激しい爆音と共にぶつかり合う翡翠と漆黒の閃光。
両者の激突がもたらした衝撃波は、周囲の草木をなぎ払い、半径10メートル圏内を焼け野原に変えるに十分すぎる威力であった。
出力が抑え気味の《SQUASH》とはいえ、その威力は小型の爆弾にも等しい。まず間違いなく明日には警察による調査が行われるであろう甚大な傷跡を、光実とリーマのぶつかり合いは自然公園の一角にもたらした。
そして激突による衝撃波の余波も収まり、舞い上がった粉塵の煙幕が薄れだした頃、エネルギーの放散現象とともに二人のアーマードライダーが同時に膝をついた。
―――相討ち、である。
「ぐっ……! そんな、このアームズが、タダのAランクロックシードなんかに……!」
「生憎だったね……。確かに、その黒いアームズの出力は僕の《L.S.-13》を上回っていた。……でも、ロックシードの性能差だけで、今の僕を押し切ることはできない」
お互い傷だらけで、もはや膝立ちの姿勢すら維持するのが困難な状況。リーマが光実の言葉を最後まで聞き届けることなくがっくりと力尽きた後、光実もまたかすかな呟きとともに倒れた。
「……ほむ、ら、ちゃん」
※※※※
「待てええサーヴァントオォォ!!」
「チッ……」
追うさやかに、追われるサーヴァント。本来であれば振り切れる筈だが、しかし二人の魔法少女を抱えて逃走するサーヴァントにとってそれは少々無茶な難問だ。《
そして最も恐ろしいのは、槙島聖護と彼の従える魔法少女軍団による横からの不意打ちだ。こうなってくると、もう使える手札は一つしかない。
サーヴァントは荒れる呼吸の中、詠唱を簡略化しながら《
「―――『抑止の輪より来たれ、天秤の守り手』ッ! 『
言い切るやいなや、突如として吹き荒れる
「なっななな!? なんだなんだ!?」
びっくり仰天、二刀を振りかざして身構えるさやか。だが彼女の予想よりも早く舞い上がった粉塵は晴れ、さやかはサーヴァントを再び視認することに成功した。
「………って、え!? 赤っ!」
――――が、そこにいたのはもはや、黒いコートの痩せた男などではない。真紅のマントに身を包み、中世の
「それが、あんたの奥の手の《
「あいにくだがそのつもりはない。この英霊を《
真紅のオーバーロードと化したサーヴァントはそれだけ言うと、掛け声と共に手綱を操り、
だがここは自然公園の緑地エリア。木々が生い茂るこの場所で、幅の広い
―――――
「ええええええええ!?」
※※※※
さやかの絶叫から十秒。雑木林を飛び出して空を翔る
「織莉子の言った通りね。ここで待ち構えていれば、奴を追うことができる……!」
「さぁ江蓮、あんたの腕の見せどころだよっ!」
「了解」
ひしっと背中にしがみつく杏子の体温を背中に感じながら、搭乗したバイク―――《DUCATI916》を発進させる。《DUCATI》の鼓動、杏子の鼓動……そして、自身の鼓動。渾然一体となったリズムが、記憶の中で舞う金髪の少女を蘇らせる。
――――――風を切り、周囲の景色を置き去りにしていくこの感覚。
――――――あなたの《DUCATI》。いいバイクね、キャル。
《王の軍勢》は魂の絆です。
なので僕は、この宝具は征服王でなければ使えないと解釈しています。