真剣で私に恋しなさい!! 2ndG!!   作:K-15

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後編 明鏡止水の真髄!! 真剣でもう1度戦いなさい!!

大会3日目、最終決戦は海岸の岩場で行われた。

この場所を選んだのは軍師と呼ばれている大和である。

天候は晴天、さんさんと照らす太陽は参加者を祝福しているようだった。

「ではこれより大和チームと蘇我チームとの最終決戦を始める。両者ともに準備はよいかの?」

決勝戦の審判は鉄心がじきじきに行う。

1列に並ぶと互いのチームは相手を見据えた。

大和は試合開始ぎりぎりまで作戦を考えている。

「昨日の戦いでサイコクッキーは残り1体に減ったけど、俺は戦えないから戦況は五分五分か」

「蘇我の狙いは俺1人だ。アイツと刺しでの勝負ならなんとかなる」

「まゆっちは?」

「剣術ではあの機械には負けません。ですから硬い体をなんとか出来れば勝てるかもしれません」

「ドモンさんは?」

「俺はあの男だ。まだ決着も着いていないしな」

「勝てますか?」

「俺を誰だと思っている。キングオブハート、最強の男だ」

全員この勝負に勝つつもりでいる。

(それぞれの役割を果たせばこの試合に勝てるはず。ここまで来たら絶対に負けたくない!!)

みんなの言葉が心強い、そうしている間に決勝戦開始の時間が来た。

「それでは両者構え!」

鉄心の号令と共に各々が戦闘態勢を取る。

「総理、この戦いで引導を渡してあげますよ」

「それはこっちのセリフだい」

2人のこの国を2分する戦いも今日で終焉を迎えようとしている。

『貴様の剣術は大したものだがこの私を倒せるかな?』

「父に教えていただいたこの剣術は私の誇りです。決して負けません!!」

余裕の態度を崩さないサイコクッキー2、まゆっちは自身の誇りと父の名に誓い相手を倒さんとする。

「いよいよ今日で終わりかぁ~」

「お前の本当の実力を見せてもらうぞ」

「本当のことを言うと全力は出すなって言われているんですがね。まぁ、アンタが相手なら許してくれますよね?」

今までの2日間、中途半端に終わってしまっていた釈迦堂とドモンの戦いもこれで決着が着く。

はたしてどちらが強いのか、勝つのはどちらのチームなのか。

軍師である大和が気合を入れて叫んだ。

「みんな、行くよ!! レディーーーーー!!」

この後に続く言葉はもう決まっている。

参加者全員が力一杯にこう叫ぶ。

「「「ゴォォォォォォ!!」」」

戦いの幕開けである。

まゆっちとサイコクッキーは得意の剣術で互いに勝負を挑む。

眩く光る刀身の日本刀で鋭い一閃を放つ。

「はぁぁぁぁっ!」

まゆっちの攻撃は確かにサイコクッキーの胴体に直撃した。

だがその頑丈なボディーはキズ一つ付く事無くサイコクッキーは平然と岩場に立って居る。

『無駄だと行った筈だ。その刀では私のボディーを切り裂く事など出来ん』

サイコクッキーのボディーが硬い事は以前の戦いでもう分かっている事だ。

でもまゆっちの狙いは別にある。

(大和さんの作戦は……)

前日に大和の言っていた作戦を実行するべくまゆっちはすでに行動していた。

サイコクッキーはそんな事は知る術もない。

『今度はこちらの番だ。安心して良いぞ、一撃で終わらせてあげよう。恐怖も痛みも感じずに』

サーベルを取り出しまゆっちに向かい一撃必殺を繰り出そうと構えるサイコクッキー。

だが長い年月を鍛錬してきたまゆっちは臆する事はなかった。

サイコクッキーはサーベルを大きく振り上げモーターの出力を最大にし、一撃必殺の技を繰り出す。

『喰らえ!! サイコクッキィィーー!! ダイナミック!!』

パワーに任せた攻撃だがそれゆえに威力は強力、空気を切り裂きながらサーベルが迫る。

サーベルの切っ先はぶつかるとその岩を砕いた。

砕かれた岩が小さな石となって周囲に飛び散る。

サイコクッキーのレーダーではまゆっちにすでに背後に回りこんで居た。

「その動きは見切っています」

『ふん、避けたか。だがどうする?』

まゆっちはサイコクッキーの必殺技を見極めている。

でもそれだけでは倒す事は出来ない。

あの硬いボディーを貫かないかぎりは彼女に勝ちはなかった。

「はぁぁぁぁっ!」

それでもまゆっちは攻撃をやめない。

大和の作戦を遂行する為、己の力と技術を信じて真っ向勝負を挑む。

彼女の刀身から目に見えない連続斬りが繰り出されボディーを斬り付ける。

『無駄無駄無駄無駄無駄!!』

 

サーベルでまゆっちを振り払うが必殺技でも捉えられなかったまゆっちにそのくらいではかすりもしない。

『これ以上は時間の無駄だ。消えてもらう』

右手を高々と太陽に向かって伸ばした。

今までに無い動きに警戒を強めるまゆっち。

『キミが初めてだよ。私の新しい必殺技だ。存分に堪能するが良い』

するとサイコクッキーの右手から大容量の電流がほとばしった。

それは目にも見えるほどで周囲に閃光を放って居る。

『ふははははっ!! このバッテリー容量すごいよ、さすが戦闘用の私!!』

サイコクッキーの言う通りで並の電気容量でない事はすぐに分かった。

あれを喰らえば気絶だけではすまないかもしれない。

『シャイニングフィンガーはこう使う!!』

電流の流れる右手を突き出すとまゆっちに向かって接近して来る。

だがまゆっちは初めて見る技でも動揺はして居ない。

そしてこの状況は大和の作戦通りに進んで居た。

(ここは岩場で足場が安定しない。そこが狙い目だよ)

前日の作戦会議で大和は言ってた。

そしてまゆっちの剣術があればそれが可能。

『なんだと!?』

接近していたサイコクッキーの岩場がいきなり崩壊した。

そのまま下半身が岩に飲み込まれてしまう。

(大和さんの作戦が上手くいきました!! 隙をみて岩場に切り込みを入れてその重い体で崩させる)

『くっ!? 引っかかって動かない』

すぐに抜け出そうと試みるが岩は完全に下半身の動きを封じて居た。

無理に動けばさらに深くへと沈んで行ってしまう。

『よ~し、トドメだ。やっちまえまゆっち』

 

「はい!!」

 

まゆっちは1度刀を鞘に収めると抜刀の構えを取った。

空気は静まり返り卓越した集中力で目標を捕らえて居る。

 

「黛流奥義!! 阿頼耶!!」

気が付いたときには彼女の右手には収めたはずの日本刀が握られて居た。

『なん……だと……』

そしてサイコクッキーの硬いボディーには綺麗な切れ込みが一筋入って居た。

「たしかに私の刀だけでは斬れません。ですが水の力を利用すれば」

まゆっちの握る日本刀はひたひたと水の滴を零して居る。

ここは海岸の岩場、海水などいくらでもあるのだ。

「斬れる!!」

『こnな小娘nい……kのwtあしg……』

一刀両断されるとサイコクッキーはその機能を停止してただの鉄屑へと成り果てた。

絶対に勝てると踏んでいたサイコクッキーがやられた事に蘇我は驚きを隠せないで居る。

「何!? サイコクッキーが……」

「人の心配してる場合かよ。いや、人じゃなくて機械か」

総理と蘇我の戦いもお互いに実力が拮抗しておりなかなか決着は着かないで居る。

「だがアナタ1人なら私だけでも倒せる」

「俺を忘れてませんか?」

戦わない大和は完全に視野に入ってない。

「言ってくれるじゃねぇか」

蘇我は拳を握り締め総理に殴りかかる。

「はああぁぁぁ!!」

「ふん!!」

総理も拳を突き出し蘇我の拳にぶつけた。

ミシミシと骨が軋む音が聞こえる。

 

「離れてください!」

総理はその声を聞くと瞬時に後方へとジャンプし回避に移った。

その後すぐに今まで自分達が戦っていた岩にヒビが入った。

「これは!?」

驚く蘇我が見た先には日本刀を構えたまゆっちがそこに居る。

抜刀したときの衝撃波を長距離まで飛ばし岩にぶつけたのだ。

「あの嬢ちゃんがやったのか? さすが剣聖黛の娘だ」

総理はまゆっちの腕にただただ舌を巻く。

「大丈夫ですか? 総理」

「俺は何ともねぇや。それよりも……」

「くっ、もうこちらに来たのか。今は釈迦堂君はアイツの相手をしていて来れない。だが!この私が不利だからというただそれだけのことでオメオメと引き返せる訳がない!!」

蘇我は例え1人になろうとも戦いを止めようとはしなかった。

この状況で3対1はあまりにも分が悪い。

「総理、引導を渡す!」

渾身の一撃を拳に込めて、互いに1歩も譲らない勝負の決着の時が来た。

「「はああああぁぁぁぁぁっ!!」」

2人の拳はそれぞれの顔面へと直撃していた。

「今のは結構効いたぜ、蘇我よぉ」

初めに声を発したのは総理であった。

対戦相手の蘇我はそのまま地面へと崩れ倒れてしまう。

「思いは同じ筈なんだがな」

その総理の顔はどこか寂しげに見えた。

でもこれで残す勝負はドモンと釈迦堂だけ、状況は圧倒的に有利になった。

「後はドモンさんだけですね」

「早く行こう!」

3人はドモンの下へと走った。

///

 

「はぁぁぁぁっ!」

3人とは少し離れた場所でドモンと釈迦堂は戦っていた。

「ふん!!」

両者は決定打がないまま戦いは続いている。

「たりゃぁぁぁ!!」

上段蹴りを当てようとするドモンだが釈迦堂はしっかりと両腕を使い攻撃を防ぎきった。

「このままじゃ埒が空きませんね。ちょっとずつ本気をだしていくとしますか」

すると釈迦堂の体に黒い闘気が纏い始めた。

同じ武闘家でもあるドモンにもそれは感じ取れて居る。

(コイツのこの気迫、あのときの女と似てる)

釈迦堂の気が以前に川原で勝負をした少女、百代と似ている事に気が付く。

それは百代が昔釈迦堂に師範代として教わっていたからなのだが今のドモンには知る余地はない。

黒い闘気を纏った釈迦堂はさらに激しくドモンに攻撃を仕掛けに行く。

「そらそらそらそら!!」

目にも止まらぬ連続して出される正拳突き、その威力は並の人間なら一撃で動けなくなる。

「ぐっ!? なかなかやるな」

確かに釈迦堂の攻撃は早かった、けれどもライバルのマシンガンの如く繰り出されるパンチに比べればまだまだ遅い。

「ほぉう、普通ならこの時点で相手は地べたに這いつくばってる筈なんですがね。やはり全力を出さないと倒せませんか……」

釈迦堂は姿勢を低くし俊敏な動きでさらに攻め立てようとする。

(目が慣れない内に死角からえぐるようにしてトドメを刺す)

この地形なら岩場が視界を一瞬ではあるがさえぎってくれる。

その一瞬で構わない、それでこの勝負の決着は着く。

「川神流、蛇屠り!」

ドモンの足を狩るかのように下方から強烈な蹴りが襲う。

死角からの、それも姿の見えていない時の足元への攻撃に反応は鈍くなる。

だがドモンは死角から繰り出される必殺の一撃も素早く反応して飛び上がると意図も簡単に釈迦堂の一撃を避けてしまった。

「死角からの攻撃など、シュバルツに比べたらまだまだだ。どうした、本気を出すんじゃなかったのか?」

絶対に当てれると思っていた攻撃を避けられた、さらには挑発的な発言に釈迦堂は完全にキレた。

「ここまで俺が本気になるのは何年ぶりだろうなぁ、気に入ったよにいちゃん。楽しかったけど……これで……終わりだ……」

(黒い闘気が渦巻いている。それにさっきよりも大きい)

キレた釈迦堂の闘気はさらに大きさを増し濃く、黒くなっていく。

それが釈迦堂の強さとなりドモンを倒さんと睨みつけて居る。

「くらいなぁ!!」

2人の試合を遠くから百代、揚羽、鉄心、ワン子、ルー達も見て居た。

「釈迦堂師範代とあの男が戦ってる……」

百代かかつての師範代と自分を倒したドモンとの試合に目が放せない。

これを見ていると彼女の武闘家としての血が沸騰するかのように熱く流れてく。

でも他の4人は至って冷静にこの試合を見て居た。

「流石は私が見込んだ男だ、決勝戦まで来るとは。この戦いは目が離せんな」

「百代、一子、この試合を目に焼き付けておくがよい。これから先見る事は叶わんかもしれん」

揚羽、鉄心が言うようにこのハイレベルな試合を人生で何度も見る事は出来ない。

でもそれはすぐに覆されるがまだ少し先の話。

「釈迦堂師範代と試合してる男の人、やっぱりそんなにすごいんですか?」

 

ワン子は素直な感想を述べる。

傍から見たら釈迦堂が試合を決めに行こうとして居てドモンが不利なように見えてしまう。

元とはいえ師範代の必殺の技を喰らってしまうとそれで終わりだ。

「あぁ、あの釈迦堂の闘気を前にしても一切心を乱しておらんヨ。それに……」

「それに……何ですか?」

「本気を出した釈迦堂に彼がどう戦うのかを私も見てみたいんダ。その時が来ればあの男の真の力が見れるだろうサ」

「……」

ワン子はルーの言う通りにドモンかこれからどう戦って行くのかをじっと見つめた。

釈迦堂は両手に気を集中させると凝縮したリング状にして放った。

連続して放たれる気は岩を砕きドモンに迫る。

「どうしたぁ!? 本気を出さないと負けちゃいますよ?」

離れての攻撃に回避する事しか出来ずに居るドモン。

このままでは相手にダメージは与えられない。

「どうやらそのようだな」

 

繰り出される連撃を回避しながらもドモンは冷静に相手の動きと気の流れを観て居た。

(黒い気がどんどん広がっていく。アレを相手にしてはダメだ。心を沈めて、水のように……)

釈迦堂が黒く禍々しい気を発しているのなら、こちらは水の如く清く静かに。

けれど拳は烈火の如く。

ドモンは目を瞑り両手を構えた。

「棒立ち? 何をするのかと思えば。なら!!」

動きの止まったドモンに跳躍し、気を込めた正拳突きを打ち込んだ。

「川神流大蠍撃ち!」

普通の人ならこれを喰らえば日常生活に支障を来たす程の危険な技だが躊躇う事なく打ち込んで来る。

目に映らない神速と一撃。

繰り出した瞬間に勝負は決まる。

「な……に……」

だがあと一瞬まで迫った釈迦堂の拳はドモンのカウンターで打たれた拳が胸部を突き体が弾き飛ばされた。

すぐに立ち上がり構えを取るがもうそこにドモンの姿は無い。

「なっ!!」

気配を察知し背後に裏拳を打つ、ドモンは安々と姿勢を低くしてこれを避けてしまう。

ここから怒涛の反撃が始まってしまう。

「肘打ち!! 裏拳!! 正拳!! たあありゃぁぁぁ!!」

百烈拳を叩き込むドモン、それに対して釈迦堂は満足に防ぐ事も出来ずに殴られ続けてしまう。

その拳の一撃一撃はどれも強力で、反撃しようにも一瞬たりとも隙が見当たらない。

 

「はぁっ!!」

顔面にドモンの拳がめり込むと体は吹き飛ばされ岩に体を打ち付けられてしまう。

相当なダメージを負ってしまった釈迦堂だがまだ負けてはない。

全身に走る痛みをこらえて立ち上がった。

「この俺がぁ!! 手も足も出ないなんてことがあってたまるかぁ!!」

切れた唇から滴る血を拭い取りながら立ち上がった釈迦堂は黒い闘気をすべて拳に収縮させパワーを込めた。

周囲の巨大な岩にヒビが入り、空をどよめかせる程に気を凝縮させる。

 

「釈迦堂のヤツ!! アレをヤル気ですよ、止めなくてワ!!」

ルーには釈迦堂が何をしようとしているのかが分かった。

それは富士砕き、川神院でも禁じ手とされている危険な技。

けれども鉄心はいつもの様に平常心のまま、この先の展開を読んで居た。

「いいや、今からでは間に合わん。それにあの男も必殺の一撃を決める気でおる」

「互いに一撃の必殺を決める。腕の見せ所だな、力量が拮抗している2人だ。この一撃で勝負が決まるな」

「ここは黙って見守ろうではないか。こんな勝負滅多に見れんぞ」

ルーの慌てぶりに対して鉄心と揚羽はこの試合を最後まで見ようと楽しみにして居る。

「川神流」

必殺の一撃を決めようと全神経を集中させる、これを喰らって立ち上がることなど出来はしない。

だからドモンも決める、一撃の必殺を。

「行くぞっ!! 流派!東方不敗の名の下に!! 俺のこの手が真っ赤に燃えるぅ!! 勝利を掴めと轟き叫ぶぅ!!」

「はあああぁぁぁぁぁ!!!」

気の込めた拳を構えて接近してくる釈迦堂、ドモンは1歩も引かない。

「こいつでくたばりやがれ!! 富士砕き!!」

「ばぁぁぁくねつ!! ゴッドフィンガァァァァッ!!」

この一撃で勝負が決まる。

目前に迫る釈迦堂の拳、だがドモンのほうが一瞬ではあるが届くのが早かった。

明鏡止水を発動させたドモンにはもう釈迦堂の攻撃は届かない。

「ぐっ!! ぁぁああああ!!」

腹部をえぐられ高々と持ち上げられる。

ドモンの気が体中に流されこの拘束を解くのはもう無理だった。

「ヒィィィィト!! エンドッ!!」

その一言で釈迦堂の体は爆発に包まれた。

「俺の勝ちだな」

ゴッドフィンガーを喰らい地面に倒れる釈迦堂、しばらくは起き上がれない。

そこに突然の襲撃が。

「お前は!?」

「はああぁぁぁ!!!」

4人が見ていた場所から百代の姿が消えて居た。

まさに一瞬、堪えきれなくなった百代がドモンへ戦いを仕掛けにいってしまう。

「百代!? また勝手に、急いで止めニ!!」

「やめたほうがよい。いくらお前さんでも今の百代を止まられるとは思えん」

鉄心には百代の黒い闘気がはっきりと見えた。

(あれは素直に言う事を聞かないだろう)

「だったら尚更止めないト。今の百代は鍛錬を怠っていた釈迦堂と比べて明らかに上ネ。あの男でも無理だヨ」

「まぁ、そう慌てるな。それにいざとなったらワシが行くわい」

「そんな悠長な……」

百代とドモンが戦うのは今回の大会とまったく関係がない。

その事にルーはどうしたら良い物かとあせってしまって居る。

「でも……」

じっと試合を見ていたワン子が口を開いた。

「どうした一子?」

「でもあの男の人は――」

ワン子は見ている、川原でのあの試合を。

今の2人が戦ったあの時を見ていたのだ。

「1度お姉さまに勝ってる」

(この前より闘気が強くなっている。だが……!!)

いきなり襲い掛かってきた百代だがそのくらいの奇襲ではやられたりしない。

「かわか――」

川神流炙り肉、自身の腕に闘気で炎を発生させる技。

右腕を炎に包みドモンを狙う。

けれども炎が発生したとたんに顎へ強力なアッパーが叩き込まれた。

百代はそのまま打ち上げられてしまう。

「キングオブハートに同じ手は通用しない!!」

百代は川原での野良試合の時にこの技を使っており同じ技に当たるドモンではない。

百代は立ち上がり服に付いた汚れを振り払うともう1度ドモンを見た。

「やっぱりアンタは強い、全力を出すに価する相手だ!」

まだまだ闘志は折れてない。

2人とも構えると己の拳に気を集中させた。

「川神流!!」

「ばぁくねつ!!」

拳から強力な気が互いに向かって放たれた。

 

「星殺し!!」

「ゴッドフィンガァァァーーー!!」

技がぶつかり合い周囲に衝撃波が飛ぶ。

海岸の岩場は砕かれてしまいただの石になってしまうがそれでも2人の勝負は続いて居る。

「無双正拳突き!!」

「はああぁぁぁぁ!!」

百烈拳をぶつけ合う。

目にも見えない正拳突きの乱打、緊迫するこの戦いの中で百代は心の底から楽しんでた。

「楽しいな、おい!! もっともっと戦おう!!」

「武闘家の拳は魂を表現するもの。狂気に取り付かれたお前を武闘家とは言わん!!」

「何を言ってるんだ? 武闘家なら強者と戦うのは最高の喜びだ!!」

「違う!!拳を交わして思いを通じ合う。狂気に取り付かれた今のお前はただの暴力と変わらない」

「何が違う!! 戦う事には変わりない!!」

「……言っても分からんらしいな」

昔の自分もそうだった。

怒りに飲み込まれて我を忘れてしまう。

そのときはレインやシュバルツが居てくれたが今の戦いで百代を止められるのはドモンだけ。

「あぁ!! さぁ戦おう!!」

「ならば!!」

百代を止めるべくドモンはもう1度明鏡止水を発動させる。

「そうだ、それを待っていた!」

明鏡止水を発動したドモンに百代は本気を出したのだと悟った。

前に彼女を倒した時も明鏡止水を発動させており、そして勝負を決める気で居る事も闘気を通して彼女には分かる。

「流派!! 東方不敗が最終奥義!!」

「川神流奥義!!」

奥義には奥義で迎え撃つ、放散した2人の気は周囲の岩を砕き吹き飛ばした。

「なっ!? 何なんだ!!」

ドモンが戦う場所へ向かっていた大和は急に崩壊を始めた岩に驚きを隠せない。

「伏せろボウズ!! 岩の残骸に飲み込まれるぞ!!」

総理は巻き込まれないように大和とまゆっちを誘導した。

それでも飛散する石つぶては当たると痛い。

「どうなってるんだ?」

「これは!?」

『すげ~ぜ……2人がまた戦ってる』

まゆっちは戦っている2人の気を察知できた。

「2人ってドモンさんとたしか釈迦堂って言った……」

「違います。この気は……百代さんです」

「姉さんとドモンさんが!? でも、何で……」

「ともかくここで終わるのを待つしかないな。これ以上近づくと命がいくつあっても足りねぇぜ」

「姉さん……」

この石の雨では満足に動く事も出来ない。

総理の言う通りにここで決着が付くのを待つしかなかった。

「石破!! てんきょぉぉぉけぇぇぇぇん!!」

「富士砕きぃぃぃ!!」

ドモンが放つは流派東方不敗最終奥義、石破天驚拳。

百代は釈迦堂も使った富士砕き、だが釈迦堂と比べて威力は数段上である。

ドモンが放つ石破天驚拳に百代の富士砕きがぶつかり合う。

激しい衝撃波は閃光を生み、周囲を問答無用で吹き飛ばす。

百代はドモンに対し持ち前のパワーと気合でじりじりと近づいて来る。

 

「ぐぬぅっ!!」

目前まで迫る百代の拳。

 

「もらったぁぁぁぁ!!」

ついには百代の富士砕きは石破天驚拳を打ち砕かんとした。

でも破天驚石拳にはまだ最後の一撃が残って居る。

「はああぁぁぁ!!」 

 

振り絞られるドモンの気迫。

正真正銘、最後に繰り出す必殺の一撃。

 

「石破天驚ぉぉ!! ゴッドフィンガァァァァッ!!」

右手から巨大なゴッドフィンガーが現れすぐ傍まで迫っていた百代を、その真っ赤に燃えた手で握り締めた。

「うぁぁぁぁ!! ああああぁぁぁっ!!」

こうなってはもう身動きは取れない。

悲鳴を上げる百代の体をゴットフィンガーがさらに体力を奪う。

「ヒィィィィト!! エンドッ!!」

///

「勝者は大和チーム!!」

鉄心の大きな声が響き渡る。

最後の戦いが終わった。

蘇我チームは全員戦闘不能となり勝利したのは大和たちのチーム。

風間ファミリーのメンバーも見に来てくれているが他の応援客も居り声は届かない。

けれども大会の開会宣言の行われた場所で盛大に祝福を受けて居る。

「やりましたね!!」

「これもみんなお前達のお陰だ。感謝するぜぇ」

まゆっちはと総理は互いに健闘を称えあった。

「約束通り賞金の5億円は……」

「あぁ、約束通りにみんなで……」

そう、ドモンの大会参加の目的は賞金である。

4人で分けても1億2500万円、充分すぎる金額。

(せっかく大和が切り出してくれたんだ。これで後ろめたさもなく賞金を貰える!!)

「「全額総理に譲ります!!」」

「やまわ……え……?」

2人が言った言葉に耳を疑うドモン。

 

「この賞金で日本をもっと良い国にしてください。ずっと応援してますから!!」

「あぁ、お前達の為、この国に住む国民の為にもやってやるよ」

「あの……難しいかもしれませんが、私も応援してますから」

「友達との約束だからな」

「はいっ!!」

各々が総理と話をしているがもはやドモンにそんな気力はなかった。

「総理、お時間です」

黒いスーツを着た秘書官が総理に耳打ちしてる。

(今までずっと一緒に居たけれどこの人は日本の総理大臣なんだな)

 

改めて実感する大和。

「もうそんな時間か。楽しい時はあっという間だな。じゃあな、達者で暮らせよ」

「総理も!! お元気でぇーー!!」

まゆっちが手を振って総理を見えなくなるまで見送ってる。

でも今のドモンにはもっと重要な事があった。

この大会の賞金が貰えなくてはもう金がない。

「ドモンさん、ありがとうございました」

「あ……あぁ、そうだな……」

大和の声にも上の空でしか返事を返せない。

そこに見送りの終わったまゆっちが駆け寄ってきた。

「あの、もう1度聞いても良いですか? ドモンさんは何でこの大会に参加したのですか?」

「そ……それはぁ~……」

2人に比べてなんとも浅はかな目的であることか。

本当の理由を言えるはずも無くどうしたものかと考えて居た。

「ドモォォォン!!」

聞きなれた声でドモンを呼ぶ声が聞こえ振り向くとそこにはパートナーのレインが居た。

「レイン!?」

急いでレインの下へドモンは向かった。

「あなたこんな所で何やってるのよ!! テレビを見たら決勝戦にドモンが出てるんだなんて!!」

「お前が宿に入れてくれなかったからだろ!!」

「それとこの大会とどんな関係があるのよ!」

「旅費は全部お前に預けただろ。金がなくなって仕方なくだな」

「それは……ごめんなさい。でもあの日ドモンが1人で何処かに行っちゃうから」

「それだけでそんなに怒る事ないだろ」

「だってあの日はドモンの誕生日なのよ!せっかくお祝いの準備もしたのに」

「その割には自分だけではしゃぎ回ってたじゃないか!!」

「久しぶりの旅行なんだからいいじゃない!!」

「それに祝いだってお前が宿に入れてくれないからだな!!」

「それはドモンが!!」

 

2人の痴話喧嘩は観客が居なくなるまで続いた。




以上で終わりです。
ドモンの性格はストーリーを構築する関係上、漫画版も少し混ぜました。
ご意見、ご感想お待ちしております。
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