女帝が引っかき回すお話   作:天神神楽

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アナスタシア(妖精)と文香(妖精)。至高だと思います。
なお、歌詞がかけないのであやふやですみません。


妖精達の《Memories》

 CPのメンバーにとって、今回のライブは初めての大きな舞台だった。

 今まで夢見るしかなかったお城の舞踏会。そのきらびやかなステージに自分達が立つのである。

 だから、当然とも言うべきだろうか。美波とアナスタシアを除いたメンバーは、ステージ袖で緊張してしまっていた。

 「そ、そろそろだね」

 その中で、卯月が同じく隣で緊張していた凛と未央に声をかける。

 「うん。こんなに緊張するだなんて思わなかった」

 「エレーナさん達って、本当に凄かったんだね」

 緊張をしつつも、そんな緊張をはね除けているエレーナ達先輩アイドルの凄さを改めて実感するCPの面々。

 そんな卯月の背後にヌラっと現れたのは件のアイドル。

 エレーナは卯月の頬をつんとつついた。

 「ふみゃっ!? え、エレーナしゃん!?」

 「ふふふ、お待たせ。とっても可愛いアーニャちゃんと文香ちゃんのお届けよ」

 エレーナの言う通り、ラブライカの衣装を着たアナスタシアと文香も舞台裏に来ていた。武内Pも一緒である。

 「緊張するなとは言わないけど、笑顔よ。はい、にぱー」

 卯月の頬に置いた指をそのまま上に持ち上げる。律儀にピースをした卯月だったが、可笑しい顔になってしまっていたため、皆笑ってしまう。

 「うん。みんな美人さんね。トラブルはあったけど、お客さんにとってそれは関係ないわ」

 厳しいともとれるエレーナの言葉に、みな真剣にエレーナのことを見つめる。そんな視線を受けたエレーナはニコリと笑う。

 「だからこそ、楽しんで。緊張の震えは、心の高ぶりに変えて。みんなの素敵なところを、大舞台でお披露目よ」

 そして、エレーナは蘭子を方を向く。

 「蘭子ちゃん」

 「は、はい!」

 「ふふふ、そんなに緊張しないで。トップバッターだから、緊張しちゃうかもしれないけど、いつもみたいにカッコよく、可愛くいきましょ」

 優しいエレーナの言葉に、蘭子の緊張はほぐれていた。

 「は、……うむっ!! 我が鎮魂歌にて、女帝の城を彩らん!!」

 ビシッとポーズを決めて、蘭子は足取り軽やかにステージに走っていった。

 Rosenburg Engelとアスタリスクがステージを終えて戻ってきた所で、エレーナがマイクをとる。

 「エレーナさん?」

 「ふふ、後輩ちゃん達が頑張っているんだもの。私からの激励よ」

 魅力的な笑みを残したまま、エレーナはそのままステージに出て行った。

 「はーい、皆さーん! まだまだ体力は十分ですかー!!」

 突然のエレーナの登場に、会場の熱気はさらに燃え上がる。

 「ふふふ、歓声ありがと。さてさて、シンデレラプロジェクトの子たちが頑張っていますけど、みんな可愛いわよね?」

 エレーナの言葉に、観客は大いに同意する。

 「そんな皆さんに私たちからのちょっとしたサプライズ。私の恰好を見て分かると思うけど、どこかで私も一曲歌わせてもらいます」

 飛び切りのサプライズに、観客はもはや絶叫レベルの歓声を上げた。

 「ふふふ、まだまだ続くわよ。それで、楓ちゃんもこのライブに出てるわよね? でも、私たち《TITANIA》のメンバー、もう一人いるのを忘れてないかしら?」

 その言葉に、観客はざわつき始める。

 「そう、皆さんのご想像の通り、最後のメンバー、可愛い可愛いふみふみの登場よ!! さあ、みんな! 私達の妖精たちを愛でる準備は出来てるかしらー!!」

 エレーナのサプライズ発言に、会場のボルテージが上がる。

 「さぁさぁ、登場していただきましょう! 今日限りの限定コンビ、私の可愛い妹アナスタシアちゃんと、私の可愛い後輩鷺沢文香ちゃんの《ラブライカ》! 曲は《Memories》よー! あ、私は舞台袖の特等席で見てるからね?」

 エレーナは舞台袖に下がると、すれ違いざまに二人に向かって笑顔を向ける。

 「頑張ってね」

 その一言を聞き、二人は笑顔で頷いた。その表情を見たエレーナは嬉しそうに頷くと、そのまま袖に立って二人を見守ることにした。

 「エレーナ、お疲れ様」

 そこに、華耶がやってくる。

 「ふふふ、美波ちゃんのことは残念だったけど、この二人のステージを見られるのは嬉しいの」

 「私としても、アナスタシアさんのステージを見られることが嬉しいです。小さい頃から可愛かったですし、その彼女のステージは感無量です」

 「あら、華耶さんったらお母さんみたいよ」

 「……まだそこまでの歳ではないですよ」

 苦笑する華耶に笑い返しているうちに、曲のイントロが始まった。

 「うん、二人ともとても立派ね」

 「えぇ。鷺沢さんもしっかりと歌えています」

 「だって私がみっちり教えたもの」

 二人の曲の出来栄えに満足そうに頷くエレーナと華耶。

 「お二人とも、なんというかすごいですね」

 その二人のことを後ろで観ている卯月は、二人の会話を聞いてポカーンとしていた。

 「世界のトップアイドルとそれをサポートするプロデューサーだものね」

 その間にもアナスタシアと文香のステージは続く。歌に入ると、文香の歌声が響く。美波よりも少し低いその声は、アナスタシアの歌声とよく響き、観客は勿論、スタッフやほかの出演者をも魅了させていた。

 「やっぱり文香ちゃんとアーニャちゃんの声は合うわね。今度のステージの構想、練り直しましょうか」

 「……魅力的な提案ですが、またスタッフが泣きますよ?」

 「あら、それじゃあ止しておく?」

 「まさか。泣くだけで済むのです。やらせていただきますよ」

 華耶が呟いた瞬間、346本社で作業をしていた幾人もの社員が一斉にくしゃみをしたという。

 そんなやり取りをしている内に、アナスタシアと文香が最後のポーズを決め、歌が終わった。

 息を切らせつつも笑顔の二人に、観客達から盛大な拍手が送られた。二人は観客に手を振りながらステージを降りる。

 そして、CPのメンバーと共に拍手をするエレーナを見つけると、二人ともエレーナに抱き着いた。

 「お姉ちゃん!!」

 「エレーナさん!!」

 「あらあら、二人とも甘えん坊さんね」

 そう言いつつも、嬉しそうに二人のことを抱きしめ返すエレーナ。

 そんな光景を嬉しそうに見つめる卯月達《New Generations》は、それに続けと言わんばかりに、ステージに向かう。

 しかし、そのステージにポツリと雨が降り注ごうとしていた。

 

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