Sons of Skull-Rider   作:怪傑忍者猫

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やっと、やっと書こうと思っていたシーンが書けました。
日向先輩に押されて、良いとこ余りありませんが。

本編第十一話です。
黒子のバスケ×マスカレイドスタイル×仮面ライダーSPIRITSと言う多重クロスオーバー。

ここから、戦闘戦闘ばかりになります。
秀徳は、次回お送りします。

なお、この話は黒子のバスケと仮面ライダーSPIRITSの登場人物に、マスカレイドスタイルと言う同人TRPGをベースにした独自設定を付加した二次三次創作となります。
その為、原作の登場人物と家族設定などに改変があります。
今回は特に、私家設定が前面に出てきます。
他にも作者設定のオリジナルキャラクターも何人か出てきますので、そう言うものがお嫌いな方はこのままbrowserbackをしてください。
キャラクター改変がお嫌いな方も同様に願います。

この作品は、mixi、pixivにも投稿しています。


episode05  新生とメダルと

 誠凛高校バスケ部が、正体不明な植物の元で怪人達と遭遇していた丁度その頃。

 別々に体育館を脱していた他の高校グループも、やはり得体の知れない植物のところで、怪人と遭遇していた。

 洛山高校の面々も、赤黒い実の生った木の下で、ファンガイアとミイラの出来損ないのような人型の存在に襲われていた。

 鰐を思わせるそれは、ミイラモドキを従え高校生五人を包囲した。

 

「はいはーい、誰が戦極ドライバーを使うのかなー?

 誰でも良いけど、大人しく付いてこいよー、ゴネられるの面倒だしー」

 

 間延びした喋りに、他校に進学した元チームメイトを連想して、赤司征十郎は不愉快そうに目を細める。

 そこへ、黛千尋がヘラヘラ喋る鰐型怪人――クロコダイルファンガイアに向かって、無表情にこう問い掛けた。

 

「お前がここにいるのは、KINGの意向か?

 それとも、独断か?」

「ああん?

 KINGなんて知るか、あんな腰抜け、こっちからお断りだよ。

 餌と共存なんてさ、ばっかじゃない?

 俺ちゃんは、俺ちゃんの判断で大ショッカーに参加したの。人間は食い放題、あっちのノルマさえ守れば何してても良いなんて最高じゃん!」

 

 ケラケラと笑う鰐の怪人に、千尋は嘆息を隠さなかった。

 

「大ショッカー、ねえ。……ああ、だからDS企画な訳か。

 赤司、親父さんとんでもないペテンに掛けられたようだな」

「どう言う意味です、黛先輩」

 

 掴み掛かろうとするミイラもどきを蹴り上げると、千尋は二年生三人に最年少の主将を守るように言い置き、首元まで上げていたファスナーを下ろした。

 普段、部活以外ではライトノベルを読んでいる姿しか見ていなかった二年生達が、驚きを隠さず彼を見る。

 

「つまり、どんな話を聞かされたか知らないが、営業実態のない、やくざのダミー会社に肩入れしちまったんだよ。

 そして、こいつ等の目的は、多分飛び抜けた能力を持ってると目された、『キセキの世代』の拉致だろうよ。

 キバット!」

 

 千尋の胸元から飛び出したキバット五世の姿に、周囲が言葉を失う。

 高校生達は、空飛ぶおもちゃのように見えるキバットの姿に。

 そして怪人の方は、影の薄い千尋がキバット族を従えている事実に。

 

「おい、千尋、いいのか!? アワワワワ(((゚д゚; )))ワワワワッ」

「良いも悪いも、後二、三週間で別れる後輩に怪我させたなんて海斗に抜けてみろ、説教オールナイトで利くか?

 どうせ、大学は東京で早々会わねえんだ、ここで派手に咬ましておくさ」

 

 親友の忘れ形見の言葉に嘆息して、キバット五世は差し出された左手に噛み付いた。

 

  ガブッ

「変身!」

 

 噛まれた場所から、心臓そして顔へとステンドグラスのような紋様が走る。

 爆発的に膨れ上がった魔皇力が、鎖となって千尋を包み込んだ次の瞬間、魔法金属製の鎧と化した。

 その姿に、ファンガイアは不愉快そうに吐き捨てた。

 

「ちっ、混ざり物の半端者の癖に、『王の鎧』を着てるなんて。

 お前か、KINGが飼ってる処刑役は!」

「変な言いがかりは止して貰おうかな。

 俺は『仮面ライダー』、何処の氏族(クラン)にも所属してない正義の味方って奴なんでね」

「ほざけ!」

 

 怪人がそう言うなり、一斉に飛び掛かって来たミイラもどき共を千尋――仮面ライダーキバは一瞬で薙ぎ払い、爪を伸ばし腕を振り上げた怪人を迎え討った。

 

「かっけー、黛さんヒーローみてえ!」

「何なんだ、こりゃ」

 

 葉山小太郎は、目の前で始まった即興のヒーローショーに歓声を上げる。が、隣で見ていた根部谷永吉の方は、事態を飲み込めずぽかんとするしかない。

 同じく、絶句しながらも年下の主将を実淵玲央は庇い。

 そして赤司は、黙って戦極ドライバーとメロンロックシードを握り締めていた。

 

 

 ほぼ同刻。

 

  Banana!

  ソイヤ!

  Knight of Spear!!

 

 戦極ドライバーを手にした氷室辰也が、バナナロックシードを使って変身して、ここぞとばかりに大暴れしていた。

 無論、彼一人ではいなしきれないザコ敵が他の陽泉の面子の前に流れて来るが、それらは身長二メートル組がその辺で拾った丸太で叩きのめす。

 その状態を眺め、福井健介は嘆息を隠さない。

 

「こーのエレヤンめ、ここぞとばかりに暴れやがって」

「怪我をせんとええんじゃがのう」

 

 丸太を片手に、同じく溜息を隠せないのは岡村建一だ。

 初めて使う装備、初めて触ったギミックにも拘らず、イキイキと暴れる美貌の爆弾男に上級生二人はそこはかとなく頭痛を覚える。

 それを同じく眺めつつ、ポテチをちびちび齧りつつそこそこイラついた様子で紫原敦が呟いた。

 

「何で、こんな事してるし。

 あいつ等ただのエキストラだろうに、何で俺達逃げてんの、馬鹿じゃね?」

「敦ー、これがエキストラアルか?

 こいつ等、どうやってもマスク剥げないアルよ?」

 

 それに答えたのは、留学生の劉偉だ。

 流れて来て、どげしっと殴ったグールの一人を捕まえ、紫原に首とマスクが皮膚が同化して剥ぎようが無い事を見せた。

 思わず食べ掛けのポテチを落としそうになった紫原の様子に、再び溜息が出そうになったその次の瞬間、何かに気付いた岡村が健介を庇った。

 咄嗟に盾にした丸太が、ざくざくっと三つに斬り飛ばされるのを見て、思わず劉が叫んだ。

 

「氷室!こっち、雑魚よりこっちアル!」

「え!?」

「あーいいよ、そのままで。

 こっちのドライバー不適合者は、餌にして良いって言われてんだ、おとなしく食われてよ。ってお前もいたのかよ、古の魔法使い」

「その不愉快な声。手前、レギオンかよ!」

 

 健介の声に、ゆらりと頭蓋骨に何か翼竜と鎧を組み合わせたような姿の怪人が現れる。

 へらへらとしたその態度に、健介の額に青筋が切れる。

 年末の騒ぎの時に、健介からグールを盾に逃げた相手であった。

 怪人の方は、大きな身振りで肩を竦めた。

 

「あーあ、面倒臭いなあ、お前、大ショッカーに入らないよねえ。

 あいつだけ確保して、こいつ等皆殺しで良いかなあ?」

「てっめ!」

 

 ケラケラ笑う相手にぶち切れたのを隠さず、健介はジャージのポケットから二つの指輪を取り出した。

 その様子に、岡村が慌てて声を掛け、落ち着かせようとする。

 

「福井、落ち着けい!

 激したまんまじゃ、相手の思う壺じゃ!」

「バッキャロー、俺は切れてる位がちょうど良いんだよ!」

   Driver on!

 

 腰に現れたメタルブラックのベルトに、戦っていた氷室が反応する。

 

「今日こそ逃がさねえからな、変身!」

 

 観音開きに開いたバックル部分から、飛び出し展開した魔法陣を突き抜け、健介は『仮面ライダービースト』へと変身する。

 その姿に、思わず顎を落としそうになる劉と目を見開く紫原を背に庇い、岡村が敢えて声を掛ける。

 

「福井、無理はするな!」

「心配すんな、こっちは一足先のランチタイムにしゃれ込むだけだい!」

 

 そう言い放つや、健介はダイスサーベルを構えた。

 古の魔法使いに向かって、ファントム・レギオンは笑い声を立てつつ薙刀(ハルメギド)を構えた。

 

 

 『仮面ライダービースト』が、因縁の相手にメンチを切ったのとほぼ同じ頃、海常高校バスケ部も怪人と戦闘員に囲まれていた。

 その先頭に立っているのは、百足型のオルフェノクだった。

 

「あーあ、会社に言われて来たけど、何でこんな餓鬼共ごときに俺様が出張らなきゃならないんだよ。

 オラ、誰でも良いからとっととそのドライバー使えよ。そしたら残りは、『儀式』してこっちの仲間になれるか確認するからよ」

「《スマートブレイン》から、来たのか」

 

 怪人の影に浮かんだ、彼らと変わらないだろう年齢の若い、だがどう見ても世を拗ねているとしか思えない男が嗤う。

 その男へ、眼鏡を押し上げながら中村真也が聞くと、男はケラケラ笑いながら肯定した。

 

「それがどうした?

 人間を超えた新人類、それが俺達オルフェノクだ。《スマートブレイン》社は、俺達の後ろ盾だが、それがどうした?」

「よく言うよ。

 唯の死に損ないで、長くても一〇年程で灰化して死んでしまう生命体モドキの癖に」

「お、おい、なかむ(あ)!?」

 

 毒を吐く真也に、早川充洋が顔を青くする。

 普段は、物静かでそれなりに辛辣ではあるが次期副部長としてまめに部員の面倒を見る真也の、毒塗れの一言に笠松幸男と黄瀬涼太は目を丸くする。

 センチピードオルフェノクの方は、あからさまに不愉快そうに真也を見た。

 

「何だとぉ」

「事実だろう。

 全く、単純に人類の敵やってるのかと思えば、更に酷い集団と手を組むなんて」

「このやろう、言わせておけばあ!?」

 

 手を伸ばし、真也を掴もうとした百足怪人の腕を、慌てて三年生の笠松と小堀浩志が遮ろうとした。

 だが、その前に真也が握った携帯電話型のガジェット――フォンブラスターの光弾がその腕に二発、三発と突き刺さる。

 

「え!?」

「! 貴様!」

 

 驚く笠松の目の前で、真也は大振りなスポーツバッグの中に入れておいたコアシステムを引っ張り出すと腰に装着し、携帯モードに戻したマルチデバイスに起動コードを打ち込み、頭上に掲げた。

 

   pipipi

   standing-by!

「変身!」

「貴様、貴様が裏切り者の記号持ちか!

 糞、何でギアユニットが俺達に逆らうんだよ!」

 

 ソルメタル製の強化服に包まれた真也の姿に、百足の男が喚き散らす。

 そんな相手から目を逸らさず、真也は小堀に隙を見て脱出するよう告げると、パンチングユニットを構えた。

 

「な、中村先輩?」

「一体何が」

「笠松、しっかりしろ。黄瀬の手を離すな。

 早川、中村の荷物を持っていてやれ、良いな?」

「はい!」

「おい、小堀、」

「笠松、後だ」

 

 事態について言い募ろうとした元主将に、元副主将は短くその言葉を止めた。

 

「せめて、息を吐ける状態になったら、中村を休ませてやれるぐらい状況が落ち着いたら、中村本人が話すと思う。

 それまでは待ってやってくれ。俺は、話してやれるほど詳しくない。色々調べたが、当事者より詳しくはないんだ」

「お、おう」

 

 友人の言葉に、笠松は混乱しつつも状況を見守るしかない。

 その横で、同じく混乱の極みにある黄瀬が、戦極ドライバーと赤黒い実から変化したブドウロックシードを握っていた。

 

 

 各校の中で、ある意味一番危険だったのは桐皇学園バスケ部であった。

 彼らは、崖の様になった山道の途中に立ち塞がった奇妙な木の下で、仮面にお仕着せの集団と怪人に待ち伏せされたのだ。

 事態が判らないまま、戦極ドライバーとマンゴーロックシードを手にした青峰大樹に向かって、飛蝗の化け物――ホッパードーパントが気だるげにこう言い放った。

 

「つまらないんでしょ、世の中全て。

 唯一の取り得のバスケットボールでも、全国大会の初戦で負けちゃって、バスケット選手としてのあんたの事、過去の人って言ってる人間も多いでしょ?

 だから、そんなの全部捨てちゃって、大ショッカーに来ると良いわよ?

 ああ、後ろの女の子と、眼鏡の人、一芸持ちでしょ、役に立つから一緒に来てもいいわよ」

「な!?」

 

 女の声に、若松孝輔と諏佐佳典が顔を引き攣らせ、桜井良は貧血で真っ青になる。

 だが、それに向かっては反論せず、今吉翔一はドライバーを握って固まっている最強と呼んだ後輩に、こう語り掛けた。

 

「青峰。お前がバスケを捨てるとは思わん。だがな、そのけったいなもんを使うなら、一つだけ忘れんといてくれるか?」

「今吉先輩、何を仰るんですか」

 

 目の前の事態で、一杯一杯になっている桃井さつきの目の前で、今吉はうっすらと開眼させてこう言った。

 

「昔な、そこのみたいな犯罪者共に、夢も希望も、人間としての尊厳も何もかも踏み躙られた挙句、そいつらと同じ外道になれ言われた人がおった。

 せやけど、そん人はそれを跳ね除けて、自分であり続ける為、他の同じような目に合わされる人の為に戦ったんや。

 お前にそんな事まで要求せん、ただお前にとって何が大事かだけ忘れんといてくれ。

 お前が青峰大輝である為に何が必要か、それだけ忘れんといてくれ」

「あらやだ愁嘆場?

 まあ良いけど。取り敢えず邪魔だから、そこの三人、崖から飛び降りてよ。ああ、大丈夫、一応スポーツマンでしょ、足挫くぐらいだから」

 

 怪人がそう言うと、マスカレイドドーパントがわさっと動いて三人に掴み掛かる。

 あっと思った時には、一番体重の軽い桜井の身体が、崖から宙へと投げ出されていた。

 慌てて、黒服共を振り払い、後輩を助けようと飛び出したのは諏佐だった。

 その状況に、若松と桃井の口から悲鳴が上がる。

 

「桜井!」

「諏佐さん!?」

 

   LIGHTNING!!

 

 聞き慣れない音声に、一瞬高校生達が途惑い、同じく怪人も動きを止めた。

 その次の瞬間、群がるマスカレイドドーパントを着地の衝撃で薙ぎ払い、一人の人物が降り立った。

 ペールイエローのボディに、雷をデザイン化したらしいラインが飾るその人物の顔は、複眼とアンテナらしいものが目立つ仮面に覆われ誰か判らない。

 両脇に桜井と諏佐を抱えていた『彼』は、桐皇バスケ部の面々に背を向けたまま二人を下がらせると、背中からでも判る程不機嫌にホッパードーパントを見た。

 飛蝗女の方は、目の前の闖入者の腰に巻かれたものを見て、あからさまに機嫌を損ねたようだった。

 

「ロストドライバーですって?

 お前は」

「T-0か。『Exhibition』は奴らと手を組んだ、いや手下を派遣したって事か。

 まあ、ぶっ飛ばすだけなんだけどな」

 

 そう嘯(うそぶ)くと、『彼』は何処からともかく、やや大振りなライトグリーンのUSBメモリを取り出した。

 それを見て、ホッパードーパントが殺気立つ。

 

「T-1《HOPPER》メモリ!

 貴様、仮面ライダーか!」

「はん、俺も有名になったな」

 

 ロストドライバーからペールイエローのメモリを抜くと、ライトグリーンのメモリをコールさせる。

 

   HOPPER!

 

 スロットに差し込み起動させると、「HOPPER!」のコールと共にその姿が変わっていく。

 ライトグリーンにスーツが染まり、アーマーや手足を飾るラインがHを意匠化したものに変わる。

 そして、つるっとした仮面が、飛蝗を思わせる顎つきのものに変わる。

 その姿に、飛蝗女が顎をぎちぎち鳴らして威嚇する。

 諏佐や若松、桃井はぽかんとその変容を見ていたが、今吉と桜井は小さく口を開いた。

 

「仮面、ライダー?」

「仮面ライダーHOPPER、本当に!?」

 

 そして青峰は、その背中に小さく呼び掛けていた。

 

「灰崎、お前」

 

 その声にちょっとだけ反応したが、仮面ライダーは目の前の怪人から眼を離さない。

 殺気立った飛蝗女の激で、マスカレイドドーパントが仮面ライダーに殺到する。

 それに向かって、『仮面ライダーHOPPER』は大きく拳法の構えを取った。

 

 

 火神大我は、目の前に浮かぶ赤い腕にすっかりへたり込んでいた。

 腕の方は、未練がましくナイフを撫でた後、くいっと大我の顎を掴んだ。

 

「お前か、正体不明のメダルを持ってる奴。

 丁度良いお前、俺に手を貸せ。その代わり、この影の薄い奴の延命をしてやるよ」

「ふえ!?」

 

 腕の言葉に、顔を跳ね上げたのは相田リコだった。

 彼女の目には、黒子テツヤはこのまま処置出来ずにいると後幾らも経たずに、心臓も呼吸も止まってしまうと判っていた。

 

「あ、あんた、どうやって助けるって言うの!?」

「それは、こいつが俺の提案を呑んでからだ」

 

 そう言うと、赤い篭手の右腕はぽかんとしている大我の鼻先に、戦極ドライバーに似たものを突き付けた。

 それは、板状の本体にメダル状のものが入る、スロットが三つくっついた代物だった。

 

「な、何だ、これ?」

「メダルドライバーって言うんだ、こいつとこいつで、お前は《オーズ》になれ」

 

 続けて右腕が差し出したのは、赤、黄、緑の三枚のメダルだった。

 その三枚のメダルを見て、その場にいた高校生達はつい思った。

 

(赤司と黄瀬と緑間?)

「ファ!? オーズ!?」

「ああもう、ぐずぐずするな、こいつが死んでも良いのかよ!」

 

 苛立った様子で大我にメダルとドライバーを持たせると、赤い腕は顎を掴んで190センチの巨体を立ち上がらせた。

 目を白黒させている後輩を見兼ねて、伊月俊が前に出た。

 

「待ってくれ、火神の代わりに俺がそのオーズって言うのになる、だから」

「悪いが兄ちゃん、あんたじゃ駄目だ。それなりに欲望はあるようだが、こいつとじゃ比べ物にならないんだよ」

(それに、こいつには俺達とは別だがコアメダルが入っている。何れ欲望の器として、利用する事が出来るだろうから、な)

 

 誰にも聞かれないようにそう嘯き、赤い腕は大我の腰へドライバーを装着させメダルをスロットに押し込むと、円盤状のアイテムを差し出しこう言った。

 

「選べ。

 このままここにいる奴ら全員見殺しにしてお前も死ぬのと、オーズになってあの雑魚とヤミーを倒し、俺がメダルを集めるのを手伝うのと。

 俺はどっちでも良いぞ。時間が掛かるのが面倒だが、お前に拘る必要は無いしな。

 それに、そこの奴、そろそろ心臓が止まるが、良いのか、そいつが死んで」

 

 言われて、大我は改めて地面に倒れ付す相棒を見た。

 体力は人並み以下、大人しげな見た目を裏切る敬語を纏った毒舌、それでもバスケへの情熱は人一倍で、彼がいたから自分はあの時仲間を思う事が出来た、ゾーンの更に先を開く事が出来た。

 

「おい、俺がオーズって奴になれば、黒子を助けてくれるんだな」

「ああ、死なせない。ほら、やれ」

「火神!」

 

 ダスタードを蹴散らしていた日向順平が、事態に気付いて声を上げる。

 その声に振り返る事無く、大我はメダルドライバーの上に円盤――オースキャナーを滑らせた。

 

「変身!」

   タカ! トラ! バッタ!

   タ・ト・バ、タトバ、タ・ト・バ!!

 

 三つの光輪が、一つになって大我にぶつかり、その全身を黒地に赤、黄、緑のラインと鷹、虎、飛蝗を意匠化したマークが胸に入ったスーツに包まれる。

 その姿を見て、何かに反応した様子で鳥型の怪物――フクロウヤミーが大我、オーズへと飛び掛った。

 

「うわわ!?」

 

 驚き振り回した腕に、ジャキンっと音を立てて大振りな鉤爪(クロウ)が現れる。

 その爪先がフクロウヤミーの肩口に食い込み、羽根を撒き散らしつつ斬り割いた。

 

「何だよこいつ、こんなの聞いてない!」

「やかましいわ、ダアホ!

 こっちだって日常から切り離されてて、一杯一杯じゃい!」

 

 そう叫ぶと、順平は戦極ドライバーのカッティングブレードを三回弾いた。

 膨れ上がるエネルギーに、山猫型怪人――リンクス・ゾディアーツは危険を感じ下がろうとした。だが。

 

   ORANGESPARKING!!

「吹っ飛べぇぇぇ!!」

 

 順平が、無双セイバーと大橙丸の二振りを左右に薙ぎ払うと、斬撃が彼の周囲に居たダスタード数体を斬り払い、下がろうとした山猫怪人の尻尾を半ばで切り落とした。

 悲鳴を上げて、山猫は逃げ出した。

 

「もう、ヤダ、何だよ、こんなの聞いてないってば!

 お前、こいつ等始末しておいて!」

 

 そう言い置き、怪人は黒い旋風に紛れて姿を消した。

 後に残ったフクロウヤミーは、狂ったように吼えると再び大我――オーズへと飛び掛った。

 それにびびりつつも、大我は飛び掛ってくる大きな鳥に、再び鉤爪、トラクロウを構えた。

 




火神大我 バトルアクト 人間 学生 一六歳 男

  (通常/変身状態)
肉体)6/9 運動)7/10 器用)3/4 意志)4/6 機知)5/6
移動力)10/13 先制力)5/6 肉体HP)22/28 追加HP)-/25

所持品
財布、生徒証他、メダルドライバー、コアメダル(タカ、トラ、バッタ、(トリケラ、ティラノ*設定付属ガジェット))、着替え、教科書の入ったスポーツバッグ

所持ガジェット
トドメ技、部活(バスケットボール)、礼儀、学問、欲望の器(設定付属ガジェット)、達人格闘、料理の達人、バランス、噂話、スキャニングチャージ
(トラクロウ、対象を探す判定に+2、ジャンプ力を必要とする判定に+2)

活躍力)7  命点残り3点(注、製作点のみ) 

 子供の頃に、恐竜メダルが体内に入った為に欲望の器化してしまった少年。
 本来はバスケットボール大好きな体力馬鹿だったが、欲望の器化の影響で軽い記憶障害と異常食欲、過剰な集中力を患っていた。
 今回、《グリード》の接触を受け、またメダルドライバーを手にした結果、一時的ではあるが症状が緩和される。
 灰崎祥吾は、生後数ヶ月からの幼馴染みだったが、これまでは記憶障害の為良く思い出せていなかった。
 因みに、滝一家とも物心付いた頃からの付き合いであり、滝海斗、一文字空、香山閃の三人が氷室と出会う前の兄貴分だった。
 尚、彼の格闘が赤心少林拳ではなく達人格闘なのは、小学二年でアメリカに行った事と、氷室の喧嘩殺法に影響を受けた為。

* ガジェット『欲望の器』の影響の為、種族『人間』の『勇気』、『友情』が使用不能になっている。
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