人名、地名等は全て架空のものです。
ガンダムファイトは開催されませんのでご了承下さい。
「レインの奴、そうとう怒っているらしいな」
百代と戦って早1週間、ドモンと一緒にこの街へ来たれインは未だに怒りを静めてはくれない。
(確かに置いていってしまったが、そんなに怒る事でもないだろ)
彼女が何故怒っているのかドモンには理解出来ない。
宿泊先の宿にも入れてもらえずに少ない持ち金で何とかしてきたがそれももう限界に近い。
懐から財布を取り出し中身を見るが小銭が数枚残っているだけ。
「金ももうすぐなくなる、こうなったらもう1度レインに―――」
武道を極めたとはいえ人間である以上は生きていく為に食べなければならない。
恥を忍んでレインにあやまって宿に入れてもらおうと考えていると建物に設置されている大型スクリーンが目に止まった。
「あれだ!!!」
それには九鬼揚羽がズームアップで映し出されていた。
ドモンは財布をしまうと街を走る。
常識で考えたら馬鹿な事でもドモンにはやり遂げる確信があるからこそ会場へ向かう。
///
「参加するには4人メンバーを揃えないといけません」
「そこを何とか頼む。どうしても出ないとダメなんだ」
「ルールですので」
「なぁ、頼むよ!」
「ダメです。残り3人揃えてくださらないと」
スクリーンで九鬼揚羽の言っていた会場にまでたどり着いた。
ドモン以外にも参加者は数え切れないほど来ており事前に告知されたルール通り皆4人で固まっている。
でも旅行に来ただけのこの場所で一緒に参加してくれる人など見つからない。
「俺が1人で4人倒す。それじゃダメなのか?」
「ダメです。きちんと4人で参加してくださらないと」
「くっ……そうか」
ダメ押しで係員に頼み込んでみても機械と喋っているように頑なに参加を許してくれずドモンの心は折れた。
どれだけ言っても参加はさせてもらえずついには諦めてしまう。
ここまで来た理由、大会に参加して優勝すればそのチームに賞金が授与されるからである。
参加すら出来ない状況では優勝も賞金も夢に消える。
「もう時間がない。どうする?」
大会に参加しなければ賞金など受け取れるはずもない。
しかし打開策も考えつかず開催の時間は刻一刻と迫っている。
どうすべきか考えていると見覚えのある顔を見た。
そしてその人物は真っ直ぐにドモンい近づいてきた。
「お前は!?たしかあの川原で試合をしたときに居た」
「直江大和と言います。ドモン・カッシュさんですよね?」
「そうだが何の用だ?」
「俺達のチームに入ってはくれませんか?」
「チーム?」
思ってもいない好機、ドモンは直江大和から詳しく話を聞いた。
大和のチームは本来のメンバー2人が怪我で出られなくなっってしまった。
1人は変わりが見つかったがもう1人は最後まで見つからなかった。
そんな時にドモンがこの会場に居た好機を大和は見逃さない。
大和のチームの状況を聞きドモンも断る理由はない。
「事情はわかった。俺もお前達のチームに入るぞ」
「本当ですか!?」
「あぁ、俺に任せておけ」
(これで大会に参加できる。賞金でしばらくは食い繋げられるぞ)
「それじゃさっそく行きましょう!」
走る大和の後をドモンも付いて行く。
人混みの中をかき分けて付いた先に大和のメンバーは待っている。
「おぉ、待っていたぞ。その兄ちゃんが最後のメンバーか?」
「アナタはあの時の!?」
ドモンは揃っていた2人のメンバーとも顔合わせをした。
1人は老人、何処かで見た事があるのは気のせいではない。
もう1人は川原にも居た少女、日本刀を抱えていた。
「総理、紹介します。ドモン・カッシュさんです」
「よろしく頼む」
「で、アンタは強いの?」
総理はドモンの事を知らないからその実力が気になる。
挑戦的な態度で尋ねられても平常心は崩さない。
「まだまだ師匠には及ばないが一般人程度なら何人束になろうと俺なら倒せる」
「心強いじゃないの、頼んだぜ」
「あの!!!」
総理はドモンの肩を力強く叩く後ろからまゆっちが大きな声で叫んできた。
「すみません!!!聞きたいことがあるのですが……」
まだ初対面の人には抵抗があり彼女はビクビクしながら話しかけている。
「ドモンさんは何でこの大会に参加するんですか?」
まゆっちは総理、友達の頼みでこの大会に参加している。
だから賞金も必要ないけれど一方のドモンの参加理由は不純である。
(レインに宿に入れてもらえなくて金がなくなったなんて言える筈ないしな)
「少し事情があってな。悪いが今は言えない」
「そうですか」
「では会場に行きましょう」
大和に続き皆、広場の中央に向かう。
///
「全世界の戦士諸君!よく集まった!! これより武の祭典、KOSの開催を宣言する!!」
開催者の九鬼揚羽が高台に上り声高々にこの大会のルールを説明していた。
参加する人々は聞き漏らさないよう揚羽の説明を注意深く聞いている。
だが大和はこの空間である事に気がついた。
「みんな、気付かれないように移動しましょう」
「何故だ?」
ドモンには大和の行動の意図が分からないで居た。
他の2人もそうだ。
「多分、説明が終わった瞬間に戦いが始まります。数が減るのを待つのと安全な位置に行きます」
「そうか、お前結構頭が回るんだな」
「いえいえ」
「なら後ろに……」
「いや、行くなら前だ」
普通ここから逃げるなら後方に行かなければならないのにドモンは大和の予想に反して前へ行こうとする。
「でも……」
「俺が活路を開ける。お前達はそれについて来い」
(何か作戦があるのか?)
だが考えている間にも揚羽のルール説明は終わろうとした。
「それでは、始め!!!」
「行くぞ!!!」
大和の予想通り終わると同時に試合が始まった。
だが参加者のほとんどはすぐに状況を理解出来ずに動きを止めていた。
「超級!」
ドモンは片足立をして技の構えを取った。
「覇王!」
体全身に気を纏う。
「電影だぁぁぁぁん!!!」
気功を纏ったドモンは並み居る参加者に突っ込んだ。
他の参加者は成す術もなく超級覇王電影弾になぎ倒されてしまう。
今のドモンを止める者は居らず、氷山の雪崩の様に参加者を飲み込みながら突き進んで行く。
「やっぱりあの人すごいです!」
「あの人を選んでよかった!」
「感心してる場合かよ。続くぞボウズ、由紀江ちゃん」
「「はい!」」
ドモンの開けた道を3人は続く。
けれどもこの大会に参加している京のチームは大和のようには行かなかった。
他の参加者と同じ様にすぐには動けないで居る。
そこへドモンの超級覇王電影弾は容赦なく襲いかかった。
「空気が変わった……」
「どうしたの?」
「みんな走って!!!」
京はその異変にすぐさま対応した。
飲み込まれる前に全力で走りだし、その後ろからワン子、クッキー、麗子は続いて走り出す。
その瞬間、今まで立っていた場所を何かが通過していった。
それに巻き込まれた人は投げ飛ばされ地面に叩きつけられている。
「いぃ!? 何アレ!!」
ワン子はただ驚くことしか出来なかった。
それでも京のお陰で誰1人として怪我はしていない。
「何とか助かったぁ~、ありがと京」
「あんなのに直撃したら僕でも危ないよ」
「さっきの当たった奴らはボロボロだよ。ここで数を減らすかい?」
「そうだね」
麗子の言うとおりで数を減らすなら今しかない。
4人は戦地へ飛びこんだ。
///
「あの男、相当の強者と見た」
高台に上ってルールを説明していた揚羽にも当然その光景は見えた。
たった1つの技だが、それだけでもドモンの実力は充分に伝わって居る。
「アイツもこの大会に参加してるのか。なぁ、やっぱり私も!!」
今回の大会は参加出来ないモモは処刑人としてのみ動く事を許可されて居る。
それでもモモにしてみたら飢えを潤すには足りない。
(だがあの男なら私の乾きを潤してくれる。なんたって1度私に勝ってるんだからな)
「ダメだ、お前は処刑人としてのみ活動するんだ」
でも揚羽には逆らえない。
強引に戦いに行こうとも考えるが揚羽を通して鉄心に報告されてしまう。
いくら彼女でも鉄心には逆らう事は出来ずここは言う事を聞く事にする。
「ドモホルンリンクル……」
「何だ?」
ドモンとの戦いを望むモモ。
だが最後の一言に揚羽は理解出来なかった。
///
「ドモンさんのお陰で数を減らしながらココまで来れました」
超級覇王電影弾で敵を一掃した一行は大和が事前に調べていたポイントへ向かった。
そこは位置が高く敵に狙われにくい。
ここで体力を温存して見つけた敵は総理のスナイパーライフルで狙撃する作戦だ。
「いや、たいした事じゃない。しばらくはココで敵を狙撃するんだな」
「はい、それは総理がやってくれます」
「アンタと違って俺にはこれぐらいしか出来ないからな」
総理は自前のライフルを構えてスコープを覗いて居る。
「そうか、なら後は頼む」
「任しとけ」
狙撃は総理に任せて3人はこれからの行動を話し合い体力を温存しながら数時間が経過した。
「誰も来ないな」
既に日は沈み夜になった。
肌寒い風が体を冷やして来る。
「でも、お陰で十分に体力が残っています」
「戦わないと処刑人が来るからな……1回誰かと戦ったら島津寮に戻ろう」
「丁度、誰か来ますよ」
「じゃあそれは正々堂々と戦おう」
まゆっちの言う方角を見ると2人のペアがこちらに向かって来て居る。
その内の1人の気にまゆっちとドモンは警戒した。
(これは戦い慣れしているヤツだな)
「総理、後方へ下がって居て下さい」
まゆっちは抱えていた日本刀を抜刀して総理を庇う為前に出た。
「そこまで気を遣わなくて良いぜ。休んだし」
「どうやら作戦通りには行かないらしいな」
暗闇の中で相手の顔が街灯の光りに照らされる。
「ご無事で何よりです、総理」
「お前も参加していたのか、蘇我」
「えぇ、ここでアナタを倒して総理の座を退いてもらいます」
「残念だがそれは無理な話だ」
「ふふふ、ならこちらにも考えがあります。でろぉぉぉ!! サイコクッキーーーーー!!」
蘇我が指パッチンを鳴らすと後方から2メートルはある黒いクッキーが表れた。
「大きい……」
「これはクッキー?」
本来ワンオフであるはずのクッキーが2体居る事にまゆっちと大和は驚きを隠せない。
「いいえ、サイコクッキーです。それも戦闘用に従来のモデルとは比べ物にならないほどの戦闘力を持っています。アナタ方にこの2体が倒せると?」
「たかが機械に負けていたようでは、師匠の名に泥を塗ることになる。こんな物、一瞬でスクラップにしてやる!!」
だがドモンは臆せずに2体のサイコキッキーに立ちはばかる。
「若いのと嬢ちゃんか、面白いですなぁ」
「だがそれ以上にあの男の後ろに居るアイツだ。ただならぬ気を感じる」
「ドモンさんにも分かりますか!?」
武道家の2人にはわかる、蘇我の後ろにいるあの男が1番危険だと。
「いい気迫だ、こいつぁ強い」
「釈迦堂君はそこで見物していたまえ」
蘇我の指示でサイコクッキー2がサーベルを構えた。
「だがまずはあの機械だ!」
『ふははははは!! 舞い踊れ!!』
サイコクッキー2がアスファルトを蹴ると跳躍してこちらに向かって来る。
右手に握ったサーベルを振りかぶり落下してくる。
「ふん!」
並の人間では見る事すら出来ない一太刀をドモンは白刃取りで受け止めた。
受け止められてパワーが周囲に放出され2人を中心にして強風が吹き荒れる。
「何だと!? だが――」
『ターゲットをセンターに入れてスイッチ』
待機していたサイコクッキー1がバルカンを連射してくる。
いくらドモンでもあれを受けてタダではすまない。
「せいっ!!」
降り注ぐ弾幕をまゆっちの日本刀が一閃ですべてなぎ払った。
「素晴らしい。さすが剣聖の娘なだけはある」
攻撃を防がれても蘇我は余裕で構えて居た。
サーベルを止められたサイコクッキー2もまだまだ余裕を浮かべて居る。
『さきほどは止められたが次はそうはいかん』
「何度でも来い。その程度の攻撃など余裕で避けられる」
『ならば受けてみよ!! サイコクッキー・ダイナミック!!』
必殺技を繰り出すサイコクッキー2にドモンは一歩も引いてない。
(スピードが上がっているだけでさっきのとあまり変わらない。この程度!!)
ドモンはまたもサーベルを白刃取りで受け止めた。
だがさっきとは違い威力が上がって居る。
その衝撃が受け止めたときに拡散し住宅の外壁にヒビが入る。
「ドモンさん!?」
「斬り込め!!」
サーベルを両手で握っているせいで動きがとれないサイコクッキー2。
その隙にまゆっちの日本刀が光った。
「はぁぁぁぁぁっ!!」
背後からの鋭い袈裟斬りによる一閃、だが刃は装甲を切り刻むことはなかった。
まゆっちの一太刀ではサイコクッキー2の装甲を貫く事は出来ない。
「硬い!?」
『おや?さきほどの自信はどうした?』
「このサイコクッキーにどれだけの予算を掛けたと思っている!! このくらいでは斬れんよ」
硬い装甲に攻撃を通せないでいるとサイコクッキー1が再び動き出す。
「さぁ、行け!! 僕の分身達!」
装甲を開放するとその中から小型のクッキーが何体も飛び出して来た。
「ならばこちらも!」
掌を前面に突き出し、大きく円を描くように動かしながら梵字を出現させるドモン。
そこからドモンの気で小さな分身が現れた。
「十二王方牌大車併!!!」
分身は小型クッキーに攻撃を仕掛けに行く。
だが小型クッキーには爆弾が仕掛けてあり攻撃と同時に爆発した。
「この爆発は?」
何体ものクッキーが爆発し周囲が煙に包まれ爆音が響く。
「くぅぅぅっ、耳が痛い」
ごく普通の高校生の大和は爆発の音で耳をやられてしまう。
煙に包まれた中でサイコクッキー2は何事も無く立って居る。
『夢も希望も奪ってやろう』
「こんなのにやられる松風様じゃないぜ!」
だがまゆっちもやられはしない。
日本刀を構えていつでも攻撃できる構えを取って居る。
「この攻撃は威力が高すぎるな、ん?」
蘇我は爆発の威力に驚いていると煙の中から何かを感じ取る。
「貰った!!!」
煙の中からドモンが飛び出してきた。
ドモンは正確に位置を把握しており真正面に蘇我が居る。
そこに強烈なパンチを繰り出した。
「ところがぎっちょん!!」
「くっ!?」
ドモンの攻撃を釈迦堂は同じパンチでぶつけた。
相殺される攻撃に仕方なく後ろにドモンは後退する。
「アンタなかなかやるねぇ」
「お前もな」
「どこの流派? 俺は川神流」
「流派東方不敗、ドモン・カッシュ」
「う~ん、知らないなぁ。まぁいっか。それでは派手に始めるとするか」
話しながらも互いに構えを取り警戒を緩めてはいない。
両者とも強者同士、戦いあえば戦闘は激しさを増すだろう。
それをわかるからこそ蘇我はこの場での戦いを中断させる。
「ダメだ釈迦堂君。サイコクッキーに攻撃を中止させた」
「せっかくこれからってときにぃ」
「住民が巻き込まれないようにだろ」
後ろにいたはずの総理がいつの間にか大和の隣に居た。
「総理、大丈夫ですか?」
「若いのに任せて後ろに居るなんてのは性に合わないんでね」
総理の言う事は正しかった。
このまま戦えば住民の被害は免れない。
それを知って蘇我もこの場から後退して行く。
「ここは1度引きます。処刑人に介入されるのも面倒ですので。後2日……最後に勝つのは私達だ総理」
激闘はまだ始まったばかりである。
2~3年程前に書いた作品です。
今と比べて文章の表現等がまだまだですが最後まで見てくれると嬉しい限り。
全てを修正すると時間が掛かり過ぎるので軽く修正した程度で投稿しました。
あと、ドモンは漫画版も少し混じってます。
ご意見、ご感想お待ちしております。
次回 3月5日