Sons of Skull-Rider   作:怪傑忍者猫

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 自身の異常に気付いたのは、大学時代。
 とにかく甘いモノが食べたくて、良く口にしたのは売店の甘ったるいのが売りの手作りアイスクリーム。牛乳と卵と砂糖だけの、素朴なそれをよく食べた。
 チョコレートは、安い奴だと却って頭が痛くなるので、それよりはとラムネを齧った。
 そうこうしていて、気が付いたのは身体から異様なまでに糖質を要求されていると言う事実。同じような食べ方をしている奴らが明確に目方を増やして行ったと言うのに、こちらは鶏ガラから卒業する気配はなかった。
 そして糖質が欲しくなるのは、決まってレポートを纏めていたり先達のレポートを読み込んでいたりと、脳味噌をフル回転させている時であると気付いて、気にする事を止めた。
 丁度その頃、レース仲間でありライバルである男から、脳の働きと糖質についての一説を教授された事もあり、気にする必要もないだろうと思ったからだ。


 自身の身体に起きている事が、常人には有り得ない事だと知るのはそれから一〇年以上後。
 キングダークから救出され、洗脳の後遺症に関する検査を受けて初めて知ったのだ。
 自身の脳細胞がまるで一〇代の子供のように、未だに成長と拡張を続けている事を。

 それが、顔を忘れた母からの愛情であり、摂理を歪めて生み出した我が子への祝福(呪い)である事を。

Monologue by Kazuya Taki.



09. どん底より

09. どん底より

 

 カメバズーカによる迫撃砲攻撃によって、デンライナー二号車は炎に包まれつつ走る。

 昇降口に固まる面々に向かって、十五、六歳に見える女性乗務員が声を張り上げる。

 

「後方車両を切り離します、皆さん、前方に移動して下さい!」

「! 皆、前の車両に行こう、早く!」

 

 閃の声に押されるように、揺れる車内を少年達は前の車両へと移る。

 だが、一際大きな爆発とともに、大きく揺れた車両から炎が吹き出す。乗務員として、移動する人員の確認をしていた少女は、その揺れで炎に包まれた車両へと転がり込んだ。

 

「乗務員さん!?」

「おい、大丈夫、うわ!!」

 

 黒子テツヤ@レイヴと、火神大我が戻ろうとしたが、立て続けの爆発による揺れと吹き上がった炎で、貫通扉から離れねばならなかった。

 滝和也と天馬、剛の三人を先に行かせた香山閃がオーナー代理とともに戻って来て、炎に包まれた客車の中で起き上がったものの身動き取れない少女の姿に青褪める。

 

「ロッテ!」

「中佐、きゃあ!!」

 

 代理の声に、必死に立ち上がろうとした乗務員の少女だったが、更なる揺れと勢いを増す炎に身動き取れなくなった。その時だった。

 オーナー代理と閃の間をすり抜け、火の海になりつつある車両の中に、先に奥へ行った筈の滝和也が飛び込んだ。

 彼は着ていたジャケットを少女の頭に被せると、そのまま腕に抱き上げ、貫通扉へと投げた。咄嗟の事で、閃とオーナー代理とは衝撃を減らす為に、彼女を受け止めると同時に仰け反るようにして扉から離れた。

 まるで、それを待っていたように再びの爆音、それと同時に最終車両との連結部分に砲弾が当たり、爆風にそこに固まっていた全員が吹き飛ばされる。

 

「がっ!」

「ぎゃっ!」

 

 煽りで壁に叩き付けられ、大我と黒子@レイヴとが呻き声を上げる。

 そんな弟分に一瞬目を向け、しかし閃は燻ぶる貫通扉の向こう、爆発しながら時間の狭間に落ちて行く車両を見て膝を付いた。

 滝が、こちらにいないのは一目瞭然で、落ちて行く車両は燃え尽きんばかりに炎に包まれていて、彼の生存は絶望的だった。

 

「畜生」

 

 ガンっと、床を殴り付ける。

 あそこで、ライダー達を置き去りにしたのは、滝さえ生きていれば逆転出来ると閃なりに考えたからだ。なのに。

 だがしかし、感傷にも後悔にも浸る暇を与えず、デンライナーの振動は酷くなっていく。

 

「閃、そこの二人と奥の二人を連れて離脱しろ、デンライナー二号車はもうすぐ爆発する」

「オーナー代理!?」

 

 振り返ると、意識を失っているらしい乗務員の少女を抱えたまま座り込んでいるオーナー代理の肩が、赤く染まっているのに気付いて閃の顔が引き攣る。

 しかし、近付こうとする閃をオーナー代理は叱り付ける。

 

「行け! あの子達を殺す気か!」

「!」

 

 歯を喰い縛り、閃は揺れに逆らうように壁に捕まり、弟分に近付いた。

 オーナー代理とのやり取りを聞いていた大我は、何か言おうとしたが閃が頭を横に振ったのを見て、そのまま口を閉ざした。

 奥から、滝を追って戻って来た中学生二人が、状況を見て青褪める。その二人を目にして、閃は覚悟を固めた顔になる。

 

「大我、短距離で良い、飛べるフォームはあるか?」

「え?」

 

 言葉に詰まる弟分に変わって、その友人を寄り代にしているグリードが唸るように応える。

 

『俺様のメダル、赤のコンボなら飛べる。が、精々俺とあの二人を抱えて飛ぶので限界だぞ』

「良いよ、俺は自力で何とかするさ。

 ウォルフィ、自動運転にセットして離脱してくれ、俺達も脱出する!」

 

 相棒にそう怒鳴り、閃は大我に変身するよう促した。

 大我はまだ迷っている様子で、オーナー代理に目を向けた。その彼に向かって、オーナー代理であった男は短く「行け」と言って眼を閉じた。

 まだ躊躇していた大我だったが、反対側の貫通扉側から炎が吹き上がったのを見て心を決めた。

 

「すみません!」

タカ、クジャク、コンドル!

タージャードールー!

 

 黒いボディを、赤色トリコロールに包んだ姿に変わると、オーズは両脇に剛と天馬を抱えた。その背に、レイヴ@黒子が縋り付く。

 

「行くぞ!」

「おい、あの人達!?」

「うわああ!?」

 

 飛び出した大我オーズの目に入ったのは、見覚えのあるビル群に、炎に包まれ蛇行するデンライナー。

 そして、閃が一拍遅れで飛び出すのを待っていたかのように、その車両は粉々に砕け散った。

 

 

 三人抱えた為に優雅にとは行かず、裏路地のぼろぼろで放置されたアスファルトの上に滑り込むようにして着地したオーズは、慌てて飛び降りた閃の姿を探した。

 取り敢えず、飛び出した空中でイマジンのフォロー無しでオーラスーツを着込んだ閃こと電王の方は、オーラアーマー無しのプラットフォーム状態でバラック小屋へと飛び降りた。

 しかし、見た目以上に傷んでいた小屋のスレート屋根は、地上五〇メートルから降って来た体重七〇キロ前後の重量物にあっさり破れてしまい、電王はそのまま下まで落ちて泥の上を転がった。

 

「痛ぅぅぅっ」

「電王!」

 

 変身を解いて、駆け寄った大我に向かって片腕を挙げて見せつつ、同じく変身を解いた閃はその挙げた拳を固め、地面に叩き付けた。

 

「せん、」

「畜生っ、もう、時間を遡って修正する事は、出来無い。一号車がこちらに気付けば、いや、二号車が吹っ飛んだ以上は……」

 

 そう呻くと、座り直した閃は吹き上げた炎で少し焦げた髪を掻き混ぜ、そのまま手で額を覆った。

 その様子に、天馬と剛は不安そうに顔を見合わせる。が、何かに気付いた様子で天馬が閃と大我に声を掛ける。

 

「ショッカー警察が来る、ここから動こう!」

「天馬の勘は当たるんだ、行こう!」

 

 剛の言葉に、取り敢えず五人?は移動を始めた。

 彼らが離れて数分後、天馬の言葉通り彼らの居た路地裏に、ショッカーの骨戦闘員がわらわらとやって来た。戦闘員達は壊れたバラック建ての屋根に気付くと、上司に報告を入れてまだ他にいる筈の不穏分子を探しにそれぞれ散開した。

 その、戦闘員達の動きを、物陰から伺う影がある。

 その影は、そっとその場を離れると何処ともなく消えていった。

 

 




 結論から言えば、神代剣は『神代剣』じゃあ、無かった。
 彼と彼の姉を殺したスコーピオンワームが、神代剣に成り代わろうとして、あいつ自身に乗っ取られたと言えば良いのか。
 とにかく、普段は神代剣として生活していたあいつは、感情が激したりするとスコーピオンワームの本性に戻って暴れ回っていたのだ。
 道理で、神代とスコーピオンワームが行き合う事が無い訳だ。

 自身の正体を知った神代剣は、天道達と図りワームの一掃を図った。
 恋をして、御家再興の為に頑張っていたあいつが最後に選んだのは、愛した人々の為に自身を含めたワームの殲滅だった。

「ターキー、見届けてくれたかい?」
「ああ。最後まで、な」
「ねぇ…、じいや……」
「なんでございましょう」
「眠っても良いかな…」
「えぇえぇ!何も心配することはございません、じいがずっとそばにいますから」
「ありがとう……、じいや……」

 忠実な執事である爺やと、一部始終を見ている事しか出来なかった滝和也に看取られ、神代剣は一年遅れの眠りについた。
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