女帝が引っかき回すお話   作:天神神楽

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胸。
あ、いや、普段おどおどしてるのに、本番になるときらきらするところとか、あ、それに、さらさらのおぐしとか、ね?
アーニァより、ふみふみの方が多く登場しそう……。
でも、それも愛のなせる業。
……貢ぐか。


ふみふみのステキな所

翌日、エレーナは満面の笑みで事務所内を歩いていた。

通りがかった人皆が何事かと二度見していた。

そんなエレーナの予定は卯月達やアナスタシア達へのレッスンである。デビュー前にレッスンすることが決まっていた。

「おはよ、みんな」

レッスンルームには既に卯月達五人は揃っていた。

「「「おはようございます!!!」」」

「うん、元気でよろしい。じゃあ、まずはストレッチね。じゃあ卯月ちゃんは私とペアね」

エレーナと卯月、凛と未央、アナスタシアと美波でペアを作り、ストレッチを始める。

「あ痛たたっ」

「あらあら、まだまだ固いわね。毎日ストレッチしてる?」

「はい~」

「ふふふ、じゃあ今度は私の背中を押してね」

位置を変わり、今度はエレーナがストレッチをする。卯月がエレーナの背中を押すと、抵抗なくぺたりと胸が床についた。

「わっ、エレーナさん、体柔らかいですね!」

「小さい頃はバレエもやっていたからね。それに、アイドルにとって毎日のストレッチは必須よ。……はい、今度は卯月ちゃんの番ね」

「はいっ! あ痛たたっ!!」

気合いを入れる卯月だったが、気合いだけでどうにかなることではない。取り敢えず、ストレッチを終えると、早速レッスンに入る。

「トレーナーさんからダンスの流れは見せてもらいました。まずは卯月ちゃん達に踊ってもらおうかしら。二人は一緒に見てて頂戴」

アナスタシアと美波を下がらせ、三人のダンスを見ることにした。

取り敢えず流しで一曲を踊り終えると、エレーナは一つ一つ注意点と改善方法を指摘する。

「卯月ちゃんはターンの所を気を付けて。そうね、重心を意識しながらやると失敗しないわ。凛ちゃんはもう少し自分を前に出しましょう。今回は貴女たちが主役なのだから、小さくなっちゃダメ。未央ちゃんはもっと細部に気を遣って。それだと雑に見えちゃうわ」

エレーナはどこがダメだったかを実演を交えながら指導する。何度か踊ると、今度はアナスタシア達と交代である。

二人のダンスを見ると、エレーナは満足そうに頷く。

「うん、二人はいいわね。注意するべき点は凛ちゃんと同じかしら。もっとお客さんを意識して。今のままじゃステージに負けてしまうわ」

卯月達の時にも言えたことだが、エレーナが踊ると同じ振り付けなのに、何倍も迫力があり、素晴らしいダンスとなる。しかし、そのエレーナの教えを受け、少しずつだが上達していく。

瞬く間に時間は過ぎ、あっという間にレッスンの時間は終了する。卯月達は息絶え絶えだったが、エレーナはけろりとしていた。

「それじゃ、レッスンはお終い。急ぎ足になっちゃってごめんなさいね」

「はぁはぁ……いえ、ありがとうございました!」

それでもレッスン生の中で最年長の美波がお礼を言うと、卯月達も顔を上げてエレーナにお礼を言う。

「っと、ごめんなさいね。この後行くところがあるから、お先に失礼するわ。今日言ったこと、覚えていてね?」

最後にウインクをすると、エレーナはそのままレッスンルームから出て行ってしまった。残った卯月達は、エレーナの体力に脱帽した。

「ふえぇぇ……エレーナさん、凄い元気です」

「はぁはぁ……私達以上にダンスをしていたのに」

卯月達は自分達のダンスだけだが、エレーナは二つ分ダンスを踊っていた。それなのに汗も少ししかかかず、全力で踊れていたのである。

「でも、アーニャちゃんたち、褒められてたね」

「ハイ。頑張りました」

「アーニァちゃんに、エレーナさんから教えてもらったコツとかを教えてもらったの。心構えとかだったけど、それだけで動けるようになったような気がしたの」

「へー、エレーナさんのアドバイスかぁ。ねぇねぇ、どんなこと言われたの?」

「多分基本的なことだと思いますが、お客さんの目を意識して、と言われました。でも、まだまだ難しいです」

エレーナがアナスタシアに教えていたことは、基本的には心構えといった類いのものである。それ故、アナスタシアはどんな風に踊っていくのか、ということについてよく考えていた。

「うーん、どんな風に踊る、かぁ……。そう言えばきちんと考えていなかったです」

「今は踊りきるのだけで精一杯だもんね」

とはいえ、レッスンを始めたばかりの卯月達にとって、まだまだその余裕はなく、踊るだけで精一杯で、改めて世界最高のトップアイドルの実力を痛感したのであった。

一方、その世界最高のトップアイドルはというと。

「文香ちゃん、ふみふみ~♡」

「ふみふみ……」

「あぅあぅ……」

先輩二人で後輩を抱きしめていた。

《TITANIA》のメンバーとなった文香を交えて打ち合わせをするために、集まっていたのだが、時間にはまだ余裕があったため、楓と一緒になって文香を弄くりまわしていたのである。

「ふふ、文香ちゃんはとってもふみふみね。楓ちゃんもそう思うでしょ?」

「はい。可愛い後輩とはいいものです」

「……お二人とも、その辺にして下さい。鷺沢さんが倒れてしまいます」

時間になり入ってきて早々暴走している先輩二人を見て、心底疲れたようなため息を吐く華耶。そんな華耶が文香には救世主に見えた。

「はーい。じゃあ、お仕事の話をしましょうか。仕事、取ってきてくれたのでしょう?」

散々ふざけていたエレーナだが、仕事のこととなれば別である。

「はい。まずは皆さんのユニット結成の発表となる雑誌のインタビュー。これは今日の十九時から。そして、再来週にテレビ、朝のニュース番組の出演ですね。まだ曲は出来ていないので、ここではエレーナさんの《HOPE》を三人で歌って頂きます」

「あら、楓ちゃんと一緒に歌った曲ね」

346プロアイドル部門の最初期に一曲だけデュオとして出した曲である。ミリオンを達成した名曲である。

「わ、私もですかっ!?」

青天の霹靂なのは文香である。なにせいきなりなのだから。

「はい。この曲は346プロの中でもカバーされているので、パート分けもそれを使います。歌の練習はトレーナーに頼むことも出来ますが……」

華耶が途中で言葉を切ったのはエレーナがいるからである。華耶に視線を向けられたエレーナは胸を叩く。

「任せてちょうだい! 今週来週とあまり仕事は入っていないし、私がレッスンするわ」

「もちろん私も。よろしくお願いしますね、文香さん?」

「は、はいっ、よろしくお願いします!」

最強の教師が出来た文香は緊張と少しの高揚を持ちながら頷いた。

「では続けます。新曲は今制作中ですので、今月中には完成させていただくことになります。来月の最初の週末にある生放送で初披露ということになります。CD発売はもう少し後、となりますね」

「結構過密スケジュールね。私は大丈夫だけど、二人は?」

「私も大丈夫です。華耶さんの鬼指導にかかれば朝飯前ですから」

楓もエレーナ同様問題ないようであった。そして、一番不安げなのは文香である。

「文香ちゃん、大丈夫?」

「は、はい……。でも、私に出来るかどうか……」

トップアイドル達と一緒に仕事をすることは文香にとっても光栄なものだったが、自分がついて行けるのかどうか、ここに来て現実味を帯びて不安となってきたのである。

小さく震える文香の手を、ギュッと握るのはエレーナ。

「エレーナさん……」

「震えは止まった?」

「あ……はい。……あったかいです」

エレーナに手を握られたことで、不思議と震えが止まっていた。

「文香ちゃんも緊張するのは無理ないと思うわ。でもね、文香ちゃんはもう立派なアイドルなのよ? 私達と一緒だから、っていう理由で震える必要はないの」

「でも、エレーナさん達に比べたら」

「比べる必要はないわ。だって、文香ちゃんのステキな所を私は持っていない。楓ちゃんのステキなところを私は持っていない。もちろん、私が持っているステキも二人にはないもの。でもね、だからこそ、すっごくステキなものになるんだとおもうの」

「私の、ステキ、ですか?」

「うん。文香ちゃんのステキな所は、本が大好きな所。髪の毛がサラサラな所。前髪を上げるとお姫様みたいな所。すぐに真っ赤になって可愛い所。他にもいっぱい、いっぱいあるの。私が知らないような、文香ちゃん自身しか知らない、とってもステキな文香ちゃん」

「私しか知らない、ステキな私……」

文香はエレーナの言葉を反芻すると、顔を上げる。

「……エレーナさん」

「なぁに、文香ちゃん?」

文香の真剣な眼差しに、エレーナは優しい眼差しで答える。

「私、頑張ります。エレーナさんが見つけてくれた私のステキな所を見つけるために」

そう宣言する文香の目にはもう迷いはなかった。それを見届けたエレーナは、一瞬目を閉じると、立ち上がった。

「よしっ、それじゃあ早速練習ね! ビシバシいくわよ!」

「は、はいっ!」

戸惑いつつも笑顔で返事をする文香。そんな二人に、ゴホンと華耶の咳払いの音。華耶の表情は気まずそうだ。

「その、やる気を出していただいたことは何よりなのですが、まだ連絡はありますので、練習はその後で」

華耶の言葉に、文香がボフンと爆発したのは言うまでもなかった。

 




ふみふみの魅力は、照れ屋なのに頑張る所だと思う。それが表現できるように頑張ります。あ、あと髪、うわ、なにをっ……………………。
アーニャチャンハカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイカワイイ

あ、いつものことだ。
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