短いですがよければどうぞ。
人目を盗んで移動してにゃん太に連れられてきた場所は、ススキノの中でも高い廃ビルの1つで、屋上付近の壁の半壊した階層に建てられた家の前だった。
「着きましたにゃ。ここが吾が輩の縁側ですにゃ。」
にゃん太はそう言うとドアを開け、にゃん太は家の中に入って行った。部屋の中はシンプルな内装でしっかりと掃除がされている。そんな部屋には、今まで掃除をしていたであろう箒を持った1人の少女いた。その少女は家に入って来た人物を見て此方に駆け寄ってきた。
「にゃん太さん、お帰りなさい!」
「ただいまですにゃ、セララさん。」
部屋にいた少女セララは、にゃん太の帰宅を満面の笑みで迎えいれた。その2人はまるで長年、連れ添った夫婦のような空気を出していた。
「今日は前にセララさん言った、吾が輩の知り合いを連れてきたにゃ。」
にゃん太は自分の後ろにいた桜花とセララが正面になるように移動した。
「彼女は桜花、吾が輩が昔いた集まりの仲間で今回、セララさんの護衛を依頼しましたにゃ。」
「そ、そうなんですか!わ、私は三日月同盟のセララと言います。今回はありがとうございます!」
そう言うとセララは勢い良く頭を下げた。
しかし、桜花はそんなセララには何も言わず、今しがた入って来たばかりの扉を開け、
「……外に居る。」
そう一言だけ残し、出ていってしまった。
セララに対して何も言わずに出ていってしまった桜花を見ていたにゃん太は、『やはりこうなってしまいましたにゃ』という気持ちだった。
だがそれは桜花という人物の事が分かっているからの反応であり、それを知らないセララというと、
「にゃ、にゃん太さん。私、知らない間に桜花さんを怒らせてしまったんでしょうか……。」
目尻に涙を貯めながらセララはとても動揺していた。
「いいえ、セララさんは悪くないですにゃ。それに桜花っちは誰に対しても始めはあの態度なのですにゃ。」
「そうなんですか?」
「はいですにゃ。桜花っちは根は素直ないい子なのですが、昔の仲間以外と関わりを持とうとしないのですにゃ。だから、出来ればセララさんには桜花っちと仲良くなって欲しいですにゃ。」
「私に出来るでしょうか?」
「セララさんなら、きっと大丈夫ですにゃ。それに、吾が輩が思うに2人は切っ掛けさえあれば、すぐに仲良くなるような気がしますにゃ。」
にゃん太はセララにハンカチを差し出しながら元気付けるようにそう言うと、ハンカチを受け取ったセララは涙を拭き、下げていた顔を上げた。
「はい!分かりました。私、頑張って桜花さんと仲良くなります!」
にゃん太は立ち直ったセララを見ながら、あの無愛想な友人とセララが仲良くなることを期待していた。
あの桜花とセララの決してよかったとは言えない初顔合わせの日の次の日の朝、桜花は、にゃん太、セララの2人と一緒に朝食を食べ終え、情報の確認と今後について話し合っていた。だが、朝食の際に味のある料理に桜花は声に出さず、驚いたという出来事があったのだが、彼女は『にゃん太だから』という結論を出し、料理の秘密を全く聞こうとせずに朝食を食べ終えていた。
「それでは、今の吾が輩たちの状況を確認しますにゃ。」
「はい!」
「分かった。」
にゃん太は、元気良く返事をするセララに対し、ただ淡々と返事をする桜花たち2人の反応を見て少し可笑しくなったが話を進めることにした。
「まず、セララさんと桜花っちの2人を追っているのは<ブリガンティア>というギルドですにゃ。このギルドは今のススキノを牛耳っていて、好き勝手に暴れ回っていますにゃ。」
<ブリガンティア>とは、冒険者に対してゾーンでのPKで身ぐるみを剥ぐのだけに止まらず、 大地人に対しても犯罪まがいの行いをしているギルドである。
「そして、2人の最大の違いはセララさんはフレンド登録をされていて、桜花っちはされていない点ですにゃ。簡単に言えば、セララさんはこの吾が輩のプライベートエリア内から外に出ることができませんにゃ。もし一歩でも出れば、すぐに居場所が相手に分かり、追っ手が掛かりますにゃ。2人とも、ここまでよろしいですかにゃ。」
この話を聞き、セララは少し顔が青くなる。
おそらく、捕まったしまった場合を考えてしまったのだろう。
「セララさん。安心して欲しいですにゃ。吾が輩たちが付いている限り、みすみすセララさんを連れさらわれることはないですにゃ。」
「そ、そうですよね。お二人に守って頂くのに、こんな事考えちゃ駄目ですよね。」
どうやらセララはにゃん太の言葉を聞き、気持ちを持ち直したようだ。
そんなセララを見て、笑顔で頷いていた。
「では、話を戻しますにゃ。」
こうして、にゃん太の情報を元に3人は今後の行動を決めるのであった。