Sons of Skull-Rider   作:怪傑忍者猫

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 小料理屋《TOKIO》の面々は、善意で持ち掛けた事だったのだ。
 唯一の肉親である父、滝和也が消息不明となり二ヶ月。
 兄弟分を気丈に世話を焼く海斗の姿に、何か息抜きをと考えた五人は、その時たまたま遺跡発掘の話を耳にした。
 何でも、長野県にある九郎ヶ岳と言う山の中腹に、これまでの人類史を覆しかねない遺跡が見付かったとの事で、そこの発掘隊の人手が足りないと言う話を聞いて、高校生でもバイト参加出来るかを聞きに行ったのは国府田汰介だった。
 海斗を説得する要員として、一文字空に話を持ち掛けたのは永瀬知治で。
 皆に心配をかけている自覚があったらしい海斗は、五人に笑ってお礼を言って、上嶋繁と松坂昌樹の二人が用意した弁当を持って山崎達弥に送られて空と二人、一週間の発掘隊バイトに参加した。

 まさか、その三日後、発掘隊が改造人間とは違う、未知の怪人によって壊滅状態に陥る事になるなど、彼らの誰も思いもしなかったのだ。
 そう、二千年の眠りから目覚めた怪物達に立ち向かう為に、海斗と空の二人がオーパーツを掴み、仮面ライダーに等しい存在になってしまうなど。
 五人は、誰も思いもしなかったのだ。


Regret, Or pulled in I was inevitable.


10. Revenge.

10. Revenge.

 

 剛と天馬に連れられて、火神大我と黒子テツヤ@レイヴ、香山閃の三人?は彼らが隠れ家にしていた廃屋へ逃げ込んでいた。

 入り口に残っていたボロボロの看板には、掠れているが《Amigo》と書かれていた。

 中に入ると、店舗だったらしい部分にはボロボロの毛布や何とか洗ってあるらしいマグカップなどが並べてあり、此処に何人か寝起きしているらしいのが見て取れた。

 そこから更に奥に行くと、ジャンクを繋ぎ合わせたらしい古い通信機器が置かれてあった。

 

「他にも何人か居るんだけど、皆出払ってるみたいだ」

「これは?」

「元々あった無線機に、皆で機械拾ってきて繋いで、ショッカーの放送や無線を盗聴するのに使ってるんだ。

 あいつらの哨戒範囲とか、これで結構聞けるんだ」

 

 剛の言葉に頷く閃の前で、天馬が通信機をいじる。

 ざざざっと雑音が流れた後、低い男の声が流れ出す。

 

『……今此処に、全ての組織がSHOCKERに統合された。

 世界の平和を乱(みだ)す、愚かな人間共を排除する事が決定した』

 

 その声に、閃も、そして大我も眉を盛大に顰めた。

 あの時、アジトで聞いたショッカー大首領の声に他ならなかったからだ。

 

『ふん、要するにショッカー以外の人間は殺すって事か』

「笑い事じゃありませんよ、レイヴ。火神君、閃さんもこれからどうしますか?」

 

 黒子の声に、大我は兄貴分の方へと視線をやった。

 香山閃は、時の運行を守る《電王》である。しかし、幾つかのぽかと想定外の事態との連続によって時の列車デンライナーを失い、時間を遡って歪んでしまった世界を修正する事は不可能になった。しかし。

 

「歪みを修正して、この世界を無かった事に出来ないのなら、せめて仮面ライダー一号二号を奪還しよう。

 彼らの洗脳の下にある本来の彼らは、必ず逆襲を誓っている筈だ」

 

 その言葉に、大我はあの時の――ショッカーグリードを足止めしようとした、二人の言葉を思い出した。

 

   私達は、決して悪には屈しない!

   どんな手を使ってでも、最後には悪に打ち勝つ!

   だから、

   だからあの子達を、滝を

 

 閃の言葉に、大柄な弟分が同意を告げようとしたその時だった。

 

「あんた達、誰!?」

 

 急な声と共に、ガチャガチャッと何かの金属音がした。

 振り返った大我と黒子@レイヴが見たものは、些か旧式だが立派なライフルを構えた五人の男女であり。

 

「「カントク!? それに先輩方!?」」

「え?」

 

 二人の声に、相田リコと思しい女性と誠凛高校バスケ部二年生らしい面々は、戸惑ったように仲間内で顔を見合わせた。

 

 

 天馬と剛の執り成しを受け、三人+αは剛達と一緒に暮らしていると言う五人と改めて話しをする事になった。

 その際、誠凛高校とバスケ部の事は混乱の元になるから話さないようにと閃に言われ、黒子があからさまに不機嫌になった。

 それに対しては、レイヴが何か言った様子だったが、それは割愛する。

 

「俺は香山閃、こっちの大柄なのは弟分の火神大我、その横のは弟分の友人の黒子テツヤ。事情があって二重人格っぽいが、そこは訊かないでやってくれ。

 俺達はショッカーと揉めて、この二人に助けて貰ったんだ」

「そうだったの。私は相田リコ。あの子達の姉代わりよ。後ろにいるのは伊月俊君、土田聡史君、水戸部凛之助君に小金井慎二君。

 他にも何人かいるけど、今は出払っているわ」

 

 ざっくりとした閃の言葉に、相田はあっさりと頷いた。

 おそらくは、勘が良い天馬が連れて来た人間と言う事で、警戒レベルを下げているのだろうと閃と大我は思った。また、警戒心の強い剛が何も言わないと言う事も、ポイントが高いようである。

 話を聞いていた大我は、ふと相田の胸元に目が行った。

 ボロボロの、男物らしいレジャー用ジャケットの胸ポケットに、小振りな眼鏡が挿してある。レンズが割れているらしいその眼鏡に、事態を悟って大我は口を真一文字に閉ざした。

 が、レイヴ@黒子がばっすりとその疑問を口にして、大我は飛び上がりそうになった。

 

『なあ、あんた、その眼鏡、何の役にも立たないんじゃ無いのか』

「おいっ」

 

 レイヴの言葉に、一瞬こちらを見ている四人の目が厳しくなる。が、そんな仲間達を制し、相田は眼鏡を挿したポケットを押さえつつ静かに答えた。

 

「これはね、私を庇って、ショッカーに捕まった幼馴染みのものなの。

 もう、いないとは思うんだけど、手放せないの」

 

 淡く笑ってのその言葉に、大我は黙って相棒の小さな頭を握り込む。

 ぎりぎりと掛かる圧に、「僕じゃないのに……」とボヤきつつ、しかし黒子はアイアンクロウを甘受した。

 目一杯握力を掛けている弟分に、流石に止めようと閃が声を掛けようとしたその時だった。

 突然通信機から、急き立てるようなビープ音が響いた。

 その音に、天馬と剛、そして先輩であった五人が腰を浮かせる。

 

「え?」

「警告音?」

 

 思わず顔を見合わせた誠凛一年エース達に、本来の時間での練習中のような緊迫感とともに、相田リコが急き立てる。

 

「ショッカーが近付いているわ、逃げましょう!」

 

 急な事に戸惑いつつ、それでも三人?も立ち上がる。

 閃の手を掴み、天馬が先に立って走る。その後ろを、大我と黒子@レイヴの背を押すようにして剛が続く。

 リコ達五人も、手早く生活の痕跡を隠すと、天馬達とは逆方向へと走り去る。

 ショッカーの戦闘員達が踏み込んで来たのは、皆が立ち去った数分後。

 古ぼけた椅子に僅かに温もりが残っている事を確認すると、戦闘員達は再び散っていった。

 

 

 走って走って、五人+αは最近使われていないらしい倉庫で息を吐いた。

 ごろごろと壊れた家具や家電、コンテナなどが転がるそこで、それらの影に身を隠しつつ息を整える。

 体力の関係で、黒子の代わりに肉体のイニシアティブを取っているらしいレイヴが、確認するように声を上げる。

 

『取り敢えず、仮面ライダーを取り返すと言っていたが、どうやるつもりだよ』

「そう言えば、俺がこの時代で一号二号と戦った時は、俺の財布に入れてた写真を見て、二号が大暴れしたんだけど」

「写真? そう言えばそんな事言っていたな」

 

 時計の上では一時間、しかし体感時間では既に一八時間以上経過していると言う事実以上に、デンライナーを失った事と未だに相棒ウォルフィが合流しない事にダメージを覚えていたようで、閃は事態を思い出すのに暫く掛かった。

 大我の方は、改めて財布を取り出しそこに挟んでいる写真を見て、薄くなってしまっている仲間達の姿に眉を下げた。

 大きな身体を縮めるようにして、壊れた箪笥の影にいる大我に向かって、実は仲間内で唯一人大我の兄弟分をよく知らない黒子@レイヴがそう言えばと話し掛ける。

 

「そう言えば、火神君。

 そらさんと言う方とかいとさんと言う方って、どう言う方々なんですか?」

「いや、だから俺にとっては物心付く前からの兄貴分。

 そうだなあ、L.Aで事件に巻き込まれるまで、兄ちゃんと言えば閃兄ちゃんと海斗兄ちゃん、空兄ちゃんだったんだ。

 海斗兄ちゃんが《ホークアイ・ホールディングス》会長秘書である滝和也の息子、空兄ちゃんはその親友の息子だって聞いてる。

 滝の小父さん、若い頃あんなに細っこい人だったんだなあ、小料理屋の兄ちゃん達が兄ちゃんはたいきばんせー型だって言ってた理由が判った」

「大我、それちょっと違う。

 まあ、取り敢えず小父さんと海斗はあまり似てなかったけど、一文字さんと空は瓜二つだったな」

 

 閃の言葉に、大我は驚いたようにこう言った。

 

「え? 何言ってんだよ閃兄ちゃん、海斗兄ちゃんと小父さんそっくりじゃん。

 立った時の姿勢とか、歩き出す時とか、チビ達に話し掛ける時とか、笑った顔なんか本当にそっくりだぜ?」

 

 弟分の言葉に、思わず閃は押し黙る。

 火神大我は、昔からやや神経質な一文字空、手まめで人一倍動き回る滝海斗の後ろをついて歩いていただけあって、一見大雑把そうだが細かい事に気が付く性質(たち)である。因みに、一緒に育った灰崎祥吾は、空の手の速さと海斗の粘り強さを吸収している。

 弟分の意外な――と言うと本人は憤慨するだろうが――観察眼に言葉を失った、その時だった。

 

「イー!」

「イー!!」

 

 戦闘員の声が聞こえ、思わず全員が息を詰める。

 二人組で動いているらしい戦闘員は、だが何やらぼそぼそと話し始めた。

 

「それにしても、先ほど捕まえたあの赤い狼みたいなの、イマジンと言うらしいな」

「グロンギともオルフェノクとも違う、不思議なもんやったなあ」

 

 赤い狼と言われて、閃の眉が跳ね上がる。

 やる気が無いのか、ブラブラと歩いている戦闘員二人は聞き捨てならない事を落として行った。曰く、

 

「仮面ライダーは相変わらず不安定やなあ」

「大体、元々大首領様に逆らって、人類の味方やってた奴らじゃないか。補助頭脳に仕込んだ洗脳装置だけじゃ抑え込めないから、飛行船に洗脳装置の中継器を積んで、奴らを出す時に洗脳が解けないようにしているんだろうに」

「そこまでして仮面ライダーを使わなくてもと思うんやけど、人類への面当てなんやろうなあ」

 

 そんな事を話しつつ、戦闘員は遠ざかって行く。

 暫く様子を窺うかがっていた面々は、顔を見合わせ声を潜めた。

 

「聞いたか?」

「ああ」

「うん」

「飛行船って、あの側面に大型モニターの付いた、鷹か鷲が羽を広げたシンボルの付いたあれでしょうか?」

「それで合ってると思います。あれ、ショッカーの広告用だけじゃなくて、仮面ライダーを縛るものだったんですね」

 

 閃の問い掛けに、大我と剛が頷く。

 黒子が呟くのに向かって、悔しさを滲ませつつ天馬が応える。

 少し考え、大我は閃の方を見た。

 

「なあ閃兄ちゃん、兄ちゃんの相棒、あいつらに捕まってるみたいなんだよな?」

「ああ、道理であいつらしくもなく、何時までも合流しないと思ったら」

「じゃあ、兄ちゃん、二手に別れよう、兄ちゃんは相棒を助けに行ってくれ。俺、飛行船を落として来るから」

 

 サラッと言われた言葉に、閃は顔色を変えた。

 

「バカ言え、そんな事出来るか。今回は黒子君も天馬も剛も一緒なんだぞ」

「黒子は元々ミスディレクションに長けてるし、戦闘員ぐらいならレイヴが捌ける。

 それより、あいつらに捕まってるって言うなら、ウォルフィ酷い事されるんじゃないのか?」

「そうですよ、早く助けないと」

 

 大我の言葉に黒子が同意すると、ここぞとばかりに剛も声を上げた。

 

「そうだよ、あいつ助けてやろうよ、それに、さっき兄ちゃん変身した時、何時もと違う姿だったじゃんか、あいついないと困るんじゃないのか?」

 

 それを言われ、一瞬詰まりだが観念したように閃はこう答えた。

 

「そう、ウォルフィがいないと俺はプラットフォーム以上のフォームチェンジが出来ない。そうである以上、正直お前と別れてウォルフィを助けるっていうのは、骨だ」

「じゃあ、ウォルフィさんを助けて、飛行船を壊すでいいんじゃないかな?」

「それを言ったら、ウォルフィが何処に居るのか判らないんだぞ!?」

 

 天馬の言葉に、閃は否を唱える。

 その言葉に一同が言葉に詰まった、その時だった。

 倉庫の、割れたガラスを震わす勢いで、頭上から男の声がする。恐らく、飛行船をスピーカーとしているのだろう、音が動いているのを感じる。

 低く掠れた老人の声に聞き覚えはないが、一人だけ思い当たる人物が居た。

 あのアジトで、大首領の側に控えていた軍服に鉄兜の老人、ブラック将軍。

 

『今、この街の何処かに隠れている、仮面ライダーを称する不穏分子共に告ぐ。

 お前達の仲間であろう未確認生命体を、これから一時間後に処刑する。助けようなどと言う無謀は、考えない事をお奨めする。

 それでも挑戦するなら、一時間以内に臨海公園に設置された処刑場へ来るが良い』

 

「兄ちゃん」

「……畜生、完全に馬鹿にしやがって」

 

 ガンっと、コンクリート床を殴ると、閃は口惜しそうにその拳を眉間に当てた。

 そんな年上に向かって、レイヴ@黒子が声を掛ける。

 

『どうするんだ? 向こうさんは、来ないだろうと高を括ってるみたいだがな?』

「レイヴってば、」

「……判ったよ、まずはウォルフィを助け出す。その勢いで、飛行船もあいつらもぶっ飛ばす。

 それで良いな、大我」

 

 そう言うと、閃は立ち上がった。

 彼に続いて、他の面々も立ち上がると、戦闘員達の動向に気を配りつつその場を後にした。

 

 




 ワームは片付いた。
 だが、今度はネイティブが地球征服を狙い人類総ネイティブ化を画策していた。
 そして、そんな連中の影に隠れるようにして、新たな同族を引き込もうと隕石誘引を試みるネイティブが居た。
 龍騎とナイト、二人のカードを握りしめ隕石誘引を阻止に動いた滝和也だったが、相手が戦場に選んだのはだだっ広くそして龍騎達にとって不利な、鏡面として活用出来るものの無い場所だった。
 クロックアップ――ディエンドのスーツを着込んでいても視認するのが精一杯な敵の超加速に、滝は舌打ちする。サヴァイヴカードを使っても、ナイトも龍騎も身を守るのがやっとの状態だった。
 だが、敵に向けようとしたディエンドライバーが急に開いて、滝は慌てて物陰に飛び込んだ。
 ギリギリで躱した結果、コンクリート製の大柱が半分ほど抉られる。
 飛び出しているカードは、仮面ライダーサソードと、サソードゼクターのカード。

「神代か。すまん、力を貸してくれ!」

 そう言って、滝はサソードとゼクターのカードを収め、トリガーを引いた。
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