女帝が引っかき回すお話   作:天神神楽

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お久しぶりです。
デレステに専念していて遅れました。
喪服蘭子ゲットしました。
今は
ふみふみ
蘭子
○クロスさん
だりーな
たくみん
のSSR艦隊でプレイしています。


女帝、自重をやめる

 とある日の午後、エレーナは346カフェで紅茶を飲んでいた。珍しく一人である。

 とはいえ、知り合いを見つければすぐさま声をかけるのがエレーナである。今回声をかけられたのは、相葉夕美であった。

 「こうやって二人でお茶をするのも久し振りね。大学の方はどう?」

 「最近忙しくなってきたので行けない時もありますけど、楽しいです」

 「ふふふ、それで課題を持ってきたのね」

 夕美の傍らに置いてある少し膨らんだ鞄を見てエレーナはクスリと微笑む。それに対して夕美は照れたように頬をかいた。

 「あはは……教授に課題を出されてしまったので。本自体は読んでいるので、後は纏めるだけなんですけど」

 「あら、文学関連の課題なの? それなら少しなら教えられるわよ」

 エレーナは、夕美から書いている途中のレポートを受けとるとそれを読む。

 「テーマは……あら、白居易なのね。これならアーサー・ウェーリーの本を読んでおくといいわ。確か、華耶さんの部屋に置いてあったから貸してあげる」

 「あ、ありがとうございます。漢文は内容は面白いんですけど、難しくて……」

 「文学なんてそんなものよ。私が纏めた論文もあるから、後でメールで送ってあげる。植物に絡めた論文だから、夕美ちゃんにピッタリだと思うわ」

 そう言われた夕美は、驚いたようにエレーナを見つめる。

 「エレーナさんって、本当に博識なんですね」

 「ふふ、ありがとう。私は大学を出てからアイドルになったから、勉強には専念できたのよ」

 346プロの中でも飛び抜けた学歴を持つエレーナである。それでいて、アイドルとしても飛び抜けているため、夕美はますます憧れを強くしていた。

 「エレーナさんは、今でも研究とかしてるんですか?」

 「最近は忙しくなってきて中々纏まった時間がとれないから本格的なのはやっていないわ。でも、モスクワのお友達の研究にアドバイスをしたり、教授方の研究を拝見させてもらったりはしているわ」

 「ほえー……凄すぎて想像が出来ません」

 「ちょっと専門的過ぎたわね。物理や科学分野と違って大掛かりな設備はいらないけど、資料を集めるのが大変ね」

 エレーナの研究の話をしていると、そこに文香がやってきた。文学の話題と分かるとすぐに飲み物を頼んでいた。

 「ははは、文香さんって、ラジオとかテレビで言ってた通り、本が好きなんだね」

 「はい。特にエレーナさんとお話をするときは殊更に楽しいです。私は本を読むだけですが、エレーナさんは、それを深く研究していますから、私だけではたどり着けないような解釈に導いてくれるんです」

 文香も大学では文学を専攻しているが、世界有数の大学に飛び級で、しかも博士号まで取得したエレーナには敵わない。

 「文香ちゃんだって凄いじゃない。その見識の広さは素晴らしいわ」

 「というか、お二人の話を聞いていると自信がなくなっちゃいますよ」

 あはは、と苦笑する夕美。

 「そうだ、文香ちゃんからも何かアドバイスしてあげたら?」

 「アドバイス、ですか? そのようなことは出来ないと思うのですが……」

 「あ、色んな視点から書きたいから、何か気が付くことがあるなら教えて欲しいな」

 そう言われて、文香は夕美からレポートを受け取った。全体を軽く読むと、文香は少し考えてから口を開いた。

 「そうですね……夕美さんが書いていらっしゃることに大きな誤りはないかと思います。ただ、日本文学との関連性についてはあまり書かれていないように感じましたので、それについて書き加えれば良いレポートになると思います」

 「あー……やっぱり分かっちゃいますか。でも、せっかくアドバイスしてもらいましたし、もう少し頑張ってみますね。お二人とも、ありがとうございました!」

 夕美は二人にお礼を言うと、本を探しにカフェを出ていった。

 「流石は文香ちゃん。的確なアドバイスね」

 「そんな……エレーナさんには敵いません」

 「ふふふ、そういうことにしておいてあげる」

 カフェを出た二人は、事務所の中ではなく駐車場に向かう。

 「お待たせ華耶さん」

 「まだ時間には余裕がありますよ。鷺沢さんもエレーナに付き合わされて大変でしたでしょう? 冷たいお茶を用意してありますから、局に着くまで休んでいて下さい」

 最近では華耶も文香に対して柔らかい態度で接するようになってきていた。

 車に乗り込んだエレーナは先ほどの華耶の言葉に口を尖らせていた。

 「全く華耶さんったら、失礼しちゃうわ」

 「ふふ、私はエレーナさんとお話していて楽しかったですよ」

 華耶が淹れたお茶を飲みながら、二人は楽しそうに談笑していた。

 目的地近くの信号で停まると、華耶は二人に声をかけた。

 「お二人とも、お話するのはいいですけど、準備の方は大丈夫ですか?」

 「勿論よ。私も勉強は止めてないし、文香ちゃんだって現役女子大生。もう、死角なしです」

 「わ、私は文学関連しか自信がありませんけど……」

 「大丈夫よ!」

 少し不安げな文香に対し、エレーナは自信満々な様子で胸を叩く。

 「文学もだけど、数学・化学・物理学・地学・経済学・日本史・世界史・地理学は勿論、語学であれば八ヶ国語は話せるし、読むだけなら倍はいけるわ!」

 ムフーと意気込むエレーナに、華耶と文香は苦笑するしかなかった。

 「私は……必要ないのでは?」

 「……そんなことありませんよ」

 この後の仕事はクイズ番組の収録。《TITANIA》を代表してエレーナと文香が出演することになっていたのである。

 出演者達へ挨拶をした後、自分達の楽屋に入ると、エレーナはお茶を淹れ始めた。

 「昨日仁禛さんのお店に行った時に貰ったの。今日優勝できたら、仁禛さんの全力最高級ディナーコースを奢ってもらうことになってるのよ」

 仁禛曰く『後のこととか考えず、全身全霊で作ってあげる』とのことであり、その言葉を聞いていた店員の女性は裏で興奮していた。

 「今日は本気の本気でやっていいみたいだし、本気でいくわ」

 その時のエレーナの表情は、獲物を虎視眈々と狙うハンターのようであったと、後に文香は語ったのであった。




次回はこれの続きです。
もしかしたら別視点からかもしれない
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