Sons of Skull-Rider   作:怪傑忍者猫

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 その日、火神家のダイニングキッチンでは凄惨な光景が繰り広げられていた。
 ショートカットとロングヘア、二人の美少女が突っ伏している。その前には、妖気すら漂うカレーと呼ぶのもおこがましい、野菜のごった煮のぶっかけ飯が鎮座している。
 紅い巻の強い巻き毛の女性が、お玉を鞭のようにピタピタさせつつ、二人を見下ろしている。

「はい、二人共。自分で作ったもののお味は?」
「う、あ……」
「あうあうあう」
「栄養士として、勉強している人間として、言わせて頂戴。
 食べ物で遊ぶんじゃない」

 ドスの利いた女性の声に、何とか戻ってきたショートカットの少女――相田リコは反論を試みた。

「わ、私、食べ物で遊んで何か」
「料理にサプリとプロテインぶち込んでいる時点で遊んでるでしょ?」

 ギチギチと、音を立てて睨み付ける年上の、序に初対面の女性に口を閉じる。

「普通はね、食事で栄養を摂って、それでも足りないミネラルやビタミン類を補う為にサプリは飲むものなの。
 ふりかけの代わりにプロテインやサプリぶっかけて、それで栄養が取れるなら栄養士なんて職分が成立する訳無いでしょう。
 大体、加熱しちゃ駄目なプロテインを熱々の料理にぶち込んだら、その時点でプロテインの組織が壊れて使い物にならなくなってるわよ!
 そもそも、自分が食べられないものを他人に食べさす事自体非常識だし? あんたもそこの子も、蓋然性(プロバビリティ)殺人でも目論んでるの? 内臓を痛めてガンでも誘発させる気?」

 畳み掛けられ、リコもロングヘアの少女――桃井さつきも涙目だ。
 普段なら、彼女達を庇う日向順平はバッテン印のマスクを付けられ正座中、黒子テツヤの方は『同居人』レイヴに主導権を奪われ頭の中で怒鳴っている状態だ。
 火神家の正規の住民はと言うと、黙々と夕食を幼馴染みとその連れとともに製作中だ。

「いや、誠凛の監督さんの料理がとんでもないのは知ってたし、真ちゃんの同中のあの子がダーク・マター製造機なのは聞いてたけどさ」
「さつきちゃんは、集めた情報を頭で捏ねくり倒して作って、味見はダイキにばかりさせてたらしいからなあ。あいつ、味覚おかしくなってないと良いけど。
 だけど、こんな近在に同じようなダーク・マターメイカーが居たとはなあ。世間は狭いわ」
「scary. しかし、テト姉あんなに怖かったっけ?」

 大我の呟きに、黒と灰色の二人は一瞬目を見交わし、こう言った。

「食い物絡みだからだよ、テト姉ちゃんが怖いのは」
「お前がアメリカ行って、カズナリが来て二年ぐらい立った頃に、双子の女の子が半年ほど引き取られたんだけど、この子達がものすっごい料理下手でさ。その子達の作った料理食べて、海斗兄ちゃんと空兄ちゃんが緊急搬送される騒ぎになって」
「ご飯は漂白剤で洗うし、緑色に変色したじゃが芋を皮剥かずに料理するし、野菜サラダにトマトの葉っぱ使っててさ、俺知らなかったけど、トマトの葉っぱって、毒持ってるんだって」
「Oh……」
「あれ以来、テト姉栄養士の資格とそっち系の勉強始めたんだ」
「食べ物で遊ぶような奴は撲滅だって」

   「生産者に顔向けできないものを食べ物と言い張るなんて、いい度胸だわ。
    あたしが目一杯鍛え直してあげる♥」   by Tetsuko Kasane.



13. ショッカーグリードの最後

13. ショッカーグリードの最後

 

 一般人が避難した事によって、ショッカーと、二〇人の仮面ライダーの戦いは激しさを増していた。

 何体もの怪人が、未確認生命体が爆散し、戦闘員が蹴散らされる。

 そんな中、火神大我事仮面ライダーオーズは、ブラック将軍の正体であるヒルカメレオンに振り回されていた。

 カメレオンの能力と言うには高度過ぎる、光学迷彩に手を焼いていたのだ。

 殴る、或いは蹴りつけようとした途端周囲の光景に溶け込み、見失って動きが止まった途端に死角から攻撃を受ける。

 ぎりぎりと苛立つオーズを嘲笑いつつ、再びヒルカメレオンは消える。

 だが、そこに『伝説』の一人、仮面ライダーZXからの助言が飛ぶ。

 

「視力に頼るな、センサーを使うんだ!」

「そうか!」

 

 ぱぱっと、オーラングサークル、円形プレートの赤い鷹のマークが点滅すると、コンクリート壁に張り付きこちらを伺うヒルカメレオンを発見した。

 

「居た!」

「ちぃ、おのれ、こうなれば貴様の血を吸い尽くして、ぎゃ!?」

 

 気付かれたヒルカメレオンが、触手を伸ばしオーズを捉えようとした。だが、その次の瞬間、ヒルカメレオンは四方からの爆風でその場に棒立ちになった。

 衝撃集中爆弾によるトラップを、上手く発動させたZXが下がるのを視界の端に捉え、オーズはスキャナを滑らせ必殺の態勢に入った。

 

   ScanningChage!

「おぅりゃああぁぁぁ!」

 

 バッタレッグで高く飛び上がったオーズは、中空に現れた三色の輪を潜り抜ける。

 三つのコアメダルの力を纏ったオーズの、渾身の一撃がヒルカメレオンの真芯を捉えた。

 

「おのれ、仮面ライ、ダァァァァあああ!!」

 

 ヒルカメレオンが爆発四散したのを背に、オーズは滑り込むように着地した。

 それを見て満足そうに頷くと、ZXは次の怪人へと向かい合う。そのZXに一礼して、オーズも次の相手へと走り出した。

 丁度その頃、海浜公園から撤退しようとしたデルザー軍団のシャドウの前に立ったのは、香山閃こと仮面ライダー電王だった。

 デンガッシャーをハルバートモードに組み上げ、臨戦態勢で立つライダーを名乗る相手に、シャドウはすっと目を細めた。

 

「ほう、俺の前に立ち塞がるか」

「俺も、仮面ライダーなもので」

 

 電王の答えに、軽く鼻を鳴らした改造魔人は、だが抜手も見せずに手裏剣よろしくカードを数枚投げ付けた。

 それを極僅かな動きで躱すと、電王はデンガッシャーを振り切った。ブンッと、風を切ったハルバートの切っ先がシャドウのマスクの表面に一筋傷を入れた。

 

「! 貴様っ」

「ち、外した!」

『閃、踏み込みが浅い!』

 

 自身に傷が入れられた事に、怒りを見せた白い魔人がサーベルを抜いた。

 間合いを取った電王に、憑依しているウルフイマジンが唸り、すっと体勢が変わる。

 

『ウルァアアアアア!!』

「こいつ、イマジンの方か!」

 

 凄まじい勢いで、かつ自在に繰り出される、デンガッシャーハルバートモードの切っ先にシャドウは舌打ちする。

 攻撃特化型らしいウルフイマジンの太刀筋は、皮を削ぐように魔人に迫っていた。

 だが、何かに気付いた電王が身体の主導権を奪い返し、間合いを取った。

 内輪揉めかと、シャドウが戸惑った一瞬後。

 

「エレクトロファイヤー!!」

   LIGHTNING! MAXIMUMDRIVE!!

「エレクトリックファイヤー!」

 

 ドカンっと、足元から上がった二重の電撃にシャドウは狼狽える。

 高電圧で燻る視界の端で、赤いカブトムシとライトグリーンのバッタが立ち上がったのを見付け、シャドウは驚きを隠せない。

 

「な、ん、だと!?」

「今だ!」

   FullChage!!

 

 ライダーパスをバックルに当てると、バチッとデンガッシャーにエネルギーが篭もる。

 

「ウォルフィ!」

『おお、喰らえ!』

「『Brüllen des Wolf!』」

 

 弧を描いて、デンガッシャーは白い魔人を脳天から唐竹よろしく断ち割った。

 

「デルザー軍団……万歳っ!!」

 

 断末魔にそう叫び、シャドウは爆散した。

 肩で息を吐きつつ、だがぐっと身体を起こすと、電王は人々を追いかけようとする戦闘員へと走り出した。

 それを横目に、仮面ライダーホッパーは飛び掛かって来る戦闘員を電ショックで感電させて退ける、仮面ライダーストロンガーを見た。

 ストロンガーは少々訝しげにホッパーを見るが、特に何かを言う気は無いようだった。

 それに向かって、ホッパーの方が口を開く。

 

「シャドウの事、自分で倒そうと思わなかったのか?」

「あん? だって、ヤツは俺と因縁のある奴じゃなかっただろ?」

「え? だってあいつはデルザーの」

「俺のライバルだったシャドウなら、俺がこの手でぶっ倒したよ」

 

 戦闘員を殴り飛ばしたホッパーに、ガニコウモルを蹴り上げつつストロンガーは笑う。

 そんなものかと思いつつ、ホッパーは次の敵を探すべくストロンガーに背を向ける。

 その迷いない後輩の姿に、ストロンガー城茂も背を向け、目に付いた奇械人目掛けて走り出した。

 

 

 クウガとアギト、スーパー1とV3とライダーマンとが、ドグマとデストロンの怪人、そしてグロンギ達を打ち据える。

 その向こうで、555とキバ、ビースト、鎧武がそれぞれ関わりのある未確認生命体と、Xとアマゾン、スカイライダーが因縁のある組織の改造人間と戦っている。

 そしてオーズは、ショッカーグリードと向かい合っていた。

 だが、ショッカーグリードのパワーに振り回され、オーズはまともに打撃を入れる事も出来ない。

 

「強過ぎる」

 

 思わず歯を食い縛った、その時だった。

 一号二号が駆け付け、ダブルパンチの要領でオーズからグリードを突き放した。

 

「ショッカーグリードは、私達に任せろ!」

「でもっ」

「手出しは無用だ!」

 

 二人の気迫に呑まれたオーズは、一礼して他の仲間の援護の為その場を離れた。

 そして、二人のライダーは四〇年来の宿敵に向かい合った。

 二人息を合わせた攻撃が、ショッカーグリードを襲う。ここで、二人もグリードも思いも拠らなかった事が判明した。

 この四〇年の間に、SHOCKERはライダー二人のマイナーチェンジを繰り返しており、その為あの日破れた時より遥かに二人の能力は高くなっていた。そして。

 

「よし、行くぞ!」

「おう!」

 

 二人は気合を込め、飛び上がったショッカーグリードを迎え撃つべく宙を舞った。

 二人へと、羽爆弾を撃ち込もうとしたショッカーグリードの片目が、銃声とともに血を吹いた。

 姿勢が崩れたところへ、二人の渾身のキックが叩き込まれた。

 

「「ライダーダブルキック!」」

 

 最後の足掻きと放たれた羽爆弾を浴びつつ、だが二人はグリードを押し切った。

 吹っ飛んだショッカーグリードは、公園のオベリスクの中心部に激突して巨大な亀裂を作り、そしてその根本へと墜落した。

 着地し、警戒するダブルライダーの目の前で、ショッカーグリードは翼を広げ辛うじて立ち上がった。

 

「ショッカーーーーー!!」

 

 一声叫び、崩れ落ちてきたオベリスクの瓦礫に押し潰され、本来存在しなかった怪人、ショッカーグリードは爆散した。

 大きく肩で息を吐き、二人は背後を振り返った。

 少し離れたビルの上、そこにライフルを片手に立つ滝和也の姿があった。

 二人にライフルを持った手を振ってみせると、彼はビルから降りて行った様子だった。

 暫くそちらを見ていた一号二号は、どちらからともなく顔を見合わせると、頷き合い走り出した。

 

 




 瀬川耕司と言う、ネイチャーカメラマンと知り合いになったまでは良い。
 奴と親しい加那という少女をかっさらった怪人を追い掛けた。までは良かったんだが。
 フォッグと言う連中の怪人は、何と言うか生物っぽい本当に怪物で、思わず見て悲鳴を上げたのはここだけの秘密だ。
 とにかく、クリーチャーもどきを追いかけている内に、瀬川が崖から落ちてしまって。
 その後、大自然のJパワーの戦士とやらになった瀬川が、フォッグの怪人を倒し、巨大母艦――と思ったらこれがそのまま怪人の母体、フォッグマザーという存在だった――を叩き潰した。
 ……まあ、『大自然の奇跡』とやらで巨大化した瀬川――仮面ライダーJが、巨大なフォッグマザーをライダーキックで倒したのは見応えがあったんだが。ディエンドライバーを出してなかったら、多分俺死んでたと思う。
 仮面ライダーと、巨大化は絶対反りが合わないと思う。うん。
 で、とっさに飛び出したカードで召喚したのが仮面ライダーガタック――加賀美新だったのはまあ良いとして。まさか一緒に仮面ライダーカブト、天道総司まで出てくるとは思わなかった。
 ……ツンデレって奴なんだろうか。


 一息付いたその晩、夢で某銀と赤の『光の巨人』相手に、巨大化する仮面ライダー一号、要するに親友の姿を見て飛び起きたのは、まあついでの話だろう。
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