唯一人、険しい目でそれを睨む主将に気付いた。
「主将、これが何か判るんですか?」
「判ると言うか、もしかしたらと思ってるだけだ。
フクの言う通り、どうも何か足りないみたいだが」
「うわ!?」
「火神君!?」
声に驚いて全員が声の方を見ると、奇妙な錠前を手に持った大我が、テンパった様子で周囲を見回していた。
「何やってるの、火神君!」
「あ、いや、その、腹が減ったから、こいつ食べられるかなって思って、木の実取ったら、何でかロックになっちまって」
「ちょっと、火神、この得体の知れない木の実食べようとしたの!?」
「お、おう」
カントクの声に、しどろもどろで答えた大我に、常になく声を張り上げたのは一週回って震えが止まってしまった降旗光樹である。
空腹だからと、こんな得体の知れない木の実を食べようとした一年エースの食欲に、チームメイト全員脱力してしまう。
だが、気を取り直した順平は、大我の手からオレンジの輪切りのような飾りの付いた錠前のようなものを受け取った。
その時だった。
「ふむ、本来はドライバーを持ってないとロックシードの変化は起きない筈なんだが、色々特殊なようだねそこの坊主は」
「誰だ!」
不意の声に、誰何の声を上げたのは順平だった。
慌てて伊月の方を振り返ったリコは、彼が驚愕に顔を歪めるのを見て、頬が引き攣るのを感じた。
『鷲の目』で周囲をずっと警戒していたにも拘らず、彼らの後ろに立っていた男に気付かなかった事に、伊月は言いようのない恐怖と自身の能力への自信を喪失しそうになった。
だが、その直後の大我の叫びで、そんな事も吹っ飛んでしまったのだが。
「Oh! Ghost!?」
「「「「「え!?」」」」」
「失敬な、クラックで移動しただけだ、ほら、足があるし」
チャラそうな格好のその男は、自身の足を叩いてみせると、そこにいた一二人を撫でるように見た。
「ふむ。一番良さげな人間は、曰く付きか。となると、次点のお前さんが使うのが一番だろうね」
「ああ!?」
指差され、順平は思わず声を荒げていた。
それに便乗と言うより、我慢出来なくなった様子で小金井慎二が叫んだ。
「ちょっと、おじさん、いきなり何だよ!
日向に何させるつもりなんだよ!」
「おじさんかあ、ちょーっと傷付いちゃうなあ……。
あー、何って言われると、まあ俺としては一応こちらの心積もりがあるのではあるけど、一応大ショッカーって連中に命令されて、その戦極ドライバーとロックシードの使い方を説明しに来たのさ」
「大ショッカー!?」
部員の大半は首を捻ったが、福田と、そして順平は目を剥いた。
「それって、二五年前に滅びた筈じゃあ」
「ああ、そいつらとは別物だよ。何しろ、次元異動して世界征服しているそうだからね」
福田の呟きに、何事も無かったように返した男を、大半の者は胡乱なものを見たような顔になったが、順平は合宿前のLINEを思い出し、こう言う事かと舌打ちしそうになるのを辛うじて噛み殺した。
そして、ある意味火神大我以上のバスケ馬鹿である黒子が、事態に切れた様子で叫んだ。
「馬鹿馬鹿しい、大体何ですか、ショッカーとかドライバーとか、僕達はバスケの合宿に来たのに、何であんな得体の知れない連中相手にドロケイしなくちゃいけないんですか!
あいつらは何なんですか、監督、朝は勉強って言っていたじゃないですか、」
リコへ食って掛かろうとした黒子を、福田と河原が止めようとした、その時だった。
とんと、軽い音を立てて黒子の胸に一本の羽毛が生えた。いや、何処からともなく投げ付けられた羽毛状のナイフが突き立ったのだ。
「「「「「黒子!?」」」」」
「黒子君!!」
崩れる様に座り込む黒子に、部員達が駆け寄るもののナイフが心臓を貫いている為、誰の目にも危険で触る事が出来ない。
そして、それまで走って来た方から、のっそりと鳥型の化け物と、鎧を着けた猫のような怪人が先程とはカッコウの違う黒ずくめの集団を率いて現れた。
黒子が崩れ落ちているのを見て、指揮官らしい猫怪人が肩を竦めた。
「あーあもう、少佐からは簡単に殺すなって言われてんのに、こいつは!
まあ良いか、事故ってあるし、一番底辺そうな奴だし、無問題(モウマンタイ)!って事で」
「何がモウマンタイだ、問題大有りだわ、ダアホ!」
そう怒鳴るや、順平は手にした板状のガジェット――戦極ドライバーを腹部に当てた。
その途端、音を立てて腰に巻きついたそれが固定されたのを確認して、順平は興味深げに自分を見る男に視線を向けた。
「おいあんた、この後どうすれば良い!」
「ふう、躊躇なく着けるね、少年。
ロックを開いてドライバーに取り付け、カッティングブレードで起動させるだけさ。簡単だろう?」
そう言われて、順平はロックの横に付いたボタンを押し込み、「変身!」と叫んだ。
ドライバー正面にある窪みにロックを取り付け、シリンダーを押し込んだその瞬間、順平は怒涛のような情報とエネルギーに押し包まれ、押し流されそうになった。自己暗示で制御している筈のサイコメトリー能力が、何故か起動して戦極ドライバーと錠前――オレンジロックシードに込められていた色々な人間の思惟や感情、情報の一切合財が流れ込んだのだ。
その、悪意と悲しみと、崩壊に至った幾つもの文明と悲嘆と怨嗟の『声』に、順平が押し潰され取り込まれ掛けたその時だった。
しっかりしろ、リコちゃんを守るんだろう?
がっしりとした手が、両肩を支えるのが判った。
黒いライダーズグローブの手に、自分を支えてくれた人が誰か気付く。能力の制御が甘かった時期、唯一人隔離室の内側に入って来て、頭を撫でてくれた人だった。
リコちゃんだけじゃねえ、仲間を守ろうって思ってそれを手にしたんだろう?
大丈夫、例えその力が悪意から生まれたんだとしても、それを正しい事に使う事が出来ればそれで良いんだ。
その声が、流れ込む情報の中から優しさと思いやり、未来への祈りを導き出す。
まるで、順平を支えるように。
そうする事が出来る奴が、仮面ライダーなんだからな。
その言葉に背を押されるように、順平はカッティングブレードを弾いた。
オレンジアーム!
ソイヤ!
花道、オンステージ!
頭上に現れた巨大なオレンジのような代物が被さって来たと思ったら全身を特殊スーツが包み、巨大オレンジは展開してアーマーとなった。
「フゥ!
起動させたかあ。まあ、予定通りだね、じゃあ一緒に来て貰おうかな?」
「ざけんな、誰がお前らの言いなりになるか!
うちの部員に手出しした事、後悔させてやらぁ!」
右手の中に現れた刀――大橙丸を握り直すと、順平は一年トリオを引き倒そうとした黒ずくめ――ダスタードの一人を斬り捨てた。
そのまま乱闘になるのを、部員達は呆然と眺めていた。
理解が追い付かない事もあるが、ナイフが突き立ってしまった黒子をどうやって運ぶか、何処に運ぶかが思い至らない上に、事態が理解の斜め上に展開されてしまった為に身動きが取れなくなったのだ。
それでも、何とか意識を切り替えた伊月が、投げ出された順平のボストンバッグを掴みながら周囲に声を掛けた。
「とにかく、距離を取りつつ何時でもダッシュ出来るように皆構えて!
火神、黒子を運んで、一年、二人の荷物を持ってやってくれ!」
「「「はい!」」」
「うっす!」
副主将の声に、ベンチトリオが荷物を掴み、大我も目を閉じたままの小柄な相棒を所謂お姫様抱っこで抱え上げようとした、その時だった。
その相棒の胸の上、羽根型ナイフを撫でながら、宙に浮いた篭手が不機嫌そうにぼやいた。
「何処のどいつだよ、俺のメダル勝手に使いやがったの。
ドロウでもリンクでも、落とし前付けさせてやる」
「キヤェェェエエエエェエ!シャベッタアアアァァァ!!」
跳ね上がった大我の悲鳴は、その周囲で行なわれていた戦闘が思わず止まるほど、甲高くかつ殺人音波並みの破壊力と共に周囲に響いた。
日向順平 サポートアクト 人間 学生 一七歳 男
(通常/変身状態)
肉体)5/6 運動)5/7 器用)3/4 意志)4/4 機知)3/4
移動力)8/10 先制力)3/4 肉体HP)20/22 追加HP)-/20
所持品
財布、生徒証他、戦極ドライバー、無双セイバー、オレンジロックシード、着替え、教科書の入ったボストンバッグ
所持ガジェット
弱点看破、勇気、友情、人間系、部活(バスケットボール)、礼儀、学問、クオークス、強化超能力(サイコメトリー、透視)、徹夜、持久力、バランス、ツーウェポン、コンセントレーション、「俺に任せろ」、「俺を信じろ」
(インベス召喚、アーマー射出、スカッシュ(基本決め技)、オーレ(威力決め技)スパーキング(なぎ払い決め技)
活躍力)9 命点残り1点(注、製作点のみ)
戦極ドライバーとオレンジロックシードを用いて変身した姿。
但し、まだこの時点では、仮面ライダーとしての名前は決まっていないものの恐らく鎧武になると思われる。
*ドラマアクトからサポートアクトに移行した(ガイムプラグインによるとドラマアクトでも戦極ドライバーは使用出来そうだが、ガジェットの問題で変更)為、一部変更あり。