自己満足で描いた女オリ主の話~自書女主話~   作:最下

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人(仮)の情報

「失礼します。」

 

 

私は昨日助けてくれたと思う人(仮)の情報が欲しくて職員室にやってきた。同級生に聞かない理由は

1つ、聞きたい情報が2年生または3年生だから

2つ、彼の目がものすごくドロッとしていて1回は補導をされていると思ったから

3つ、相談相手が生徒指導を担当しているからの3つだね。

ここまでヒントを出せば誰に聞くかは総武高校に在籍してる人ならわかるよね?

 

 

「む?どうした若葉。」

「先生に相談がありまして……」

「そうか、じゃあそっちに移動しよう。」

 

 

そう、国語担当、生徒指導受け持ちの平塚先生だ。しかし、昼休みにくる必要はなかったよ。まさか焼肉弁当をもしゃもしゃ食べてるところを目撃することになるとはね。あれを食べたあとタバコを一服するところを想像すると更に気分が滅入るよ。いや、今は忘れて本来の目的を果たさないとね。

 

 

「実はですね、昨日しつこいナンパに遭いまして、私が怖くて震えているときに助けてくれたヒーローさんがいるんですよ」

「ふむ……」

 

 

平塚先生は弁当を咀嚼しながら続きを促す。実際は怖くないし震えてもいなかったけど今はただの乙女。ここで「あまりのしつこさに呆れていると~」なんて聞いている方がやりずらい。そっちが潤滑に動いてくれれば私もやりやすいよ。私も弁当をつまみながら話を続ける。

 

 

「それでそのヒーローさんが逃がしてくれたんですが、お礼を言えなかったので探しているんです。」

「何故、私にそのことを相談するのかね?」

「それはですね。そのヒーローさんの制服姿から一年生じゃ無いと感じたのと……」

 

 

今更だけど、他人のことを形容するのに「ドロッとしている」や「恐ろしい」などを使うの悪口陰口にならないのかな?まぁ時間が押しているから悪いけど使わせてもらうよ。

 

 

「その……ですね。眼が……何というか……ドロッとしている?ので生徒指導をしている先生ならご存知ないのかなっと思ったの

 ですが……いかがでしょうか?」

 

 

できるかぎり「ソンナコトオモッテナイヨー シカタナシダヨー」という感じを出してみる。あっ「思ってるなこいつ」という眼で見てくるよ。失敗かな。私の演技力も相当のものになってきたと思っていたけど己惚れだったみたいだよ。そうだ、念のため心の中で補足しておくよ。勘違いされそうだけど私は礼を言いに行くだけだよ。恋愛感情は一切ない。あと不思議な眼をもう1回見てみたいかな。

 

 

「……ふむ、そういう事なら私に1人心あたりがあるまぁ、確定ではないからもう少し特徴を教えてくれないかね。」

「わかりました。まず後ろに自転車があったので自転車通学かと思います。次は……特徴的な髪形をしていましたね。つむじ当たりの髪がぴょんと立っていました。」

 

 

少し喋り過ぎたかな?ナンパされてるのに落ち着いてるって思われたかもしれない「ビッチ」でも「肝の据わった女性」でもなく「ただの女の子」になりたいのにね。平塚先生は胸ポケットのタバコを取り出しながら口を開く。……そういう動作は精錬されていてとてもかっこいい。授業中、たまに愚痴を零してる姿からは想像できないよ。

 

 

「わかった。今日の放課後にでも奉仕部を訪ねてみたまえ。きっと君を助けてくれたヒーローがいるはずだよ。」

 

 

「腐った眼のね」と付け足してから平塚先生は席を立ち次の授業の準備を始める。私もここに居座るわけにはいかないね。……それにしてもまさか1発目で当たりを引けるとは思わなかったよ。あと「腐った眼」か。とてもしっくりくるよ。今度からは私も使わせてもらおうかな。

 

……てゆーか奉仕部ってどこかな?


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