Sons of Skull-Rider   作:怪傑忍者猫

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Ex02 序奏と間奏
exepisode02-A アギト


 滝海斗は、最初『クウガ』として戦い始めた。

 アークルを《アンノウン》に割られ、その後オルタフォースに目覚め『アギト』になった。

 周囲には、そう思われている。

 

 父親である、滝和也の事故の後、気分転換にと大人達に勧められた発掘隊のバイト。

 この時、山の中とは言え日本国内の発掘調査と言う事で、誰も想像もしなかった。

 彼とその兄弟分とが参加したその発掘隊は、後に『未確認生命体による最初の殺人事件』として記録される、城南大学九郎ヶ岳遺跡発掘隊だった。

 海斗と一文字空は、その惨劇の数少ない生還者として記録されている。

 

 あの、惨劇が起こった時。

 怪人に追われる中、他の人を逃がそうと海斗と空はおとりとして、その怪人の前に飛び出した。

 しかし、始めて相対したその敵は、武術の心得を持ちまたそれなりに『人ではない存在』との立ち合いを重ねていた筈の二人を、あっさりと振り払った。

 空は、プレハブ小屋の壁に叩き付けられ、薄いものの二重構造の壁に減り込む形で止まり、海斗は整理前の発掘品を積み上げた保管箱を突き崩した。

 割れたプラスチックケースで額や腕を切り裂き、血塗れになった海斗の腕が、とある発掘品に触れた。

 それは、今回の発掘で一番注目を集めていた石棺の上に、まるでお供えのように置かれていた石の装飾品らしき物、だった。

 その瞬間、海斗の脳裏に一連なりの映像が雪崩れ込んだ。

 

 猟師だった「自分」と、細工師だった優しい「友」。

 『霊石』を「自分」は己の意思で手にしたが、「友」は周囲に脅されるようにして手にした。

 倒しても、倒しても『敵』はやってくる。

 味方の村は数えるほどしか残っておらず、中には『敵』に与し、『敵』と同じものになり果てて襲って来た村もあって。

 それでも、「自分」と「友」は、敵の群れを一つづつ潰していった。群れの長をねじ伏せ、群れごと地に封じた。

 そして、最後に尤も悍ましい『白』を完全に封じ込める為に、生きながら共に封印として祠で眠りに就く事になったのは、「友」だった。

 途中で傷を負い、戦いから脱落した「自分」は、「友」が眠る祠の封の前で、泣く事しか出来なかった――。

 その、泣いている男の背中に、父の姿が重なった。

 二〇年前、仮面ライダー達が大首領との決着を付ける為に異次元に向かった際に通った時空魔方陣が現れたと言う、旧ショッカー基地の片隅で彼らの生還を祈る、父の背中に。

 

「とお、ちゃん」

 

 子供達の前では明るく笑う父の、その背中を見たのは偶然だったけど。

 何年も前の事だったのに、未だに海斗はその光景を忘れられずにいた。

 

「とお、ちゃん、なか、ないで」

 

 友を死地に行かせ、何も助けられない事を一人嘆いていた父を、支えられる大人になりたかった。

 父と肩を並べられる捜査官になりたいと、それだけを目標に勉学に励み、身体を鍛え、だから。

 

 掴み直した掌の中で、石化していた何かが本来の姿を取り戻す。

 謎の文様に包まれたそれが、金属の光沢を帯び、そして。

 

「変身!!」

 

 血に塗れ、傷だらけの、それでも立ち上がった齢一六の青年の腰で、意味の無い装飾品と目されていた謎の石は、本来の姿を取り戻した。

 こうして、『未確認生命体第三号』は現れ、発掘隊を蹂躙した怪人集団、《グロンギ》と戦い始めた。

 

 

 しかし、『アークル』は遥か昔に壊れたままであり、実際には『アークル』に残った情報と前装着者の残留思念を読み取った《ルミナ》が、その姿と戦闘力を表面的になぞっていただけであったが。

 

*Kaito Taki

 

 

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