美樹さやかが運命に苦しみ
暁美ほむらが恋に落ち
巴マミが新たな敵に戦慄していた頃
《森の魔獣》の現れる結界内に広がる森――――《禁断の森》で、二つの影が群がる《森の魔獣》を蹴散らしながら進軍していた。
https://www.youtube.com/watch?v=5NvgZOEXY7Y&list=PL95Nm5f4kEsA5LgpxyjBu_2ErZN16oIP5&index=3
「オォオラァアッ!!!!」
威勢のいい掛け声と共に、二つの人影のうちの一人である、銀色の鎧武者が手にした馬上槍と緑の盾で、襲いかかってくる有象無象の《森の魔獣》たちを一気になぎ払う。弾き飛ばされた仲間をぶつけられて後方の《森の魔獣》たちが体制を崩すと、銀の武者は敵を一網打尽にすべく、上空に瞬く間に色とりどり、大小様々な武具を召喚し、それらを一挙に発射した。
次々と打ち出される武器群に、為す術無く砕け散る《森の魔獣》たち。圧倒的なまでの制圧力と攻撃力を見せつけると、銀の鎧武者はそのまま敵の残骸には目もくれず、森の奥へと飛んでいってしまった。
「あっま、待ってください紘汰さん!」
慌てた様子で、ピンク色の可愛らしい衣装に身を包んだ少女が後を追う。彼女もまた、先行した銀の鎧武者のように空を飛んでいた。
※※※※
―――――どこだ……? どこにいる…………?!
己の想像を超えた不可解な現状に、銀の鎧武者―――
「サガラ!!! 俺だ!! 葛葉紘汰だ!!! 返事をしろォッ!!!」
だが、響いてくるのは彼自身の叫び声だけ。虚しい静寂に、紘汰は拳を固く握り締めた。
――――この世界に来てから、分かってはいた。
かつて自分が人間だった頃に見た《ヘルヘイムの森》と、《円環の理》を名乗る別宇宙の女神によって導かれたこの《禁断の森》は、明らかに様子が異なっている。この世界にやって来てからずっと感じていたぼやけた違和感が、今やっと紘汰の中で確信となった。
「違う………! この森は、《ヘルヘイム》じゃない……。この森に、サガラの意思は感じられない………!」
「………紘汰さんの知っている《森》とは違うんですか?」
追いついた桃色の衣装に身を包んだ少女が、不安げな表情で紘汰の仮面に隠された顔を見上げる。
「ああ。……女神さま、“この宇宙の地球”を侵略する《禁断の森》は、“俺のいた宇宙の地球”を襲った《ヘルヘイムの森》とは別物だ。あの《森》は人格を持っていたが、この《森》にはどうやらソイツが無いらしい」
「つ、つまり……」
「すまねえ、女神さま。…………未知の脅威への対抗策を知る俺を頼ってもらったところ悪いんだが、俺にもこの地球に何が起きているのか………」
言葉を濁し、口惜しげにうなだれると、紘汰は銀の鎧武者の姿から金髪赤眼の青年へと姿を変えた。申し訳なさげに、先程“女神”と呼ばれた桃色の少女が青年に寄り添う。
「ご、ごめんなさい。わざわざ別の宇宙にまで押しかけて、関係ない私の宇宙の地球の面倒事に巻き込んで………本当なら、私だけでなんとかしなきゃいけなかったのに」
震える声で、己の非を恥じる少女。だが紘汰は、少女に己の行動を悔やむことを強いてしまったことに気がつくと、すぐに表情を笑顔に切り替えて少女に向き合い、彼女の小さな肩に両の手を優しく乗せた。
「そんなことねえよ。女神さま……いや、いい加減に堅苦しいか。なあ、まどか。きみは確かに俺なんかじゃ比べ物にならないほど次元の違う、すっげえ神様かもしれない。この宇宙の法則を守る使命があるかもしれない」
語る口調は荒っぽく、およそその神々しい見た目には合わない。だが、彼の言葉はどこまでも揺るぎない強さと優しさに満ちていた。
「でも、困ったときは、苦しい時は、他にどうしようもない時は! ………誰かを頼ったっていいんだ。…………俺も一応、《仮面ライダー》ってやつのはしくれ、だしな」
「…………紘汰、さん…………」
潤んだ瞳で見つめてくる少女の姿の女神―――鹿目まどかのあまりのあどけなさと可愛らしさに、一度は格好つけた紘汰も、思わず彼女の瞳から目を逸らした。
「まっ………まぁ、それに! ………まどかだって、こうやって現界して世界に干渉しようと思ったら、その魔法少女の姿になるしかないんだろ? その姿じゃ、いくら女神さまだっつっても出せる力なんてたかが知れてるじゃないか。戦いなんかは俺に任せて、まどかはこの《森》に迷い込んじまった魔法少女の救助にだけ専念してくれよな!」
「え………あ、はい。頑張ります!」
突然恥ずかしそうにそっぽを向いた紘汰に疑問を抱きながらも、円環の女神、鹿目まどかは小さくガッツポーズをとって頷いた。紘汰の想いは、取りあえずは届いたようだ。
――――俺はロリコンじゃないし、そもそも舞一筋だから……。ああ、少しでも邪な気持ちになっちまった俺を、神様許して……。
声にならない声で、別宇宙からの来訪神、葛葉紘汰は思わず神に懺悔した。
本小説における紘汰さんは、ドライブ&鎧武の後の時間軸からまどかによって連れてこられた、本編そのままの紘汰さんです。
また、これは当然といえば当然なのですが、『魔法少女まどか☆マギカ』はアニメです。そのため、キャラクターの記号化がある程度成されており、主人公のまどかにいたってはピンク髪という、実写作品の『仮面ライダー鎧武』と共演させるには少々無理のある奇抜な髪色をしております。
そのため本小説では、『まどか☆マギカ』のキャラクターにはいわゆる”アニメ補正”がかかっていたためピンク髪や青髪になっていたのだという設定とします。そのため実写作品の『鎧武』キャラクターには、彼女たちは普通に落ち着いた髪色の女子中学生として見えているものとし、また『まどマギ』勢たちも自分の髪色をピンク色であるとか自称したりはしません。
ただ、僕が勝手に彼女たちの髪色を変えてしまうのも無作法ですので、彼女たちの髪色は読者様の脳内補正に一任します。
『鎧武』勢にアニメ補正をかけてカラフルな髪色にするもよし、まどかたちをお気に入りのアイドルや子役に置き換えて登場人物を実写で揃えてみるもよし………。
厳密に決めてしまうことでこの小説から遊びを奪いたくないので、両作品の外見上のギャップは、こういった形で処理させていただきたく存じます。