Sons of Skull-Rider   作:怪傑忍者猫

15 / 47
後二、三話でこのエピソードを終わらせ、本来の目的である話に持ち込みたいものです。
いや、本気で。

本編第十二話です。
黒子のバスケ×マスカレイドスタイル×仮面ライダーSPIRITSと言う多重クロスオーバー。

ここから、戦闘戦闘ばかりになります。
秀徳は、次回お送りします。

なお、この話は黒子のバスケと仮面ライダーSPIRITSの登場人物に、マスカレイドスタイルと言う同人TRPGをベースにした独自設定を付加した二次三次創作となります。
その為、原作の登場人物と家族設定などに改変があります。
また仮面ライダーの解釈にも、私家設定が前面に出てきます。
他にも作者設定のオリジナルキャラクターも何人か出てきますので、そう言うものがお嫌いな方はこのままbrowserbackをしてください。
キャラクター改変がお嫌いな方も同様に願います。


尚、この作品はmixi、pixivにも投稿しています。


episode06  合流、そして一触即発

 島のあちこちで、各校のバスケ部員達が怪人と戦闘員の集団に襲われていたその頃。

 秀徳高校の面々は、宮地清志、裕也兄弟の奮闘で戦闘員の集団を何とかいなし、彼らは波打ち際近くの岩陰で息を吐いていた。

 

「つっかれたあ」

「一体一体は大した事無いのに、数が多いから面倒臭ぇ」

 

 大岩に凭れ、宮地兄弟は息を吐いている。

 その二人に、高尾は朝方買い込んでいた自販機のスポーツドリンクを差し出した。

 

「虫の知らせで買っといたんですよ、どうぞ」

「悪い。でも、お前の分は?」

「大丈夫、まだ二本あります」

 

 鞄の中を見せる後輩にほっとしつつ、清志は後輩にこう尋ねた。

 

「そういや、ビートルフォンが来てなかったか?」

「それなんですけど、祥ちゃん、島から出られなかったらしくて」

「どう言うこった?」

 

 裕也の言葉に、和成は先程飛んで来たものをポケットから取り出した。

 

「コアボイルダーが、隠してた場所から持ち出されて無くなった上に、その周囲を黒尽くめが彷徨(うろつ)いていたそうです。

 仕方がないから、参加学校の中で、唯一身内のいない桐皇の警護に入るって」

 

 携帯モードのビートルフォンを開き、メモを開いて見せながら答えた和成に、格闘家兄弟はさもありなんと頷いた。

 彼らからすると、ガジェットはサポート用しか持ち合わせがないものの事態に対応出来るが、やや人数の多い日向順平――まあ、バスケと調理以外ではやや頼りない火神大我を抱えてはいるが――がいる誠凜と、曲者揃いだが火力と言う点で完全に話にならない桐皇の二校が気に掛かってはいたのだ。

 

「そうか、祥吾があっちに回るなら、後は今吉が頭使うだろうから何とでもなるな。

 あいつはバスケ部追い出された後、ストバスの傍ら真面目に道場に出てたそうだし」

「は?」

 

 幾つか覚えのあるキーワードを聴き付け、緑間真太郎が顔を上げた。

 その反応に、祐也が気付くがじっと沈黙し、その間に和成と清志が喋る。

 大坪と木村の二人は、ある程度事情を知っている様子で、事態を静観しているようである。

 

「あの、宮地さん、その祥吾と言うのは……」

「おう、うちのOBの弟でな、赤心少林拳と言う俺達が習ってた拳法の兄弟流派の中学生の部のエース格の奴だ。高尾の幼馴染みでもあるよな」

 

 清志の説明に、ほっとしかけた緑間へ祐也が追撃を掛けた。

 正直な話、入学当初から暫くの間、和成がクッション剤として機能するまでの緑間の奇行に、いい加減怒っていたのだ。

 

「兄貴達にバスケを習って、意気揚々と部活に入ったら部活の空気はぎすぎすしてる、チームメイトは変人ばかり、揚句に不良呼ばわりされて部活から追い出されたそうだ。

 あん時、俺達全員でお前ら帝光バスケ部に殴り込みを掛けてやろうかと思ったんだよな、お前ら何様だって」

「は!?」

 

 目をぱちくりさせる緑間に、和成は慌てて裕也を止めようとする。

 だが、その和成を清志が止め、兄からの態度で話せと捉えた裕也は、はっきりとこう言った。

 

「灰崎祥吾は、俺達の先輩の弟で、俺達にとっても拳法の後輩だ。

 お前らが不良だのサボりだの、女連れ回してるだのと言いがかりつけて追い出した奴は、伸びた手足の痛みで夜も眠れず、気まぐれなお袋さんの同僚に買い物に連れ回され、そしてそのお袋さんのヘッドハンティング狙ってる連中から逃げ回ってた、唯の中学生だ」

「な!?」

 

 目をぱちくりさせるのに向かって、慌てて和成がフォローを入れようとした。

 

「いや、あのね、祥ちゃん中学入る前150やっと超えた位だったのが、入学式から一月で一気に170近くまで伸びた所為で成長痛で苦しんでたんだよ、真ちゃん」

「で、保健室で勉強してたのをサボりと決め付けたんだな、お前ら」

「いや、裕也先輩」

「あいつが女と歩いていたというのは、八割はお袋さんの関係者、残りはあいつのフェミニストから来るお人好しの結果だよ。

 お袋さんの職場仲間の姐さん達、年齢不詳が多いからな。それに、お袋さん、世界企業の製薬部門で働いてる優秀な研究者だからな。

 そのお袋さんのヘッドハントの交渉材料として、あいつを誘拐しようとしたBLACK企業の多かった事。

 お前ら、知らねえだろう?」

「そ、それは」

 

 確かに、そんな事は聞いた事がない。

 それでも、一応の反論を試みた緑間を、宮地兄弟は正論で殴り返す。

 

「あいつの素行については、赤司が」

「あいつの情報ソースが何か判ってて言うのか?」

「言っとくが、帝光の近隣の不良共に金ばら撒いて、あいつ襲わせてたのは《AKASHI-BIOCHEMICAL》って言う会社でな、赤司んちの会社の系列だ。まあ、赤司本人は知らないだろうが、本当の事を大人共が教えると思うか?」

「っ、それは、それこそ、何で先輩方はそんな事を知っているんですか!」

「そりゃお前、あいつの親父さんが、《AKASHI-BIOCHEMICAL》を摘発して、上層部総取替えに追い込んだからだよ」

「は? 父親って、あいつは母子家庭ですが」

 

 これは、教師達の会話を漏れ聞いて知った事である。

 だが、それに対して、二人はあっさりとこう答えた。

 

「おお、血は繋がっちゃいないよ。

 でも、それお前、滝の親父さんに言ったらぶん投げられるじゃ利かねえぞ、あの人は俺達だって息子だって笑うんだからな」

「色々事情があって、警察辞めて《ホークアイ・ホールディングス》の会長秘書やってたんだけど、あまりに祥吾に対するあれこれが酷いってんで、日本警察に協力要請して、《AKASHI-BIOCHEMICAL》の調査してついでに色々ぶっこ抜いたらしいからな」

「はあ!?」

「警察って言うか、父さんはアメリカFBIの捜査官で、ついでに言うと今だって辞めてませんよ、休職してる状態だから頻繁にFBIやICPOから協力要請受けるし、SPIRITS隊の人達が出入りしてたんですから」

 

 思わずと言った感じで口を挟んだ和成を、緑間はぽかんと言った顔で振り返る。

 困ったように頭を掻く和成は、しかし弾かれたように顔を上げた。

 

「山の方から下りてくる、あれ、笠松さんと黄瀬、小堀さん、早川さん、後555!」

「マジか!?」

 

 指差された方を振り仰げば、確かにきつい斜面を転がるような勢いで駆け下りる、ジャージの集団が見えた。

 そして、彼らの背後を守るように、後ろを気にしながら走る強化服の人物が続いていた。

 

 

 同じ頃。

 黛千尋こと仮面ライダーキバは、キバット五世にフエッスルを吹かせていた。

 

「ウェイク・アップ!」

 

 右脚を高く振り上げた、キバの右脚の鎖(カテナ)をキバットが断ち切ってそこに封じている『ヘルズゲート』を完全開放し、そしてそのまま天高く飛び上がる。

 不思議な事に、青空が瞬く間に夜空に変わり、そのまま宙で釣り下がるように体勢を整えたキバは、一気に鰐型怪人へと蹴りを放つ。

 恐ろしいほど巨大な三日月から飛来する、キバの蹴り技――ダークネスムーンブレイクは岩を抉りながら怪人を捕らえた。

 

   ぎゃあああああぁぁぁぁああああ!!

 

 一気にステンドグラスを思わせる結晶体に変わったクロコダイルファンガイアは、その直後に粉々に砕け散った。

 それを見届けると、はあっと息を吐きながら千尋は魔皇甲冑を脱いだ。

 再び広がった青空の下、彼の頭上をひらひらと舞う見た目はどう見ても玩具にしか見えないキバットの姿に、葉山小太郎ははしゃぎ、根部谷永吉の方はぽかんと見詰めている。

 実淵玲央の方はと言えば、影の薄い、しかし妙にキャラクターが濃い先輩の知られざる一面と言うものを見て、言葉に詰まった様子だった。

 そして、赤司征十郎は思い切って千尋に話し掛けた。

 

「黛先輩、あの、」

「移動するぞ、ここに居たって何にもならない。

 出来れば、何処かの学校、そうだな、せめて陽泉か海常、秀徳と合流するぞ」

 

 だが、埃を払うと千尋は赤司が何か言う前にそう言って踵を返した。

 その背中を、慌てて高校生達は追い駆ける。

 

「黛さん!」

「あ、おい、待ってくれよ」

「ちょっと、そんな急に」

「ぼおっとしていたら、またあいつらが来るぞ。

 残念だが、これは組織立った犯罪で、おそらくこの島自体奴らの領域(テリトリー)だ。俺一人連戦していたんじゃ、何れお前らに怪我をさせる事になる。俺としても、それは避けたいからな。

 陽泉と海常、秀徳には俺と同じ仮面ライダーが居る。そいつらと共闘出来れば、少しはましになる」

 

 千尋の言葉に、二年生達は顔を見合わせる。

 その言葉に、赤司はこう切り出した。

 

「戦力増強なら、ここに追加戦力があります。

 おれも」

「止めろ!」

 

 振り返って言葉を遮った、千尋の声に赤司も二年生達も驚いたように眼を見張った。

 咄嗟に声を張り上げてしまった事に舌打ちし、千尋は額を押さえつつ言葉を選んだ。

 

「あー……、誤解するな、お前に戦うなとかじゃなくて、それを使うのは止めておけって事だ」

「どう言う事ですか?

 これは、仮面ライダーの所謂ベルトなんでしょう?」

 

 訝しそうに聞き返した一年生に、千尋は大きく溜息を吐きながらその手の中にある戦極ドライバーを指差し、こう続けた。

 

「そいつな、俺の直感がびりびり警報を発するんだよ。

 順辺りに見せれば、何か判ると思うんだが、とにかくそれは使うな。

 何か、大きな地雷が埋設されている気がして、さっきから落ち着かないんだ」

 

 そう言うと、千尋は再び歩き出す。

 顔を見合わせた二年生は、慌ててその背を追い駆け、赤司もやや不満を感じつつそれに続いた。

 その、千尋の言葉を、肯定するかのような光景が、程なく五人の視界に飛び込んで来た。

 黒い騎士のような姿の人物――仮面ライダービーストに襲い掛かる、髑髏と翼竜と鎧を組み合わせたような怪人と、バナナのような装飾と装甲を纏った人物を目撃したのだ。

 

「氷室ー!」

「室ちんっ!?」

「氷室、何で福井に襲い掛かってるあるかー!!」

「HAHAHA、強い奴が居るなら、戦うのは当然じゃないか。

 さあ、福井さん、Come On!」

「カモンじゃねえよ、馬鹿野郎! 畜生、こんな仕込がされてたなんて」

 

 繰り出されるバナスピアーを避けつつ、それでも雑魚敵をダイスサーベルで切り払う福井健介事仮面ライダービーストを眺めて、骸骨と翼竜の骨で作られたようなファントム・レギオンは手を叩いて笑い転げる。

 

「いいねえ、実に良い感じに染まってくれた。

 中々のコンプレックス持ちだったみたいだなあ、ああ楽しい」

「何の事じゃい、お前さん、何を知っとんじゃ!」

 

 岡村建一の声に、レギオンはくつくつと笑ってこう返した。

 

「だからあ、その戦極ドライバーには大ショッカーの科学者とやらがちょっと手を加えていて、ヘルヘイムの果実に込められた悪徳をストレートに装着者に流し込むようになってるらしいんだよね。

 その結果、装着者の中の不平不満コンプレックスを煽って、暴力的になるんだとさ」

「何じゃそりゃあ!?」

「いや、それただの日常」

「それはともかく、室ちんどうせならそっちの骸骨襲えし、福ちん殴ってどうすんの!」

 

 頭を抱える上級生と、呆れるのを通り越して投げやりになった一年生エースの声に、しかし『エレガントヤンキー』とあだ名される二年生の方は、まるでその声が聞こえないようにスピアーで標的とした相手を追い回す。

 三メートル程の崖の上から、その光景を目にして呆然とする洛山高校の面々を横目に、千尋はやはりと溜息を吐く。

 

「そう言う事か。どおりでぴりぴりすると思ったら。

 察するところ、健介の奴が警告する前に、装着したな陽泉の二年SGは」

「ま、黛さん」

 

 表情こそ動かないものの、苦々しげにそう言うと、千尋はあたふたと頭上で飛び回る己の後見人でもある蝙蝠型の魔物を掴んだ。

 

「わ!? 千尋!? (# ゚Д゚)ゴルァ!!」

「変身」

「黛先輩!」

 

 再び魔皇甲冑(キバの鎧)を纏うと、千尋は一気に崖を飛び降りレギオンを殴ると見せ掛けた。

 乱入者にレギオンが身を翻すと、それを良い事に怪人をスルーした仮面ライダーキバは、更に氷室辰也の横をすり抜けビーストの傍へ移った。

 

「ビースト!」

「キバ!?

 そっちは大丈夫かよ」

「一応全員連れて来てる。

 この頭に血が上ったのは引き受ける、お前はファントムを倒せ!」

「おう、ありがとよ!」

 

 ぱんっと、小気味良い音を立ててタッチすると、キバは繰り出されたバナスピアーを掴み、ビーストはまだ態勢が崩れたままの骸骨怪人へと、ダイスサーベルを構えて突っ込んで行った。

 

 

 海常と秀徳、洛山と陽泉が合流した丁度その頃、フクロウヤミーと火神大我こと仮面ライダーオーズの戦いもやっと決着が付こうとしていた。

 オースキャナーを滑らせ、オーズは必殺技の体勢に入る。

 

   SCANNINGCHARGE!

「おおらぁぁぁああ!」

 

 バッタレッグで高く飛び上がり宙空に生じた三つの『輪』を突き抜け、オーズは両足を揃えたキックをヤミーの胴体に叩き込んだ。

 甲高い悲鳴を残し、フクロウヤミーは爆発した。その後には、チャラチャラと数十枚の鈍色のメダルが残った。

 最後のダスタードを切り捨て、振り返った日向順平が見たものは、変身を解いてそこにへたり込む大柄な一年エースと、先程まで宙に浮いていた『腕』を右手に着け、水色の髪に鮮やかな赤いメッシュを入れたもう一人のエースが、せっせとメダルを拾い集めているのを他の仲間達が呆然と眺めていると言う光景であった。

 

「何だ、これ」

「黒子?」

「ふん、まあまあか。俺以外の奴が、俺のセルメダルを使って作ったんだろうから、こんなものだろうな」

 

 周囲に目もくれず、メダルを拾い続ける黒子テツヤである筈の相手に、上級生達がおずおずと声を掛けようとした、その時だった。

 立ち上がった大我が、おもむろに黒子(?)の頭を片手で掴み、ぎりぎりと握力を込めた。

 

「いででで、この野郎、痛いって」

「何やってんだよ、腕野郎!

 何で黒子に取り憑いてんだよ、あれか、お前が取り憑いてる間は生きてるとか、そう言う話かこの野郎!」

「その通りだよ、文句あるか、て言うか俺を腕と呼ぶんじゃねえ!

 俺はレイヴ!

 鳥系グリードのレイヴ様だ!」

「威張るんじゃねえよ、てか鴉(Raven)なのに赤いのかよ!」

「レイブンじゃねえ、レイヴだ!」

「やかましい! 二人とも黙りやがれ、このダアホ共!」

 

 そう言うと、変身を解いた順平が二人の頭に拳を入れた。

 大小二人のエースが、頭を押さえて痛みに呻く間に、事態を把握しきれず立ち尽くすしかなかった他の部員達が、三々五々集まって来た。

 全員居る事を確認すると、頭を掻きつつ順平は監督を務める幼馴染みに向き直った。

 

「カントク、取り敢えず移動しよう。

 ここじゃまた奴らが来ないとも限らない」

「それはそうだけど、彼をどうするの?」

 

 相田リコが、困惑を隠し切れずに指差すのは、当然先程まで致命的な負傷をし、意識も無かった筈の後輩である。

 それに向かって、答えたのは痛みから立ち直った大我の方である。

 

「大丈夫っす、こいつが取り憑いてる間はこいつが黒子を守る筈っす。そう言う約束だからなあ、おい」

「ってえな、判ってるよ、その代わり、お前もメダル集め、手伝えよな」

「メダル吐き出す奴が居たら、そいつを優先的に倒せば文句無いだろう」

 

 溜息混じり、ついでに黒子@レイヴの頭を撫でくり倒しながらの大我の言葉に、仲間達は顔を見合わせた。何と言うか、以前と印象が違う気がするのだ。

 だが、それを追求する前に、外した戦極ドライバーを見ていた順平が何かに気付いた様子で声を上げた。

 

「こいつ」

 

 それは、ドライバーの底辺に貼り付けられた、一見何かのシールのようだった。

 だが、それがこのドライバーに取り付けたロックシード、或いはロックシードを生み出した『ヘルヘイムの木』――順平は、その名をまだ知らないが――に篭っていただろう悪想念、邪念、悪意と言ったものを増幅していたらしい事は察しが付いた。

 何より、1センチ×2センチくらいのそのシールに描かれた、翼を広げた鷲が菱形っぽく描かれた地球儀に停まっていると言う図案に、不吉さしか感じられない。

 

「おい、おっさん、これってあれ、居ない?」

「主将?

 何すか、このシール。鷲のマーク? 大正製薬っすか?」

 

 そう言うと、横から覗き込んだ大我がそのシールをぺりっと剥がした。

 次の瞬間、パシュッと音を立ててそのシールは爆ぜた。

 

「わちちっ」

「大丈夫なの、火神君」

 

 熱で手を振る大我に、慌てて相田リコが手当てをする。

 後輩の無謀な行動に頭を抑えつつ、だがあのシールを剥がすと先程までの嫌な感じが消えた事から、あれを剥がせば暫くは問題が無いだろうと踏んだ順平は、取り敢えず外したドライバーを副主将である伊月俊が抱えていた自身のボストンバッグに突っ込んだ。

 

「日向、それ」

「また、奴らに襲われた時用だ。

 黒子以外は、怪我してないな? 移動するぞ」

「移動って、何処行くのさ、日向!」

 

 そう聞いてきた小金井慎二に、順平は山の方を指差した。

 

「山越えして、港まで行く。

 上手くすれば、夕方には救助隊が港に来ると思うし、最悪港にあった船を奪って脱出って手もある」

 

 その言葉に、部員達は顔を見合わせる。

 だが、先程の事を思えば、このまま留まる事は無理だと思う。

 その為、皆言葉少なく歩き出した。

 だが、一〇分程進んだところで誠凛高校の一同は、崖上からもつれ合って落ちて来る枯れ葉色とライトグリーンの固まりに行き当たった。

 

「「「「「うわわっ!?」」」」」

「仮面ライダー!?」

 

 部員達が驚き竦む中、枯れ葉色の飛蝗の怪人を蹴り上げたライトグリーンの存在に、福田寛が声を上げた。

 そして、一瞬で跳ね起き、必殺の体勢に入った仮面ライダーHOPPERの姿に、目を見開き大我は前に出た。

 

   <HOPPER>! MAXIMUMDRIVE!!

「ガアアアアアアア!!」

「往生しろや、小母さん」

 

 飛び掛かって来た飛蝗女に、仮面ライダーは短いスイングからの回し踵蹴りをその太股へと放った。

 硬質な外骨格に、余りダメージを与えられないように見えたその蹴りは、実は発剄を乗せて放たれていた。

 結果、寧ろ固さがホッパードーパントの命取りとなり、彼女の内腿にあった生体コネクタは剄によって吹き飛び同時に吐き出されたT-0メモリをライダーが受け止め、そのまま握り潰した。

 

「き、きさ、ま」

「ふん、過剰適応もメモリ中毒にも陥ってなかったか。

 ひでぇ話だ、冬に中毒になった嬢ちゃん、まだ通院してるそうだぜ。悪いと思わねえのか?

 ああ、思わないから、こんな物売り歩くんだったな」

 

 変身が解け、強制解除の反動で動けないゴスロリスタイルの二〇代であろう女にそう嘯(うそぶ)くと、凍り付いたようにこちらをみる誠凛高校一同に気が付いた。

 つい、動きを止めた部員達の中で、のっそりと動いたのは大我だった。

 止める間もなく、HOPPERの前に立った大我は、あっと言う間にロストドライバーのメモリスロットを閉じてメモリを抜いた。

 そして現れた、驚きで引き吊っている灰崎祥吾の顔を両手で包んでこう言った。

 

「祥、何時こんなに背伸びた?」

 

 次の瞬間、大我のツートンカラーの頭にヘッドバットをお見舞いした祥吾を、周囲の人間は誰も止められなかった。

 

 

 思わぬ『兄弟喧嘩』が勃発したちょうどその頃。

 蜘蛛男、蝙蝠男と仮面ライダーアギト、クウガの戦いも終わろうとしていた。

 

「ふうん、異時空移動して、侵略ね、良い迷惑だっと!」

「ぐぉ!?」

「そして、ショッカー怪人の反応を拾って、ここに来て、自分達に協力しろと言う事か。

 何処から情報貰ったか見当付いてるけど、早合点が過ぎるな」

「ぐは!」

 

 アギトとクウガの容赦のない拳に、怪人達は焦りを隠せない。

 彼らからすれば、『改造人間ではない』仮面ライダーもどきと、二人を侮っていた節は確かにあった。

 だが、それ以上に彼らが見誤っていたのは彼らの戦歴と、それに伴う経験値である。

 二人が戦って来たのは、グロンギとアンノウンだけではない。

 イマジン、オルフェノク、ファンガイア、レジェンドルガ、最近ではゾディアーツにファントム、ドーパントまで、この三年足らずのうちに現在確認されている『未確認生命体』と総括されている存在全てと戦い勝利した二人を、「たかが人間」と舐めて掛かった二人の、そして大ショッカーの失敗である。

 

「高校生を捕まえたのは何だ、若い労働力か? あ?」

「は、四〇人程の餓鬼共で何の足しになる。

 あいつらは実験体だ、別の時空で手に入れた『ArmoredRider』システムのな!」

「《スマートブレイン》社や財団X、寄生先は色々あっただろうに、何で《ホークアイ・ホールディングス》を狙う?

 拠点として乗っ取る為か?」

「寄生? 馬鹿を言うな、我々の拠点はきちんとある、小島に偽装した立派なものがな!」

 

 その言葉に、ライダー同士がアイコンタクトを取った事に、怪人達は気付かなかった。

 次の瞬間、背中合わせになったアギトとクウガは、身を翻して相手取っていた怪人を入れ替えた。

 あっと思った時には、二人の放った鋭い蹴りが、二体のベルトに食い込んだ。

 

   ぎゃああああ!!

   うがぁああああ!!

 

 二体は、悲鳴を残して爆発した。

 変身を解いたクウガ――一文字空は、同じく素顔に戻ったアギト――滝海斗に向き直った。

 

「嫌過ぎる内容だな、まさかあの合宿を大ショッカーとか言う連中が企画したなんて」

「それより俺は、蜘蛛男の言った『ArmoredRider』と言うものが気になるな。

 察するところ、人間で尚且つある程度の身体能力を求められると言う事か。随分な連中だな」

 

 そう話しているところで、《ホークアイ・ホールディングス》日本支社東京総本部の社屋ビルに避難していたアラン・ホークアイが二人の前に歩いて来た。

 二人を労わりつつ、元ショッカー大幹部は二人から聞いた情報に眉を顰めた。

 

「時空移動も然(さ)る事ながら、別時空で手に入れたガジェットのテストねえ。

 つまり、子供達を集めた『勝義島』とやらが、彼らの拠点と言う事だね。まあ、何か引っ掛かるネーミングの島だと思えば、そう言う事かい」

「急いで島に向かった方が良いと思います。確か、祥吾も大我の忘れ物を届けに行って、朝になってから戻る予定になっていましたが」

 

 海斗がそう答えた時だった。

 配達用のスクーターで、物凄い勢いで走って来た。

 そこに乗っているのは、小料理屋『TOKIO』の板前である松坂昌樹だった。

 

「会長、それに海斗、空、大変だ、祥ちゃん達と連絡が付かない!」

「松坂さん!?」

 

 急ブレーキを掛けて停まった松坂は、朝、食事が終わった辺りから店長である上嶋繁と山崎達弥とが何度も電話を掛けたのにずっと『電波が届かないか電源が入っていない』とアナウンスされ、最後にはショッカフォンを使ったのにも拘らず連絡が付かなかったのだと伝えた。

 その報告に、ホークアイ会長は秘書達に向き直った。

 

「夏川君、《王女》、至急当社所有の大型クルーザー二隻の出港準備を。

 子供達を保護する為、医療部にも連絡してくれ。松坂君、炊き出しの為山咲君と国府田君にこちらへ来るよう伝えてくれたまえ」

「判りました」

「任せて!」

 

 そう言うと、秘書の男女は走って行った。

 

「海斗君、空君、準備が出来次第クルーザーで現地に向かってくれるかね?」

「はい!」

「当然!」

 

 頷いた二人に頷き返し、アラン・ホークアイはビルへと向かった。

 連絡を入れる先は、山のようにあるからだ。

 




城南大学

 かつては、本郷猛、風見志郎、城茂らが在籍した大学。
 現在はかつてのライバル校でもあった城北大学と合併しており、品川キャンパス、目黒キャンパスの二箇所が存在する。
 主に理数工学と医学で知られており、都内でも有数の大学付属病院を構えている。
 また、一時期考古学でも有名だったが、二年前の発掘隊の悲劇以来考古学科は一部研究室以外は開店休業に等しい。
 また、旧城北大である目黒キャンパスでは、有名教授のいる法学部が知られている。

 滝家の子供達の進学先(海斗は法学部、空が英文科、閃が数学科)であり、現在三年の清志、健介、千尋もそれぞれ進学予定。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。